第37期鳳凰戦B1Select後期最終節レポート

【B1後期最終節は昇級ラインが大きく変動し、波乱の展開に】

3位 井出康平
5位 藤原隆弘
12位 福島佑一
15位 刀川昌浩

井出と藤原にとっては昇級のかかる一戦。開始前の2位中川のポイントは+124.8P。井出は+30P、藤原は+50Pが目安となる。
福島と刀川は残留争い。11位森下が▲49.3Pなので、少なくともこれより上のポイントにしたい。刀川は1回でもマイナスするとかなり厳しい。

1回戦は序盤から福島と井出の大物手がぶつかる。まずは親番福島がタンヤオドラ3、井出がメンホン一通。結果は七対子をテンパイしていた刀川が七筒をツモ切り福島に11,600放銃。

 

 

次局は福島が北東ドラドラ、井出はメンピンドラ高め三色、六索ツモなら6,000オールの勝負手だったが、福島に7,700(+1,000)放銃。

それでも井出はめげずに手を作る。中暗カン、発加カン。白は生牌、緊迫したムードが漂うが、福島は白を引かされる事なくタンヤオツモドラのアガリ。
その後も全てアガる勢いで1回戦は福島の完勝。+59.1Pのトップで降級圏を抜け出した。

2回戦も福島は好調。刀川の勝負手との同テンをツモアガる。藤原のリーチも役有りヤミテンで討ち取り。再び刀川がリーチを打つも福島が追っかけリーチで高め三色ツモ。三色ドラのヤミテンを井出からアガリ。誰も福島に勝てない局が続き、2回戦も5万点超え。側から見るともう止めようがないように思えたが、対局者の心は折れてはいない。虎視眈々と反撃の機会を狙っていた。

 

 

まずは刀川がメンピンドラドラの7,700。
続いて藤原が東南ホンイツトイトイで親の跳満。
オーラスは井出が急所のドラ七万を2枚引いてチーテン。チンイツドラドラの跳満のアガリ。
それぞれが意地の高打点をアガる。2回戦は藤原の逆転トップとなった。

井出と刀川はすでに2連勝が必要で絶対に落とせない半荘だが、3回戦も先行するのは藤原。

 

 

藤原は東2局1本場に井出のドラ3リーチをピンフツモドラで蹴る。次局1人テンパイで加点すると、東4局にはタンヤオツモドラ3で1人浮き。そのまま2連勝を決めた。

 

 

3回戦終了時昇級ラインは以下。

②藤原 +112.9P
③白鳥 +85.7P (▲27.2P差)
④井出 +57.1P (▲55.8P差)

藤原は浮き2着以上ならほぼ確定。沈みの場合は井出より上をキープ、かつ別卓の結果次第。
白鳥はトップ条件。
井出は藤原とトップラス必須。

ここで藤原に試練が訪れる。東2局、ドラ発雀頭の先制リーチを打つも、井出のカン二索を掴んで5,200(+1,000)の放銃。

 

 

続く東3局もテンパイからツモ切った七万が福島の3,900。2局連続放銃となってしまう。
一方、井出は藤原の着順を上げないように福島から見逃して僅かな可能性にかけるが、素点が足りないままオーラスを迎えた。

順位点込みのオーラス時のトータルは以下。
井出 38,900点 (トップ目) +74.0
藤原 25,000点 (3着目) +103.9

井出は藤原から倍満直撃か三倍満ツモ条件。
藤原は浮きに回るには5,200が必要。

※別卓が先に終わり、白鳥は+104.5Pで確定したが、公平を期すために対局者には知らされていない。実際の条件は▲0.6P。現状白鳥昇級、1,000点以上の加点で藤原昇級であった。

藤原は5,200以上のアガリを目指してホンイツを作りに行き、親番刀川に2,900を放銃してしまう。次局は井出が刀川との2人テンパイ連荘を狙ってリーチを打つが、刀川がテンパイ出来ず流局。

 

 

これをもって第37期後期B1リーグ全卓対局が終了。

 

 

明石定家
白鳥翔

この2名がA2昇級を決めた。

 

 

第19期太閤位決定戦レポート

【高谷圭一が初の太閤位獲得!】

1/14(木)に第19期の太閤位決定戦が行われ、高谷が初の太閤位を戴冠した。
太閤位とは、日本プロ麻雀連盟の関西本部で行われているリーグ戦の頂点であり、そのリーグもA、B、C1、C2、C3の5リーグと決定戦に出るだけでも数年を要する。
高谷は、Aリーグが3期目、決定戦は2回目の挑戦での戴冠となったが、その戦いを振り返っていきたい。

1回戦、東2局から大物手。親の高谷のこのアガリ。

 

 

ツモ、ホンイツ、七対子、ドラ2の8,000オール。
打点の作りにくい公式ルールでは、やや大げさな表現だが、最後まで優勝争いはできそうなアドバンテージ。
他3者としても、この決定戦に向けてプランと戦術を何個か用意したと思われるが、大きく狂うこととなる。

次局1本場のリーチは1人テンパイで流局となるが、

五万六万七筒七筒七筒三索三索五索五索六索六索七索七索 リーチ ドラ九万

同2本場
二万三万四万四万五万六筒七筒八筒五索六索七索八索八索  リーチ  ツモ六万  ドラ二万

さらに高谷のアガリ。城もタンヤオ、ドラ2をテンパイしていたが、4,000+200オールと突き放す。

そのあとも攻め手を緩めず、一時は8万点オーバーと大量リード。
1回戦で決まってしまいそうな雰囲気も出てきたが、オーラスに花岡が高谷から満貫をアガリ、食らいつく。

四万四万七筒七筒九筒九筒二索六索六索東東南南 リーチ ロン二索 ドラ六索

1回戦終了時
高谷+49.8、花岡▲3.6、佐々木▲20.5、城▲25.7

2回戦、開局から花岡が魅せる。

 

 

親番なので、どこかで妥協して先制リーチにする人も多いところ。花岡の胆力が光った3,900オールであった。

 

 

花岡 章生
16期生
第11、15、16、17期太閤位
ディフェンディング制とはいえ、12年連続で決定戦進出。今期も圧倒した1位通過と関西を代表する選手。
所作が綺麗で、手牌の良し悪しに左右されず淡々と打牌をするのが特徴的。

話を2回戦に戻そう。
「このアガリでまだまだわからなくなったのになぁ」と終了後の花岡。しかし、この半荘も主役は高谷。
最高打点は2,900点と低いものの、花岡のドラドラの手をつぶしたりと効果的なタイミングでのアガリが多く、オーラスを迎えて1人浮きのトップ目。
このまま終わるとほぼ決定してしまうところだが、今度はこの男が一矢報いる逆転トップ。

 

 

城 裕介
29期生
Aリーグ2期目だが、3位通過で2年連続の決定戦進出。この中では圧倒的に若い。
インタビューでは「いかに動けるかどうかだと思うので、何でもします。」と意気込みを語ってくれたが、1回戦で高谷と大きな差となってしまい、手段が限られたのが痛かった。

2回戦終了時
高谷+61.6、城▲9.4、花岡▲13.9、佐々木▲38.3

3回戦は、城の4,000オール、花岡1人テンパイ、佐々木が城から5,800と高谷以外が加点して始まった。
高谷を沈めるのが最低条件の3者としては、まだまだ加点が必要とはいえ、やる気が出る点数状況。

東2局3本場、高谷は1巡目から西ポン、中ポン。
残った手格好は不十分ではあるが、積極的に攻めていく。

 

 

ここでも中途半端に安牌を抱えることはせず、アガリに一直線。

 

 

手狭に構えていたら、なかったであろうこのアガリ。700・1,300は1,000・1,600。
合計3,600点の加点は、追う3者にとっては非常に重い。

この次の親番で5,800のアガリが決定打ではあったが、これで9割5分決まった。
守備力ゼロの仕掛けで非常に怖い。無謀ではなく、その怖さをわかった上で勝負している。
気持ちが守りに入ったら絶対に出来ない仕掛けだなぁと純粋に感動する。

 

 

高谷 圭一
30期生
Aリーグ3期目、本決定戦は2回目の挑戦。
このほかにも王位戦決勝や十段戦を初段からベスト16まで勝ち上がる等、結果を残している。
佐々木、花岡の大先輩2人と大舞台で戦えるのがとても嬉しいとのこと。

この3回戦も高谷がトップ目でオーラスを迎える。
今度はこの男が抗う。

 

 

佐々木 亮
15期生
第18期太閤位、第7期関西覇皇、第35期十段戦準優勝
前期に初挑戦で太閤位獲得。今期はディフェンディングでの決定戦となる。
河を工夫し相手に対応させたり、相手の対応によって押し引きを変えたりするのが上手い。

例えば、1回戦。早々に西東と仕掛けてこの手格好。

 

 

九万を余らせ相手を縛り、持っているとは到底思えない一索をポン。
こうなると他家は攻めきれず、悠々と700・1,300のツモアガリ。

 

 

しかし、僅差であればこういう戦略も通用するのだが、8,000オールが出てしまうと打点のある手を作らざるを得ない。
ストロングポイントを発揮できないのは、佐々木にとって大きな誤算だったであろう。
その借りはきっと来年挑戦して返すはずである。期待したい。

四暗刻が成就すれば、高谷を沈めて最終戦にわずかな可能性が残ったのだが、どちらも佐々木の手元では踊らず。勝負は決した。

3回戦終了時
高谷+84.2、城+1.0、花岡▲18.4、佐々木▲67.8

最終成績
高谷+70.3、城+18.8、花岡▲12.8、佐々木▲77.3

高谷「すごく嬉しいです。守っていると勝てないと思ったのでガムシャラに行こうと。決して実力で勝ったとは思ってないので、精進して今以上に実力をつけたいと思います。」

とんでもない、リードしてからの隙はほとんどなかった。
高谷さん、優勝おめでとうございます!

 

 

(文:福光聖雄)

第212回:プロ雀士インタビュー 柴田吉和  インタビュアー:福光聖雄

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柴田「“振り切ったな”と思っても、内川さんが強くて、全然引き離せなくて、“やっぱ強いな”って思ってずっとやってましたね。」

柴田「残り2、3戦になって、内川さんとほぼ1対1の競りで卓内のプレッシャーもあったんですが、押せるところは押せたので、その部分でちょっとは前回(5年前)よりは成長できたのかなあと。」

これは優勝直後のインタビュー。プレッシャーから解放された安堵の表情が見える。

本インタビューは、柴田くんの一番の練習相手の私、福光が担当する。

福光「ん?僕の一番の相手が柴田くんであって、逆はそうとは限らないのか?(笑)」

柴田「いや、一番かな。あなた暇だからよく捕まる。あと刀川さん。」

このインタビューも練習を終えてからの開催だ。

福光「早速、決定戦の話に。ずっと気になってたことがあって…」

福光「内川さんが(伊藤)優孝さんに5,800点を放銃して、かなり優勝が見えてきたところ、『まだまだ気を抜くな』のようなこと呟いてそうなんだけど覚えてる?」

 

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(6:15:15付近。放銃でスコアが以下の状況になったところ)
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福光「大舞台慣れしている柴田くんでも、そういう緊迫した状態になるのね。」

柴田「え?そんなことしないでしょ。次局終わったらトイレ行かせてください、って言ったんじゃない?」

福光「なんだー。気になってたのに。そんなオチか。(笑)」

福光「では改めて…決定戦を振り返ってどうですか?」

柴田「1回戦から優孝さんの六万止めを見せられて、“ホント凄いな”って楽しくなっちゃった。」
(決定戦初日観戦記の真ん中付近を参照)

柴田「最初の十段戦は、これを獲ったら麻雀プロ人生が変わると結構気負っちゃったけど、今回は獲ってもそんなに変わらないからね。決勝戦を楽しむことができたよ。」

ただただ羨ましい。
我々麻雀プロは、“タイトルを獲って有名になりたい”もあるが、“強い相手と大舞台で痺れる麻雀をしたい”という欲求も強い。
聞いてはいないが、彼もそのタイプの打ち手と確信している。

福光「勝ったと思ったときはあった?」

柴田「無いよ。(笑)」

福光「そうだよね。」

11回戦南4局、このまま終われば50ポイント近いリードで最終戦を迎えられたところ、内川のこのアガリを含む連荘で一時は逆転される。最終戦は、ほぼ着順勝負に。

 

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(伊藤のリャンメン待ちより多く残っている三索単騎待ち。このアガリも凄い。)
 

閑話休題。柴田くんと僕の関係について触れよう。
柴田くんとは、それこそ毎週のように練習しているのだが、私生活の会話はほとんどしたことがない。
LINEもスケジュール調整しかやり取りがない。こんな感じだ。

 

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飲みに行ったり、ご飯を食べに行くのも、実は初めて。
今日は、会話が盛り上がるか不安で、彼と同期の菅原(千瑛)さんにも参加してもらっている。
柴田「お酒飲めないし、飲み会はあまり好きじゃないからね。」

だからといって、無口であったり、話しづらかったりするわけではない。麻雀に対する熱い想いがあるし、気は利くし、常識もある。
ややマイペースな気質はあるか。(よりマイペースの僕が言えたものではない…)

LINEを振り返って思うが、彼は本当によく練習している。

福光「放送対局もよく見てるよね。先に着いて待っているときはだいたい見てる。熱心だわ。」

柴田「いやいや。趣味がないだけだから。」

福光「どういう点に着目して観戦してるの?」

柴田「うーん。解説聞いて取り入れることが多いかな。勝又さんの解説大好き。」

ここで過去のインタビューを紹介しよう。

2014年新人王/インタビュアー:松岡 千晶

初々しい。(笑)

2015年十段位/インタビュアー:菅原 千瑛

希望の星。

2019年第19回モンド杯/インタビュアー:ケネス 徳田

負けた時の印象が薄い。(笑)

2020年第14期女流桜花決定戦 最終日観戦記 柴田 吉和

最後の熱い20行。

さて、意を決して踏み込む時間帯だ。

福光「彼女はいるの?」

柴田「いないよー。」

菅原「長く付き合ってた人は?」

柴田「だいぶ前に別れちゃった。」

柴田「30代は結婚とか興味なかったんだけど、独り身が寂しくなってきたので…結婚したい。」

福光・菅原「へー、意外。」

福光「どんな相手がいいの?」

柴田「麻雀を知らない人!」

柴田「家では麻雀の話をしたくないんだよね。何切るの話になったら部屋に籠もりたい。」

福光「なるほど。」

柴田「でも、出会いがないんですよ。」

菅原「ですよ。」

福光「それ、みんな言ってるね。(笑)」

柴田「募集中です。よろしくお願いします。」

“いい人いたら紹介してください”と書いておいてって…
ここまで彼の魅力が伝わるよう頑張ってはみたが、いかがだろうか?
書く方も麻雀の話ばかりになるし、読む人も麻雀が好きな人だぞ。無理な話だ。(苦笑)

1回目の十段位が、最終局に国士無双での大逆転だったこともあり、柴田くんの戦前の評価は低かった。

第37期十段戦 優勝者予想

他に目立った実績もないし当然じゃない?と本人は意に介していなかったが、僕は自分事のように悔しかった。
僕の期待通り、覆してくれてありがとう&戴冠おめでとう!
そうだ、冒頭の優勝直後のインタビュー。彼らしい一言を書き忘れたので追記しておく。

