
8回戦終了時
伊藤+50.0P 内川+5.5P 藤崎▲0.6P 杉浦▲2.3P 沢崎▲52.6P
9回戦(親から沢崎,内川,杉浦,藤崎 抜け番伊藤)
伊藤のポイントを考えるといいタイミングの抜け番と言えそうだ。残り3戦勝負でトップを1回とれば優勝の可能性もある。当然この9回戦で一気に点差を詰められなければの話だが。
内川、杉浦はここでどこまで詰められるか。マイナスした場合は残り3戦とはいえ結構厳しくなる。
藤崎は10回戦抜け番で、伊藤との直対が2回と考えると30差ぐらいまでは詰めておきたいし、10回戦で沢崎に捲られないところにいないようにもしなければならない。しかし、内川、杉浦に勝たれるのも優勝は厳しくなるので、難しい立ち回りになりそう。
沢崎は杉浦と約50ポイント差なのでここで最低半分の25ポイントぐらいは詰めておきたい。実際は藤崎のほうが抜け番の分ターゲットになる可能性が高いが。
東1局、内川が13巡目に絶好の
を引きテンパイ。












ツモ
ドラ
切りのリーチといくかと思ったがヤミテンに。
場には
が3枚切れ、
が1枚切れ。
なるほど、よくよく考えるとどちらがいいかはわからなくかなり難しい。
メリットはまず、後がない沢崎は親番維持のためには無理しなくてはならない状況にある。
よってリーチしても簡単にオリてくれなく、リスクも高い。
さらに、沢崎の捨て牌に
があるので、終盤他者が手詰まりしたときは河に切られる可能性もある。
デメリットは押してくる沢崎が、
を掴んだらリーチにも切ってくる可能性は高い。あとは役なしのほうの
を切られて他者にアガられるリスクは点数的にも大きい。
完全1シャンテンだった沢崎が追い付くかと思ったが、追い付いたのはこのとき1メンツしかなかった藤崎。
残りツモは1回だがリーチといく。













リーチ宣言牌をチーして沢崎もテンパイ。内川もツモ切りで追っかけリーチといくが、藤崎が
をツモリ2,000・3,900のアガリ。内川が先制リーチと打っていたとしても同じ結果だったように思える。
藤崎にとって大きなアガリとなった。
東2局、9巡目に杉浦がドラを重ねてテンパイでリーチ。












ドラ
が1枚切れでピンズが安いわけではないので、結構な勝負リーチと言えるだろう。
10巡目、好形1シャンテンだった内川が、やっとテンパイし追いかけリーチ。













テンパイの入っていた沢崎から
で5,800の出アガリ。
1本場も積極的に仕掛け、トイトイのみだが杉浦からアガリ。藤崎のすぐ後ろに。
2本場は杉浦が高めをツモ1,300・2,600。
2人を追いかける。沢崎は苦しい。












リーチ ツモ
東3局、7巡目杉浦に悩ましい手が。













ツモ
ドラ
場には
が1枚切れ、
が1枚切れ、
が1枚切れ。自身で
と
と
を切っている。
打牌候補は
、
、
あたりか。どれも一長一短で正解はなさそうに思える。ダブ
でなければ
のトイツ落としがマジョリティになりそうだ。
杉浦は少考の末、打
。
がさくっと鳴けたときは
の出アガリも瞬間あり得る。
ちなみに、私なら
切りになりそうだ。ツモ
もいいし、2,000オールは多少不満ではあるがまあよし。
が2枚目切られたときは、巡目にもよるが鳴くかも知れない。出来れば2枚目切られる前にリーチしたいなと。ただ、特殊状況で現状沢崎がドラドラ1シャンテン、もしくは2シャンテンで
が切られるかも知れないと頭をよぎったら打
になってしまうかも知れない。
結果は思わぬ方向に進んだ。
次巡、沢崎、内川と切られた
を杉浦チー。焦りすぎかと思ったが、実際
は4枚目。逆にファインプレーか。
しかし、
落としが単独ターツには見えないので、
はかなりの危険牌に。
は山に2枚。どうなるのか。
まず1枚、
が三色1シャンテンの内川に。高めが入ったときは暗刻の可能性も否定できないので、勝負もあるか。
しかし、更に
を重ね雀頭を変えて立場は逆転。沢崎、藤崎も役なしながらテンパイ。内川も安め引きながらリーチ。
沢崎、藤崎も危険牌を押す。杉浦もドラを掴むがツモ切りで押し返す。全員テンパイで流局。
タイトル戦決勝ならではの1局となった。リーグ戦でもタイトル戦の前半でもない1局だなと。それほど選手たちにとってこの半荘の価値は大きいということだろう。
1本場、内川がリーチツモの500・1,000のアガリでトップ目に。
東4局、杉浦が6巡目テンパイ。












