第240回:天空麻雀23優勝特別インタビュー 佐々木寿人  インタビュアー:三田晋也

シンプル・しんぷる・simple・神風流
佐々木寿人プロはとにかくこの言葉をよく使う。

佐々木に初めて食事を御馳走になったのは、15年以上前のことで、吉祥寺の牛丼屋だった。ほぼ会話もなく個人的な質問もなし。
それ以来、牛丼屋とラーメンを数多く食させてもらった。

ある日、滝沢さんと3人で行ったとき、ご馳走になるんだからちゃんと瓶ビールも頼まないと。と教えてもらった。
佐々木はふざけんなこの野郎!と食券機に追加のお金を入れてくれるのだ。
決してケチなどではない。お笑い芸人ならばジョイマンが好きだし、使用するギャグもダジャレのみ。
スピードとコスパ重視だ。

佐々木の使うシンプルとはどの様な意味なのだろう。
例えば、3人麻雀で真っ直ぐな手組みのリーチを打ち、佐々木からアガリ、チャンス手を潰したとする。

一索二索二索三索四索九索九索四筒四筒四筒五筒五筒五筒  リーチ  ロン三索

通常ならばこのリーチを打つと怒られるだろう。あまりに真っすぐすぎる。
それなのに、佐々木はくっだらねえっ!とニヤリと笑い、やられたことを素直に認め、やや賞賛に近いリアクションをする。
チャンス手を蹴っ飛ばされ、やるなコイツ、という意味なのだろうか。

だが、例えば無筋を佐々木が切り飛ばし続け、チャンス手を成就させた場合。
リーチで蓋をし、アガリを逃したこの手を見たら、ガッカリされ、恥ずかしい思いをすることになる。
これだけだと結果論のようにも思える。
ただ佐々木にとって、目に見える結果が大事なのも事実だ。

―焼肉かしゃぶしゃぶをお供に、天空麻雀の優勝インタビューをしたいのですが

佐々木:なんで限定なんだよ!いいよ好きな方で。

―――数日後、

 

100

 

一同:優勝おめでとうございます!(左から越野、奈良、古橋)
―お供が増えてしまいました

佐々木:ふざけんな!お前ら関係ねえだろ。
―こういう時期ですし3人とも質問もせずに聞いているだけですので

佐々木:肉食べたいだけだろうが。いいよ!好きなの食え。

テーブルがふさがる前に、パソコンを開いて牌譜を見る。
1回戦終了時:紺野+46.1P瀬戸熊+16.0P荒▲18.6P佐々木▲43.5P
(30,000点スタートの順位点は10,000-30,000)
最終戦東1局、1回戦トップの紺野が荒から8,000点をアガる。

 

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佐々木:半荘2回戦勝負で並びが必要な状況で、キツイなとは思ったね。
最初の親が落ちた時の心境を佐々木はそう語った。
―よくここから逆転しましたね

佐々木:この後、華麗な見逃しがあったんだよ。

 

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見逃す事がほとんどない佐々木にとっては、この局の記憶が刻まれていたのかもしれないが、アガったとしても条件を悪くしての南4局になるので牌譜を見るに留めた。

ここで最初のお皿が置かれ、注文してから数分でテーブルにスペースは無くなった。
この場は、天空麻雀23で、単独7度目の最多優勝を飾ったインタビューで、聞くべき山場の局が多数存在したわけだが、それは後日メールで聞きます、とパソコンを閉まった。

麻雀における強さとは何か、を聞き出して、佐々木が語ることばを、その場にいる全員で共有したかった。勝つ秘訣を肉と一緒に腹に落とし込む作戦である。

―例えば越野さんは研究熱心だし、周囲の評価もなかなかあると思うのですが、なぜ結果には縁がないのでしょうか。
奈良ちゃんもタイトル2個取っていながらリーグはなかなか上がりません。
古ちゃん(古橋)はA2ですがタイトル戦はなかなか結果が、、、
(どの口が言うのだ)

佐々木:なんだろうな。天空でいえば1回目から全部出ていて、有難いことにチャンスの数も多いし。

質問の意図を知っていて答えてくれたような気もしたが、望んだ回答ではなかったので踏み込んで聞いてみる。

―瀬戸熊さんがよく仰ってますが、その時の鳳凰位の麻雀が若手の中で流行ると。

結果の欲しい若手や30代前半のプロは、勝ちたくて、佐々木さんの麻雀を真似るかと思うのですが難しいのではと。

佐々木:まあ無理だろ。
―はい。僕は試しましたが勝てないです。
仮に同じ配牌ツモで同じ選択をしたとして、同じようになる気がしないんです。

佐々木:俺とは違うからね。
―相手からの見え方が違うということですか。

佐々木:そりゃそうだろう。打牌スピードも全く違うし。
―じゃあどうすればいいんですかね。

佐々木:余計な事を考えないでシンプルにやりゃいいんだ。
出た。ここでシンプル返しである。具体的に聞きたいが野暮でもある。
―結果を出すには技術より精神面ですか?

佐々木:圧倒的な稽古をすりゃ、技術は身につくし、プレッシャーがかかる練習や試合をこなせば全体的に磨かれるだろ。

麻雀に必要な総合力が五角形だとすると、技術は大事な要素の1つで、打つ、見る、打つ、喋る、聞く、打つ、また打つ。これで伸びていきそうだ。
では他の4つは何だ。運、体力、精神、根性、性格、麻雀愛、スター性、経済、そもそも五角形なのか?よく分からなくなってきた。

―優勝が近づいて来たときに、雑念が出るじゃないですか恐らく。一体どうすれば。
リーグ戦で昇級がかかっていたり、トーナメントでも逃げに回った時とか。

佐々木:絶対に自分の麻雀を打つことだね。それで負けたら実力不足と。割り切る。

―はい。逃げ回ったり、逆に逃げずに無理に戦うとかは良くないと。

佐々木:そうね。経験ね。だから勝った時の麻雀を繰り返し見て俺は思い出す。

なるほどそういうことだったのか。10年ほど前、前原さんの後ろで見学させてもらっていた。
少考していたので何を考えているのか尋ねた。

前原:思い出しているんだよ。。。真っすぐ手を進めてよかったか。
―と言いますと

前原:自分の引き出しの中に経験や局面が閉まってあって、そこから引っ張り出すのに時間がかかるようになった。散らかっているんだろう。稽古不足だな。

なんて事のない局面に見えたが、前原は安全牌を手に留め、後ろ向きの打牌をした。少考中、河に目は落ちていなかった。本当に思い出していたのか。

前原:君はまだ若くていいな。

どんどん麻雀を打ち、自分の麻雀の引き出しに綺麗に並べて行けよと言われた気がした。
佐々木は前原の教え通りかは知る由もないが、あいうえお順に綺麗に並べているのだろう。
点棒箱を見る限り想像もつかない。ただ、シンプルに自分の好きなように並べているのだ。

この翌日、同席していた奈良圭純はマスターズの決勝に残り、2日後、第30期マスターズとなった。

 

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佐々木:面白かった。いい決勝戦だった。おめでとう

解説だった佐々木が対局室に来てそんな一声を掛けるのは珍しかったのですぐに写真に収めた。
奈良と佐々木は同期だ。奈良の意地と素直さに、佐々木も刺激を受けたように見えた。

さて、天空麻雀に話を戻すと、どうしても聞かなければいけない局面があった。

最終局。大詰めのいよいよ優勝が決まる瞬間。
オーラスを迎えてトータル上から、紺野+4.9P、瀬戸熊+2.2P、荒▲3.4P、佐々木▲3.7P。

1回戦と天地がひっくり返り、8,600点差の中に4名が集まった。
佐々木の条件は着順を変えずに8,600点を捲ること。出アガリは紺野から現実的には5,200、リーチ棒が出れば3,900。
荒、瀬戸熊からの大きなアガリは、着順の関係でほぼ現実的ではない。

 

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そしてこの局面でテンパイが入る。条件は満たしているが、ツモか紺野からの出アガリ条件で何を切るか。
ここで考えるべきは、他者の条件。