柴田「明日からまた稽古して、しっかり(リーグ戦で)昇級できるように頑張ります。」

第37期十段位決定戦最終日観戦記 西川 淳

坂を登り終えた時、人は何を思うのだろうか。

達成感に喜びを爆発させるだろうか。
いや、至るまでの困難を振り返るのか。
登り切れなかった仲間に思いを馳せることもあるだろう。
それとも…

12月20日。十段位決定戦最終日。
実況に古橋 崇志。解説に森山 茂和日本プロ麻雀連盟会長と佐々木 寿人。牌譜解説に大和。

 

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9回戦(起家から、伊藤・柴田・本田・杉浦)抜け番内川

10回戦に抜け番となる杉浦は、この回で誰か1人をかわさないと途中敗退となる。
だが、一番ポイントが近い本田とも80Pほどの大差。

初日こそポイントをまとめたが、2日目に急失速。
とにかく戦える手牌が来なくて苦しかった。
全8回戦で放銃は7回とメンバー中の最少も、アガれない事には勝負にならない。
この半荘も同様だった。
アガることも振り込むこともなく、全く参加できずにオーラスを迎える。

それでもできることをやる。
誠実に最善手を求め続ける。

戦前のアンケートで、杉浦は真っ先に、無事に開催できる事と運営への感謝の辞を述べた。
対局者への敬意を示し、良い試合にしたいと抱負を表明した。
それは最後まで崩れることはなかった。

オーラス、親の杉浦の4巡目。

一万一万一万五万七万九万四索五索五索五索六索七索七索九索  ドラ五索

杉浦の選択は五万
次巡、八索を引き入れリーチ。
五万の先打ちが効果的だ。
まだ5巡目。実にアガれそうな雰囲気がある。

果たして、伊藤が、安牌に窮し八万を抜いてしまう。
トップからラス近くまで落ちてしまう痛恨の一撃。
頭を抱える伊藤。

これは勝手な想像だが、杉浦とてアガリたくもないアガリだっただろう。
親満貫とはいえ、敗退を免れるポイントには全く届かない。
届いたとしても優勝までは更に遠い。
優勝争いをしている伊藤に、そんな自分が斬撃を浴びせる。
誰も邪魔したくないという心情から断腸の思いだったかもしれない。
もう…坂を登るのはやめたくもなる。

しかし、4人で打つ麻雀ではそんな思いは許されない。
こんなツラいアガリも対局者の責務のうち。
しっかり打ち切る。
最後まで貫き、杉浦は最終戦となる9回戦をトップで締め静かに牌を置いた。

以前から卓越した技術を有し、さらに力強さを増し連続決勝を果たした杉浦。
これだけツイてなかった3日間をもってしても、敗因を運のせいにしないだろう。
分析を基に修正をし、覚悟を加えて、また戦いの場に戻ってくるはずだ。

9回戦成績
杉浦+18.4P  柴田+11.2P  伊藤▲10.3P  本田▲19.3P

9回戦終了時
内川+81.0P  柴田+43.6P  伊藤+14.5P  本田▲49.6P  杉浦▲90.5P

 

10回戦(起家から、伊藤・内川・本田・柴田)抜け番杉浦

ここから登場のトータル首位、内川。
開局に積極的に仕掛けて300・500をツモると次局の親番16巡目。
ピンフドラ2のテンパイ。
残りわずか2巡だったが構わずリーチ。

これはただのリーチ宣言には見えない。
この1日をどう闘うかの他者への宣言にも見える。

そして一発ツモで4,000オール!
宣戦布告!
気炎万丈、華々しく口火を切った。

この時点で内川はトータル100P超え。
2番手柴田に約70P差をつけた。

これで火が付いたのが逆転の柴田。
次局に2軒リーチを制して、喰らいついていく。

いよいよマッチレースの様相。

一方、本田は苦しい。
ここまで十分形にこだわり、勝負する時はしてきたが風が吹くことはなかった。

予選を長い間見守り、観戦記を担当した浜野 太陽は決定戦の前から本田に注目していた。
技術や強さだけでなく、手の入り方が尋常ではなく驚かされてばかりだったという。
伝説の予感を抱かずにはいられなかった。

裏話になるが、少なくないプロが同様の雰囲気を本田に感じていた。
「本田くん、なんかやりそうだよね…」
予選の早い段階から、そんな会話を、本人不在の場のあちらこちらで耳にした。
過去そのような令聞が現実と結びつくことを何回も経験してきた。

遡ること2か月。

ベスト16B卓

最終戦のオーラス、通過を争う瀬戸熊 直樹と本田 朋広の差はなんとわずか100点。
瀬戸熊は、ディフェンディングの伊藤に「なんとしてでも決勝に来い」と発破をかけられていた。
報いるように、使命感に満ちた素晴らしい内容で南2局に本田を逆転。
オーラスは、本田より100点上の状態で中盤にテンパイ。アガるかテンパイで勝ちあがりだった。

対して本田はバラバラの手牌。親は必ず伏せるので事実上の最終局。流局でも敗退だ。
なんとも高い瀬戸熊の壁。

それでも15巡目にテンパイにたどりついた。

 

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四万を切るか、六万を切るか。
六万は瀬戸熊のアガり牌だ。

1分以上の時間をかけ、本田は四万を選び、1巡後に1枚しかなかった六索をツモりあげた。
奇跡のような本田の生命力。

この選択の理由を本田は後に「延命だった」と語っている。
待ちは五万のほうが明らかによく見えていた。
しかし六万の危険度が高すぎた。
最終的に「1巡でも長く戦いたい。少しでも可能性をつなぎたい」という気持ちが本田に決断させた。
そしてそんな本田に運命は微笑んだ。

話を決勝に戻そう。

少しでも長く戦いたい。そうすればいつかチャンスは来る。
本田は、この決勝でもそう希い続けたのだろう。
実に、実に、丁寧に打牌を選び重ねていた。

東4局

対面の伊藤が終盤にリーチをしている。
ここに本田、テンパイ。

 

100

 

六万は全部見えており、一万は通っている。一万四万待ちはない。
四万も4枚見えている。タンキやシャンポン待ちもない。
あるとしたらカンチャンだが、四筒がカンされ345の三色もない。
他家にも目立った捨牌はない。

四万はほぼ通る牌にみえる。
イーペーコードラ1でリーチしてツモれば満貫になる手。
リーチはなくても少なくともテンパイはとるだろう、と見ていたが。
本田は、東を切り、四万は打たなかった。

実は、親の柴田が四万待ちでひっそりとテンパイしていた。
本田はそれを察していたのか。
それとも十分形ではないので、万が一のリスクも排除するという考えだったのか。
いずれにしても、ここでテンパイを崩す本田の勝負に対する真摯な態度と美意識に感動を覚えた。

少しでも長く戦う。
チャンスを待って、納得のいく形にしてからぶつける。

南場の親で、カンチャンを引き入れ十分な形にしての三色12,000点のアガリ。

二万三万四万二索三索四索七索八索九索三筒四筒北北  ロン二筒

しかし、これが本田の最後のアガリとなる。
11回戦と12回戦に本田の手が開かれることはなかった。

おそらくは、ここに至るまで本田が作り上げた本手を、内川、柴田、伊藤が跳ね返したことが大きかったということなのだろう。
それでも想像せずにはいられない。
その勝負所の一牌の上下が逆になり、1回でも本田が制していたならば、どんな世界線があっただろうと。
そして、きっとその続きはまたどこかで本田が見せてくれるだろう。

この10回戦は、柴田が爆発。
東4局に嶺上開花で親満貫をツモ。
南3局には残り1枚しかない牌をツモり再び満貫。
大きく息を吸い込み躍動、ツモる姿が印象的だった。

5万点を超える大トップを成し、トータルでも内川に猛追。
杉浦は、ここで敗退となった

10回戦成績
柴田+32.8P  内川+7.0P  本田▲9.1P  伊藤▲32.7P

10回戦終了時
内川+88.0P  柴田+76.4P  伊藤▲18.2P  本田▲58.7P  杉浦▲90.5P(敗退)

 

11回戦(起家から、本田・柴田・伊藤・内川)

伊藤が、最後の攻勢に出る。
変幻自在の手順で東場にして4回のアガリ。
持ち点を5万点近くまで伸ばす。
依然上位2人とは大差。
だが、態勢さえ引き寄せ型にハマれば一気に逆転できる力は、有る。
そうやって今まで幾度も伝説をつくってきた。

南2局

 

100

 

伊藤、9巡目にリーチ。
2枚切れのドラ表示牌のカンチャン待ち。役は無い。
平時の伊藤ならまずありえないリーチ。

この意図するところは壁。
柴田と内川に簡単には乗り越えさせないぞと壁を突きつけているのだ。
世の中に伊藤のリーチほど怖いものはそうはない。
2者が怯むなら、かすかなチャンス、光明が見えてくるかもしれない。

対して。
柴田、親番で2,900のテンパイだったが、放銃すれば原点を割る。
安全牌の西が雀頭なのでオリにはさほど困らない。
だが往く。
伊藤のリーチ後に持ってきた完全に無筋の危険牌五索を音もなくスッと切る!

内川、自身はまだ1シャンテン。振り込めばラスになる可能性が高い。
安全牌なら雀頭になっている七筒が2枚ある。
だが往く。
ドラまたぎの無筋の危険牌九万を大上段から叩き切った。

この2者の二打に、今期決勝の「これまで」と「これから」が集約されていたように見えた。
力強さの象徴。
伊藤は、敗戦後のインタビューで「柴田と内川が素晴らしかった」と振り返った。

気高い若武者達の応戦に、伊藤は納得するかのように目を閉じた。
この局は柴田のツモアガリで決着。

さあ、最終局面だ!

連荘の親、柴田。
テンパイ取らずの見事な手順を仕上げ、高目12,000の3メンチャンリーチ。
これに四暗刻の1シャンテンから真っすぐ押し返すは内川。
安目ながら5,800の放銃。
大きく息を吐く両者。

そうだ。これは完全に一騎打ちだ。
それぞれの親番。
サイコロを押す指先、配牌に伸ばす手、開けられる手牌に注ぐ眼差し。
その全てに全神経を傾け、祈りをこめる。

 

100

 

オーラス。
親の内川。
16,100点持ちのラス目。
柴田に逆転され、26.7Pの差をつけられている。

配牌は苦しく、七対子に向かう。
先に伊藤に三色の満貫テンパイが入る。
内川、絶体絶命。

だが、内川の山読み・手順が、与えられた材料で最速のテンパイを引き寄せる。
さあ、どっちだ?

 

100

 

直前に本田が七筒のトイツ落としをしている。
九筒六筒の見え方としても、八筒が良いとして待ちに選ぶと誰もが考えただろう。

しかし、内川は三索待ちを選択。そしてリーチ。
内川が山にあると考えていたほう、手牌の一番左に温存した三索に全ての命運を賭けた!
実況、解説も驚きの声。
だがお見事、なんと待ちは全て生きていた。
それならばと伊藤も追っかけリーチ。こちらも大物手なのだ。
息の詰まる局面。結果は見えない。
どうなる…

威儀を整え、ツモ動作に入る内川。
どんな心でアガリ牌の絵柄を目にしただろう。
両サイドの髪が跳ね上がるほどの勢いでツモ牌を振り下ろす内川。
リーチツモ七対子。3,200は3,300オール!
「ホントかよ…」
アガリ形を目にした柴田はもとより全国視聴者の心の声が聞こえてくるようだ。

畳みかける。
内川、1本場もリーチ。
歯を食いしばりツモ牌を引き寄せる様はまるで弓をひくかのよう。
リーチツモタンヤオで2,000は2,200オール!
これで、一気に柴田を再逆転。

更にトップ目の伊藤から1,500は2,400。
トップに迫る。

ならば柴田。
「今度は拙者の番」とばかりに、4本場。
またもやラス牌をツモっての満貫!
逆転してトップは、トータルも再々逆転。

竟に最終戦へ。

11回戦成績
柴田+20.1P  伊藤+9.5P  内川+3.6P  本田▲33.2P

11回戦終了時
柴田+96.5.0P  内川+91.6P  伊藤▲8.7P  本田▲91.9P

 

12回戦(起家から、内川・伊藤・本田・柴田)

プロ連盟規定により、最終戦の席順はトータルポイント順に上記のように定まる。

柴田と内川の差は、なんと4.9P。
この長い長い道のりを経ても、なおここまでも競るものだろうか。
最終戦に順位が上になった者が則ち勝利という単純明快な図式が出来上がった。

東1局、内川が柴田から1,500を直撃。
すると
東2局、柴田が内川から5,200で応酬。

南1局、柴田が、この日何度もみせた8枚目の牌(最後の牌)でのツモ。300・500を決める。
お返しに
南2局、内川が、同じく8枚目の牌(最後の牌)でツモ。1,300・2,600!

シーソーゲーム。
最後の最後まで勝者がわからない近年稀に見る死闘。
もつれる脚、挙がらない腕を、奮い立たせ、両者、最終場面へと向かう。

オーラス。
点は柴田が上。
内川が逆転優勝するためには、5,200以上のツモアガリか柴田からの直撃が必要だ。

親の柴田。
なんと3巡目にしてテンパイ。

一万一万一万五索七索七索二筒三筒四筒五筒六筒七筒北北

柴田は流局してノーテン宣言すれば優勝。
しかし、それまでに内川が条件を満たすアガリをする可能性も十分ある。
自分がアガると、もう1局勝負が長引くが、内川の条件をかなり厳しくすることができる。
ただ、役無しテンパイなのだ…
この最終局面で、なんという難解な、麻雀の神からの問い。
柴田、どうする?