ツモ
ドラ
場には
が1枚切れているので、
切りの1シャンテン戻しか、とりあえずのヤミテンかと思われたが杉浦の選択はリーチ。
これがうまくいき、
をツモリ内川とならびに。
南1局1本場でもアグレッシブな仕掛けで1,300・2,600のアガリを決めトップ目に。
藤崎は沈みに。沢崎はトップというより浮きを目指すぐらいが現実的か。それすらも簡単ではないが。
南2局。杉浦が配牌ドラ暗刻。しかし、1シャンテンからテンパイせず、沢崎が1人テンパイで流局。
南3局。内川1人テンパイで杉浦に迫る。
南4局。内川が6巡目リーチ。












ドラ
高めでアガるか
ツモでもトップ。
沢崎から
を打ち取り。内川トップに。
9回戦成績
内川+19.9P 杉浦+13.0P 藤崎▲7.5P 沢崎▲25.4P
9回戦終了時
伊藤+50.0P 内川+25.4P 杉浦+10.7P 藤崎▲8.1P 沢崎▲78.0P
10回戦(親から伊藤、杉浦、内川、沢崎 抜け番:藤崎)
この10回戦で1人敗退する。現状4位の藤崎と沢崎の差は約70ポイント。
9万点のトップ条件で残り3者が競っている状況なので現実的には敗退濃厚。
抜け番の藤崎と伊藤の差は58ポイント。
藤崎としては、自分を捲らない程度に沢崎に勝ってもらいたいところだろうが、なかなか無理を通せば道理が引っ込むとはいきにくいのが麻雀で、そうそううまく行くはずがない。
伊藤が少しでも沈めば充分ぐらいな感じだろうか。
沈んだときは、伊藤との差は50ポイントを切るので、残り2戦と考えれば浮き沈み2回で大丈夫そうだが、内川、杉浦も浮いた場合は3者をかわさなければならないので、ポイント以上の差はありそうに感じる。
内川、杉浦は最終戦までに出来るだけ伊藤との差を詰めるか、できることなら捲りたいだろう。
話は少し遡るが、9回戦の前半に伊藤がスタジオ入り。
軽く挨拶はしたが、伊藤の表情は険しく、とてもリードしている表情とは思えなかった。選手は当然、傍観者と違い、それなりの差でもなにがあるかわからない。終わるまで安心できないというものである。
それが、杉浦や私と同じ年代ぐらいのプロならわかるが、何十年もトッププロで活躍している伊藤だったので、意外に思えたとともにタイトル戦の重みを再確認した。
東1局 杉浦、内川が、仕掛けて伊藤の親を流しにかかるが、伊藤も押し返し終盤テンパイをいれて3人テンパイ。
ここまでの伊藤をみると、全回戦を通してかなり攻めている。リーグ戦のときとは別人のようだ。
1本場は杉浦が5巡目にメンタンピンのリーチをするが、沢崎と2人テンパイで流局。これで親を落とすが、東2局にリーチツモドラの1,000・2,000のアガリで1人浮きに。
東3局。内川が5巡目にこの牌姿。












