数々の伝説を残し、精密機械とも称される麻雀スタイルで人々を魅了してきた、日本プロ麻雀連盟のレジェンド雀士荒正義。
タイトル戦ではグランドスラム(王位、鳳凰位、十段位、マスターズ、グランプリ優勝)を達成している唯一無二の存在である荒さんが、またも対局で優勝したらしい。
そう聞いて、さっそくインタビューをさせていただいた。
荒さんと2人きりというのも何だか緊張しすぎる気がしたので、達人戦の前に少し時間を取っていただいてインタビューすることになった。
-天空麻雀優勝おめでとうございます!
荒:まだまだヒサト(佐々木寿人)の半分にも満たないけどね!
-!!!
この天空麻雀という対局は百戦錬磨のベテランプロから新進気鋭の若手プロ、人気女流プロまで―日本プロ麻雀連盟のトッププロ達が真剣勝負を繰り広げる!
そんなコンセプトのもと放送されている対局で、その年活躍したタイトルホルダーや、幅広い選手が参加していて、今期からМリーグではTEAM雷電所属の本田朋弘が初参戦となっていた。
佐々木寿人は第4.5.10.14.19.21.23期の全7期で優勝しており、天空麻雀で最多優勝している選手である。
-前回の決勝でのヒサトさんの逆転優勝も記憶に新しいですが、荒さんもあの場面にいらっしゃいましたね!前回からリベンジ優勝ということになりました。今の感想をお聞かせください!
荒:久しぶりに勝ったかな?という感じですね。
-天空麻雀20以来になりますかね?
荒:この試合はヒサトと森山さんが6.7回優勝があって、2人のためにあるような大会なんだよね‥
-確かにそれはすごいです!
けど荒さんも3度目の優勝ですかね?
荒:ちゃんとした回数は覚えてないんだけど、そのくらいだったかな?
ただ短期戦だし、その日の出たところ勝負っていうのはありますよ。
-出たところ勝負!なるほど。
ルールもオーラスアガリやめができたり、少し特殊ですよね。
荒:そうだね。確かこの日も、1回戦はアガリやめがあったのかな?
決勝2回戦の場合は初戦トップを取ることがとても大事なんだよね。
1回戦からトップを取りに行ってその勢いで2回戦も押すのがベストな勝ち方。
-なるほど。
決勝もすごいメンバーでの闘いになりましたが、意識する選手はいましたか?
荒:特にいないけどね。
初出場の本田くんと打つのは初めてだったかな?
-それは意外でした。
せっかくなのでこの日の麻雀を少し振り返っていきたいのですが‥
まず印象に残っていたのがこのシーンです。
-1戦目、親番中単騎で七対子をテンパイしているところから、を引いてリーチの選択となりました。
荒:決めに行ったという感じだよね。
-なるほど。
荒:トップを取るのが大事で単騎をヤミテン続行しているだけではトップの決め手にはならないので、アガリやすい待ちでリーチの選択になったかな。
-トップ、優勝への強い意志を感じる場面だったのかな?と思いました。
ただ、1回戦目はオーラスヒサトさんに捲られてしまいアガリやめで終了となりました。
荒:そうだったね。
-そして2戦目の南3局、ヒサトさんのリーチを受けてこの手です。
荒:ピンフ赤2ドラの満貫が確定している手で、かつリーチをかけているヒサトの現物待ちだったんだよね。
-打点も十分ということでヤミテンの選択になりましたが、ここは高めのをツモって3,000・6,000の大きな加点となりました。
荒:大きかったね。決まったかな?という気持ちだったね。
-そしてですよ。オーラスです。
萩原さん、ヒサトさんの2人は優勝役満条件で親は本田さん。
荒:難しかったよね。
2人が確か、国士模様だったんだよね。
-ということは‥
荒:ほとんどが本田くんとの1対1になるんだよね。
だから、テンパイしていて待ちに自信があれば、オールツッパリ!
-オールツッパリですか?!
まだ少し余裕があるようにも感じるポイントのように感じちゃったのですが‥
荒:手格好が悪ければツッパらないんだけど、やっぱり決められるところで決めないと、という場面なんだよね。
-実際、オーラスは荒さんが仕掛けてテンパイを入れているところに親の本田さんからリーチがきました。
-リーチを受けた後にツモってきたのはドラの。
荒さんの手の内には、リーチの本田さんに対しての現物がトイツでありました。
荒:さっきも話した通り、ドラだろうとなんだろうと自分が良い待ちでテンパイしている時はオールツッパリ!
-ドラもですか?
荒:ドラじゃなくてもいいじゃない!とは思ったけどね笑
-確かにそうですよね笑
ただ、このドラをピシッと切るシーンはすごく印象的でした!
荒:実際、親の本田くんはどんな待ちでもリーチにくる場面だったから、こういう決められる手の時に攻めるのが大事ですよね。
-勉強になります!
荒:2枚切れのカンチャン待ちでもリーチの場面ですよ。
本田くんは若くて生命力の強い選手だと思っているから、この手で勝負しようという気持ちだったんだよね。
もし、流局したり本田くんがアガって1本場になってしまうと、雰囲気はかなり悪くなるなと感じるね。負けムードというかね。
-多くの決勝経験がある荒さん的には‥
荒:そうだね。今までの経験的にも、“ここが勝負どころ”だという感覚で打ってました。
-すごくかっこよかったです!
荒:うん。(動画を見返しながら)でもやっぱり一発でドラ引かなくても‥とは思うね笑
-本当にかっこよかったです。
そして見事オーラスは、自身でアガリ切り優勝を手にしました!!!
おめでとうございます。
荒:ありがとう。
-そして話が代わるのですが、今年からは達人戦というタイトル戦が新しく設立されました。
今からその試合ということで一言意気込みをいただいても良いでしょうか?
荒:達人戦は楽しみですよ。
なんだか懐かしいというか‥
40年前のプロリーグを見るような感じですね。
赤があるのでまだわからないですけどね
-予選は選び抜かれた達人たち8名で12回戦を戦うわけですが‥
荒:おそらく残るだろうと思ってますし、狙ってますよ。優勝。
-ありがとうございます!
達人戦の方も応援してます。
インタビューありがとうございました。
荒:ありがとうございました。
鋭い麻雀スタイルで見る人を魅了する荒正義プロ。
そういえば【誰が麻雀界をつぶすのか】という本の中で、荒さんの昔の面白いエピソードが載っていた。
そのエピソードを見て、著者の黒木さんに“どうやったら荒さんの魅力を引き出せるか?”と聞いたところ、
「特別なことをする必要はない。普通にインタビューすれば大丈夫だよ」
とアドバイスをいただいた。
実際、1つ質問をすると10で返してくれるので、ものの数分のインタビューであっても、この記事を完成させられるくらいの回答をしてくださった。
(実際は私が色々な雑談や牌姿の話を聞いてしまい、早くは終わらなかったのだが‥)
そのインタビュー中で一番印象的だったのが、親リーチの一発目にドラが来なくてもいいよねーと笑っている荒さんだ。
荒さんのようなレジェンド雀士でも、そういうこと思って、感じて、闘ってるんだなぁとほっこりした気持ちになった。
荒さんの昔のほっこりエピソードは黒木さんの本にも載っていたので、そちらも気になる方は読んでいただけたらと思う。
以上!荒正義プロへの、天空麻雀24優勝インタビューでした。
本当におめでとうございます♪
ここまで読んでくださった皆様ありがとうございました。
(文:松田彩花)