柴田の決断は五索切りリーチ。
生涯で一番重たかったであろうリーチ棒を卓上に差し出した。
最大限のリスクと引き換えに、この手をアガリ内川を封じることに賭け、茨の道を選んだ。

南家、内川。
柴田からリーチを受けて自分の手はこう。

二万四万七万八万九万九万二索二索六索九索一筒一筒五筒九筒

バラバラで重い手。打点も見込みにくい。
放銃しても厳しいし、ノーテンでも厳しい…
この最終局面で、なんという過酷な、麻雀の神からの試練。

内川は、唯一の現物の四万を抜くところから始めた。

この局は流局までもつれることになる。
リーチを受けた内川も厳しいが、リーチをした柴田も厳しい。
双方、毎巡毎巡、精魂を注いで打つ。
肩で息をする。一打一打が心底重たかっただろう。

 

100

 

内川は、最終ツモでテンパイを果たした。
髪を乱し、危険牌を打ち抜いた。
脇の2名も放銃することがなく耐えた。

オーラス、1本場。
本局にて決着はつく。
13分以上にも及ぶ気の遠くなるような1局となった。

内川の条件はやや緩くなり、5,200のツモアガリか柴田からの2,600直撃。

今度は柴田、早々にオリに回った。
あとは、内川が条件を達成するかどうかだけだ。

流局すれば柴田優勝。
条件を突破すれば内川優勝。

一巡、一巡、全身全霊で、条件クリアへの道筋を精査する内川。
まるで試すかのように、選択を要求する悩ましいツモの連続。

そして13巡目。

 

100

 

ツモ1300・2600を達成するには、リーチ・ツモ以外に1つ以上役が必要。
ただ、1役だけの場合は、40符以上が必要になる。

南家なので海底(ハイテイ)も期待はできる。
タンヤオ…
ダブ南
イーペーコー…
ドラ…
ハイテイ…
暗カンによる40符の達成…
どれかを選び、どれかを捨てなければならない。

他にも多岐に渡る複雑な要素の組み合わせ。
他家の手牌構成。

「どの牌がまだ生きている!?」
「どの役なら達成できる!?」

十段位になる!
就位への一念が集中力を極限に高めてくれる。

内川、2分近い大長考。

 

100

 

内川の苦悶と同時に、柴田も極限状態にあった。
長考は内川に可能性が残されていることを指す。
それが長くなればなるほど、選択の幅があることも意味し、現実味を帯びてくる。

待つ間の柴田の心中は想像を絶するものだっただろう。
視線を卓上に置くこともできない。
俯き、耐えるのみの時間は永遠のよう。

しかし、柴田はもう祈ることしかできない。

 

100

 

やがて、内川は、五索をツモ切った。
南七万も山に生きていた。
内川の読みは合っていた。

ただ、18巡の間に4メンツを構成できる牌の来方が許されていなかった。

最終戦は、内川の1人テンパイによって流局。

内川、敗れる。
だが、これほどまでに「全てを出し切った」プロは記憶にない。
一寸たりとも集中力を切らさず尽くし続けた姿に多くの人の心を震わせただろう。
敗れてなお強し。
再起を誓う先には輝く未来が大きく広がっている。

12回戦成績
伊藤+18.7P  柴田+5.5P  内川▲4.6P  本田▲20.6P

最終成績
優勝 柴田 吉和 +102.0P
準優勝 内川 幸太郎 +87.0
第3位 伊藤 優孝 +10.0
第4位 本田 朋広 ▲112.5P
第5位 杉浦 勘介 ▲90.5P(敗退)

 

100

 

終局直後、深く息を吐く柴田。
残心。
笑顔はなく、何かに思いを馳せ、大きく頷いた。

終始「積極」の姿勢を貫き、その分、最後の最後で紙一重を制したのだろう。
柴田のアガリ29回のうち、ツモアガリが過半数の16回。
実に強い内容での戴冠と成った。

映像には映らなかったが、終了挨拶後、3者から差し出された祝福の握手に柴田はグッと来たという。
そして応援してくれたファンに対する感謝の気持ちがあふれ出た。

表彰式が終了したのは21:30を過ぎたころ。
全148局。
3週間に及んだ激闘の長さと過酷さを如実に物語る。

見上げると、上弦の月。

東京の九段坂は、江戸の時代より観月の名所であり、人々が坂上で月の出を賞したという。
坂を登り切った後に、眺める月の美しさはいかほどのものか。

第37期十段位
柴田 吉和

100

第29期東北プロリーグ 最終節成績表

Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 合計
1 櫻井 勇馬 ▲ 14.7 99.1 34.8 60.6 5.5 ▲ 61.9 0.3 123.7
2 菊田 政俊 26.1 94.4 ▲ 27.2 1.3 ▲ 11.7 ▲ 15.3 29.5 97.1
3 菅原 直哉 ▲ 27.7 16.5 ▲ 11.7 28.8 24.4 6.8 14.5 51.6
4 安ヶ平 浩希 31.5 ▲ 21.2 47.1 ▲ 66.1 11.2 62.0 ▲ 20.7 43.8
5 波奈 美里 14.1 ▲ 64.3 65.3 18.0 ▲ 9.9 15.2 ▲ 9.1 29.3
6 遠藤 昭太 ▲ 9.9 ▲ 31.5 ▲ 33.4 15.0 ▲ 8.3 99.0 ▲ 11.2 19.7
7 東 幸一郎 11.2 ▲ 80.0 30.6 12.8 ▲ 24.1 9.5 ▲ 3.4 ▲ 43.4
8 皆川 直毅 73.4 ▲ 9.7 ▲ 69.3 ▲ 48.1 40.0 ▲ 33.6 0.1 ▲ 47.2
9 粕谷 祐太 37.1 ▲ 3.3 ▲ 38.2 ▲ 22.3 ▲ 29.1 ▲ 81.7 0.0 ▲ 137.5

Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 合計
1 大沼 慎 ▲ 40.5 22.2 20.3 43.8 55.1 75.5 51.3 227.7
2 山下 敬介 15.4 12.3 22.4 30.5 0.0 ▲ 45.6 11.9 46.9
3 佐々木 啓文 12.6 42.0 ▲ 32.8 ▲ 34.9 ▲ 16.7 12.9 44.2 27.3
4 岡崎 圭吾 40.9 ▲ 45.4 15.1 48.2 ▲ 25.7 ▲ 6.2 ▲ 25.4 1.5
5 鈴木 勝也 ▲ 20.5 17.1 25.7 ▲ 43.7 ▲ 65.9 22.2 47.8 ▲ 17.3
6 小熊 良衡 4.3 ▲ 29.9 ▲ 41.9 ▲ 35.0 81.7 17.6 ▲ 38.8 ▲ 42.0
7 津藤 孝幸 ▲ 10.3 ▲ 51.6 ▲ 4.7 56.9 ▲ 37.7 ▲ 52.7 ▲ 26.3 ▲ 126.4

第37期 B1・B2リーグ 後期最終節成績表

A1 A2 C1・C2・C3 D1・D2・D3 E

B1

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 明石 定家 40.1 31.9 53.2 41.7 ▲ 20.2 146.7
2 白鳥 翔 29.3 21.8 28.6 8.2 16.6 104.5
3 中川 基輝 47.9 52.6 8.7 15.6 ▲ 25.0 99.8
4 藤原 隆弘 ▲ 9.8 ▲ 34.6 37.8 78.7 23.9 96.0
5 井出 康平 12.8 30.5 12.6 38.1 ▲ 18.0 76.0
6 猿川 真寿 ▲ 0.6 11.8 9.2 ▲ 42.8 35.3 12.9
7 福島 佑一 ▲ 94.3 61.9 16.6 ▲ 46.9 75.5 12.8
8 櫻井 秀樹 34.3 66.8 ▲ 19.5 ▲ 59.0 ▲ 11.1 11.5
9 増田 隆一 8.7 ▲ 43.5 28.3 31.4 ▲ 21.0 3.9
10 柴田 吉和 5.8 ▲ 20.5 29.0 5.3 ▲ 31.6 ▲ 12.0
11 荒 正義 ▲ 5.0 13.9 ▲ 40.6 ▲ 4.0 9.3 ▲ 26.4
12 鮎川 卓 13.1 ▲ 64.1 ▲ 26.2 ▲ 15.7 52.3 ▲ 40.6
13 ともたけ 雅晴 33.3 ▲ 44.1 ▲ 11.4 ▲ 67.3 48.1 ▲ 41.4
14 森下 剛任 ▲ 16.5 ▲ 49.9 ▲ 6.3 23.4 ▲ 33.1 ▲ 82.4
15 刀川 昌浩 ▲ 45.3 ▲ 36.6 ▲ 65.6 49.3 ▲ 82.4 ▲ 180.6
16 中村 慎吾 ▲ 53.8 2.1 ▲ 54.4 ▲ 57.0 ▲ 19.6 ▲ 182.7

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B2

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 三浦 智博 0.3 62.9 22.9 19.3 ▲ 3.6 101.8
2 ケネス 徳田 ▲ 38.7 28.7 56.9 25.6 25.5 98.0
3 西島 一彦 ▲ 3.7 59.7 43.8 8.8 ▲ 18.4 90.2
4 三浦 大輔 7.5 45.6 ▲ 6.3 2.5 20.4 69.7
5 岡田 茂 ▲ 12.5 ▲ 13.7 ▲ 53.9 139.4 7.6 66.9
6 福光 聖雄 ▲ 1.8 34.4 ▲ 5.8 16.5 17.6 60.9
7 武石 絵里 ▲ 16.1 ▲ 21.2 ▲ 0.7 20.3 16.4 ▲ 1.3
8 石川 正明 30.1 3.5 ▲ 6.2 ▲ 9.5 ▲ 24.7 ▲ 6.8
9 西岡 慎泰 66.0 ▲ 64.1 ▲ 37.7 6.6 2.1 ▲ 27.1
10 菊田 政俊 4.9 1.0 18.1 ▲ 61.7 2.2 ▲ 35.5
11 宮崎 皓之介 46.0 ▲ 70.4 42.0 ▲ 53.3 ▲ 44.0 ▲ 79.7
12 小野 雅峻 ▲ 8.7 ▲ 4.9 ▲ 63.3 0.3 ▲ 29.1 ▲ 105.7
13 後藤 隆 ▲ 6.9 ▲ 30.0 ▲ 30.0 ▲ 20.0 ▲ 100.0 ▲ 186.9
14 永井 卓也 ▲ 67.4 ▲ 61.5 ▲ 10.8 ▲ 95.9 24.0 ▲ 211.6

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第37期 C1・C2・C3リーグ 後期最終節成績表

A1 A2 B1・B2 D1・D2・D3 E

C1

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 伊藤 鉄也 54.8 71.9 11.5 0.0 29.2 167.4
2 石立 岳大 78.1 11.5 4.2 46.6 ▲ 21.5 118.9
3 小川 尚哉 ▲ 34.7 ▲ 18.4 49.9 56.2 58.9 111.9
4 蛯原 朗 40.1 47.8 26.2 13.6 ▲ 20.4 107.3
5 中村 毅 6.3 ▲ 4.4 13.7 0.0 62.5 78.1
6 仲田 加南 62.9 ▲ 44.5 15.2 67.3 ▲ 34.1 66.8
7 小林 正和 ▲ 87.9 40.6 ▲ 2.8 40.1 64.9 54.9
8 東谷 達矢 101.9 ▲ 21.6 ▲ 20.7 ▲ 12.9 0.1 46.8
9 石川 遼 12.2 3.4 8.1 ▲ 12.0 27.9 39.6
10 岡本 和也 54.7 ▲ 3.8 ▲ 40.4 23.5 ▲ 4.4 29.6
11 滝沢 和典 32.7 ▲ 31.3 ▲ 18.4 ▲ 32.2 57.4 8.2
12 斉藤 等 ▲ 79.2 ▲ 7.4 7.6 21.9 64.9 7.8
13 浜野 太陽 17.1 ▲ 3.3 4.6 40.7 ▲ 52.7 6.4
14 黒木 真生 ▲ 8.7 5.4 ▲ 18.6 35.3 ▲ 8.0 5.4
15 武田 裕希 ▲ 66.6 71.3 ▲ 45.5 ▲ 55.3 98.5 2.4
16 太田 優介 ▲ 4.3 ▲ 10.7 ▲ 36.1 35.4 ▲ 11.7 ▲ 27.4
17 土井 悟 0.0 5.1 ▲ 35.0 31.7 ▲ 37.5 ▲ 35.7
18 寺戸 孝志 ▲ 39.9 20.4 ▲ 18.1 0.0 0.0 ▲ 37.6
19 安 秉参 16.3 ▲ 30.8 3.8 ▲ 6.4 ▲ 52.0 ▲ 69.1
20 齋藤 豪 ▲ 11.4 ▲ 18.7 12.7 ▲ 72.6 12.0 ▲ 78.0
21 蒼山 秀佑 ▲ 28.6 22.5 15.5 ▲ 49.8 ▲ 58.2 ▲ 98.6
22 瀬下 勝也 ▲ 38.5 ▲ 47.7 23.8 ▲ 63.4 11.7 ▲ 114.1
23 森脇 翼 ▲ 26.2 ▲ 25.0 12.8 ▲ 30.8 ▲ 95.8 ▲ 165.0
24 羽山 真生 ▲ 68.7 ▲ 95.1 48.1 ▲ 47.3 ▲ 34.0 ▲ 197.0
25 赤司 美奈子 ▲ 12.4 ▲ 35.8 ▲ 80.2 ▲ 29.6 ▲ 57.7 ▲ 215.7

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C2

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 奈良 圭純 19.6 67.6 89.7 ▲ 24.6 8.0 160.3
2 山田 学武 46.9 ▲ 54.0 17.5 68.0 58.9 137.3
3 山脇 千文美 ▲ 2.3 59.0 44.9 ▲ 14.8 47.4 134.2
4 寺尾 威一郎 69.4 9.9 26.7 ▲ 6.0 2.4 102.4
5 上田 直樹 24.8 ▲ 34.6 32.7 28.1 48.9 99.9
6 吉沢 康次 19.5 54.7 9.8 11.8 ▲ 1.5 94.3
7 大和 1.2 ▲ 38.7 37.5 27.9 49.4 77.3
8 本田 朋広 33.6 ▲ 18.5 19.9 24.9 14.2 74.1
9 上田 稜 65.8 ▲ 5.8 12.0 13.6 ▲ 38.7 46.9
10 菊原 真人 7.0 17.1 17.6 60.5 ▲ 60.3 41.9
11 今泉 誠一 6.7 55.4 40.4 ▲ 14.5 ▲ 47.5 40.5
12 小車 祥 18.9 23.3 ▲ 9.7 18.8 ▲ 18.1 33.2
13 藤井 すみれ ▲ 17.0 ▲ 35.5 39.4 59.2 ▲ 16.7 29.4
14 藤本 哲也 ▲ 31.9 19.2 32.7 ▲ 25.1 22.5 17.4
15 石橋 和也 ▲ 39.0 25.5 ▲ 79.3 21.7 66.5 ▲ 4.6
16 高橋 信夫 ▲ 21.8 26.6 ▲ 18.4 0.0 0.0 ▲ 13.6
17 北野 由実 0.2 38.8 ▲ 53.2 0.0 0.0 ▲ 14.2
18 庄田 祐生 ▲ 22.4 ▲ 28.2 ▲ 4.5 32.5 4.4 ▲ 18.2
19 犬見 武史 ▲ 5.6 52.8 ▲ 21.9 ▲ 67.1 21.4 ▲ 20.4
20 須長 正和 22.8 ▲ 71.9 27.8 0.0 0.0 ▲ 21.3
21 船木 伸一 ▲ 9.9 6.7 ▲ 10.6 3.1 ▲ 14.0 ▲ 24.7
22 平野 敬悟 ▲ 10.2 ▲ 7.4 ▲ 11.4 0.0 0.0 ▲ 29.0
23 山井 弘 6.4 1.2 ▲ 38.2 ▲ 13.5 11.3 ▲ 32.8
24 厚谷 昇汰 ▲ 50.9 ▲ 11.1 ▲ 15.5 23.8 19.9 ▲ 33.8
25 太田 昌樹 ▲ 18.5 ▲ 48.0 31.1 0.0 0.0 ▲ 35.4
26 新谷 翔平 ▲ 19.1 ▲ 44.1 17.3 ▲ 48.6 50.4 ▲ 44.1
27 水澤 明彦 ▲ 14.1 48.7 16.4 ▲ 41.7 ▲ 58.6 ▲ 49.3
28 居藤 洸 3.3 ▲ 14.3 ▲ 8.6 ▲ 21.7 ▲ 15.9 ▲ 57.2
29 鈴木 秀幸 3.0 ▲ 5.6 ▲ 58.1 0.0 0.0 ▲ 60.7
30 和泉 由希子 ▲ 31.5 ▲ 10.5 ▲ 44.7 6.6 10.0 ▲ 70.1
31 越野 智紀 ▲ 3.0 ▲ 43.3 ▲ 41.9 28.6 ▲ 13.2 ▲ 72.8
32 鈴木 郁孝 ▲ 41.6 ▲ 2.6 ▲ 30.0 0.0 0.0 ▲ 74.2
33 日吉 辰哉 48.2 23.3 ▲ 77.9 ▲ 60.8 ▲ 16.6 ▲ 83.8
34 伊賀 則夫 31.3 ▲ 47.8 ▲ 29.5 ▲ 33.9 ▲ 56.9 ▲ 136.8
35 優月 みか ▲ 91.8 ▲ 7.9 ▲ 11.0 ▲ 58.8 ▲ 80.6 ▲ 250.1