ドラ
かなりの勝負手といえる。ものにしたいところだ。しかし次巡、伊藤がテンパイ。












ツモ
を切ってとりあえず役なし
待ちに。内川も
をポンして1シャンテンに。
伊藤のツモは
。ツモ切りで内川にテンパイが入るかと思ったが
切りで役ありに。内川は次巡、杉浦から切られた
をポン。当然の
切りで伊藤に2,600の放銃に。これは開けられた手をみて内川はショックだろう。伊藤に風が吹いてきたかと思ったが、東4局は杉浦が沢崎から3,900をアガリ浮きになり、南1局は内川が伊藤から七対子の1,600をアガリ差を詰める。淡々と局が進んでいく。
南2局。8巡目に杉浦がドラを引いてリーチ。









暗カン


ドラ
ツモれば3,900オール。山には4枚いる。
沢崎もジュンチャンドラ1の1シャンテン。













ここはかなり押すだろうと思った矢先、杉浦のアガリ牌の
が、しばらく考えたが、ツモ切りで6,800の放銃。
杉浦が伊藤を捲ってトップ目に。杉浦としてはアガれてホッとしたのもあるだろうが、ここはツモって伊藤を沈めるところまで持っていきたかった気持ちもあるだろう。
1本場は全員テンパイで流局。
各々がきっちり相手のアガリ牌以外を切り押しきった。
2本場は杉浦、内川の2人テンパイで流局。
3本場、内川がダブ
から仕掛ける。杉浦も
を鳴いて応戦。両者テンパイ勝負。内川が杉浦から2,000点のアガリ。






チー

ポン

ロン
ドラ
難しい選択が多い中、好判断でアガリをものにした。これで内川も浮きに。
南3局、伊藤が12巡目にリーチ。












ドラ
場には
が1枚、
が1枚。
次巡、親の内川もテンパイし追いかけリーチ。













宣言牌が
。
は2枚切れで
も2枚切れ。伊藤の河は3巡目に
、5巡目に
が切られていて、
のほうが危険に思えたか。ただ、その場合は
は1枚残りということになるので、アガリ率は下がりそうだが、巡目と打点を考えれば流局も致し方なしに思える。
ここは伊藤が
をツモリ500・1,000のアガリに。杉浦に500点差に迫る。内川はリーチ棒を出したこともあり、沈みに。
南4局、内川が2巡目に
を暗カン。
これでリーチツモ
でもトップまでいく。ただ現状形は苦しい。
中盤沢崎は、ドラドラながら七対子2シャンテンに。伊藤はメンホン1シャンテン。
最初にテンパイ入れたのは杉浦。
ピンフの
待ち。内川も
をチーして1シャンテンに。






チー

暗カン


ドラ
捨て牌は3段目にかかり、沢崎、伊藤の変則捨て牌にドラを勝負することができるか。 残り2戦と考えれば、このまま終局すると伊藤と更に16ポイントぐらい離れ、40以上の差になる。
現実的には結構苦しい差になるので、勝負する価値はあるか。
杉浦の
もまだ山には結構あり、内川が掴んだときにはアガリになりそうだ。
内川が杉浦から
が打たれ、チーしてドラ切りテンパイでついに追いついた。
沢崎は手が進まないので、この局で半荘終了になりそう。
伊藤も
をポンしてテンパイ。










ポン


シャンポン待ちにすると杉浦に放銃。
杉浦の河には
が切れているだけだが、その後に内川が
、
、
と切っているので冷静に
切りでカン
待ちに。
内川はツモ
。杉浦、伊藤のテンパイ気配。
先ほど述べたとおり、ここでのアガリは相当大きいので、目を瞑ってツモ切りになるかと思ったが、ここでの伊藤への放銃は敗因になる局と考えたか冷静に
打ち。
これで内川の浮きはなくなったかと思われたが、次巡ツモ
で奇跡のテンパイ。
沢崎の1人ノーテンで終了した。内川はテンパイ料で浮きに。
沢崎はここで敗退となった。