荒は、佐々木を捲るか紺野から5,200直撃。瀬戸熊は2,700点差を捲ればOK。
この局の開始時には選手に細かい条件が伝えられている。
それはもちろん対局者は共有している。誰がどう打つか。

この局のドラは西で、無理やり使わなくていいのは瀬戸熊と紺野。
荒も1000・2,000でいいことを考えれば必ず必要ではない。

ここで皆様に問題。何を切りますか。
この牌図を見て佐々木の気持ちになって考えてほしい。優勝を決める選択である。

―なぜ〇〇待ちにしたのですか?
佐々木:条件できたから。アガリやすい待ちを意識したから。〇〇の方が圧倒的にアガリやすく見えるからね。

―ありがとうございます。

議論の余地などない。至ってシンプルな回答であった。
別の日、滝沢さんにも条件と牌譜を見せ答えてもらった。

滝沢:うーん。結構これ難しいね。やっぱり△△にしそう。紺野さんも伏せられないし、瀬戸熊さんの条件は500・1,000か。うわーでもむずいな。

意見が割れた格好だが、もうこれ以上他の人に聞くのはやめておこう。
あそこがこうだから、誰がどうだから、ごちゃごちゃ考えたら駄目なのかもしれない。

佐々木の選択は正しく、こんなにも盛り上がった終局図になるのだ。

 

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―アガリやすかったから―
これが答えだ。

佐々木はこの局面をまた何度も見返し、そして優勝を重ねていくだろう。

(文:三田晋也)

第39期十段戦 三段戦レポート

【第39期 十段戦 三段戦レポート】

2022/5/15(日)第39期十段戦の三段戦が行われた。

日本プロ麻雀連盟では各タイトル戦の成績を元に段位が与えられており、所属プロは基本的に現在の段位戦から出場する。

初段戦から各卓上位2名が勝ちあがりのトーナメントを行い、最終的に4名が決勝へ。現十段位荒正義を加えて5名で決定戦を行う連盟プロだけのタイトル戦である。

三段戦 5/15(日) 11:00開始

システム
連盟公式ルール
半荘4回戦のトーナメントを行い、各卓上位2名が勝ち上がり

ワイルドカード(W)
人数調整により3位の中から勝ち上がる場合は、惜敗率(2位とのポイント差)が少ない者とする。

 

【三段戦 エントリー選手一覧】

 

【三段戦 巣鴨会場】

 

 

 

 

【三段戦 錦江荘会場】

 

 

 

 

【三段戦 じゃん亭会場】

 

 

 

【三段戦 岡会場】

 

 

【四段戦 エントリー選手一覧】

 

三段戦勝ち上がり者に、四段の選手を加えて、16:00から四段戦が行われる。

(文・吾妻さおり)

第39期十段戦 二段戦レポート

【第39期 十段戦 二段戦レポート】

2022/5/14(土)第39期十段戦の二段戦が行われた。

日本プロ麻雀連盟では各タイトル戦の成績を元に段位が与えられており、所属プロは基本的に現在の段位戦から出場する。

初段戦から各卓上位2名が勝ちあがりのトーナメントを行い、最終的に4名が決勝へ。現十段位荒正義を加えて5名で決定戦を行う連盟プロだけのタイトル戦である。

二段戦 5/14(土)16:00開始

システム
連盟公式ルール
半荘4回戦のトーナメントを行い、各卓上位2名が勝ち上がり

ワイルドカード(W)
人数調整により3位の中から勝ち上がる場合は、惜敗率(2位とのポイント差)が少ない者とする。

 

【二段戦 エントリー選手一覧】

 

【二段戦 巣鴨会場】

 

 

 

 

【二段戦 錦江荘会場】

 

 

 

 

【二段戦 じゃん亭会場】

 

 

 

【二段戦 勝どき柳会場】

 

 

 

【三段戦 エントリー選手一覧】

 

二段戦勝ち上がり者に、三段の選手を加えて、5/15(日)に三段戦が行われる。

(文・吾妻さおり)

【麻雀最強戦2022 ミスター麻雀カップ】優勝は黒沢咲!

5月29日(日)15時より、「麻雀最強戦2022 ミスター麻雀カップ」が行われた。

その模様はAbema麻雀チャンネルにて生配信され、黒沢咲が優勝!

 

 

 

(麻雀最強戦キンマweb-近代麻雀)

第39期十段戦 初段戦レポート

【第39期 十段戦開幕!】

2022/5/14(土)、第39期十段戦が開幕した。

日本プロ麻雀連盟では各タイトル戦の成績を元に段位が与えられており、所属プロは基本的に現在の段位戦から出場する。

初段戦から各卓上位2名が勝ちあがりのトーナメントを行い、最終的に4名が決勝へ。現十段位荒正義を加えて5名で決定戦を行う連盟プロだけのタイトル戦である。

初段戦 11:00開始

システム
連盟公式ルール
半荘4回戦のトーナメントを行い、各卓上位2名が勝ち上がり

ワイルドカード(W)
人数調整により3位の中から勝ち上がる場合は、惜敗率(2位とのポイント差)が少ない者とする。

 

【初段戦 エントリー選手一覧】

 

 

【初段戦 巣鴨会場】

 

 

 

 

【初段戦 錦江荘会場】

 

 

 

 

 

【初段戦 じゃん亭会場】

 

 

 

【初段戦 勝どき柳会場】

 

 

 

【初段戦 ワイルドカード】

 

【二段戦 エントリー選手一覧】

 

 

 

 

初段戦勝ち上がり者に、二段の選手を加えて二段戦が行われる。

(文・吾妻さおり)

第39期 A2リーグ 第2節D卓レポート

石渡が猛連荘でプラス域へ!第39期鳳凰戦A2リーグ第2節D卓レポート

5月24日、第39期鳳凰戦A2リーグ第2節D卓が放送された。
対局者は石渡正志、白鳥翔、客野直、高橋良介。

 

 

この日1日を通して存在感を発揮したのは高橋。
1回戦南2局、白鳥のリーチに三索二索六筒と強烈な牌を押し切り、ツモホンイツ七対子の6,000オール。

 

 

2回戦東1局、3回戦ではカンチャン待ちのヤミテンがリャンメンに振り変わってからのリーチ・ツモで2回の満貫を成就。

 

 

 

強気な攻めと、どっしり構えた手作りで3連勝を飾る。
そして着順が同じだったのは高橋だけではなく、なんと全員が3回戦まで同じ着順という珍事。

 

 

連続の2着で不完全燃焼の石渡は、4回戦に爆発。

 

 

アガリをひたすら積み重ね5本場まで連荘し、5万点超えのトップに。

一方、3着で耐え忍んでいた白鳥は、4回戦も3万点付近で南場の親番を迎えると…

 

 

ここまでの我慢が報われたかのようにドラ暗刻の手牌を成就。12,000のアガリでプラスを持ち帰ることに成功。

客野は高打点のテンパイであと一牌に恵まれず、▲64.2Pのマイナスを喫した。

終了時点のトータルポイントは画像の通り。

 

 

 

石渡が最終半荘の大トップで+47.4Pの卓内トップ。
次回A2リーグ放送は5/31(火)。

ご視聴はこちら!

対局者は紺野真太郎、猿川真寿、柴田吉和、高橋良介。
解説は山田浩之。次回も是非お楽しみに!