昇級者 6名 (青字で表示)    降級者 8名 (赤字で表示)
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C3

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 樋口 徹 101.4 ▲ 2.4 112.3 0.7 ▲ 29.6 182.4
2 菅原 千瑛 ▲ 37.5 79.0 38.5 ▲ 39.7 105.7 146.0
3 蒼井 ゆりか 39.5 63.4 26.5 ▲ 11.3 24.3 142.4
4 末松 隆文 27.3 87.5 ▲ 25.7 ▲ 41.6 71.4 118.9
5 須浦 正裕 44.2 26.3 ▲ 17.1 ▲ 13.5 70.0 109.9
6 三田 不二夫 ▲ 16.5 91.4 1.0 21.8 2.2 99.9
7 桜井 紘己 ▲ 16.4 86.4 ▲ 15.5 0.0 31.8 86.3
8 斎藤 桂史 15.0 ▲ 45.0 72.6 34.4 1.9 78.9
9 松本 遊助 ▲ 57.0 28.0 36.5 89.4 ▲ 22.4 74.5
10 阿久津 翔太 9.0 ▲ 38.1 6.0 26.4 48.9 52.2
11 石森 隆雄 ▲ 41.2 7.5 66.7 13.0 ▲ 3.0 43.0
12 花岡 章生 41.3 15.9 ▲ 45.6 43.6 ▲ 24.1 31.1
13 田代 航太郎 18.3 63.9 21.9 ▲ 51.8 ▲ 22.0 30.3
14 原 佑典 4.9 ▲ 0.3 ▲ 12.3 ▲ 5.1 41.9 29.1
15 上村 慎太郎 ▲ 51.8 43.0 0.0 36.3 0.7 28.2
16 鳥越 真仁 8.1 ▲ 7.4 54.1 ▲ 29.3 1.7 27.2
17 岡田 紗佳 55.4 ▲ 19.4 0.0 ▲ 8.3 ▲ 0.6 27.1
18 林 潤一郎 0.7 ▲ 17.4 70.2 4.3 ▲ 32.6 25.2
19 久山 浩司 ▲ 54.2 3.7 45.4 ▲ 30.0 57.4 22.3
20 末続 ヒロトシ 1.3 18.8 38.1 ▲ 15.0 ▲ 33.4 9.8
21 鈴木 宏明 ▲ 6.8 10.0 18.1 25.1 ▲ 43.5 2.9
22 松本 裕也 0.0 18.4 26.7 ▲ 5.7 ▲ 39.3 0.1
23 伊藤 大輔 48.4 19.2 ▲ 107.0 0.0 35.3 ▲ 4.1
24 野方 祐介 36.8 ▲ 27.6 ▲ 10.6 18.5 ▲ 27.6 ▲ 10.5
25 真鍋 明広 ▲ 35.7 ▲ 9.3 7.7 ▲ 34.5 59.4 ▲ 12.4
26 里木 祐介 ▲ 55.3 27.5 34.9 ▲ 27.4 0.0 ▲ 20.3
27 岡本 真一 ▲ 0.5 ▲ 15.2 ▲ 8.0 ▲ 0.7 ▲ 2.6 ▲ 27.0
28 伏見 誠一郎 49.1 7.9 ▲ 66.9 38.2 ▲ 59.2 ▲ 30.9
29 伊井 功雅 ▲ 3.2 0.0 ▲ 89.9 52.9 0.0 ▲ 40.2
30 老月 貴紀 ▲ 63.7 ▲ 22.3 33.0 32.1 ▲ 23.0 ▲ 43.9
31 北條 恵美 76.2 ▲ 55.1 0.0 ▲ 7.2 ▲ 83.5 ▲ 69.6
32 古谷 知美 4.8 1.0 ▲ 44.5 ▲ 14.3 ▲ 18.9 ▲ 71.9
33 高沢 雅 0.2 ▲ 47.4 ▲ 24.0 ▲ 4.9 2.3 ▲ 73.8
34 泉 亮多 ▲ 22.2 ▲ 53.9 ▲ 14.6 11.3 ▲ 17.5 ▲ 96.9
35 吉田 求 ▲ 47.8 ▲ 74.9 ▲ 31.2 14.1 34.4 ▲ 105.4
36 戸部 弘次 ▲ 14.1 ▲ 10.3 ▲ 84.4 ▲ 28.7 15.2 ▲ 122.3
37 櫛田 利太 ▲ 0.4 ▲ 50.2 ▲ 100.0 0.0 0.0 ▲ 150.6
38 安藤 友一 14.5 ▲ 24.5 ▲ 50.4 ▲ 62.0 ▲ 34.3 ▲ 156.7
39 嶋村 泰之 26.8 ▲ 67.7 ▲ 26.8 ▲ 68.1 ▲ 23.9 ▲ 159.7
40 桜川 姫子 ▲ 46.3 ▲ 69.7 ▲ 49.4 8.4 ▲ 3.7 ▲ 160.7
41 美晤 ▲ 53.6 ▲ 42.7 ▲ 11.3 6.6 ▲ 61.8 ▲ 162.8

昇級者 7名 (青字で表示)    降級者 10名 (赤字で表示)
※降級者は都合により(休場者や退会者が出たりなど)残留となる場合があります。また、途中で休場者や退会者が出た場合成績表には掲載致しません。
昇降級ライン:順位枠内に表示

女流プロ麻雀日本シリーズ2021第2節レポート

現女流桜花・川原がトータルトップに!女流プロ麻雀日本シリーズ第2節

1月22日、2021女流プロ麻雀日本シリーズ第2節(6回戦~10回戦)が行われ、現女流桜花の川原がトータル首位に立つ結果となった。1戦ずつ模様を紹介していきたい。

 

 

★6回戦 伊藤・山脇・りんの・亜樹
第1節で2連勝の好スタートを切ったりんのが今回もいきなり6,000オールのアガリ!

 

 

亜樹が4,000オールで続くものの、初出場の伊藤も打点にこだわった手組みを見せ、この1,500テンパイを外すと…

 

 

 

見事2,600オールに仕上げ、3着に滑り込むことに成功。

りんの +24.3P 亜樹 +10.4P 伊藤 ▲8.9P 山脇 ▲25.8P

★7回戦 川原・伊藤・日向・魚谷

南場までは穏やかな展開も、現女流桜花の川原が解説陣も絶賛の手組みで6,000オール、5,800、2,400をアガリ一気に抜け出し7万点弱のトップに!

 

 

川原 +54.9P 日向 +8.9P 魚谷 ▲25.2P 伊藤 ▲38.6P

★8回戦 亜樹・黒沢・伊藤・山脇

今シリーズ初戦となる黒沢。出番を待ってましたとばかりに早速、親番で西単騎の七対子ドラドラをリーチ!

 

 

掴んだのは伊藤。12,000の大きいアガリで気持ち良いトップを獲得。

黒沢 +22.4P 亜樹 +6.7P 山脇 ▲3.6P 伊藤 ▲25.5P

★ 9回戦 川原・黒沢・佐月・日向

先程の大トップで気分良く9回戦を迎えた川原。3着目で親番を迎え日向の仕掛けを受けるも、ドラ表示牌のカンチャンで押さえつけリーチを敢行すると…

 

 

日向を降ろすことに成功し、終盤に見事ツモアガリ、裏1で4,000オール!連勝でトータルトップに躍り出た。

川原 +23.0P 日向 +7.4P 佐月▲3.9P 黒沢 ▲27.5P

★10回戦 山脇・仲田・川原・黒沢

これまでとは打って変わって小場となった10回戦。
ここは元来手数の多いプレースタイルの山脇がリードしてオーラスを迎えると、南家でピンフドラ1をテンパイ。穏やかにヤミテンで終わらせにいく選択肢もあったが…

 

 

ここは素点を稼ぎにいくリーチ!成就こそしなかったものの、小さいトップでは満足しないという強気な一面を垣間見ることができた。

山脇 +25.0P 仲田 +10.0P 川原 ▲12.0P 黒沢 ▲23.0P

1日を終えてのトータル成績は以下画像の通り。

 

 

連勝の川原が最終戦は3着も、トータル首位に。初出場の伊藤は苦しい展開でトータル最下位のスタートとはなったが、持ち前の打点力がハマれば一気に突き抜ける可能性はあるだろう。
次回第3節の放送は2月5日(金)13時~。予選も後半戦に差し掛かり、テーマを持って戦いに臨む各選手の戦いを是非ご覧ください!

(文・浜野太陽)

第29期特別昇級リーグ 最終節成績表

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 合計
1 古谷知美 42.4 29.1 ▲ 27.6 ▲ 13.0 ▲ 13.0 47.6 17.7 56.9 140.1
2 戸田誠輝 ▲ 24.4 12.9 ▲ 61.7 97.0 24.8 ▲ 15.5 45.7 52.1 130.9
3 東谷達矢 38.6 76.8 ▲ 7.0 0.9 17.2 ▲ 25.3 13.7 12.6 127.5
4 石森隆雄 11.8 ▲ 42.9 88.0 ▲ 28.3 33.5 ▲ 22.2 47.5 ▲ 42.4 45.0
5 立田祥平 47.9 ▲ 69.1 ▲ 12.8 59.3 ▲ 8.0 43.7 ▲ 10.9 ▲ 79.2 ▲ 29.1
6 鈴木宏明 ▲ 15.6 ▲ 34.5 30.1 43.2 12.5 43.1 ▲ 33.1 45.7
7 沖野健行 21.5 ▲ 1.3 4.8 ▲ 21.0 19.0 73.1 ▲ 61.1 35.0
8 岡田紗佳 ▲ 68.2 48.6 13.9 20.4 9.0 5.6 ▲ 20.5 8.8
9 厚谷昇汰 29.2 ▲ 7.1 43.1 ▲ 13.8 ▲ 30.6 4.9 25.7
10 藤井すみれ ▲ 16.7 ▲ 17.1 59.2 62.0 ▲ 39.2 ▲ 37.0 11.2
11 小笠原奈央 21.5 ▲ 49.7 ▲ 44.6 43.0 50.8 ▲ 64.6 ▲ 43.6
12 上田稜 1.7 47.0 ▲ 14.4 ▲ 51.4 22.8 ▲ 53.4 ▲ 47.7
13 阿久津翔太 7.1 57.5 ▲ 54.8 ▲ 23.9 ▲ 12.2 ▲ 26.3
14 皆川直毅 ▲ 18.6 ▲ 41.2 3.6 17.9 ▲ 4.6 ▲ 42.9
15 新谷翔平 0.0 0.9 38.6 ▲ 59.8 ▲ 43.3 ▲ 63.6
16 末松隆文 ▲ 17.6 24.3 ▲ 4.5 ▲ 66.1 ▲ 38.7 ▲ 102.6
17 浜野太陽 ▲ 34.0 0.2 18.2 ▲ 68.4 ▲ 84.0
18 鏑木秀成 ▲ 33.6 ▲ 35.4 ▲ 72.1 ▲ 141.1

第8期JPML WRCリーグベスト8A卓レポート

【第8期JPML WRCリーグベスト8は櫛田、岡崎の2名が勝ち上がり】

1回戦は藤崎の3,900出アガリから始まり、そのままリードを保っていた。

 

 

ここで浮上して来たのは22歳の新鋭、岡崎。真鍋のリーチを受けながら櫛田のトイツ落としを読み切ったようなヤミテン3,900のアガリ。
親番では1,300オールをツモ。まるで藤崎のような打ち筋で、あと一歩まで迫る。

ならば自分は力技と言わんばかりの藤崎。リーチ一発ツモ表2裏の跳満ツモアガリ。
オーラスはピンフでさっと流して1回戦のトップをもぎ取った。

 

 

1回戦は大人しかった岡崎が、2回戦は人が変わったかのような強い攻めで抜け出す。まずはドラ六万ツモで跳満のアガリ。続けて5,200をアガると親番1本場でドラの八筒単騎をリーチしてツモアガリ。早くも2回戦のトップを決定づけたが、3本場も攻め手を緩めない。
櫛田の先制リーチにカン四筒から六筒九筒に振り変わった所で追っかけリーチ。宣言牌の三筒を急所と見たか、藤崎がチー。すると櫛田がドラの二筒ツモ。櫛田がこのアガリをきっかけに上昇していく。

 

 

2連続4着は避けたい真鍋は親番でメンホン七対子テンパイ。二索待ちの所に生牌の発を持って来るが変えずにツモ切り、これ自体はどちらもありな選択だと思うが、結果が真鍋に最悪となってしまう。同巡、中ドラドラの櫛田が発をツモ切りで放銃を逃れると、真鍋が掴むのはアタリ牌の四索。この3,900をアガれた櫛田がラス前、オーラスもアガって2回戦が終了。

3回戦は東1局1本場で岡崎、藤崎の大物手がぶつかる。

岡崎のテンパイ
一万二万三万七万八万九万一筒二筒一索二索三索九索九索 ドラ発 リーチ

藤崎のテンパイ
一万二万一筒二筒三筒七筒八筒九筒西西発発発 

これをかわしたのが櫛田。
八万八万三筒四筒二索三索四索四索五索六索 二万 左向き三万 上向き四万 上向き ツモ五筒 

2人の大物手を同時に潰す会心のアガリ。特に藤崎にとっては痛い局となった。

 

 

その後も櫛田は好調。東4局にはトイトイテンパイのポンからツモり三暗刻になって満貫。三筒で345三色の跳満。
南2局にはドラ七索ポンから親満のアガリで特大トップを取った。

1位櫛田、2位岡崎で迎えた最終戦。東場の親番で岡崎が六万九万待ちで親リーチに行くと、後のない藤崎の強烈な押し返しが始まる。藤崎がアタリ牌六万単騎で追っかけリーチ。この局は2人テンパイで事なきを得たが…。

 

 

アガって、アガって。またリーチ。高めの四索でついに6,100オールが炸裂。一気に三つ巴の勝負となる。

櫛田が藤崎の親を何とか蹴るが、櫛田の親番では岡崎がリーチ一発ツモ裏3。三つ巴から大きく一歩抜け出す。

 

 

藤崎は南場の親でも2,000オールをツモって櫛田を逆転。
勝負の明暗が分かれたのは南2局3本場だった。

まだ突き放したい藤崎は三万六万待ちでリーチ。これ以上はアガらせたくない櫛田が同巡に一索四索七索待ちで追っかけリーチ。櫛田が1,300・2,600(+1,900)のツモアガリで再逆転に成功。

結局接戦のままオーラスまでもつれたが、最後は櫛田が発のみをアガって終了。鳳凰位藤崎の猛追を振り切った。

 

 

第8期JPML WRCリーグベスト8A卓が終了。

櫛田利太
岡崎涼太
の2名が決勝進出を決めた。

次回WRCベスト8 B卓は1/26(火)17:00から放送予定。

宮崎皓之介
伊賀則夫
麓征生
増田隆一

この対局で決勝メンバーが決まります。是非ご覧ください。

(文:編集部)

第37期十段位決定戦二日目観戦記 西川 淳

坂の途上、苦しい時、人は何を思うだろうか。

楽になりたいとは思うだろう。
嫌になったりはしないだろうか。
歓喜の頂をイメージして己を鼓舞するのだろうか。
それとも、ただ耐え続けるのだろうか。

決定戦が行われる日本プロ麻雀連盟・「夏目坂スタジオ」は文字通り坂の上、高台に構えている。
麻雀の存在を日本に初めて伝えたとされる文豪・夏目漱石のゆかりで「夏目坂」と名付けられた。
図らずもそこから頂点を決する麻雀対局の配信が行われるとは、実に合縁奇縁ではないか。

 

100

 

対局者は皆、この坂を登りながら決戦の場へ向かう。
初日を振り返り、7日間あたため続けた思いと共に大いなる希望を持って!

