第73回『麻雀で勝つとは!?』
2013年01月15日
いきなりですが、皆様、明けましておめでとうございます。
年も変わって、今年最初の公式戦はプロリーグの最終節。
この、中級講座が連盟のホームページにアップされる頃には、既に終わっているでしょう。
自身が闘っているA2リーグは、全10節の半荘40回の闘い。16人の内、昇級は2名。降級は4名。
6節終わった段階の成績から、今期の目標はほぼ残留だなと思い、前回の9節に大きく浮くことができた為、ほぼ降級はなくなりました。
A2リーグで2年間闘ってきた訳ですが、今回はこれまでリーグ戦を闘ってみて、また、様々なタイトル戦を観て、闘い方の面でいわゆるフリーの麻雀とは違うと思った点を、自分なりの解釈でまとめていきたいと思います。
まず、一般的に、麻雀での「勝ち」とは何を指しているのか。
「半荘1回、このゲームでトップをとること」としている人もいるだろうし、「その日1日トータルでの戦績」としている人もいるだろう。
ただ、麻雀というゲームの性質上、長いスパンで考えなくてはいけないし、長期間で成績を残しているという人は間違いのない強者であるといえる。
その人の実力を量るためには、一般的に最低1,000半荘以上は必要と言われているが(その間にその人の雀力も変動すると思うが)、例えば1,000半荘打って、平均順位が上の人が「勝ち」という勝負があるとすれば、その局面において最も得と思われる打牌をすることが「勝ち」に繋がると言える。
少し説明が難しいが、ある局面において、選択Aは、打てばその半荘の期待値が最も高くなるだろうと予測できる平均点70点の打牌。選択Bは、Aには期待値がおとる平均50点の打牌だが、良い方向に転べば100点にも成り得るという、2つの選択があったとき、長いスパンで見るほどAを選択することが好結果に繋がりやすいと思われる。
もう少し分かりやすく説明する為に、少し牌姿と、点棒状況を簡単な例に出してみる。
ルールは、ロンロンのリーチバトルルール。赤、一発、裏あり、オカなし。
順位点は、1位+20,000点、2位+10,000点、3位、▲10,000点、4位▲20,000点。
オーラスを迎えて、自分が親番で2着目の24,000点持ち。
トップ目は38,000点持ちで、3着目は19,500点持ち、4着目は18,500点持ち。
自分の牌姿は、
ドラ
7巡目にトップ目からリーチが入る。現物はとの2種類。
自分は、親の満貫をツモればトップになることができるが、手牌の速度も見合っていなく、更にこの点棒状況下では放銃すると3着目以下におちる可能性も高く、順位点も2位から3位になるだけで20,000点も違うため、オリにまわるのが最も得な選択といえるだろう。
様は、このオリにまわるのがこの局面での選択Aということになる。
選択Bは、この局面ではリスクの方が高いが、1位の順位点を獲得する為に、オリずにアガリに向かうという選択のことである。
さて、上には長いスパンで見るほどAを選択するべき、と書いたが、リーグ戦や半荘数回のタイトル戦、または大会ではどうだろうか?
A2リーグなら半荘40回で16人の内上位2名に入らなければならない。
この狭き門を通過する為には、常にAを選択するのではダメなのだろう。
半荘1回で見た最も得な打牌と、昇級する為の打牌とは、やはり違う様に思えてならない。
例え成績のブレる幅が大きくても、2位以上が勝ち、それ以外は負け(残留ももちろん大切だが)とするならそちらを選択しなければならない局面もあるハズだ。
前原プロが、現在A2のレポートを担当しているが、以前、
『昇級するためには圧倒的な膂力(りょりょく)、脚力が必要だと考えているところがある。』
と記していたが、上に記した様な考えも含まれているのではないか、と思う。
例えば、前回の中級講座で記した手牌。
上家が3フーロで、ほぼ1,000点のテンパイ確実な仕掛け、対して自分が子方で牌姿が、
ドラがのケースだが、前回は相手の速度に合わせて、チーして3,900点のテンパイにとるのも悪くないのではないか、と記したが、これが半荘1回の勝負や、数回でのトータルポイントで優勝しか意味を成さないものとしたら、ほぼ鳴くべきではないと思っている。
鳴いた方が「この一局」で見れば得なのかもしれないが、「優勝する」という観点から見れば鳴かない方がより良い選択に思える。
上に記した様な選択、これが格段に上手いと私自身が思っているのが、現十段・瀬戸熊直樹プロである。
近年のタイトル戦での優勝率や、テレビやニコニコ生放送での短期の勝率は異常である。
経験も豊富なので勝負勘に優れているという見方もあるが、もう少し論理的に私見を交えて話してしまうが、上に記した「B」を選択する局面が非常に上手いのではないかと考えている。
視聴者やプロでさえも、瀬戸熊プロの攻めた時の打牌には「え!?」となることも多いのではないかと思う。
ただそれは、「優勝する確率を上げる為の一打」となっていることが多い、と私は思う。
瀬戸熊プロはいわゆる「体勢」や「状態」というものを意識して打っていると思うが、今の私にはそれを理解する力もないので、瀬戸熊プロがどの様に考えて打牌しているか全てを伝えることはできない。
だが、頭の中で優勝という目的の為の緻密な計算をしていることは間違いないだろう。
私が今回の講座を通して言いたかったのは、大会などの短期決戦で結果を出す為に、普段よりラフな打牌をしろ、といっているのではない。
その一局面だけでなく、もっとマクロな視点から(得な)打牌を考えるべきではないか、ということである。
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