(文・浜野太陽)

第17期女流桜花Aリーグ第2節C卓レポート

第2節C卓に出場した選手は

 

 

山脇千文美・杉浦まゆ・白銀紗希・廣岡璃奈の4名。

 

 

1回戦は廣岡が親で大物手を2発アガリ、1節目と同様にトップスタートを決めると

 

 

2回戦は杉浦がトップ。
相手の決定打全てに放銃で絡んだしまった山脇でしたが、

 

3回戦では

 

 

リーチ・ツモ・七対子・ドラ2を2局連続でアガるなどして大きなトップで失点を取り返しました。

3者が順番にトップを取っていく中で、全て浮きの2着と安定していた白銀は

 

 

南2局2本場。
高め一気通貫のピンフをヤミテンにすると

 

 

山脇の仕掛けを警戒した杉浦から、リーチならまず出なかった四索が出て5,800は6,400のアガリ。
続く3本場では

 

 

高めイーペーコーのタンヤオピンフを今度はリーチとし

 

 

安めの五索を掴んだ杉浦がオリて、高めの二索をツモアガって4,000は4,300オールと完璧な立ち回りを見せ、この日の成績が2221の全連対でオールプラス。

トータルも2位まで浮上しました。

試合後のインタビューは

 

「参加し過ぎて凄くマイナスすることが一杯あるので、多分いかなくて良かった局があったと思います」

これは痛い放銃が重なった山脇の反省の弁。

 

一方で杉浦は

「今日はどうしていいかわからない難しい局が多く、押し引きも上手くできてなかった。いつもインタビューで反省ばかりなので次節は良いところを作っていきたいです」

と、山脇とは逆に参加出来ない局に苦しんでいました。

 

Aリーグ初プラス節を記録した廣岡は

「前回よりも緊張してまして、視野が狭くなってしまった。次節までの期間が短いのですが反省して次はもっとプラスしたいと思います」

そう次に向けて気持ちを切り替え、卓内トップの白銀は

 

「1、2回戦でギリギリ受けたのが大きくて、3回戦以降は凄くツイてました。明日の誕生日プレゼントを自分に挙げれて良かったです。次節憧れの二階堂姉妹との対局になるので、気を抜かずにプレーオフを目指したいと思います。」

と、数時間後にくる誕生日へ向けて気分よく試合を終えました。

 

 

<第2節C卓最終結果>
白銀+64.9P 廣岡+0.3P 杉浦▲27.9P 山脇▲37.3P

(文:越野智紀)

第39期 A2リーグ 第2節C卓レポート

山田浩之、圧倒的素点力で借金返済!第39期鳳凰戦~A2リーグ第2節C卓~

5月17日、第39期鳳凰戦~A2リーグ第2節C卓が放送された。対局者は山田浩之、猿川真寿、和久津晶、ダンプ大橋。

 

 

1回戦は東場のうちに和久津がメンホンの7,700、役役ホンイツの12,000など4回のアガリをものにし、5万点を超える。

 

 

 

ここまで和久津の1人浮き濃厚かと思われたが、山田が南1局2本場、ダブ南・中の1,600・3,200、

 

 

南2局1本場、リーチツモ南ドラの3,900オールとアガリ、浮きに回る。

 

 

2回戦ではその山田が勢いそのままに東1局、イーペーコー確定のリーチをツモり2,600オール。

 

 

さらにリーチツモドラ3の4,000オールと大量リード。

 

 

この半荘は和久津が4着に沈み、山田が大きな1人浮きに。ここまでチャンスの少ない猿川・ダンプであったが…
3回戦オーラスには猿川が高目イーペーコーのテンパイ。

 

 

ドラを打ち出せば高目7,700のリーチを打てるところだが、和久津・ダンプの2人が既に仕掛けており、難しい選択。

 

 

ここで猿川は三索を切って迂回。ドラ単騎の七対子でテンパイ復活し、3,000・6,000のアガリで1人浮きのトップをもぎ取る。

 

 

ダンプも高打点のアガリこそないものの、4回戦では接戦を制してトップ。

 

 

結果的に4人が1回ずつトップをとる結果となったC卓。しかし素点により大きく得点を伸ばしたのは山田。

 

 

 

60.9Pのプラスで前節の負債を返済する結果となった。

次回A2リーグの放送は5/24(火)。
対局者は石渡正志、白鳥翔、客野直、高橋良介。解説は内川幸太郎。

ご視聴はこちら!

次回も是非お楽しみに!

(文:浜野太陽)

第17期女流桜花Aリーグ第2節B卓レポート

麻雀は選択を連続でしていくゲームで、何を切るか鳴くかで1節につき1000問近くの問題が出題されると聞いたことがあります。

第2節B卓に出場した選手は

 

 

二階堂亜樹・吾妻さおり・川原舞子・内田美乃里の4名。

今節出題された問に上手く対応していたのが川原で

 

 

不本意な形ながら役有りでテンパイが入ると

 

 

リーチと打って出ました。
リーチをかけると出アガリが見込みづらく、ツモってもヤミテンの3,900オールとほとんど変わらない4,000オール。
これだけの話しだとヤミテンのほうが効率よく聞こえますが、元々ヤミテンにしたところで、ドラの七万は簡単に出る牌ではありません。
小さな出アガリ率の上昇よりも、親リーチの重圧で他家をオロして連荘率を上げたほうが価値が高いと川原は判断しました。
相手をオロして局を長引かせ、ツモアガリが出来れば最高でしたが、結果は1人テンパイで流局。

 

 

2回戦のオーラスでは、出アガリ4,800点のカン六索待ちでリーチを打って

 

 

今度はツモって4,000オールをアガリ逆転で2連勝を決めると、4回戦目でもトップを取ってトータル3位に浮上。

昨期女流桜花の座を魚谷侑未に奪われ再び挑戦者に戻った川原でしたが、この1年間で得た経験を力に変えて二度目の頂点へ向けて状態は良さそうです。

 

 

<第2節B卓最終結果>
川原+60.5P 亜樹+34.9P 内田▲39.5P 吾妻▲56.9P

(文:越野智紀)

麻雀日本シリーズ2022第2節レポート

2022年5月14日日曜日、麻雀日本シリーズ2022第2節、5~8回戦が行われた。

 

 

5回戦

 

緊張感か伝わる中5回戦がスタートし、瀬戸熊、仲林は今シリーズ初戦となる。
佐々木は南場に入り、高打点を決めトップとなった。
瀬戸熊はオーラス2着に上がるアガリを決め2着スタートに。
多井はオーラスに瀬戸熊にまくられ3着に。
仲林は随所で読みをいれた押し引きや手組をするが、アガリに結びつかず厳しい4着スタートとなった。

 

 

 

佐々木寿人 +26.5P
瀬戸熊直樹 +3.3P
多井隆晴 ▲7.4P
仲林圭 ▲22.4P

 

6回戦

 

多井が連投、小林、魚谷が今シリーズ初戦となった6回戦。
多井が親番での加点に成功し、オーラスもアガりきりトップに。
魚谷もトップの多井に食らいつくが2着スタートに。
小林は持ち前の仕掛けなどで対応するが3着スタートに。
黒沢は展開が厳しく4着で終了した。

 

 

 

多井隆晴 +29.5P
魚谷侑未 +10.5P
小林剛 ▲13.7P
黒沢咲 ▲26.3P

 

7回戦

 

6回戦で4着だった黒沢が連投した7回戦。荒が随所でアガリを決めトップに。
瀬戸熊はオーラス3着のところからリーチを掻い潜り、見事に三色を決め2着に浮上。
黒沢は何とかプラスのポイントを持って帰りたかったが、荒に交わされるケースが多く3着に。
竹内はテンパイのところから放銃牌を持ってくることが多く厳しい4着に。

 

 

 

荒正義 +27.6P
瀬戸熊直樹 +11.1P
黒沢咲 ▲9.3P
竹内元太 ▲29.4P

 

8回戦

 

瑠美が今シリーズ初戦となる8回戦。東1局1本場に瀬戸熊が倍満をツモり大きなトップに。
瑠美はオーラス満貫ツモでトップ条件まで行くが、出アガリになり大きなプラスの2着に。
魚谷はオーラスまで3万点を超えていたが、オーラス勝負し放銃にまわり3着に。
柴田は親番の東1局にアガリを決めるが、そのあとじわじわと点棒が減っていき大きなマイナスの4着となった。

 

 

 

瀬戸熊直樹 +32.9P
二階堂瑠美 +19.0P
魚谷侑未 ▲11.9P
柴田吉和 ▲40.0P

本日で16人全員が1回以上出場した第2節までの成績表はコチラ。

 

 

次回の放送は9~12回戦までを、6月19日日曜日14時~放送いたします。

 

 

次回の麻雀日本シリーズ2022第3節をお楽しみに。

ご視聴はこちら!