10回戦成績
杉浦+17.1P 伊藤+11.6P 内川+1.7P 沢崎▲30.4P
10回戦終了時
伊藤+61.6P 杉浦+27.8P 内川+27.1P 藤崎▲8.1P 沢崎▲108.4P(敗退)
11回戦(親から伊藤、杉浦、内川、藤崎)
伊藤を追いかける、杉浦、内川は約24ポイント差。自身が浮いて、伊藤を沈められれば最終戦、着順勝負ぐらいになりそうだ。藤崎は伊藤と約70ポイント差。
1半荘35ポイント詰めなければならない。トップラスでも順位点は16ポイントしか縮まらないので素点で最低2万点は必要になる。伊藤を沈めて6万点ぐらいのトップをとることができればチャンスありか。
東1局。内川以外の3者の手がぶつかりそうだ。
4巡目に藤崎が1シャンテン。












ツモ
ドラ
かなりの好形。フラットな状況ならドラ1あるので、素直に打
になりそうだが、伊藤との点差があるので打
。
高め一通のテンパイなら、リーチしてツモれば3,000・6,000まである。
杉浦もマンズのリャンメンターツ落としのときに自風の
を重ねて勝負手に。












ツモ
伊藤も1シャンテン。













ドラ絡みの三色を強めにみていると思うが、河には


と並んでいる。かなり狭めに受けたことが裏目にでるか。
7巡目に杉浦が2枚目の
をポンして1シャンテン。藤崎が
をツモってテンパイ。
は場に1枚手牌に1枚だがリーチにいくかと思ったがヤミテン。
杉浦もピンズなので厳しいと思ったか。次巡
をツモってチンイツに移行。
これでアガッた時は、跳満以上が確定になった。伊藤が
を引き
でテンパイ。
藤崎がリーチにいっていた場合は
を多分打たないので、テンパイは入らなかったか。この
を杉浦がチーしてテンパイ。藤崎のツモは
で嬉しいツモではないがこれで3者テンパイ。













ただこれで次に
以外のツモはそれなりにいい待ちには変化しそうだ。

も山には1枚づつある。
伊藤もテンパイが入っているだけに放銃になる可能性もある。
12巡目、藤崎はツモ
。

に待ちかえ。直撃なら一気に点差がつまる。
しかし、杉浦のツモは
。ここは伊藤の1,500で終局した。
1本場、伊藤の手が軽い。6巡目にこの1シャンテン。アガるだけなら早そうだ。












ドラ
藤崎が伊藤の切ったドラをポン。なかなか手が進まない伊藤は
をチーしてテンパイ。ドラポンが入った以上、リーチは打ちたくないのでかわし手に変更というところか。ここもしっかり藤崎からアガリリードを広げる。
2本場、伊藤がドラドラの好配牌。
杉浦もツモが伸びて1シャンテン。伊藤の手はなかなか進まない。
9巡目、杉浦はピンフ一通の1シャンテンだったが、このツモ
でとりあえずのテンパイ。チンイツも見えてきたか。一通手変わりならリーチといきそうだが、それ以外はチンイツになりそう。先に
引きはとりあえずアガッておくか。フリテンリーチもあるのか。












ツモ
ドラ
ここで切られた
を内川がポン。













かなり苦しい仕掛けだが伊藤の親をこれ以上やらせたくないということか。
ただこれで杉浦が
ツモはツモアガリになりそうだ。
10巡目、伊藤も七対子1シャンテン。
ツモ
、打
でメンツ手に決める。













12巡目、杉浦のツモは
。
が1枚切れで有効手変わりは
だけなので形は苦しいが、
切りでチンイツ1シャンテンに。
内川が
を鳴いて、上の三色が濃くなったのも関係しているか。
ずっと1シャンテンだった藤崎がテンパイ。












