鳳凰位決定戦もいよいよ迎えた最終日。
ポイント状況は以下となっていた。
佐々木+50.7P 勝又▲10.3P 藤崎▲12.7P 沢崎▲28.7P
マイナスの3者にとっては4半荘で追いつけそうなポイント差だが、佐々木に追いつけるとしたら1人といったところか。
佐々木は初日から早くも首位に立ち、道中一度は勝又に抜かれるが、そのプレッシャーを感じさせない堂々とした戦いっぷりで3日間通して常に首位で終えている。
その佐々木が最終日はどのような戦い方をするか楽しみである。
13回戦 (起家から勝又・沢崎・藤崎・佐々木)
東1局
沢崎
リーチ ドラ
まずは南家の沢崎ドラが暗刻のリーチ、沢崎の河にはがあるフリテンでもお構いなしといった所か。
勝又
ポン ポン ツモ
親の勝又、ポン、そして沢崎からポンとして持ってきた牌はドラの、沢崎にとっては痛恨ではあったが勝又もこれでギブアップとなり沢崎1人テンパイ。
東2局1本場
佐々木
リーチ ドラ
西家の佐々木、緩める事無くこの手をリーチ。
沢崎
親の沢崎ドラ2枚持ちの勝負手。持ってきたを真っ直ぐ打ち抜くと、佐々木への放銃となり5,200+1,300の加点で佐々木好スタート。
東3局
勝又
ポン ドラ
西家の勝又が難なくこの2,600を沢崎からアガると
東4局
勝又
リーチ ドラ
さらに加点すべくリーチを打つ。少しでも親の佐々木の持ち点を減らしたいところだ。
佐々木
ポン ロン
しかし勝又がすぐに佐々木の待ちであるを掴み佐々木のアガリ。佐々木これで持ち点を39,400まで伸ばし足元を固めていく。
東4局1本場
沢崎
ドラ
沢崎3巡目でこの三色のリーチを打つが、この巡目ですでに待ち牌は山に無く、他家からも出る雰囲気が無いのはこの決定戦不調の表れであろう。
勝又
勝又は沢崎のリーチを受けた時点ではまだこの牌姿だったが、通っていないを切ると一気に手が伸びる。
勝又
ポン ロン
勝又がこの7,700を沢崎からアガる。沢崎はこの放銃で持ち点を14,900まで減らしてしまう。
南1局
沢崎
ロン ドラ
南家の沢崎、四暗刻のチャンスではあったが、ここは巡目的に折り合いを付けて勝又からアガる。60符で7,700点のアガリ。
南2局
沢崎
ドラ
親の沢崎6巡目の選択が面白い。
場にはが1枚切れ、567の三色も見据えてか切りになるのかと思いきや沢崎の選択は打。
沢崎
ロン
次巡すぐにを引き入れ打のリーチに行くと、見事にはまって藤崎から7,700をアガリ沢崎の連荘。
南2局1本場
佐々木
ロン ドラ
浮きまで浮上した沢崎の連荘であったが、佐々木以外の3者は手が伸びずこの3,900を勝又からアガリ、佐々木は43,600持ちで充分なリードを広げる。
南3局
藤崎
リーチ ドラ
勝又
リーチ ロン
先制リーチは西家の勝又。そして親の藤崎はこの決定戦が終わりに近づいているのを感じさせるようなリーチを選択。
勝又が藤崎から高めであるでアガリ3人浮きでオーラスへ。
南4局
持ち点は、佐々木43,600、勝又33,800、沢崎30,300、藤崎12,300。
勝又
ドラ
ここから打、親である佐々木の連荘は望ましくはないが、残りの半荘数を考えるとここはトップ狙いという判断か。
沢崎
西家の沢崎の配牌。勝又と同様に役牌2つを生かして大きく加点したいところ。第一打はを選択。
佐々木
親の佐々木も4巡目にタンヤオ七対子の1シャンテンという手で、2巡後に切ったで沢崎の手が開かれた。
沢崎
ポン ロン
一時は厳しい状況に置かれていた沢崎、この13回戦の乱打戦を、最後は佐々木から満貫の直撃を取って見事にトップとなった。
13回戦成績
沢崎+16.3P 佐々木+8.6P 勝又+4.8P 藤崎▲29.7P
13回戦終了時成績
佐々木+59.3P 勝又▲5.5P 沢崎▲12.4P 藤崎▲42.4P
14回戦 (起家から、佐々木・勝又・沢崎・藤崎)
東1局
沢崎
ドラ
西家沢崎8巡目の手牌。自身の河にはがあるので打牌選択は、あたりか?