12月14日。十段位決定戦2日目。
実況に古橋 崇志。解説に勝又 健志と西川 淳。牌譜解説に大和。

 

100

 

5回戦(起家から、杉浦・伊藤・内川・柴田)抜け番本田

ポイントに差はなく横一線のスタート。
その均衡を破る事件は開局早々に起こった。

西家・内川の配牌

五万八万九万一索一索三索六索七索八索九索二筒七筒白発  ドラ五索

何を切るだろうか。

内川 幸太郎は、ここで10秒を費やした。
発白の差異さえ慎重を期した。

内川の手順は丁寧で繊細である。
5巡目にはこうなった。

 

100

 

何を切るだろうか。
今度は20秒、没頭した。

789の三色が見える。
二筒四筒と払う手もあるし、1シャンテン維持で三索を捨てるのも良いか。
三色を見切りダイレクトな七筒切りもある。

内川の打牌は三色も1シャンテンも見切る八万
ピンズが良いという読みもあったかもしれない。
しかし真意は、もっと先にあった。

内川のアガリ形はこう。

 

100

 

内川の手順は柔軟かつ大胆、そして雄大である。

的確な読みに基づいた洞察、それでいて決然たる見切り。
何より構想が素晴らしかった。
配牌からこの最終形をどれだけの人が想像できるだろう。

役満より難しい大技が開局で炸裂。
三倍満で6,000・12,000!
(ツモ・イーペーコー・清一色・ドラ3)

閑話休題
今回、勝ち残った4名は、例外なく道中に敗退の危機と向き合っている。

10月23日のベスト16B卓

3回戦南2局、杉浦は敗退濃厚のピンチを迎えていた。
瀬戸熊 直樹・本田 朋広・櫻井 秀樹という豪華メンバーの中で、何一つ噛み合わず1人だけ置いていかれる状態。
この半荘も元十段位、櫻井の前に連続で勝負負けして、持ち点わずかに9,000点。
勝ち上がりに必要な2位本田との差はトータルで75Pほどとかなり厳しい状況。
本人も「ほぼ負けを覚悟した」と述懐する。
そんな時に起死回生の四暗刻を成就させ、それを契機に突き抜けた。

決定戦初日も倍満親かぶり等、不運の連続。
それでも不屈の精神で盛り返し初日を終えた。
「今日こそ、我が一日に!」という想いもあっただろう。

ところが開始早々、三倍満の親かぶり。
出鼻をくじかれる災禍に常人だったら意気消沈しそうなものだ。

しかし杉浦、闘志の炎を消さず、次局ドラ1のリャンメンリーチへ!
場況も上々に映る。

しかし、またもや内川が立ちふさがる。
役牌三色ドラ1をテンパイしていたのだ。
カンチャンだが追っかけリーチへ。

これを掴まされてしまうのが今日の杉浦。
8,000の放銃で、開始10分で持ち点が1万点を割ってしまう。

「麻雀の神様よ、どこまでツラくあたるのだよ…」
本人がそう思わなくても、多くの杉浦ファンが呟いたに違いない。

しかし、杉浦 、なおファイティングポーズを崩さない。
それはそうだ。あの長い坂を登ってここまできたのだから。
運命を感じるような役満逆転で巨大な敵を倒してきたのだから。

東4局には工夫を凝らしたジュンチャン三色の3,900をアガると南場の親を迎えて以下の牌姿。

 

100

 

すでに柴田が、役牌と一索を2つポンしている。
中盤となりドラの一万は生牌。それがぽつんと浮いている。

手格好でいくと一万を切る一手ともみえる。
後の無い最後の親、点況的にも一万を切る一手かもしれない。

しかし、どうにかして伝えたい。
決勝というステージで、この一万を切ることにどれほど力がいることか。
ロンと言われたら12,000以上の失点が強く予想される。
振り込んだら薄くなってきた望みが絶望に近くなっていく。
それまでの不運な振込が残像のように視界にのしかかる。
無難な打牌なら他にいくらでもあるのだ。

しかし杉浦は一万を切った。
闘わないと勝てないと言い聞かせるように。
杉浦 勘介の覚悟。

視点を変えて同じ局の話をしよう。

2つポンしていた柴田は、どこから発進したか。

一万三万四万一索一索二索四索六索七索六筒白中中

ここから3巡目に中をポンで仕掛ける。

このポンは相当な勇気の要る積極策だ。
打点が見込みにくく、鳴いて2シャンテンで愚形もある。
往々にして柴田はこのような仕掛けをするが、本局は特別なのだ。
最後の親の杉浦は後が無く、まずオリてくれない。
絶好調の内川は嵩に懸けて押し返してくるだろう。
鳴いて手牌を短くすると、いつも以上にリスクが跳ね上がるのだ。

どうなったか。
12巡目にして柴田はこのテンパイにたどり着く。

二索二索四索四索  ポン七索 上向き七索 上向き七索 上向き  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き  ポン中中中

あの手が役牌ホンイツトイトイの満貫テンパイに化けるのだ。
しかも終盤なのにアガリ牌が4枚全て生きている!

結果こそ王牌に阻まれ流局。
だが柴田、この最終形も見据えての仕掛けだろう。
そしてリスクを百も承知で飛び込んでいるのだ。
前に出て闘うしかない。
柴田 吉和の覚悟。

次局、南2局・柴田

二索一筒二筒二筒三筒三筒四筒五筒七筒七筒九筒南白

ここから四筒をチー。
またもや2シャンテンの少し遠い仕掛けだが今度はモノにした。

一筒二筒三筒三筒四筒七筒七筒  チー六筒 左向き四筒 上向き五筒 上向き  チー四筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  ロン五筒

親の大物手リーチの伊藤から8,000をもぎ取った。

さて、放銃の憂き目の伊藤。
南3局の1本場には、持ち点が8,300点まで削られていた。
親の内川は7万点を超え連荘中。
遥か前方、雲の上を飛ぶかのよう。
そして必定かの如く更に内川の口からリーチの声。7巡目。

ここで8巡目に伊藤の手

一万二万三万五万六万二筒三筒四筒四筒五筒六筒北発  ツモ七万  ドラ北

伊藤はリーチを受け前巡に発のトイツ落とし。
七万ツモはアガリ逃しの形だが、親リーチに対してドラの北は切れない、仕方ない。
ここは我慢しかない、どうやってオリるのか?と注目していると…

徐ろに振りかぶってドラの北単騎のリーチ!
まさに一閃、なんと一発でツモって内川の流れを一刀両断。

考えてみれば。
十段戦の歴史は、連覇の歴史だ。
36回の優勝の中に連覇が実に8回もある。
うち3回は3連覇だ。

ディフェンディング制とはいえ5人で決勝を行う以上、確率上連覇は5回に1回だ。
3連覇となると25分の1となる。
いかに連覇が困難かとわかるが、現に確率を凌駕する足跡がある。

つまりは、優勝する人物は勝ち方を身に着けているのだ。
勝負の要諦を識り、かつ実行できる。
だからこそ連覇が成る。

伊藤の北単騎は、まさにそれではないか。
絶好調の親のリーチにドラの単騎で追っかける。
損得で考えるとおよそ真似し難い。
しかし伊藤には確固たる勝算があったのだ。
そして「ここは引いてはならぬ」という大局観があったのだろう。
ここぞ勝負所と経験が語りかけてくる。
それに寄り添い、タイトルを一旦返上、身を預けるかのように斬りこんだ。
ただただ伊藤の凄みに戦慄した。

連覇に向けて。
十段位伊藤 優孝の覚悟。

2日目初戦の5回戦は、内川が最後まで突き抜けて大トップ。
寒空の中、噴き出す汗の蒸気が溢れんばかり。
爽快に刀を鞘に収める内川の覇気ある姿ばかりが目立った。
それでも内川の身には、3者がそれぞれの覚悟で残した爪痕が確かにある。

5回戦成績
内川+48.6P  柴田+4.1P  伊藤▲17.8P  杉浦▲34.9P

5回戦終了時
内川+53.0P  伊藤+0.5P  柴田▲0.9P  本田▲18.0P  杉浦▲35.6P

6回戦開始前に10回戦までの抜け番選定があった。
終盤に向けての組立てで重要な要素だ。
10回戦終了時に下位1名が敗退となるので、目標にされる10回戦の抜け番は通常敬遠される。
選択順位は、5回戦終了時のスコア上位順。

[結果]
選択順位1位 内川 →9回戦抜け番希望
選択順位2位 伊藤 →6回戦抜け番希望
選択順位3位 柴田 →8回戦抜け番希望
選択順位4位 本田 →7回戦抜け番希望
選択順位5位 杉浦 →10回戦抜け番自動決定

好調の内川は、この日に最大となる4回打てることを選んだか。
伊藤は不調を感じ、抜け番で一呼吸置こうとしたのかもしれない。
横一線でスタートした2日目は、初戦で早くも大きくポイントが動いた。
さあ、中盤の開始である。

 

6回戦(起家から、杉浦・柴田・本田・内川)抜け番伊藤

東2局
親の柴田がドラの五筒が暗刻の大チャンス。
11巡目にテンパイ。

五万六万六索七索八索一筒一筒三筒四筒五筒五筒五筒六筒  ツモ七万  ドラ五筒

さあ、どう受ける?
難しい判断だが、千載一遇の機、ここは間違えるわけにはいかない。
柴田の選択は五筒切りリーチ。

この選択と続く各人の判断が結果に大きく影響を及ぼす。

同巡・南家本田テンパイ三筒単騎。

三万四万五万二索三索三索四索四索五索三筒六筒七筒八筒

同巡・西家内川、完全安全牌も無く無筋の六筒を勝負。

次巡・本田、柴田が直前に切った現物の三万六万待ちに変化。
三筒は内川が通したスジで比較的目立たない。

直後・内川

二万三万四万五万七万四索五索六索七索七索八索八索九索  ツモ六索

七万を打つなどすればテンパイだが、役無しで打点もない。
唯一の現物三万を打って本田のアガリも十分可能性があるかと思われた。
だが、内川の選択はいずれでもなく、打九索
完全に攻めでもオリでもなく、打点が出来た時のみ前に出ると構えた。

同巡の杉浦は、早くから受けて準備があり現物の三万を抜かずに済んだ。

次巡・テンパイの本田、五索を持ってきてイーペーコーの役を加えた。
二索五索待ちへの変化もあるが、無筋の二索切りのリスクをとって三万六万でヤミでのテンパイ続行を選択。

同巡・内川、親リーチのロン牌四筒をつかむが、直前に通った七索を切り粘る。この1巡が大きい。

次巡・本田、危険牌の二万を持ってくる。

三万四万五万六万三索三索四索四索五索五索六筒七筒八筒  ツモ二万

安全牌なら増えた。オリることはできる。
しかし、ここで本田はツモ切りリーチを選択した。

ツモったら満貫の手に育ち、打点の折り合いはついた。
親リーチに3巡顔を出さなかった三万は、山にいる可能性が高まったと判断したか。
危険牌の二万を打つと、ヤミテンの効力も弱まるだろう。
ドラ切りのリーチは打点の脅威は比較的低いと読んだかもしれない。
いや、それでも怖かったはずだ。

本田は読みを尽くし、勇気を振り絞り、リーチ棒に手をかけたのだ。
勝負所は逃さない、退かない。
本田 朋広の覚悟。

2軒リーチとなったこともあり、内川、同巡タンピンテンパイもロン牌の四筒を打たずオリを選択。

4人の技術や信条が存分に盤面に披露された局だった。

アガリ逃しとなる二筒を引いて顔を歪める柴田。
だが、流局間際に柴田の待望の牌七筒を掴んだのは本田だった。
痛恨の11,600放銃。

本田 はその後も放銃が続き、東場だけで4回の振込となり持ち点もわずか500点に。

東4局1本場。再び好調内川の親番である。
窮地の本田・4巡目。
放銃が続き委縮しそうな展開。
点数は度外視、まずはアガって親を流したいと考える打ち手もいるだろう。
だが、本田はあくまで有効なアガリへの道を冷静に考えていた。

二万二万三万五索五索六索五筒七筒七筒七筒東東南南

ここから打三万
トイトイを視野に二万を出やすくする目的もあっただろう。
どんなに苦境にあっても、あせらない。

やはり親の内川からリーチが飛んでくる。

それに対して柴田のドラの発単騎での追っかけリーチ。
親リーチに加え、仕掛けている者がいる中でドラが見えていない。
5回戦の伊藤を彷彿とさせる相当な胆力の要る反撃。

だが、ここを制したのは本田。
描いた通りの役牌トイトイで柴田から5,200。
観る者も心拍数が高まってくる。
覚悟と覚悟がぶつかり、決着の行方が予想できない!

この半荘はその後も激しい攻防が続き、全12局、流局無しの全てアガリ決着となった。
優勝に照準を合わせ全員が手をつくりあげ、押し引き基準をシフトしてきている。
勝負がけが始まっているのだろう。
オーラスは、その構図の中で明暗がくっきりとわかれた。

トップ目の内川を交わすため、高打点をつくりにいった柴田のタンピン三色ドラ1のリーチに杉浦が飛び込む。
柴田、跳満成就で逆転は点数以上の感触が残っただろう。
逆に、安全牌を有しながら、非テンパイで勝負をかけ原点を割った杉浦には後悔が残ったかもしれない。

6回戦成績
柴田+27.3P  内川+16.3P  杉浦▲10.6P  本田▲33.0P

6回戦終了時
内川+69.3P  柴田+26.4P  伊藤+0.5P 杉浦▲46.2P  本田▲51.0P

 

100

 

前回抜け番の伊藤。
この冬場、伊藤は対局開始直前まで手袋を外さない。
攻守を司る大切な指先を冷やさないプロフェッショナルな姿勢の表れである。
前へ進む内川、柴田を見て何を思っただろう。
伊藤は前回の抜け番の後は、鋭くトップを決めている。

 

7回戦(起家から、内川・伊藤・柴田・杉浦)抜け番本田

やはり、開局から伊藤が来た。

四筒五筒六筒東東北北  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  ポン南南南  ロン東

役役・ホンイツで8,000を内川からと最高の結果。
ただ、目を引いたのは、むしろ放銃した内川のほうかもしれない。

 

100

 

ここから東を打ち抜いている。

場は中盤を過ぎ、南家の伊藤が自風の南九筒をポンしている。
腰の重い伊藤が仕掛け、変則的な河となると、打点もあるテンパイと強く想定される。
逆算すると東は最も危険な牌のひとつだ。
自分は場況良好で打点も見込めるとはいえ、まだ1シャンテンだ。

「おう、さようなことは事前に承知!」
内川は躊躇なく突っ込んでいった。

自分はトータルでかなり差のあるトップを走っている。
無理する必要はないと感じるのが人情ではないか。
しかし内川は毅然とその誘惑を絶った。
逃げるつもりは毛頭無い。前進の末にこそ優勝がある!
内川 幸太郎の覚悟。

この半荘は伊藤と内川が交互にアガリ、内川が失点を挽回。

そして南2局。
内川が柴田から8,000をアガリ、とうとう浮きに回る。

対して、その放銃の柴田。
ドラ3とはいえノーテンから、一番振り込んではならない相手を浮かせる痛恨の失点。
自分だけでなく他者も優勝から遠ざける、今期タイトルの向後を左右しかねない放銃だ。
柴田、痛悔。珍しく表情に出る。

ベスト16、8戦の観戦記を執筆した福光 聖雄は柴田に注目していると決定戦直前に語った。
柴田はベスト8で、山田 浩之、前原 雄大、本田 朋広と対峙。
大接戦の山場4回戦、柴田は勝負手のリーチ合戦に負け、激痛の7,700を山田に献上。
本人の弁によると「負けを覚悟した」という。
しかし、その次局、全員テンパイの中で、丁寧に手を育て細いアガリへの道をモノにした。
福光は、逆境に落胆せず盛り返す柴田の姿に、最後まで優勝争いに踏みとどまるために必要なしぶとさ、底力を見たのだ。

今回もその再現だった。
最も厳しい結果となった局のまさに次局に柴田は挽回してみせた。
南3局、杉浦の本手リーチを潜り抜け、値千金の6,000オール!