(文:鈴木誠)

第39期 A1リーグ 第2節C卓レポート

【黒沢咲が+34.8Pの1人浮きで暫定首位】

 

 

 

黒沢咲
開始前 +51.8P (3位)
第2節 +34.8P ①①①4着
トータル +86.6 P(1位)

開幕戦で大きくプラスした黒沢が第2節も好調。
1回戦東1局は11,600放銃となったが、すぐにメンホン七対子北単騎。跳満ツモで失点を取り返し

 

 

東3局には中トイトイドラ3、12,000を吉田からアガってトップ。

2回戦にもリーチツモ中ドラなど、らしさ全開の大物手をアガって2連勝すると

 

 

3回戦もリーチツモドラドラのアガリで勢いそのままに3連勝。

 

 

4回戦はラスを引いてしまったが、2節連続プラスでトータル首位に躍り出た。

 

 

藤島健二郎
開始前▲18.1P (9位)
第2節 ▲0.6P ②34②着
トータル▲18.7 P(8位)

1回戦。藤島はオーラスの接戦を制して2,600をアガリ浮き2着。

 

 

4回戦にはドラ雀頭の3メンチャンでリーチ。黒沢からイーペーコーがつく八万ロン。トップはないながらも2着2回で僅かなマイナスに抑えた。

 

 

A1リーグで初めてのプラスは次節以降に持ち越しとなってしまったが、ポイント的には凌ぎ切ったと言えるだろう。

 

 

吉田直
開始前 +16.5P (5位)
第2節 ▲9.4P 34②①着
トータル +7.1P (5位)

吉田は前半2戦で▲34.7Pと苦戦していたが、3回戦東1局に勝又、藤島の2軒リーチを受けつつ3,900(+2,000)のアガリ。この浮きを守り切って2着を取ると

 

 

4回戦は中発ホンイツトイトイを黒沢からアガってトップ。

 

 

後半2戦で盛り返してトータル5位をキープした。

 

 

勝又健志
開始前 ▲0.8P (7位)
第2節 ▲24.8P 4233着
トータル ▲25.6P (9位)

1回戦東1局、黒沢の手牌。6巡目の時点でメンゼン緑一色四暗刻単騎1シャンテン。
入り目は五索だったが、まだ役満変化もある手牌。黒沢は当然五万をツモ切るが

 

 

親番勝又の手が開く。タンヤオドラ3、11,600。最高のスタートを切った勝又だが、南3局とオーラスの連続放銃が響いて1回戦はラスを引かされてしまう。

2回戦以降も厳しい時間帯が続きながらも何とか2着3着で乗り切るが、4回戦も藤島へ8,000放銃からスタート。
この日最後の親番も流れてしまった南3局。ドラ二万をポンして形式テンパイを入れるが、ハイテイツモで素点回復。

 

 

4回全て沈みながらも▲24.8Pに抑えられたのは、無理な勝負を避けつつ適所でアガリを拾う、的確な判断力ならでは。

 

 

以上でA1リーグは全員2節消化。
黒沢が2節連続のプラスで暫定首位につけた。

次回A1第3節A卓は
2022/5/18(水) 16:00

一井慎也
前田直哉
HIRO柴田
藤崎智

実況 古橋崇志
解説 藤島健二郎

ご視聴はこちら!

 

 

(文・吾妻さおり)

第39期鳳凰戦B1Select前期第2節レポート

【B1リーグSelect 刀川昌浩が四暗刻ツモアガリ】

本日の対局者は
魚谷侑未
刀川昌浩
滝沢和典
仁平宣明

 

 

 

1回戦オーラス。トップ目魚谷がドラの六筒をポンしてカン六万待ち。
親番滝沢がメンホン四万七万リーチ。

 

 

魚谷から七万が余り、滝沢12,000のアガリ。1回戦トップを取る。

2回戦も滝沢の2,600オールから始まるが、東4局、親番仁平がダブ東暗刻。刀川から白が出て9,600をアガると

 

 

南1局にはメンホンの2,100・4,100(+1,000)のアガリ。2回戦は仁平がトップ。

 

 

3回戦は刀川がドラ雀頭のカン五万リーチ。2,000・3,900は2,200・4,100(+1,000)のツモアガリを決めると

 

 

東4局には五筒を滝沢から捕らえて12,000のアガリ。

南1局は魚谷が自風の西ポンから3フーロでアガリ切り、浮きの2着に。

 

 

4回戦東1局。刀川が1シャンテンで一索暗刻にして

 

 

役満四暗刻。8,000・16,000。

 

 

東3局にはメンホン一索四索リーチ。滝沢から出て8,600の加点で刀川が大量リード。
しかし、今回も刀川の1人浮きを阻止したのは魚谷だった。

 

 

メンホン七対子西単騎。3,000・6,000のツモアガリで3回戦に続き浮きの2着に。

 

 

卓内トップは刀川。後半2回を役満含む連勝で仕上げて+47.7P。トータル2位に。
魚谷はノートップながらも要所で高打点のアガリを決めて+25.8P。トータルは11位。
滝沢は4回戦のラスが響いて▲26.5P。手が入っていただけに放銃も増えてしまい、トータル12位に。
仁平は▲48.0Pと2節連続沈んでしまい、15位に。次は絶対プラスがほしい所。来月が勝負節となる。

 

 

鳳凰戦B1リーグSelect 前期第3節は
2022/6/4(土) 13:00

二階堂亜樹
前原雄大
魚谷侑未
麓征生

実況 吉井優
解説 三浦智博

(文・吾妻さおり)

戦術の系譜30 前原 雄大

~麻雀はその人のフォームが全て~

最近連盟チャンネルを観る事が増えた。特に、古川孝次さんの麻雀は面白い。
エネルギッシュな仕掛けと、そこから相手の攻め返しにキチンと対応して受けるのは流石である。

なかなかに退けない部分もしっかり受ける。私などは鳴いたらオリるなの精神でやってきたものだから勉強になる。
おそらくあの麻雀が古川さんの自然体の麻雀なのだろう。

元々はメンゼン派で、30歳を過ぎた頃、灘麻太郎名誉会長の影響で今のカタチになったとおっしゃっていた。

簡単に記すと積み重ねの麻雀である。
コツコツと地味に見えるかもしれないが、麻雀の中に潜む核だけは外さないモノに思える。
一見相手3人と戦っているように映るが、そうでは無い。つまるところは自分自身との闘いなのである。

つまらない見栄やプライドを張るのも己自身だし、脅えや弱さに溺れるのも自分自身である。
そういう部分も人である以上、全く無いという事はないのだろうが、かなり薄い。

古川さんは鳳凰位を3連覇しているが、その前に若手向けのタイトル戦も3連覇している。
その時本人から電話があり、翌年は出場を見合わせるつもりだと言われた。
それなりの理由は聞いたが、わたしは出るべきだと言ったのを覚えている。結局、古川さんは出なかったらしい。{本人談}

そのかわり、翌年出場してまた優勝をもぎ取った。この辺りの出所進退は古川さんの麻雀に似ている気がする。

 

~それにしても~

一索二索三索四索五索六索七索九索九索九索三筒四筒五筒  ドラ九索

入り目が四筒であるからには、残りツモ1巡でもリーチを打った。すかさず親から追いかけリーチがツモ切りで入る。一発で掴んだのがドラである九索

「ロン5,800」

一万二万三万六万七万八万七索八索一筒一筒六筒七筒八筒

{今日は苦戦しそうだな}
第2節の鳳凰戦の初戦は小さめのラスである。この時、頭に浮かんだのが、古川さんであればヤミテンに構えることもあるのでは、、、。
ツモアガリはすべて満貫だし、八索であれば跳満であるし。何しろヤミテンであればツモ九索の暗カンであることが大きい。
ただ、それは古川さんのフォームであり私のフォームでは無い。

2戦目は南3局

二万三万三万四万六万二索三索四索六索六索三筒四筒五筒六筒  ドラ九索

5巡目のこの形から打六万とする。上家の親がその六万をポンと仕掛ける。そしてやって来たのが四万である。
持ち点が29,700点の南家である。初戦の結果に懲りたのと、対面の二万が山越しである事からヤミテンに構える。
勝負を次の親番に懸ける。

サクサクと3者の手が育って行くのを感じる。八万は3枚出れど二万五万は何処からも出ない。
そして、4巡目に二万を打って来た北家より深い巡目にリーチが入る。上家の親が完全安牌の4枚目の字牌を手出しで打ち出してきた。
ツモってきたのが北家の現物の八万。そっと卓上に置く。