沢崎はを選択するとすぐにを引き入れリーチを打つ。
あっさりとこの3,000・6,000をツモアガリ、親の佐々木との差を縮める。佐々木にとっては残す3回戦を戦うにあたって試練となる立ち上がりか。
東2局
佐々木
ドラ
ここから打としは鳴かないという意思を示す、この大舞台、このポイント状況で自らの勝ち方を通そうという姿はさすがだ。
佐々木
リーチ
を引き入れ迷わずカンチャン選択リーチと行く。は山に3枚あり今にもツモりそうだ。
勝又
ロン
そこへ追いついた勝又がを勝負し、藤崎からこの1,500をアガる。
藤崎の放銃ではあったが、佐々木へのマークが最大限である以上、こうなってしまうといったところか。
東2局1本場
沢崎
リーチ ツモ ドラ
東3局
沢崎
ポン ポン ドラ
東4局
沢崎
リーチ ツモ ドラ
追いかける側の3人にとって、一気に名乗りを上げたのは沢崎。
開局の跳満ツモアガリからさらに加点し、東場で一気に5万点オーバーとなる。
南2局
藤崎
ドラ
9巡目にテンパイが入るがフリテンを嫌い打。
佐々木
ポン
北家佐々木がそのをポンとしペンのテンパイを入れると、藤崎もを引き不本意ではあるがのリーチ。
勝又
ツモ
タンヤオドラ3で息を潜めていた親の勝又のツモは苦しくも。覚悟したかのように打とし藤崎5,200のアガリとなった。
南3局
佐々木
ツモ ドラ
佐々木、第一ツモのを見ると一色手も見据え打とした。
我慢が続いた佐々木ではあったが、この12,000を勝又からアガリ一気に浮きへまわる。
南4局
藤崎
ポン ロン ドラ
佐々木とのポイント差は100以上、厳しい差ではあるが、藤崎はこの11,600を沢崎からアガリ浮きとなる。
沢崎は一度止めただっただけに意外ではあったが、アガった藤崎の手順が優秀だったと言うべきか。
南4局1本場
佐々木
ポン ロン ドラ
何が起きてもおかしくないそんな半荘、トップは佐々木。この7,700を沢崎からのアガリとなった。
佐々木にとっては僥倖のトップ、残り2半荘は体力と集中力の勝負か。
14回戦成績
佐々木+16.0P 藤崎+10.3P 沢崎+3.1P 勝又▲29.4P
14回戦終了時成績
佐々木+75.3P 沢崎▲9.3P 藤崎▲32.1P 勝又▲34.9P
15回戦(起家から、佐々木・沢崎・勝又・藤崎)
東2局1本場
勝又
リーチ ロン ドラ
先制したのは勝又。7,700を沢崎からアガる。
東3局
藤崎
リーチ ツモ ドラ
続いて藤崎がリーチを打ち、ドラをツモり1,300・2,600のアガリ。決定戦が終わりに近づいているのを感じる。
南1局
佐々木
リーチ ツモ ドラ
3者の体力までもを奪い取るような佐々木の3,200オール。
南1局1本場
藤崎
リーチ ツモ ドラ
南3局
沢崎
リーチ ツモ ドラ
藤崎・沢崎がアガるも、静かに淡々と局が進行していく。
南4局4本場
沢崎
リーチ ツモ ドラ
沢崎・藤崎・勝又の意地であろう、佐々木渾身の3,200オールも、この半荘放銃無しで沈みの3着に落とされる。
15回戦成績
藤崎+28.4P 沢崎▲3.9P 佐々木▲7.0P 勝又▲17.5P
15回戦終了時成績
佐々木+68.3P 藤崎▲3.7P 沢崎▲13.2P 勝又▲52.4P
最終16戦(起家から、藤崎・沢崎・勝又・佐々木)
南4局10本場
静かに佐々木の牌は伏せられた。優勝は佐々木寿人。
ウイニングランを見届けようとたくさんの視聴者が見守っていたはずだ、しかしここへ辿り着くまでの道のりはウイニングランなどと生易しいものものではなく、苦難の道であったのだ。