四万四万四万五万五万六万七万三索四索五索二筒三筒四筒  ツモ三万  ドラ四万

再び内川に原点を割らせた。
逆転の柴田、ここにあり。

オーラス。
親の杉浦はここまでノーホーラ。
手は作っているのだが、テンパイをすると他に交わされる。
持ち点は12,100点。トータルからもこのまま終了は許されない。

だが、柴田が早々に役牌をポン。
南家の内川がオタ風のドラ北をポン。
四面楚歌だ。厳しい。

15巡目・杉浦。

四万五万六万一索一索三索四索五索七索七索八索六筒七筒

ここで上家の柴田から一索が出る。
ポンをすれば形式テンパイをとれる。
杉浦には残り3巡のツモしか残されていない。
しかし、杉浦はポンを選ばなかった。
勝算がないと読んだのだろう。
試合を壊したくないという美学もあったかもしれない。

ここは内川が流局間際に満貫をツモって再び浮きに回って終了。
トップは伊藤。

7回戦成績
伊藤+17.8P  内川+10.1P  柴田+6.0P  杉浦▲33.9P

7回戦終了時
内川+79.4P  柴田+32.4P  柴田+18.3P  本田▲51.0P  杉浦▲80.1P

 

8回戦(起家から、本田・内川・伊藤・杉浦)抜け番柴田

2日目の最終戦。

東場に伊藤が満貫ツモ。
南場になると親の本田が満貫ツモ。
トータル首位の内川に楽はさせない。

だが、杉浦には一向に運が向いてこない。
東3局、8巡目。
杉浦に勝負手。

四万五万六万二索三索四索四索五索六索三筒三筒五筒七筒  ドラ三筒

ドラ2。この瞬間拾えそうな河で待ちは実際3枚生きていた。
嬉しい変化もある。

だが、直後に本田の手が開かれる。

一万二万二万三万四万八万八万八万四索四索一筒二筒三筒  ツモ三万

悪形の代名詞のような俗にいう役無しペンカンチャンに競り負ける。
解説の勝又が「こんなにツイてないことってあります?」と嘆息。
目を覆いたくなるような展開。
アガリ形を見つめる杉浦の目に哀愁の色が滲む。

杉浦にとって30局振りとなるアガリは、南2局の1,000点。
親の内川テンパイを本田がスーパープレーで放銃回避している間に、まるで他人のためにアガったような形になってしまった。

オーラス。
ここまでアガリのない内川。

一万一万一索一筒三筒五筒五筒六筒六筒八筒北発発  ドラ四筒

5巡目で、発をポン。

既に仕掛けている伊藤がいる。
そしてまさに背水の陣をひくラス親の杉浦がいる。
ドラもないこの手で進むのは勇気がいるだろう。
しかし、1日を通して貫いた見敵必戦の構え。
浮きを目指して前へ。

11巡目、本田。

二万三万四万五万六万六万三索四索五索六筒七筒七筒中中  ドラ四筒

トイメンには、2フーロしてマンズ仕掛けの体の伊藤。
下家には、役牌を鳴いてピンズ模様の内川。
はさまれた。
伊藤に逆転されないためには、マンズは打ちにくい。
だが、内川を浮かせるのは更に味が悪い。ピンズは絞りたい。
しかし、親も必ず来るだろう。ソウズを切っての手詰まりは避けたい。

本田の決断は自身がアガリにいく打七筒
これをチーして更に進む内川。打北
これをポンして3フーロは伊藤。

同巡、杉浦。

三万四万七万八万一索三索四索五索七索八索九索四筒四筒  ドラ四筒  ツモ一筒

ドラが雀頭のピンフの1シャンテン。
杉浦にとってはこのタイトル最終便のチャンスと言っても良い。
が、危険牌の一筒をつかまされた。

 

100

 

「危ない一筒のほうから切りましょうよ…」
それは罪なことではない、と愛おしむように囁く解説の勝又。
杉浦にとっては跳梁する他家に「いい加減にしろよ!」と暴れたくなるようなものだ。

だが、杉浦は一筒を打たなかった。
最後まで美しく威容を保つ。
仕掛けで杉浦の欲しい九万二万が立て続けに本田に流れた。
本田がツモ切るそれを、どのような気持ちで見つめただろう。

その後、本田は引き、内川と伊藤が満貫テンパイで2日目の極点へ。

伊藤に超危険牌の西を叩き切る内川。
それならば、と更なる高い試練。
三万はこれ以上ないほどの危険牌!!!

 

100

 

50秒。
息を整え内川は三万を打ち抜いた。

伊藤は内川のアガリ牌の五筒を引きノータイムで止めた。

各々、お見事。
流石にタイトル戦の決勝。

2日目大トリは内川のアガリ。
浮きに回る二筒を手繰り寄せた。

8回戦成績
本田+20.7P 伊藤+6.5P 内川+1.6P 杉浦▲28.8P

8回戦終了時
内川+81.0P 柴田+32.4P 伊藤+24.8P 本田▲30.3P 杉浦▲108.9P

この日、内川は勝負どころのオーラスで3回アガリきった。
そのいずれも価値が高く、技術だけでは勝ち取れなかったもの。
天晴・内川の日であった。
ポイント以上に最終日に向けてのムードも良好だろう。

しかし、印象ほど点差は離れていない。

対局終了は20:00過ぎ。
夜空を見上げると新月。
月の姿と同じく、未だ勝負の行方は全く見えない。

ロン2カップ2021Winterレポート

1/17(日)にロン2カップwinterが開催されました。

インターネット麻雀サイト「ロン2」内で行われた予選大会を勝ち抜いたユーザーさんと連盟プロの真剣勝負を生放送。
今回は4人麻雀。一発裏ドラあり、
赤五万赤五筒赤五索各1枚入り。
各卓のトップ3名は決勝にジャンプアップ。
2着の3名は準決勝へ。3着の中から番組内での視聴者投票により1名だけ準決勝。
準決勝でトップを取ると決勝進出。決勝でトップを取ると優勝。

 

 

予選A卓は、東城りお・井上絵美子・魚谷侑未・中庭三四郎さんの対戦。中庭さんの鮮やかな黄緑色の衣装は以前役満をアガった縁起の良い衣装だそう。会場に早めに来て着替えたのだろうか?まさかの自宅から?いずれにせよ気合い十分だ。

 

 

アシスタントを務めるのは大庭三四郎。中庭三四郎さんと名前が似ている。中庭さんが大庭のファンなのか?大庭の名付け親が中庭さんのファンなのか?

 

 

メイン解説は猿川真寿。実況は伊達朱里紗。毎回変わるゲスト解説、A卓解説は滝沢和典。

さて、開始前は和やかな雰囲気だった会場。観ている側としてはユーザーさんに楽しくアガってもらいたい気もするが、いざ麻雀が始まれば真剣そのもの。容赦なくプロがアガリを連発。

 

 

全員テンパイの中でリーチツモ表裏をアガった井上が、さらにリーチピンフ表裏の7,700をアガってトップ。中庭さんもホンイツをアガって魚谷の親を蹴りチャンスを掴もうとするが、東城と手がぶつかってしまい思うように加点出来ず。オーラスは魚谷が東城から11,600をアガって連荘するが、次局に満貫をアガリ返した東城が2着。

1回戦結果
井上絵美子 45,600
東城りお 38,800
魚谷侑未 30,300
中庭三四郎さん 5,300

予選B卓は、滝沢和典・前原雄大・ヨロシクお願イシマスさん・とみQさんの対戦。
ヨロシクお願イシマスさんはロン2カップ2019autumnで優勝。滝沢・前原と対戦経験もあるとの事でリラックスしているように見える。
4人麻雀で3期連続出場のとみQさんは元気いっぱいの笑顔で登場。なんと今日がお誕生日との事。スタジオでの麻雀は毎回緊張してしまうそうだが、今日の対局をめいっぱい楽しんでもらいたいと思う。

 

 

ヨロシクお願イシマスさんの三色確定リーチをかわした前原が一気に加速。4,000オール、次局は一発高めツモの6,100オールとアガってあっという間に雲の上。
ここからの2着争いはお互いのアガリ牌を止めあってのテンパイ取りが続くハイレベルな攻防、観ていてとても面白かった。

 

 

オーラス親番では滝沢が倍満確定のリーチを打つも、ヨロシクお願イシマスさんが一発で掴んだ東を止めて四筒切りで耐える。すでにテンパイしていたとみQさんがアガリを決めた。

2回戦結果
前原雄大 67,100
とみQさん 34,300
ヨロシクお願イシマスさん 25,600
滝沢和典 ▲7,000

 

 

B卓のゲスト解説だった白鳥はC卓で参戦。その後は魚谷、石川、柴田が担当した。プレイヤーの誰かが解説室に来てくれるのもロン2カップの楽しみの1つだ。

 

 

予選C卓は、灘麻太郎・白鳥翔・柴田吉和・石川遼の対戦。
鋭い仕掛けとリーチを自在に使いこなす灘。ハイブリッドの異名を持つ現代麻雀代表の白鳥。最初に十段を獲った腰の重い雀風から、最近は鳴きも使うようになった柴田。天鳳位すずめクレイジーこと石川はこの3人相手にどう立ち回るのか。非常に楽しみな一戦だ。

開局は灘のヤミテン3,900からスタート。放銃の白鳥は失点を上回るアガリを狙ってタンピン赤ドラの二筒五筒八筒をリーチ。しかし今局も柴田に放銃、裏も乗って7,700。

 

 

その後石川が2,000オール、灘が満貫ツモと競り合うが、石川が南2局2本場と南3局と連続でアガリオーラス親番を迎える。早々にトップ確定のテンパイを入れた石川。アガれないまま灘の仕掛け、白鳥のリーチを受けてドラの南を持って来るが、心に決めていたようでスッとツモ切り。三色赤五万赤五索をアガリ切って決勝へ。

3回戦結果
石川遼 53,200
柴田吉和 47,100
灘麻太郎 29,700
白鳥翔 ▲10,000

各卓トップの井上、前原、石川は決勝戦にジャンプアップ。
残り1枠をかけた準決勝は各卓2着の東城、とみQさん、柴田。そして投票戦により3着からの1名は魚谷が選ばれた。

 

 

とみQさんはドラドラの手。七対子の重なりを見て切った牌が魚谷のヤミテン、タンピン三色イーペーコー赤ドラで跳満のアタり牌。次局の親番で中二筒のシャンポンでリーチを打つが、ドラを掴んでまたも魚谷に跳満放銃となってしまった。

 

 

南2局には柴田が満貫ツモを決めて魚谷の背中が見えて来た。親番もなくなってしまった東城は南3局に跳満を目指してドラのカン八万でリーチ。とみQさんもツモり三暗刻まで仕上げて追っかけリーチを打つ。2人が欲しいドラは東城の手に。一気に魚谷と同点まで追い上げた東城がオーラスもアガって決勝進出。

準決勝結果

東城りお 53,800
魚谷侑未 45,800
柴田吉和 29,900
とみQさん ▲9,500

 

 

決勝では石川が東場と南場で4,000オール。
前原は3,000・6,000。
井上は4,000オール。
3者とも高打点のツモアガリをしている。
しかし、誰よりもアガリ続けたのは東城だった。

 

 

3度の満貫ツモ。特に石川と前原との3軒リーチの中で赤五万をツモった東4局1本場が決め手となった。
南3局の井上の親も自らアガって流した。オーラスは道中テンパイを入れるも役満をケアしながら丁寧に打牌選択して全員ノーテン。

決勝戦結果

東城りお 65,300
石川遼 34,300
井上絵美子 19,700
前原雄大 700

 

 

ロン2カップ2021winter優勝は東城りおに決定。
おめでとうございます。

1/23(土)から、次回のロン2カップ2021spring参加権争奪ウイークエンド大会が開催。各週末に1名、3回チャレンジ出来ます。

 

 

また2/8(月)からはインターネット麻雀日本選手権2021が開幕。こちらは決勝まで全てインターネット麻雀での対局です。予選期間も大勢のプロが参戦しますので、プロとの同卓率もアップ。皆さん、是非ご参加ください。

 

 

(文:編集部)

第16期静岡プロリーグ 第7節レポート

望月が静岡支部長の意地を魅せる!!

静岡プロリーグも残り2節となった。

1位は依然として大橋(193.3P)。今節の結果次第ではあるが、決勝進出はかなり濃厚である。今節の戦いに注目が集まる。

 

100

 

そして別日対局を経て、2位以下の順位に変動があった。

第6節終了時点で3位の島崎が9位に転落して、望月が一気に2位浮上となった。静岡支部長であり、前々回の静岡プロリーグチャンピオンとして、決勝進出には並々ならぬ思いがある。今節も気合十分である。

3位蓮沼、4位平野も決勝進出ボーダーではあるが、12位の中村までポイントにそれほど差がない。まだまだ先は分からず、気の抜けない闘いとなるであろう。対局前の心中は如何に。

別日対局含む、6節終了時点の1位~12位の順位とポイントは以下の通り。

1位 大橋 193.3P
2位 望月 116.3P
3位 蓮沼 94.1P
4位 平野 91.1P
5位 鈴木秀 88.2P
6位 天音 85.3P
7位 田中 66.5P
8位 土屋 56.3P
9位 島崎 46.3P
10位 佐藤 41.1P
11位 藤島 34.6P
12位 中村 34.2P

またまた波乱が起きるのか?それとも上位陣が下位陣の荒波を乗りこなすのか?今節はどのような結果となったのか。熱い闘牌に期待しよう。

静岡プロリーグ第7節、開幕。

1卓

鈴木秀幸 × 大橋幸正 × 石津寿人 × 土屋幸弘

鈴木秀と土屋の直接対決に注目!

結果
鈴木秀 +48.2P(+136.4P)
石津 +3.6P(▲142.2P)
土屋 ▲23.3P(+33.0P)
大橋 ▲30.5P(+162.8P)
(供託:2.0P)
※括弧内はトータルポイント

2回戦まで好調だった土屋と絶不調だった鈴木秀だが、終わってみれば鈴木秀が大きくポイントを叩き、3位に浮上!!