「ロン12,000」

一万二万二万三万三万四万六万七万九万九万  ポン六万 上向き六万 上向き六万 上向き
{何の為のヤミテンだったのだろうか}

2戦目もラスである。

3戦目は起家が南家より12,000点を出アガる。
1本場、私の配牌がこれである。

三索四索一筒一筒白白発発中中南西北  ドラ白

親の2巡目に打ち出された中をポンしたら、すぐ発二索とツモり5巡目で高目大三元のテンパイである。

二索三索四索一筒一筒白白発発発  ポン中中中

そこにやはりという感じで、親からリーチが飛んでくる。こちらとしてはある意味有難かった。リーチを打った以上、全てアガリ牌以外はツモ切ってくれるからである。それはこちら側も同じようなものだが。

「ツモ」

親の手牌が開けられた。

一索二索三索二筒三筒四筒六筒七筒八筒南南南白  ツモ白

「4,000は4,100オール」

ようやく親番が落ちる。私と親のノーテンで。
私の麻雀の欠点でもあり長所でもあるのだが、字牌の先切りはめったにしない。勿論、手牌にもよるのだが、この時もそうだった。

二万三万四万六万七万八万六索八索一筒一筒六筒七筒八筒中  ドラ五索

宣言牌が中になった。親が「ポン」そして、私の現物である七万を「チー」すると私が持って来たのはドラの五索である。

「ポン」

親の声である。私は自身の放銃で終局することをここで確信し、卓上に五筒を置く。

「11,600は11,900」

私にも理屈はある。この半荘に限り、現在の親番が起家に親満を飛び込んだ処から始まっている。ただ、大局感は間違っていた。
私は既に2ラスを喫しているのだ。尚且つ前局、大三元も不発ではないか。やはりヤミテンが至当だろう。

次局も同じである。

二万三万四万四万五万七万七万七万二索二索三索四索五索  ドラ東

これが5巡目。私の上家の二万を親がポンして打一万。ドラは既に河に飛んでいる。同巡、掴んだ九万を捨てる。

「ロン7,700は8,300」

アホである。ヒサト棒発進!!である。
※ヒサト棒とは持ち点以下になって点数が支払えなくなった時に使用する仮の一万点棒。

 

~45年前の先輩の言葉~

連盟が出来るずっと前、当時の若手プロの筆頭格が言っていた。

「役満でも打たない限り、このルールで箱を割ってはいけない!仮に親の跳満を打っても、残った12,000点を守るのがこれからのプロの証である」

良い言葉だと思った。私は連盟に入った頃にはもう東京にはいなかった。私は自分で指は長いほうだと思うが、その人は一関節分私より指が長かった。
そんな事を思い出していたら親から「リーチ」今局は初めから手を作らなかった。

「ツモ6,000は6,300オール」

一万二万三万四万五万七万八万九万九万九万六索七索八索  リーチ  ツモ六万  ドラ七索

ヒサト棒2号発進!!

結局はこの半荘、わずかなトビで済んだのも良かったように思う。
それにしても、東2局でハコ下になったのは初めてのような気がする。多分間違いないと思う。

 

~終わり良ければ全て善し~

最終戦は何とかトップが取れた。帰り際、伊藤優孝さんと帰る。

「麻雀格闘倶楽部でもやらないか?」
「煙草、アイコスでも喫煙スペースがあるところね」
「とりあえず、行ってみましょう」
「お、ここの焼き鳥屋、良さそうね、帰りに一杯」
「酒、止めました」
「つまんない男になったねー」

返す言葉無し。

結局は喫煙スペースのあるゲームセンターが見つからなかったのでお互い帰宅。
帰りの電車の中でB1セレクトを観ながら帰ろうと、私が観た瞬間四暗刻が出る。

そして視聴者に挨拶を入れると、皆さん私の成績を知っていた様子。
結構な方々に慰められた。

「総帥、大丈夫です!最後トップでしょ。終わり良ければ全て善し!!」
___そういう事では無いような気もするが。有難い言葉ではある。

第39期 A1リーグ 第2節B卓レポート

【黒沢咲が+51.8Pの1人浮き】

本日の対局者は
前田直哉
西川淳
杉浦勘介
黒沢咲

 

 

西川・前田・杉浦は第2節
黒沢は第1節

 

 

1回戦東4局。
前田が6巡目にドラ内蔵のメンホンテンパイ、発中待ち。
親番西川がタンピン678三色確定の四索七索待ち。

前田が七索を掴み、西川11,600のアガリ。

 

 

南1局には黒沢が一筒四筒リーチ。高めの一筒ツモで2,000・4,000。

 

 

南2局には、親番杉浦がリーチツモドラドラ、3,900オール。

 

 

1回戦は黒沢、西川、杉浦の3人浮きで終了。

2回戦。親番西川が白ポンで12,000のアガリ。放銃は杉浦だったが

 

 

次局にチャンタイーペーコードラ、ペン三万待ち。8,300を前田からアガって2/3回復。

その前田も素点をリカバリー、接戦で迎えたオーラス4本場。黒沢がカン六万をチーして三色の片アガリテンパイ。杉浦のテンパイ打牌が七筒となり、3,900は5,100(+1,000)。

 

 

このアガリで黒沢が2連勝、前田は浮きの2着で2回戦が終了。

3回戦。親番杉浦がピンズの高い場況で丁寧に手を作り、西川から出た六筒で7,700。

 

 

南3局1本場。「3回戦の男」の異名を持つ前田が、一通確定の一索四索リーチ。本日好調の黒沢から7,700は8,000を取ると

 

 

親番では三色のカン七万をツモって3,900オール。

3回戦は前田、杉浦の2人浮きで終了。

最終4回戦は西川が3人テンパイの局面を制して、カン七万の三色ツモ。

 

 

しかし、南3局にダブ南を鳴けて満貫をツモった黒沢が一気に息を吹き返し

 

 

オーラス親番でドラ暗刻の12,000。
4回戦は黒沢、西川の2人浮きで終了。

 

 

4戦3勝の黒沢が+51.8Pの1人浮き。
ラススタートの前田は全着1回ずつで凌いで▲8.7P。
トップのなかった杉浦、西川も▲20P強の負けで抑えた。

 

 

次回A1リーグ第2節C卓は
2022/5/11(水) 16:00

勝又健志
吉田直
黒沢咲
藤島健二郎

実況 古橋崇志
解説 藤崎智

ご視聴はこちら!

(文:吾妻さおり)

第239回:プロ雀士インタビュー 早川健太  インタビュアー:小車祥

2022年4月某日、僕は第3期若獅子の早川健太と焼肉店に来ていた。
「インタビュアーは小車さんしかいないと思いました」と早川が言う。かわいい奴だ。
彼との食事は店選びから気を遣う。
なにせ魚は食べられない、野菜も食べない、貝類もダメ、フルーツアレルギー。
肉と玉子とお米とお菓子以外食べているところは見たことがない。
野菜不足は深刻な問題なのだが、そこは差し当たりサプリメントでも飲んでもらい、彼自身にゆっくり時間をかけて少しずつでも食べるように改善していってもらうことにしよう。
僕はいきなり何を書いているんだろうか。

 

100

 

19歳も年が離れた男と2人で焼き肉屋でご飯を食べる。なんとも異様な雰囲気で、インタビューが始まった。

【前代未聞級の逆転優勝】

第3期若獅子戦の決勝は早川健太が勝ったということよりも、ものすごい得点差を逆転したという点に注目せざるを得ない。

 

100
※全4回戦中3回戦開始時のトータルポイント
1・2回戦を隙のない戦いで連勝した渡邉。2着の村上とでさえ96.9P差。4着の早川とは137.2Pもの差をつけていた。
残り2回でこの点差をひっくり返すというのはどう考えても無理があり、早川健太を応援して視聴していた人でさえ見るのをやめるレベルだと思う。