沢崎+79.2P
佐々木+55.2P
藤崎▲52.8P
勝又▲83.6P
このポイントは最終戦のオーラスを迎えたポイント状況である。つい先程までマイナスしていた沢崎が、現状では+90Pの加点をしている。その経過を辿ってみたい。
南2局、積み場は無い。佐々木の持ち点は39,400持ちのトップ目。いたって無風のはず・・だった。
佐々木
ポン ドラ
西家佐々木、3巡目にをポンとし打、もも役牌だが、この仕掛けを入れられたら勝又・藤崎からはもも期待できないので、ここからは自力勝負、親は沢崎だ。
沢崎
リーチ ツモ
沢崎は三色は崩れたものの、ドラを重ねての11巡目にリーチを打つ。は場に3枚出ているので佐々木への押さえつけも込みであろうか、
しかし、佐々木もこのポイント差なら十分勝負、いやポイント差がなくても佐々木は勝負構えか。
決着は沢崎がハイテイでの4,000オールツモ。
南2局1本場
沢崎
チー ドラ
5巡目にをチーすると、すぐにを引き打とタンヤオへ渡る。
沢崎
チー ツモ
1,000オールの1本場のツモアガリ。ポイント差を見てもこのにチーの声が出る人は中々いないように見える。
南2局2本場
沢崎
チー ドラ
2本場は、沢崎1人テンパイでの流局。佐々木に軽い手が入らない。
南2局3本場
一閃である。全4日間開催の決定戦、一度もプラス域に回らなかった沢崎が、ここへ来て浮上どころか佐々木をかわしての大逆転。
麻雀とは恐ろしくもあるなと思える1局であった。自分が佐々木の立場であったら、現状を把握しきれないくらい心が揺れそうだ。
南2局4本場
沢崎
リーチ
4本場、沢崎さらに加点を狙うがここは流局。
南2局5本場ドラ
沢崎
ツモ
沢崎ここは2,600オールのツモアガリでさらに加点。リーチの選択もあったかもしれないが、供託が増えて佐々木の浮上するチャンスを減らすのが狙いだったのかもしれない。
南2局6本場
佐々木
チー ドラ
なんとか佐々木1人テンパイで沢崎の親を落とす事に成功。
南3局7本場
佐々木
ドラ
勝又・佐々木の2人テンパイ
南3局8本場
佐々木
リーチ ドラ
沢崎・佐々木のテンパイ。勝又ノーテンによりオーラスへ。佐々木は3連続のテンパイ料で少しずつ加点していく。
南4局9本場
現在のポイントは以下のとおり。
沢崎+79.2P 佐々木+55.2P 藤崎▲52.8P 勝又▲83.6P
佐々木の開始前のポイントは+68.3P。24ポイント差ではあるが浮けばほぼ並ぶ差だ。
佐々木
ドラ
佐々木の第一打は。
佐々木
字牌を処理してもまだ不十分形だ。打。
佐々木
見ている人も声がでたであろうツモ。打。
佐々木
雀頭が欲しいこの形。ピンズは場に安いがとは2枚切れ。佐々木少し間を置いて打。
佐々木
ツモでソーズの形を生かすか、それとも場に安いピンズと心中か、佐々木の選択は打。
佐々木
リーチ
ツモでリーチを宣言。後は信じるのみ。
4,000は4,900オール。僅かながらではあるが佐々木の再逆転で決着となった。
なんという劇的な展開だったのだろうか。佐々木は最後の試練を乗り越えて見事にツモアガったのだ。
ここへ辿り着くまで集中力を良く切らさずに打つ精神力も当然ながら、初日からの戦う姿勢は本当に勝者として新たな鳳凰位として素晴らしい姿であった。
第37期鳳凰位は佐々木寿人。
最終16回戦成績
沢崎+83.5P 佐々木+7.6P 勝又▲37.1P 藤崎▲54.0P
最終16回戦終了時成績
佐々木+75.9P 沢崎70.3P 藤崎▲57.7P 勝又▲89.5P