少々低迷していた鈴木秀だけに本調子をアピールしたいところだ。

土屋はチャンスを活かして上位に食い込みたかったが、3・4回戦で大きなラスとなってしまい、▲23.3P。まだまだチャンスは残っているが、少々不安を残す結果となったか。

1位の大橋は▲30P。まだまだ余裕はあるが、『決勝進出確定』とは言えない結果になってしまった。最終節は何が何でも勝ちに拘ってほしい。

2卓

太田昌樹 × 平野敬悟 × 望月雅継 × 渡辺洋巳

2位の望月、4位平野の対決。決勝に向けて好勝負に期待。

結果
望月 +91.8P(+208.1P)
平野 ▲22.6P(+68.5P)
渡辺 ▲27.6P(▲37.3P)
太田 ▲41.6P(▲72.8P)
※括弧内はトータルポイント

望月が国士無双をアガるなど、100P近くの大勝利。決勝はほぼ確定となった。

対する平野は望月に国士無双を放銃して厳しい展開となったが、まだまだ諦めるポイントではない。来節の闘いに注目が集まる。

3卓

中寿文 × 斉藤隆 × 京平遥 × 中村裕之

中村はポイントを叩いて、上位陣に食い込めるのか。

結果
京平 +79.2P(▲49.0P)
中村 ▲1.4P(+32.8P)
斉藤 ▲9.9P(▲126.6P)
中 ▲67.9P(▲174.7P)
※括弧内はトータルポイント

京平がトップ3回、ラス1回で大勝利。成績が伸び悩んでいたが、良い気分で年を越せる結果となった。

中村は小康状態。1人浮きのトップがあったが、大きいラスもあり、チャンスを活かせなかったか。来節に期待。

4卓

鈴木郁孝 × 蓮沼友樹 × 杉村泰治 × 天音まこと

3位蓮沼、5位天音の着順争いに注目だが、鈴木郁・杉村がそこにどう切り込むかも注目である。

結果
蓮沼 +29.7P(+123.8P)
杉村 +6.4P(▲76.0P)
天音 +0.9P(+86.2P)
鈴木郁 ▲37.0P(▲36.8P)
※括弧内はトータルポイント

蓮沼がプラスで纏めて、何とか4位で最終節を迎える。天音は大きい1人浮きのトップもあったがラス2回が響き、ほぼ現状維持。守備的な印象の天音だが、最終節の構え方に注目しよう。

岡本和也 × 青嶋宏樹 × 佐藤怜太 × 田中寛治 × 平岡理恵

7位田中、10位佐藤は大きくポイントを叩いて、上位陣に食い込みたい。

結果
青嶋 +40.3P(+37.0P)
岡本 +29.4P(▲107.0P)
田中 +28.7P(+95.2P)
平岡 ▲34.2P(▲171.6P)
佐藤 ▲64.2P(▲23.1P)
※括弧内はトータルポイント

田中がプラスで纏めて、5位浮上。連覇を目指して、視界良好と言った結果となったか。

佐藤は大きくマイナス。トータルもマイナスとなり、厳しい対局となった。来節も納得のいく闘牌に期待したい。

熱戦はまだまだ続く。

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 合計
1 望月雅継 ▲ 58.5 ▲ 0.8 76.9 6.8 32.4 59.5 91.8 208.1
2 大橋幸正 75.8 41.6 ▲ 4.2 81.6 27.8 ▲ 29.3 ▲ 30.5 162.8
3 鈴木秀幸 68.1 59.4 19.4 ▲ 29.5 ▲ 5.9 ▲ 23.3 48.2 136.4
4 蓮沼友樹 67.8 51.5 ▲ 13.4 ▲ 12.9 ▲ 26.2 27.3 29.7 123.8
5 田中寛治 47.7 15.6 15.6 ▲ 8.7 ▲ 29.4 25.7 28.7 95.2
6 天音まこと 31.8 21.6 ▲ 12.6 11.8 19.9 12.8 0.9 86.2
7 平野敬悟 ▲ 33.0 16.3 3.5 44.7 21.7 37.9 ▲ 22.6 68.5
8 島﨑涼 40.4 13.8 80.8 ▲ 47.8 13.2 ▲ 55.6 1.5 46.3
9 青嶋宏樹 11.2 ▲ 27.0 ▲ 29.9 ▲ 10.4 14.7 38.1 40.3 37.0
10 藤島健二郎 ▲ 60.4 85.3 30.9 8.4 ▲ 41.6 14.9 ▲ 2.9 34.6
11 土屋幸弘 ▲ 32.0 13.5 13.1 55.4 ▲ 4.1 10.4 ▲ 23.3

33.0
12 中村裕之 ▲ 12.3 27.0 ▲ 3.5 41.0 15.1 ▲ 33.1 ▲ 1.4 32.8
13 佐藤伶太 59.1 ▲ 0.9 ▲ 22.2 ▲ 23.9 ▲ 1.3 30.3 ▲ 64.2 ▲ 23.1
14 鈴木郁孝 123.5 ▲ 54.5 ▲ 37.3 ▲ 25.7 17.0 ▲ 22.8 ▲ 37.0 ▲ 36.8
15 渡辺洋巳 ▲ 13.4 17.2 ▲ 6.9 15.5 ▲ 17.9 ▲ 4.2 ▲ 27.6 ▲ 37.3
16 京平遥 ▲ 78.9 ▲ 91.3 70.7 ▲ 38.3 7.3 2.3 79.2 ▲ 49.0
17 木原翼 ▲ 19.7 4.6 69.7 ▲ 47.0 ▲ 60.6 ▲ 11.1 ▲ 1.4 ▲ 65.5
18 太田昌樹 ▲ 29.1 27.2 ▲ 38.5 41.3 ▲ 11.9 ▲ 20.2 ▲ 41.6 ▲ 72.8
19 杉村泰治 ▲ 5.7 ▲ 75.5 ▲ 40.1 ▲ 81.1 67.5 52.5 6.4 ▲ 76.0
20 岡本和也 ▲ 35.0 ▲ 30.8 ▲ 6.5 ▲ 21.4 43.5 ▲ 86.2 29.4 ▲ 107.0
21 鷲見隼人 ▲ 27.4 ▲ 55.0 ▲ 45.5 32.7 ▲ 12.3 ▲ 8.4 2.8 ▲ 113.1
22 斉藤隆 ▲ 66.9 16.3 ▲ 24.8 1.6 ▲ 62.8 19.9 ▲ 9.9 ▲ 126.6
23 石津寿人 ▲ 12.4 ▲ 96.0 3.5 24.6 ▲ 46.7 ▲ 18.8 3.6 ▲ 142.2
24 平岡理恵 ▲ 39.2 6.2 ▲ 67.7 ▲ 24.2 24.1 ▲ 36.6 ▲ 34.2 ▲ 171.6
25 中寿文 ▲ 82.4 ▲ 17.3 ▲ 52.0 4.5 15.5 24.9 ▲ 67.9 ▲ 174.7

文:蓮沼友樹

第36回静岡リーグ(プロアマ混合)第3節レポート

一般参加者がTOP3を独占する大躍進!

年末が近づき、2020年の日本一暑い都市となった浜松でも寒さが身に堪える季節となった12月20日。
静岡リーグの第3節の開催となった。
色々あった今年も残り10日余り。
コロナ禍の中でも、無事にここまで開催することができた。
参加者の皆様の健康管理と感染予防に対する意識の高さの賜物だと感じたこの一年だった。

今節で第36回のリーグ戦も折り返しになる。
ここで上位をキープすることが今後の戦い方を有利に進めることとなる。

今節、首位にたったのが、松永誠さん。
インターネット麻雀選手権で決勝を戦った実力者。
前回不参加からの復帰戦だが、ブランクを感じさせず2節連続の大きいプラスで前節3位から首位に立った。

2位につけたのは、加藤拓さん。
競技麻雀に真剣に取り組んでいる選手。
毎回遠くから駆け付け、参加していつも笑顔を絶やさず、ニコニコを打っているイメージだが、麻雀は鋭い打ち回しをする。
この勢いで決勝の椅子をもぎ取ることができるか。

3位には片山一哉さんが浮上。
3節順調にポイントを伸ばし、遂に3位に浮上。
毎回良いところには位置していたが今回は過去最高のチャンス。
上位混戦の状態は、堅実的な片山さんにとって、もってこいの展開だろう。

4位には前節首位の鷲見プロ。
今節の大きなマイナスが響いたか、ランクダウンしてしまった。
逆を返せば約40Pのマイナスでもこの位置にいるだけの貯金を作っていたともいえる。
次節から巻き返して前回の雪辱を晴らしてもらいたい。

5位に杉村泰治プロ。
2節連続のマイナスだが、マイナスは最低限で抑えている。
戦い方を熟知している杉村にしてみれば、これぐらいの痛手は心配不要か。

ここまでで上位3名を一般参加の方々が独占し、前回同様にプロとしてはふがいない状況にも見えるが、違う点もある。
6位から12位まではプロが並び、虎視眈々と決勝進出を狙っているところ。

2位から13位までわずか30Pにも満たない差となっているということは1節で大きく順位変動する。
まだ2節8半荘も残っているので、まだまだ目は離せない。

(片山一哉さんの4節目の成績を反映しているため文章中の順位とずれがあります)

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 松永誠 一般 2.6 99.4 49.7     151.7
2 片山一哉 一般 27.6 42.1 18.1 50.7   138.5
3 加藤拓 一般 17.6 56.9 14.1     88.6
4 鷲見隼人 プロ 43.5 72.6 ▲ 38.1     78.0
5 杉村泰治 プロ 95.6 ▲ 8.6 ▲ 13.3     73.7
6 岡本和也 プロ ▲ 15.0 63.1 24.9     73.0
7 鈴木博直 一般 0.5 56.6 10.3     67.4
8 京平遥 プロ 9.6 26.9 29.9     66.4
9 斉藤隆 プロ 45.4 18.0 ▲ 2.7     60.7
10 影山恒太 一般 ▲ 31.8 89.2       57.4
11 大橋幸正 プロ 20.9 36.5 ▲ 3.2     54.2
12 青嶋宏樹 プロ ▲ 10.7 49.9 14.3     53.5
13 望月雅継 プロ ▲ 26.7 ▲ 1.0 80.2     52.5
14 高村龍一 一般 28.5 15.1 7.6     51.2
15 藤島健二郎 プロ 32.3 ▲ 42.1 59.2     49.4
16 坂本彰光 一般 ▲ 31.0 ▲ 11.8 89.1     46.3
17 伊藤裕美子 一般 46.6 57.2 ▲ 65.1     38.7
18 島﨑涼 プロ 19.4 ▲ 32.9 42.8     29.3
19 高森涼子 一般 ▲ 34.8 48.9 15.0     29.1
20 宮地孝尚 一般 30.3 5.5 ▲ 12.5     23.3
21 山田昭裕 一般 8.3 14.3       22.6
22 廣岡璃奈 プロ   27.2 ▲ 5.4     21.8
23 伊藤真 一般 10.7 ▲ 37.7 44.8     17.8
24 太田昌樹 プロ 25.3 ▲ 44.6 33.8     14.5
25 鈴木秀幸 プロ ▲ 41.7   50.5     8.8
26 渡部文也 一般 ▲ 11.4 9.6 6.3     4.5
27 中寿文 プロ 29.7 ▲ 81.9 52.1     ▲ 0.1
28 鈴木郁孝 プロ 9.4 ▲ 16.9 4.9     ▲ 2.6
29 松清一樹 一般 27.3 ▲ 47.1 13.6     ▲ 6.2
30 平野敬悟 プロ ▲ 0.4 8.2 ▲ 14.4     ▲ 6.6
31 中野一男 一般 ▲ 26.7 8.0 11.0     ▲ 7.7
32 大谷数則 一般 ▲ 2.6 6.3 ▲ 14.3     ▲ 10.6
33 高橋大輔 一般 ▲ 36.6 72.1 ▲ 50.6     ▲ 15.1
34 井上一雄 一般 ▲ 24.5 28.2 ▲ 24.8     ▲ 21.1
35 栗島有紀 プロ 7.6 ▲ 58.0 20.6     ▲ 29.8
36 天音まこと プロ ▲ 14.4 ▲ 26.8 4.2     ▲ 37.0
37 山内紀博 一般 ▲ 10.2 ▲ 27.2       ▲ 37.4
38 湯本紳介 一般 5.7 ▲ 54.7 10.7     ▲ 38.3
39 能瀬美咲 一般 44.9 ▲ 58.8 ▲ 27.7     ▲ 41.6
40 鈴木貴仁 一般 14.2 ▲ 14.0 ▲ 44.5     ▲ 44.3
41 木原翼 プロ ▲ 64.5 17.4       ▲ 47.1
42 土屋幸弘 プロ ▲ 49.5 ▲ 0.6 ▲ 9.6     ▲ 59.7
43 金田年伸 一般 ▲ 27.4   ▲ 32.4     ▲ 59.8
44 舟橋晃 一般 31.6 ▲ 42.4 ▲ 49.9     ▲ 60.7
45 白井健夫 一般 ▲ 22.0 ▲ 1.4 ▲ 45.4     ▲ 68.8
46 渡辺洋巳 プロ 41.0 ▲ 97.6 ▲ 15.2     ▲ 71.8
47 堀孔明 一般 ▲ 39.0 ▲ 59.6 24.6     ▲ 74.0
48 前嶋茂 一般 ▲ 0.7 ▲ 16.4 ▲ 60.6     ▲ 77.7
49 石津寿人 プロ 22.2 ▲ 67.2 ▲ 33.1     ▲ 78.1
50 村瀬光佳 一般 ▲ 29.7 ▲ 30.6 ▲ 19.3     ▲ 79.6
51 鈴木優貴 一般 ▲ 16.2 ▲ 25.2 ▲ 40.1     ▲ 81.5
52 松本貴仁 一般 ▲ 30.4 ▲ 69.5 ▲ 12.3     ▲ 112.2
53 小倉雨 一般 ▲ 69.4 29.8 ▲ 73.9     ▲ 113.5
54 服部哲也 一般 ▲ 40.0 ▲ 79.0 3.8     ▲ 115.2

文:斉藤隆

第19期関西プロリーグ A・B・Cリーグ 第7節レポート

Aリーグ7節レポート

季節の移ろいの早さに戸惑いながらも、激動の関西プロリーグは続く。
いよいよリーグ戦も佳境に入ってきた。9人の闘牌に目が離せない。

1卓
横山、稲岡がプラスを重ね決定戦に向けて弾みをつけた。1回戦だけ観戦ができました。

1回戦(横山・稲岡・花岡・辻本)

東2局は花岡がピンフドラ1をツモって700・1,300。現在トータルダントツトップの花岡の余裕の局回しが伺えたが次の親番

四万五万七万八万九万 二筒二筒四筒五筒六筒 中中中  ドラ五万

雀頭が重なった稲岡の元気娘ガトリングリーチに対して徹底応戦し追っかけリーチ。

三万四万五万六万七万 四筒四筒五筒六筒七筒 二索三索四索  ドラ五万

末恐ろしい手牌で勝負所はしっかり向かう花岡のメリハリのある麻雀を感じた。
結局流局し、花岡は少しトータル成績を落としたが、残り3節も盤石の麻雀を披露してくれることでしょう。

2卓
現在2位 吉本 +55.8
現在3位 高谷 +47.7 ←決定戦ボーダー
現在4位 城  +43.8

この3人にとっては決して負けられない節で、気合がひしひしと伝わってきたが、ここでの卓内トップは城。2位に成績を上げ残り3節に挑む。
高谷はマイナスだったが、粘り強さは筋金入りである。最後まで食らいついていくだろう。この2人にまだまだ目が離せない。

もう1つ印象的だったのが、今期絶不調だった坂本がプラスで節をまとめたこと。
「生徒さんにやっとプラスの報告ができる。」とホッとした表情で話してくれた

4回戦で見事なトップを披露した坂本。

南1局親

二万三万四万 二筒二筒三筒三筒四筒四筒六筒六筒六筒八筒  ドラ八筒  ロン七筒

7,700をアガリ上昇ムード。南3局どうしても浮きが欲しい吉本の親番での先制リーチ。吉本もリーチで追っかけるが軍配は坂本。

二万三万四万七万八万 七筒八筒九筒 七索七索七索八索九索  ドラ中 ツモ九万
華麗に高めツモの2,000-4,000。生徒さんの応援と共に残りの2節も駆け抜ける。

この先どんなドラマが待っているのか。誰がメイクミラクルを目指す。

(文:吉本卓矢)

Bリーグ7節レポート

Bリーグは7節。今節と次節の2節となります。
ここまで先行する山中は昇級確定であろう。後はひとつの席を争う。
2着目の貫上は142.2P、3着目の長尾は103,2Pで、その差39Pある。
この差は結構あるように思える。貫上はもちろん慎重に打って、わずか▲2.1Pで終えて長尾の結果を待つ。
長尾はなんと今期今節最高の102.5Pを上げて、大逆転でトップに踊り出るかと思われた。
が、山中も攻撃が功を制し50Pを上げて逃げ切り、トップを譲らず。
山中、長尾は来期念願のAリーグに近づきました。
最終節での貫上の奮起にも期待する。

(文:広報部)

Cリーグでは新人紹介をさしていただきます。
下記の質問に答えてもらいました。

➀氏名  ②出身地 ③自分をアピールして下さい。 ④好きな役 
⑤好きな雀士(プロ、アマ問わず) ⑥プロになろうと思ったきっかけは?      
⑦これからどうなれば良い、どうしていきたい?