小車「当然選手同士の会話は禁止だから、話し合いとかできるわけないんだけど、実際は追いかける3人の意思疎通みたいなものは対局中に感じていた?」

早川「そうですね、佐藤さんは安い手でアガリに来てないのはわかってました。トータルラスの僕の親番はかなりやりやすかったように思いますね」

小車「3回戦のオーラスは?」

早川「あそこは普通にトップを取って最終戦頑張るというだけでは、逆転優勝なんてできないと思ってたんです。絶対にトップラスを決めたかった。だから自分の打点を上げつつ、親の村上さんにテンパイが入るように、なおかつ佐藤さんと渡邉さんには放銃しないように気を付けて打ってましたね」

そんな渡邉を追いかける3者の思惑の歯車は噛み合い、オーラスの村上の親は何度も流局を繰り返していく。しかしその流局の中で渡邉は何度もテンパイ料を獲得し、トップ目の早川との点差を詰めていくという最悪な展開となっていた。
「倍満直撃ならトップラス決められますよ」と解説の瀬戸熊さんと滝沢さんが言う。そんなことが狙ってできたら苦労はしない。せめて中盤くらいまでに無駄なくヤミテンの倍満テンパイを入れ、さらに渡邉にとってその当たり牌が不要牌でなければならない。

 

100

 

100

 

なんとそんな奇跡が実際に起きた。
この倍満直撃で見事トップラスを決めた早川は、最終戦への希望を繋いだ。
そして最終戦の東1局、早川が親の四暗刻を成就させ、その後の激戦を制したのだった。

早川「実際最後までどうなるかわからなくて、四暗刻アガってからの方がきつかった感はありますね。追いかける立場だったのが、戦い方が変わりましたから」
プロ4年目23歳の男がそんなことを言えてしまうのかと、僕は驚きを隠せなかった。

【一橋大学卒業】

小車「もういいや、対局のことは」

早川「え、もういいんですか」

小車「だってこれはインタビューだからね、対局の詳細はレポート見ればいいし、動画を見返せばいいんだよ。もっと早川君のことを聞かないとね」

早川「そうなんですね」

やはりまずこの男の要素として触れておかねばならない点がある。

小車「一橋大学を卒業したのに、どうして麻雀店で働いてるの?」

早川「やっぱそこになりますよね」

小車「ぶっちゃけ、就活失敗したとか?どんな大学にだって落ちこぼれはいるって聞いたことあるしな!大学行ったことないけど!」

早川「いや、就活はうまくいって内定ももらってたんですよ。20代後半で年収1000万超えてる人がゴロゴロいるような企業でした。でもやっぱり麻雀に寄り添った生活じゃないと、プロとして強くなれないと思ったんですよね」

小車「もったいな!とりあえず就職しといてから麻雀頑張ればいいじゃん!」

早川「いや、それじゃ若獅子戦は勝てなかったと思います。単純な押し引きだけじゃなくて、勝負どころの見極めとか、そういうのは実戦で経験を積まないと研ぎ澄まされないですよ」

小車「そ、そうかもしれないけど、ご両親とかは反対しなかったの?」

早川「そこまで強くは反対されなかったです。30歳くらいまでは、やりたいことやっていいんじゃない?って言ってくれました」

小車「めちゃくちゃ優しいご両親!俺が親だったら許さないよ!」

ここで笑い合う僕と早川。
実際に彼の父親でもおかしくないような年齢差だからこそ思う。
人生はそんなに甘くないのだ。せっかくの人生イージーモードを蹴り飛ばし、ハードモードを選んだ彼には厳しめの言葉を送ってしまう。

小車「でもさ、じゃあ今回一つの結果出せてよかったね」

早川「そうなんです。やっぱこの道選んだ以上は、結果出さないとただの馬鹿で終わるじゃないですか」

小車「みんな多かれ少なかれ何かを賭して麻雀プロやってる。でも早川君の場合はその代償が大きすぎたからね」

早川「まだこれでやっとスタートラインですけど、ひとまずよかったです」

小車「若くて強くて見た目もいいから、早めに一つの結果を出せたのは本当に大きいことだと思うよ。ご両親には報告したの?」

早川「放送もずっと見ててくれてました。多分、泣いてますね」

小車「愛されてるんだなぁ」

【これからのこと】

小車「これからどうするんですか?」

早川「これからですか?」

小車「若獅子獲りましたと。でも半年後にはまた新しい若獅子が出てきますと。早川君はどうしていくの?」

早川「そうですね、G1タイトルは獲りたいですね。そしてC1リーグになれたんで、BリーグAリーグと上がっていきたいです。放送対局も出たいです。だから麻雀はもっと頑張らなきゃですね」

小車「選手としての早川健太はそれでいいと思う。何か他にアピールポイントとかある?」

早川「アピールポイントですか……」

小車「若くて麻雀が強いのはわかった。見た目もいい。もう一個なんか欲しいですね」

早川が困るのはわかっていて、あえて意地悪な質問を投げかけてみる。

早川「そうですね、求められたら……」

小車「求められたら?」

早川「面白いことも結構言えます」

ここで爆笑する僕。

早川「いや、空気は読みますし真面目にやりますけど、おちゃらけていい場面だったらおちゃらけます!ノリ良し!」

満足した僕を置いてさらに早川は続ける。

早川「あと僕結構手が綺麗って言われるんで、手タレできます」

小車「麻雀手タレ!新しい需要あるかもしれない!」

だんだん話の内容がふざけた感じになってきたので、ある程度聞きたいことも聞いたしこの辺りでインタビューを締めることにした。

【自分と重ねてしまう】

ここで少しだけ僕の話をすることを許してほしい。
僕はプロ5年目で麻雀マスターズを優勝し、それを機に福岡から上京し、プロ14年目の今もなおプロを続けている。
勝てたことが嬉しかったし、自分の未来は明るくてこのままうまくいくんじゃないかと思い込んでいた。
しかし実際は甘くなく、所属リーグも上がらず、他には大した結果も残せないままだ。
確かにあれは麻雀プロとしてのスタートラインだった。僕はそれに気付かずがむしゃらにやったが、早川健太は違う。
「やっとプロとしてスタートラインに立てました」
彼自身の言葉で、はっきりとそう言ったのだ。
彼がこれから行う数多くの対局で勝つか負けるかは知らない。
だけど彼ならこのスタートラインから良いスタートを切り、ペース配分も間違えずしっかりと走り切れるのではないかと思えるような、雀力・若さ・人となりを兼ね備えている。
僕は自分のことをまだまだこれからだと信じているので、早川健太とはライバルだと思う。
だがそれと同時に、自分が叶えられなかった夢を自分の息子に託す親のような心境を、彼に対して抱えてしまっている僕がいる。
かわいい後輩、ライバル、息子のような感覚、もうどういう関係なのか全然わからなくなってしまったが、そう感じさせることがまた早川健太の魅力なのだろう。
今後の早川健太の活躍に期待しつつ、負けるもんかと奮起しながら、この記事を終わりにしようと思う。

最後に。
魚はともかく、野菜は少しずつでも食べられるようになろうな。

 

100

第39期 A2リーグ 第2節B卓レポート

三浦・柴田が2節連続のプラス!第39期鳳凰戦A2リーグ第2節B卓

5月10日、第39期鳳凰戦A2リーグ第2節B卓が放送された。
対局者は明石定家、古橋崇志、柴田吉和、三浦智博。

 

 

1回戦は南2局1本場、柴田がカン二万九筒をチー。古橋の親リーチに対して全面勝負するも、掴んだ四索で7,700の放銃に。

 

 

 

1回戦はこれをアガッた古橋がトップを取るも、落とし穴が待っていたのは直後、2回戦東2局。
三浦のリーチに対し六筒を止めて回っていた古橋は、八筒を引いてテンパイ復活するとリーチに現物の打三索

 

 

 

しかし、これがヤミテンを入れていた明石の当たり牌に。タンピン三色ドラの8,000放銃となり、今度は1人沈みの4着に。

3・4回戦はかわし手が多く実る小場の展開となり、柴田・三浦が得点を伸ばしていく。
3回戦東2局、柴田がツモハイテイホンイツ七対子の3,000・6,000の大物手でリードを得ると…

 

 

南1局からは柴田の2,000点アガリ→流局→柴田の1,000点アガリ→流局と、柴田にとって理想的な局消化でトップに。

4回戦も大きな点棒移動はなく、最も高い打点のアガリは東4局、三浦によるダブルリーチツモの1,000・2,000。

 

 

南3局・南4局も三浦がアガリきり、4半荘全て連対という安定感を見せた。

1日終了時点のトータルポイントは画像の通り。

 

 

 

高打点がなかなか成就しない中でアガリ回数の多かった三浦・柴田がポイントを伸ばし、上位につける結果となった。

次回A2リーグの放送は5/17(火)。
対局者は山田浩之、猿川真寿、和久津晶、ダンプ大橋。
解説は三浦智博が務めます。
次回も是非お楽しみに!

