
【第20期プロクイーン~ベスト16C卓~、西嶋、蒼木がベスト8進出】
ベスト16C卓の選手はこの4選手。
岡田桂(麻将連合)
前年度決勝によるベスト16シード

西嶋ゆかり
二次予選からの勝ち上がり。
第15期プロクイーン

蒼木翔子
一次予選からの勝ち上がり。

谷崎舞華(最高位戦)
一次予選からの勝ち上がり。

◇ 1回戦
親番で
、ドラ2の2,000オール。



ツモ
ドラ
チー

チー

ポン


子でもリーチ、ツモ、ピンフ、ドラの1,300・2,600をアガった岡田がトップ。












ツモ
ドラ
裏
2着は西嶋、オーラスにアガって着順を上げた。

◇ 2回戦
南4局の親番に七対子、ドラ2の9,600をアガった西嶋がトップ。
先制リーチの現物では谷崎の放銃もやむなし。

2着は岡田。ドラの
をポンされたが、リーチに踏み切り4,000オールにした。

◇ 3回戦
1着2着を岡田-西嶋、西嶋-岡田と交互に取り合ったため、すでに蒼木でもこの半荘は落とせないスコアになっている。(次のキャプチャ参照)
谷崎は2連勝条件、そのうち1回は割と大きいトップが必要だろう。
普段のスタイルではないと思うが、蒼木が仕掛けて劣勢を変えようとした。

「降りることがない谷崎さんが真っ直ぐ攻めてくるので、得しないことが多いですが…」と解説の勝又。
仕掛け倒れになって谷崎の連荘になっても、局数は減らないし、谷崎が素点を稼いでくれれば、(その谷崎を逆転することで)西嶋、岡田との順位点をつけやすい。
そういった考えもあったかもしれない。

6巡目、直前に対面から切られた
を鳴かなかったのが蒼木の工夫。
太文字にして強調したいくらいだが、この
を鳴かないのは本当に凄い。
戦後のインタビューでも勝又が絶賛していた。
を鳴かないのが普通ではあるが、鳴いているとしたら、この
も鳴く人がほとんどではないだろうか。
結果、1枚切れだが
を重ねることが出来、手牌が安定する。

そして、
ポンのときに想定していた最高の形でフィニッシュする。
対々和、混老頭、三色同刻の3,000・6,000。
この局、岡田は
や
が打ちきれず迂回することになったのだが、非常に難しいがアガリになる手順はあった。
この日の大きな分岐になった1局だったことは間違いない。

南3局、リーチ後に
が通ったのが蒼木にとっては幸運で、岡田にとっては不運。
ドラが
であるだけに、カン
待ちのリーチは考えづらい。
仕方がない放銃ではあるものの、4本場と谷崎のリーチを入れて19.4Pの差がついてしまった。
こういう放銃が命取りになるのも麻雀の面白さだろうか。
◇ 最終戦
随所に好プレーが見られた西嶋だったが、このアガリも素晴らしかった。
実況と解説の声を入れてお届けする。

勝又「えええ。ダマなの?なんで?(驚きの声)」
勝又「まあ、
はドラ表示牌でそんなに良い待ちではないけど…」

実況の阿久津「うわぁあああああ」
勝又「天才だね」

このトータルスコアがあれば、(岡田がホンイツ模様で仕掛けていて)リーチをするリスクを負わなくてもよい、という判断なのかもしれない。
谷崎から7,700。見事なアガリで西嶋の通過は決定的に。
東4局、谷崎が親番で粘って6本場、岡田に待望のアガリ。

岡田がお返しとばかりに後筋で蒼木から直撃をとった。
リーチ、一盃口、ドラ2の8,000は9,800。
岡田2着、蒼木4着の並びが出来たため、このひとアガリで6.8Pまで詰めた。
勝又「まだ6,800点もリードしている、と。最強戦のような1半荘勝負で1,300・2,600をツモってリードしたところと思ったら、めっちゃ有利って思えるでしょ?」
阿久津「今満貫放銃して、そうは思えないですよ。蒼木は心穏やかじゃないと思いますよ。」
阿久津の言う通りだろう。
それでも蒼木は南2局、岡田の親番をすぐに終わらせるべくリーチと勝負に出る。

リーチの一発目に蒼木のアガリ牌を掴まされた岡田だったが、この後の粘りが見事。
アガリまでは結びつかなかったが、
を使い切ってテンパイを取る。


局は進み、この差がほとんど変わらずオーラス。
岡田の条件は、蒼木から5,200の直撃か満貫ツモだった。

谷崎が岡田から小三元の12,000をアガって、これで勝負は決した。
蒼木は自分がつかんだら放銃になっていただけに、胸を撫で下ろしただろう。
最後に各選手の戦後のインタビューを抜粋して掲載する。

谷崎「判断がチグハグになっていることが多かったように思います。(中略)たくさんの方に応援していただき、いい報告がしたかったのですが残念でした。今後も頑張ろうと思いますので、引き続き応援よろしくお願いします。」
解説の勝又も言う通りほとんど手が入らず、リーチまでいけたとしても、他家にアガリを取られたりと苦しい1日だった。
負けてしまったのは悔しいが、割と諦めもついていたように思う。

岡田「この日のために1年間頑張ってきたので、もう終わってしまって残念です。皆様が応援してくださったので、最後まで楽しく戦うことができました。また戻ってこられるように頑張ろうと思います。」
1、2回戦は優勢だったので、3回戦や4回戦にどこかなかったか、と非常に悔しそうな表情に見て取れた。
来年は予選からではあるが、またの挑戦を期待したい。

蒼木「三色同刻の3,000・6,000をアガれたのが大きかったと思います。思い切っていけた(
をポンした)のが良かったです。(中略)プロクイーンは初めてのベスト8で、このまま決勝、優勝まで頑張りたいと思います。」
30点の打牌もあれば150点のミラクルプレーもある蒼木らしい麻雀だった。

西嶋「最初の2局、ガクガク震えちゃって…朝起きたときに、勝ちたすぎるのはマズいなと、電車の中で落ち着け落ち着けと思って来たのですが、着いてからも舞い上がっちゃって…でも、ほんとここで麻雀できるのが嬉しくて震えてました。」
アタリ牌を掴むのが局の終盤だったという幸運もあるだろうが、押しに押して、ギリギリで止める爽快な麻雀だった。
普段からギリギリを目指す訓練をしているのが非常に伝わってきた。
ベスト8も楽しみである。

ベスト16のD卓、8/18(開催済)
ベスト8A卓、9/15(木)16時~
ベスト8B卓、9/22(木)16時~


(文:福光聖雄)