ツモ
ドラの
を切ると、伊藤が11,600のテンパイになるが、巡目的にはリーチにいくかは別として、テンパイはとりたいところ。
藤崎の選択は
切り。これを伊藤がポンしてテンパイで
待ち。杉浦が
を引き、形はよくなるが
にくっつくと伊藤への放銃になるがどうなるか。
杉浦がラス牌の
を引き、
で伊藤に5,800の放銃。伊藤としてはかなり嬉しいアガリに。
3本場、伊藤が第一ツモでダブ
を重ねて1シャンテン。更に加点できそうだ。ただリーチのみの可能性もあるので、それは少しもったいないか。
が出た場合はどうするのかなと思っていたら、3巡目にツモ
。これはなんとしてもものにしたい手となる。5巡目にツモ
でテンパイ。
マンズを雀頭にしての
が理想だったが、リーチといく。












ツモ
ドラ
が1巡目に藤崎、2巡目に内川に切られていて、ペン
は悪くなさそう。実際に山に
は4枚。
は藤崎が暗刻なのでかえっていい待ちになったか。
これをきっちりツモって、更にリードを広げる。他の3者の精神的ダメージは相当なものだろう。
4本場、伊藤は更に畳み掛ける。6巡目にリーチ。













ドラ
リーチのみだが、こういう状況で大事なことは、相手に反撃の糸口を与えないことだと私は思っている。先ほどの4,000オールで、この局は相当手がよくない限りは押し返せないだろうという読みも入る。
伊藤が13巡目に
をツモ。
5本場、伊藤が4巡目に1シャンテン。












ツモ
ドラ
イーペーコーもあるし、自然にピンズ外しになるかと思ったが伊藤は打
。
公式ルールだと、こちらのほうがより自然かと思い直す。私もそうしそうな気がする。子方ならピンズ外しになりそうだが。
次巡
を引きテンパイ。ヤミテンに構える。
6巡目に
を引き打
でホンイツに向かう。2巡目に
を切っていて
が鳴けた場合もアガれる公算は高そう。
14巡目に
を引きテンパイ。アガリにはならなかったが、伊藤、藤崎の2人テンパイで流局。
6本場、内川、藤崎が仕掛けて親落としにいくが、うまく回りながら打った伊藤もハイテイ牌でテンパイし、杉浦の1人ノーテンで流局。伊藤の親を流せない。
7本場、伊藤が内川から1,500のアガリで6万点オーバー。
この対局が始まってついに1時間を越えた。
長かった親が、ついに流れた。
8本場、6巡目に藤崎が絶好の
を引きリーチ。












ドラ
藤崎が安めながら
をツモリ。2,000・3,900の大きなアガリに。伊藤としては、藤崎が点数を持つ分には悪くないので、少し点数は削られたがいい親落ちと言える。
東2局。大きく沈んでいる杉浦は、なんとか持ち点を増やしたいところだったが、テンパイせず、藤崎の1人テンパイで流局。連荘できない。
東3局、1本場。10巡目に内川がリーチ。












ドラ
ピンフのみだが、点数的にもここはリーチで抑え込みたいところか。
伊藤も役なしドラドラのテンパイが入っている。内川に直撃は避けたいところだが。













ピンズがリャンメン変化したときは勝負になるだろう。内川の状況も考えれば、テンパイしたら何でもリーチにきそうなので、フラットな時よりは押しやすいか。
11巡目に藤崎もテンパイ。













高めの
は2枚切れだが、内川の現物なので伊藤が掴んでも止まらなそうだ。
伊藤は無筋の
を掴んでも撤退。
内川のツモは
。藤崎の12,000のアガリ。
東4局、もうひとアガリで伊藤を 捲れるところまできている。
まず、8巡目に内川がリーチ。













ドラ
藤崎も追っかけリーチ。














しかし、次巡のツモは
で内川が2,600のアガリ。伊藤にとっては嬉しい結果になった。
南1局。伊藤が8巡目にリーチ。













10巡目に内川が追っかけリーチ。













内川の
も山に1枚あったが、ここは伊藤が内川からアガリ。リードを広げる。
1本場は全員テンパイで流局、
2本場はこれ以上、連荘させまいと藤崎が仕掛けて300・500のアガリ。
南2局、杉浦の親番。伊藤との点差は約5万点。なんとしてでも連荘しないと決まってしまう。
7巡目に杉浦リーチ。