ご視聴はこちらから!

(文・浜野太陽)

第30期麻雀マスターズ決勝レポート

【第30期麻雀マスターズ決勝 優勝は奈良圭純!2度目の戴冠】

第30期麻雀マスターズ決勝。
対局者はこちらの4名。

 

 

伊藤優孝
白鳥翔
浅井裕介(最高位戦)
奈良圭純

1回戦東1局1本場。ドラの中をポンして8,300のアガリを決めたのは伊藤。その後も隙なく守り、ヤミテンで局を進め、トップ目をキープしてオーラスを迎えたまでは良かったが…。

 

 

オーラス親番の浅井がリーチ。奈良はカン五筒のノミ手はテンパイを取らずとしたが、高めダブ南のシャンポン待ちとなると追っかけリーチに出る。

 

 

しかし、奈良がハイテイで持って来たのは浅井のロン牌であるドラの二筒

 

 

リーチピンフホウテイドラ裏2。18,300(+2,000)のアガリを決めた浅井が1回戦逆転トップを取った。

 

2回戦は白鳥の独壇場。
まずはリーチツモイーペーコードラ裏2で3,000・6,000。

 

 

南場の親番では高めの六万ツモで4,000オール。

 

 

親番1本場ではドラの雀頭が裏2となり6,100オール。
+65.5の特大トップを取った白鳥がトータル首位となる。

 

 

3回戦東3局。親番白鳥が七対子のリーチを打つが、浅井がドラ暗刻の七筒八筒待ちで直撃。

 

 

南1局1本場には3者の手がぶつかる。
まずは奈良がカン八筒リーチ。
白鳥がペン七筒追っかけリーチ。
親番伊藤がチンイツの三索単騎。

 

 

この勝負は奈良に軍配。白鳥から出て裏ドラ1枚、8,300(+1,000)のアガリ。

 

 

3回戦は浅井がトップで終了。奈良が浮きの2着となり点差が詰まる。

 

4回戦。奈良が高めの八筒をツモって裏ドラ2枚。3,000・6,000でトータルをプラスにすると

 

 

南3局にはツモリ三暗刻、2,000・4,000のアガリで首位に立つ。

 

 

最終戦東1局。親番白鳥がイーペーコー確定の二筒単騎リーチ。裏ドラ2枚で12,000となり、白鳥がトータル首位に返り咲く。

 

 

2本場は奈良がタンヤオドラ3。8,600(+1,000)で再逆転。白鳥、奈良に高打点を放銃した伊藤はかなり厳しくなってしまった。

 

 

南2局。浅井が高め456の四索七索リーチ。ツモって裏ドラ1枚、3,100・6,100。さらに加点したい浅井だったが

 

 

南3局、白鳥の三万六万九万リーチに一発で勝負し、8,000の放銃。

 

 

オーラス親番は奈良。
白鳥はアガリか流局で優勝。
浅井はツモ役満、出アガリダブル役満。
伊藤はツモダブル役満、出アガリトリプル役満。

先にテンパイしたのは白鳥。親番奈良が何とか形式テンパイを入れ、流局。

 

 

1本場は奈良が六索九索リーチ。2,700オールのツモアガリ。

 

 

2本場。親番奈良はノーテンOK。
白鳥の条件は
1,300・2,600ツモ
奈良から3,200以上
浅井・伊藤から8,000

タンヤオ七対子ドラドラ、白鳥がアガれば優勝のテンパイを入れるが

 

 

1人テンパイで流局。
第30期麻雀マスターズ優勝は奈良圭純に決定。
第20期に続き2度目の戴冠となった。

 

 

 

 

 

(文・吾妻さおり)

麻雀日本シリーズ2022第1節レポート

【麻雀日本シリーズ2022開幕 第1節は河野高志がトップ2着で首位スタート】

5/1(日)に行われた第1節11名の選手が参戦。

全出場選手につきましてはこちらのツイートをご覧ください

 

 

【1回戦】

 

序盤は佐々木が主導権を握り軽快にアガっていたが

 

 

河野が満貫ツモをきっかけにアガリを決め出すと、佐々木はしっかり受けに回る。

南3局1本場には、現雀王の渋川(協)が六万九万リーチ。
黒沢が国士無双一索待ち。
渋川は河野から出た六万を見逃し、局数を減らさない選択。
黒沢のハイテイは…。

 

 

一索ではなく、3人テンパイで流局。

1回戦は河野、佐々木、渋川、黒沢の並びで終了。

 

【2回戦】

 

2回戦は目紛しく点棒が移動する打撃戦。南1局1本場。今期初出場の竹内(最)が四筒一発ツモで裏ドラ2枚、跳満を決めて抜け出す。

 

 

南3局は多井がドラ雀頭のリーチを打つが、親番河野が追っかけリーチでツモ。2,600オール(+1,000)でRMU対決を制して2着。

 

 

2回戦は竹内、河野、多井、柴田の並びで終了。

 

【3回戦】

 

3回戦南3局。親番荒がメンホン白三索六索九索二索待ち。
白鳥からリーチが入ると、ツモ切り追っかけリーチを被せて12,000(+1,000)のアガリ。

 

 

オーラス。多井が2枚切れのドラ単騎リーチ。アガリトップの荒は3メンチャンテンパイで発をツモ切り、多井が逆転トップ。

 

 

3回戦は多井、荒、前田、白鳥の並びで終了。

 

【4回戦】

 

奇しくも1回戦ラスを引かされた黒沢、柴田、白鳥の3人が同卓。東2局に柴田が一発ツモの満貫を決めてリードする。

 

 

現最高位の鈴木が七対子中単騎リーチ。裏ドラ2枚で満貫のアガリ。

 

 

4回戦は鈴木、柴田、黒沢、白鳥の並びで終了。

 

 

第1節はトップ2着で2戦消化した河野が首位スタートを切った。

麻雀日本シリーズ2022第2節は
2022/5/14(土)14:00から
こちらもお楽しみに!

(文・吾妻さおり)

第238回:プロ雀士インタビュー 皆川直毅  インタビュアー:菅原直哉

皆川直毅との出会いは18年前。僕がまだ髪がフサフサしていた20歳の頃、当時僕は麻雀が好きで好きでたまらなくて、ろくに学校にも行かずバイトと麻雀に明け暮れていた。
大好きな麻雀をやりながら、バイトで日々の食費を稼げたらいいなぁなんて、麻雀好きな学生なら誰しもが通る道だと思うのだが、ご多聞に漏れず僕もその道を歩んだ。そこのお店で皆川直毅と出会った。お互い麻雀バカで歳が近いということもあって、すぐに仲良くなった。(注意、僕のほうが年下である。)当時から皆川さんの麻雀の技術力はかなり高かった。勤務中、皆川さんが本走しているのを後見していたが、合理的で無駄が無い、且つ自然に高打点を目指すその手順は何度となく感心し、美しいとさえ思った。

僕が学校を卒業し、就職しても付き合いは変わらず、数え切れないくらい麻雀を打ち、何度なく麻雀談義に花を咲かせた。僕がプロになったのも、皆川さんが一緒にやらない?と誘ってくれたからである。

そんな良き友であり、(本人は笑って否定しそうだが…)良きライバルである(大分置いて行かれてしまったが…)皆川直毅プロが第18回日本オープン優勝!!G1タイトルを見事東北にもたらしてくれた。インタビュー記事のお話を聞いた時、居ても立っても居られず、「皆川さんの初タイトルのインタビューは是非僕にやらせてください!」と武藤本部長に僕からお願いさせていただいた。快くインタビューを承諾してくれた皆川さんにもこの場を借りて御礼を申し上げます。