 

100

 

①岡本悠輝(おかもとゆうき)
②和歌山
③大体何でもできます
④リーチ
⑤赤木しげる
⑥ふとなりたいと思ったから
⑦自分らしさを通し続けたいと思います。

「~最終日~」 藤崎 智

第36期鳳凰位決定戦2日目まで

藤崎+72.7P 古川+55.6P 西川▲45.0P 吉田▲83.3P
残り8半荘

古川プロとの一騎打ちである。3日目は正直、古川プロとの差しか見ていなかった。
3日目の成績は3.4.2.3で18ポイントほどマイナスとなったが、古川プロも22ポイント沈んだためその差はほぼ変わらずとなった。

3日目まで
藤崎+54.6P 古川+33.7P 西川+13.5P 吉田▲101.8P

最終日
3日目にA1一年目の西川プロが2.2.1.1で60ポイント近くプラスして優勝争いに顔をだしてきた。
ただ、自分と古川プロが牽制しあっていた中で自由に打てていた西川プロが、吉田プロとの闘いを制して上がってきた感もあり、2日連続とはなかなかいかないだろうし、少し視野には入れておかなければならないものの、結局は古川プロと競りだと思っていた。この考えが大誤算であった。

13回戦
東2局(吉田28,000、古川32,000、藤崎30,000、西川30,000)

 

100

 

決して手応えがあったわけでないのだが、打点的な理由でリーチを選択。

 

100

 

結果的には最高となったのだが、それほど対局者から気配を感じてなかったはずなのに、東の暗カンから二索にロンの声をかけた西川プロと、自分がこのタイミングでリーチといけばほぼオリるだろうと高を括っていた古川プロのノータイムでの放銃ということは、大切な最終日の入りではかなり感覚はずれていたということになる。実際この局は古川プロがラス牌の二索を掴んだのが14巡目、西川プロのテンパイも14巡目。良いときの自分であれば危なげなくヤミテンで西川プロのテンパイの前に古川プロからツモ切りで3,900のアガリになっていたと思う。数字だけで考えれば大きな7,700かもしれないが、内容が伴っていないので危険な予感のする立ち上がりであった。

ここから、予想外に攻撃的な入りをみせた古川プロに詰め寄られるも、なんとかトップ。
続く14回戦では西川プロの猛攻を受ける形のラスとなった。

14回戦まで
藤崎+43.9P 古川+34.4P 西川+27.9P 吉田▲108.2P

完全に三つ巴戦。もはや西川プロを視界の片隅になどと言ってはいられなくなってしまった。

15回戦
東1局(西川30,000 古川30,000 藤崎30,000 吉田30,000)

 

100

 

西川プロから直撃。

東2局1本場(古川31,000 藤崎38,700 吉田31,000 西川19,300)
西川プロ1人ノーテンを挟んだ1本場。

 

100

 

東2局2本場(古川33,800 藤崎37,700 吉田31,000 西川31,000)

 

100

 

そして、これが今決定戦2度目の勝ったと思った瞬間。
西川プロは、この勝負所の大事な半荘で早くも3度目の引き負け。ツモアガリのタイミングも含めて、手応え抜群のアガリであったし場面もよく見えていた。正直西川プロにはもう追う足は残っていないと思うし、あとは古川プロに引導を渡すだけだと思っていた。

東3局

 

100

 

東4局

 

100

 

南2局

 

100

 

南3局

 

100

 

南4局

 

100

 

見えてもいたし読めてもいた。ただ怒涛のラッシュは止められなかった。
最終戦、今度は西川プロとの着順勝負となるところまで追い詰められた。

15回戦まで
藤崎+56.3P 西川+54.0P 古川+18.8P 吉田▲130.4P

最終戦。トータルトップで迎えた事により、北家スタートとなり若干有利であるものの、勢いでは完全に分が悪い。
自分としては、西川プロの強さに感服しながら最終戦を迎えていた。その西川プロの勢いを止めたのは自分ではなく古川プロ。もはや圏外まで飛ばされたと思っていたのだが、サーフボードにまたがって颯爽と戦線に戻ってきて、東2局の連荘でトータルトップを逆転されてしまう。

東3局(吉田20,100 藤崎25,200 西川18,700 古川56,000)

 

100

 

これで今決定戦3度目の勝ったと思った瞬間。これはさすがに決まったと思った。しかし結局南4局までもつれにもつれた。

とにかく厳しい闘いではあったが2度目の鳳凰位になれた。
この原稿を書いている時点ではまだ防衛戦の相手は決まっていないが、今決定戦での厳しい闘いを勝ちきった経験はきっと活きると思う。

「現鳳凰位」非常に良い響きである。是非もう少し呼ばれていたいものである。そうですねあと10年くらい・・・。

第37期鳳凰位決定戦もきっと面白い闘いになると思う。
大勢の方に喜んでもらえればそれこそがプロ冥利に尽きるというものである。乞うご期待。

一年間読んでいただきありがとうございました。
コロナに負けないようにこれからも頑張っていきますので応援よろしくおねがいします。

 

100

 

何を切る? 2021年1月

第37期十段位決定戦 10回戦 東4局 2本場 東家 柴田吉和プロ

 

 

 

 

■Twitterで実施したアンケートの結果

 

 

■プロ解答

 

五万切り

 


 

五筒切り

 

 

六万切り

 

 

九筒切り

 

 

■プロの視点
柴田吉和プロ
「この回を含め残り3戦でトータルトップの内川プロに約40ポイント離されており、高打点が欲しい場面。
白を雀頭にしてまで不確定な三色にこだわらないので、完全1シャンテンに受ける打五万でも良いと思ったのですが、まだ巡目が早いことと河にマンズが安かったので、
マンズ1メンツも視野に入れて、とりあえずドラ受けターツを固定する、打五筒としました。」

 

■終局図

 

 

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第37期 A2リーグ 最終節成績表

A1 B1・B2 C1・C2・C3 D1・D2・D3 E


順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 11節 合計
1 杉浦 勘介(愛知) 16.5 18.0 ▲ 5.7 15.8 52.8 127.7 7.5 ▲ 60.5 58.6 ▲ 10.1 17.4 238.0
2 近藤 久春(秋田) 3.6 37.4 16.2 ▲ 20.0 12.3 ▲ 19.6 42.6 26.7 ▲ 10.6 30.4 ▲ 6.6 112.4
3 内川 幸太郎(長野) ▲ 28.8 5.4 ▲ 5.4 91.6 28.0 12.5 9.9 ▲ 7.2 ▲ 11.6 19.8 ▲ 17.8 96.4
4 藤島 健二郎(静岡) 20.5 77.4 ▲ 8.0 ▲ 25.3 37.8 ▲ 40.6 6.1 33.6 11.3 ▲ 5.8 ▲ 28.7 78.3
5 ダンプ大橋(神奈川) 37.5 21.8 71.7 ▲ 2.3 ▲ 49.6 ▲ 21.7 21.6 29.3 12.0 ▲ 76.8 33.7 77.2
6 和久津 晶(東京) ▲ 9.5 ▲ 20.8 25.7 ▲ 29.3 12.6 4.5 7.8 28.7 5.5 11.0 14.1 50.3
7 山田 浩之(兵庫) 15.4 ▲ 16.2 ▲ 66.9 ▲ 14.4 37.0 ▲ 33.0 ▲ 52.3 ▲ 48.8 68.1 68.9 52.5 10.3
8 客野 直(神奈川) 11.5 ▲ 45.0 25.0 36.2 ▲ 41.4 34.4 ▲ 3.3 ▲ 43.2 14.2 27.7 ▲ 10.3 5.8
9 一井 慎也(広島) ▲ 6.2 ▲ 31.2 ▲ 52.5 46.1 14.2 76.4 ▲ 26.3 21.7 ▲ 77.7 ▲ 25.5 32.3 ▲ 28.7
10 古橋 崇志(静岡) 54.9 1.9 ▲ 18.0 18.3 ▲ 4.5 ▲ 63.4 2.4 4.8 23.5 ▲ 51.1 ▲ 11.7 ▲ 42.9
11 麓 征生(東京) 29.1 ▲ 21.9 23.3 ▲ 24.0 16.2 ▲ 57.0 21.7 33.2 ▲ 21.6 ▲ 34.0 ▲ 8.2 ▲ 43.2
12 魚谷 侑未(新潟) ▲ 38.3 ▲ 20.8 ▲ 26.9 ▲ 18.3 ▲ 26.9 5.5 38.6 16.3 6.0 42.9 ▲ 33.0 ▲ 54.9
13 安村 浩司(富山) ▲ 53.8 18.7 ▲ 4.2 ▲ 17.4 ▲ 55.3 11.0 ▲ 42.4 36.6 6.2 ▲ 34.6 ▲ 5.2 ▲ 140.4
14 二階堂 亜樹(神奈川) ▲ 44.6 ▲ 23.9 ▲ 10.7 ▲ 36.0 ▲ 34.6 7.3 ▲ 8.7 ▲ 66.7 ▲ 55.2 63.9 45.8 ▲ 163.4
15 前原 雄大(東京) ▲ 7.8 ▲ 2.8 36.4 ▲ 21.0 1.4 ▲ 46.0 ▲ 26.2 ▲ 4.5 ▲ 29.7 ▲ 26.7 ▲ 76.3 ▲ 203.2

第37期鳳凰戦A2リーグ最終節B卓レポート

【降級者が確定】

1月12日、前日のA卓に続きA2リーグ残留を懸けた戦いに火蓋が落とされた。メンバーは和久津晶(6位/+36.2P)、魚谷侑未(9位/▲21.9P)、麓征生(10位/▲35.0P)、一井慎也(12位/▲61.0P)、安村浩司(13位/▲135.2P)。降級枠3つのうち前原・二階堂の2枠はほぼ確定のため、あと1つの枠がこのメンバーの中から決まる形となる。最も不利な13位・安村の戦い方と、周りの対応に注目の集まる対局だ。

 

 

対局が始まるとやはり印象的なのは安村に対する3名の対応。極力安村の親番では一騎打ちは避け、静かに流そうとする3者。しかしそれを逆手に取れば安村が先手さえ取ってしまえば誰も逆らえないということでもある。そんな安村は1回戦の親番こそ流されてしまうものの、リーチツモピンフドラドラで浮きを確保すると、2回戦では大連荘に成功。7本場まで積み上げ、一時は一井と9.7P差まで迫る快進撃を見せる。しかし負けたくないのは一井も同じ。1・2回戦とも沈みから辛くも浮きに転じ、安村の猛追を阻む。

 

 

しかし…勝負が決したのは3回戦。親番魚谷のリーチタンヤオピンフドラ1に、同じくピンフテンパイの安村が勝負をかけ11,600の放銃。

 

 

これでこの半荘は魚谷がトップ、安村が4着と魚谷にとっては一安心といった点差に。最終戦抜け番の安村は4回戦で少しでも一井との点差を詰めたかったが、猛攻は実らず4着。最終戦は和久津が+31.3Pのトップで、トータル順位でダンプをかわし終了。全体のトータル成績は以下の通り。

 

 

 

B1リーグへの降級は安村・亜樹・前原でほぼ確定。A2リーグの戦いは残すところ1卓。翌日の杉浦(1位/+220.6P)、近藤(2位/+119.0P)、内川(3位/+114.2P)、藤島(4位/+107.0P)、ダンプ(6位/+43.5P)の5名から昇級者2名を決める戦いとなる。負けられない戦いとはまた異なる、痺れる5回戦を是非お楽しみください。

(文・浜野太陽)

第37期鳳凰戦A2リーグ最終節A卓レポート

【降級2名がほぼ確定】1年間、自粛期間も挟みつつ行われたA2リーグもついに最終節を迎えた。
最終節は1月11日(月)~1月13日(水)の3日間連続で行われ、初日の11日は残留争いがメインの対局。
結果としては降級枠3名のうち前原・亜樹がほぼ確定という形になった。

 

 

対局者は客野(7位/16.1P )、古橋(9位/▲31.2)、山田(11位/▲42.2)、前原(13位/▲126.9)、亜樹(15位/▲209.2)の5名。開始前の全体成績は以下の通り。

現状降級枠の前原、亜樹が山田を逆転できるかが見所の戦いだ。

 

 

それぞれが強い思いを胸に臨んだであろう戦いで一気に抜け出したのは山田。1回戦東2局の親番でいきなり8メンチャンのメンチンをツモアガリ!

 

 

前原・亜樹の心を折るような6,000オール。2回戦終了時点では山田のトータルポイントはなんとプラスに。最終戦には、もはや昇級を意識したかメンホン七対子ドラドラの北単騎をリーチ!

 

 

これが客野のトイツ落としを誘い、16,000のアガリ。結果的に昇級圏までは届かなかったものの残留という目標は達成し、来期の活躍を期待させるような内容で締めくくった。

一方の前原、亜樹はなんとか大量得点のきっかけを見出そうとするも、大きな加点のためには大きなリスクがつきもの。前原は4連続の沈み。亜樹は道中大きなアガリを何度も決め、連続トップも…

 

 

残留ボーダー上の一井には100P程足らず、降級ゾーンに留まる結果に。

5回戦終了後のトータルポイントは画像の通り。

 

 

 

 

亜樹・前原はほぼ降級が確定。さらに翌日の対局結果によって降級者3名が実質的に確定となる。
メンバーは和久津晶(6位/+36.2P)、魚谷侑未(9位/▲21.9P)、麓征生(10位/▲35.0P)、一井慎也(12位/▲61.0P)、安村浩司(13位/▲135.2P)。
各選手の負けられない思いが詰まった対局をぜひお楽しみに。

(文:浜野太陽)