ドラ
これをドラでツモって2,600オール。このツモは嬉しい。
1本場も仕掛けて1,000オールをアガリ、持ち点は2万点に。浮くことができるか。逆に内川は箱下に。
2本場、まずメンホン1シャンテンになった藤崎から出たドラの
をポン。
7巡目に杉浦がテンパイでリーチ。












ドラ
藤崎も追い付く、













藤崎が
で杉浦に3,900の放銃。
3本場、更に加点したい杉浦だったが、ここは伊藤がヤミテンで杉浦から打ち取る。
南3局、内川の巻き返しを期待したが、藤崎がピンフで局を進める。
南4局は伊藤が藤崎から2,000点のアガリ、トップを死守。
11回戦成績
伊藤+36.5P 藤崎+14.3P 杉浦▲11.5P 内川▲39.3P
11回戦終了時
伊藤+98.1P 杉浦+16.3P 藤崎+6.2P 内川▲12.2P
12回戦(親から杉浦、藤崎、内川、伊藤)
11回戦終了時で、第36期十段位は現状9割ぐらい伊藤の手中にあるといっても過言ではないだろう。
12回戦の伊藤の麻雀は見事だった。
着々と自身で相手の親を流していく。
ただ、早アガリに徹しているというよりは、ツモに身を委ねているという感じ。トイトイの手はトイトイで、攻めるときは暗カンもするといった具合に。
それがうまくいく。トントンと局が消化されていく。
タイトル戦の最終戦は、追いかける側が安手で局を消化する意味がないのと同時に、リーチ自体の打点が高く、あとは親のリーチには誰も行かないという状況になるので、長い半荘になるケースが多い。
しかし、今回は伊藤がうまく立ち回り相手に隙をみせず、逆転のチャンスを与えなかった。
ここで、第36期十段位、伊藤優孝が誕生した。
対局終了後、伊藤に「おめでとうございました」と一言だけ伝えた。
伊藤は「30年・・・」
点の部分は、私が予想してなかった受け答えだったからか、ちゃんと聞き取れなかった。しかし、聞き返すことはなく席を外した。
30年前の忘れものをみたいな感じだったかも知れないし、30年ぶりのみたいな感じだったのかも知れない。
過去に伊藤が、十段戦初日でかなり差をつけながら捲られたことがあるという話を聞いた。それが約30年ぶりなのか、伊藤の前タイトルは連盟だと、第9期鳳凰位。今36期なのでそれから約30年ということなのか分からないが、伊藤にとって特別なタイトルになったということであろう。
帰り道、何故か高揚している自分に気づいた。
選手とは全員それなりに付き合いを持たせていただいていて、誰を応援しているとか考えていなかったが、伊藤が獲得して嬉しい気持ちがあったみたいだ。
伊藤は私が連盟に入って数年の、まだC2リーグのときに初めて話をさせていただいた。
そのときにまだ、誰も知らないような若手の私を「猿川は絶対強くなる」「間違いない」と言ってくれた。それから十数年、私がそれなりの舞台にあがると「俺は絶対猿川は強くなると思ったんだよ」と伊藤の嬉しそうな顔を何度も目にした。伊藤の期待に応えるためにも頑張りたいと思ったことも何度もあった。まだ、荒削りでかなり下手くそだったときに、大先輩からの評価はこれ以上なく嬉しく、励みにもなったのを今でも覚えている。
優孝さん本当におめでとうございます。
僕もまた、優孝さんの見る目に間違いはなかったということを証明するため頑張ります。
そんなことを思いながら歩を進めた。
12回戦成績
藤崎+33.8P 伊藤+18.6P 杉浦▲19.8P 内川▲32.6P
十段戦最終成績
伊藤+116.7P 藤崎+40.0P 杉浦▲3.5P 内川▲44.8P 沢崎▲108.4P