 

100

 

仙台 某所

「皆川さん!日本オープン優勝おめでとうございます!」

「ありがとう。」

「G1タイトル初決勝、緊張とかはありませんでした?」

「いや、それがねぇ、不思議と緊張しなかったんだよ。凄く自然な気持ちで卓に着けたね。」

「たしかに、対局観てて、イレ込んだり、焦って前のめりになり過ぎる所が無かったですね。序盤の展開的に僕だったら焦りますけど。」

「そうそう、序盤は本当に苦しかったね。そもそも手にならなかった局も多かったし、勝負手負けるし、ラスに落ちちゃうしで。それでも、変に焦るって事はなかったよ。自分なりではあるけれど、しっかり打ててるって感触はあった。」

「それは僕も思いました。随所にthe皆川さんって感じの選択がありましたね。」

「何それ(笑)」

「2回戦目の東2局1本場と3回戦目の南3局1本場ですね。」

実は、インタビューの話を受ける前に5時間も日本オープンの決勝戦について語りあっている。全局紹介したい気持ちもあるのだが、この2局にプロ雀士皆川直毅の思考が凝縮されていると感じたので取り上げさせていただく。

※2回戦目 東2局1本場 南家

一万一索二索二索五索六索六索九筒南南白白発  ドラ白

1巡目に南が切られるのだが、これをスルー。

「これ、僕だったらノータイムで鳴いちゃいますね。1回戦目ラスだったし、どうにか加点したい局面だと思うので少しでも手を進めたいですね。」

「うん、鳴かない(笑)まだ1巡目だし、南を鳴いちゃうとドラを持ってくるかトイトイまで伸びないと満貫止まりになっちゃうじゃん。メンホン七対子ドラドラでリーチするかは場況次第だけど、ツモって倍満まであるよ。」

「そりゃそうですが…」

「七対子ドラドラなら待ち頃の牌を探してリーチしてツモって跳満、裏ドラ次第で倍満。こっちの方が高いし、放銃するリスクも下げられるでしょ。」

「この手牌、1巡目でホンイツ見切る事やオリる事まで考えますか…」

「考えるよ(笑)」

本人笑っていたが、このやりとりをして僕は驚愕してしまった。自身初タイトル決勝の映像対局で、しかも1回戦目をラスで終え、劣勢に立たされている状況。その冷静さと自身のスタイルを貫く精神力に脱帽である。

※3回戦目 南3局1本場 東家 5巡目

三万四万四万六万六万六万八万八万九万九万白白中  ドラ中

この形で九万をポンせず、しかも次巡2枚目の白もスルー。

「これは何故ポンしなかったんですか?」

「ポンしたらドラを切らなくちゃいけないよ?ポンテン取れる形ならポンしたけど。あの形なら最高形で四暗刻見えるし、70,000点持ってるけど、まだ追いかける立場だから5,200点のためにリスクは侵したくない。」

打点とリスク…いつだって我々麻雀打ちはその天秤を秤りながら打牌を進めていくが、それにしても徹底している。一見、最高打点を目指しているように見えるがその実、守備や立ち回りにもケアした選択である。実は紹介させていただいたこの2局はアガリに結びつかなかったがこの2局にこそ、皆川流とも言える麻雀スタイルを象徴するものだと思う。

「今年は東北盛り上がってますよね。」

「そうそう、帝杜戦ね!毎回Mリーガーのゲスト来ていただけるし、僕自身も凄く楽しみ」

「しかも優勝者は帝王戦の挑戦権までもらえるという。」

「ねー!来て楽しい、観て楽しい、打って楽しい大会なんて滅多にないよね。アマチュアの方だけじゃなく、プロ側にもビックチャンスあるからお互い燃えるよね。」

「盛り上がっていると言えば、ここ数年の東北在籍プロの活躍も凄いですね。」

「そうだね、菊田君は鳳凰リーグB1まであっという間に行っちゃったし、去年は佐々木俊哉が活躍したし、この前の若獅子戦は櫻井と小熊がいい所まで行ったしね。」

「そして、皆川さんがG1タイトル獲得…と」

「背中見せれたよ(笑)ちょっと安心した(笑)」

「東北にG1タイトル持って帰れたっていうのは僕らにとってかなり大きな希望というか、夢を見せてもらえたんですが、若手に向けて何か一言いただけますか。」

「やっぱり挑戦することだね。」

「挑戦ですか。」

「そう。数年前から僕も鳳凰リーグ参戦して、出場できるタイトルは積極的に参戦してるけど、そこでの経験が大きく自分の麻雀を成長させてくれたと思うよ。そこで切磋琢磨しているプロと話すだけでも良い刺激もらえるし、なにより僕にとって前田直哉さんとの出会いが大きいね。」

「なるほど。」

「どうしてもね、地方にいると毎回東京に行くっていうのはハードルが高いんだけど、それでも果敢に挑戦して行くっていう事は麻雀プロとして後々大きな財産になると思うよ。それにこれは若手にだけ言ってるんじゃないんだよ。」

「と、言うと…?」

「菅原君に言ってるんだよ!!(笑)」

「が、頑張ります(笑)」

至高の面前派で無類の麻雀バカ、ラーメン好きの猫好きな彼はこれからも挑戦し続け、きっと今まで以上に活躍するだろう。コロナ禍で行動が制限され続けているここ数年、東北の麻雀熱を盛り上げてくれたことに大きく一役買ってくれたことは間違いない。帝杜戦ではMリーガーのゲストだけでなく、皆川プロも参戦するので、面前高打点打法を味わいたい方は是非、奮って挑戦して楽しんでください。

 

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第2期鸞和戦ベスト16D卓レポート

5月6日鸞和戦ベスト16D卓の試合が行われた。
今日でベスト8に進出する最後のメンバーが決まる。

D卓出場メンバーは
北條恵美vs和久津晶vs内川幸太郎vs古本和宏

 

 

1回戦は東1局から大物手が炸裂する。
東1局ドラ二筒
和久津からドラ3のリーチが入る。

 

 

古本もイーペーコーのみのカン四筒待ちのテンパイを入れる

 

 

内川はチンイツ1シャンテンの手も四筒を掴んで一旦現物を切って回るも、次巡三暗刻のテンパイ。
四筒発も当たりの中、選ばれたのは発

 

 

これが和久津への放銃となった。

1回戦は和久津、古本がリードする展開で局が進み、1局目から放銃スタートになった内川がラスとなった。

 

 

2回戦勝負が動いたのは東2局。
内川の親番、古本からリーチが入るとヤミテンにしていた内川がすかさず追っかけリーチ。
両者山に1枚ずつ残っているリーチは内川に軍配があがる。

 

 

リーチツモドラ2、3,900オールのツモアガリ。このアガリで古本への差を一気に縮める。
この半荘はリードを守り切り内川がトップで終了。2着以下の争いが熾烈に。

3回戦、内川が微差でリードする展開が続くも、南2局、古本が地獄単騎の西待ちでテンパイ。

 

 

内川からこの西が打たれると、浮き沈みが入れ替わり、古本が通過に向けて大きな加点に成功。
内川は最終戦、20ポイント差を追う。
北條は苦しい展開や配牌が続き通過まで、70ポイント近い差となった。

最終4回戦は東1局に親番和久津にドラ3枚の勝負手。
すでにかなりのリードを築いてはいるものの、この手をアガれば通過がかなり固いものになりそうな勝負手。

 

 

テンパイを入れていた内川からこの勝負手をアガると、和久津はほぼ通過確定のポジションにきたか?ということろまでポイントをのばす。
一方内川は大きな失点になった。

次局、古本が3,000・6,000(+300)をアガると、北條、内川ともにかなり厳しいポイント状況になる。
和久津、古本がリードを守り切る形で4回戦が終了となった。

以上の結果をもって、和久津、古本の2名はリードを守り切りベスト16勝ち上がりとなった。

 

 

 

ベスト8は
A卓が5/26 16:00-
B卓が5/27 16:00-
放送開始となる。

第2期鸞和は一体誰になるのか!?今後もますます目が離せない。

(文:松田彩花)