上級/第91回『態勢論の捉え方』 猿川 真寿
2014年07月22日
201407上級講座:猿川真寿
今章は自然論の続き。
「場に合わせた自然」と「態勢的な自然」について。
今回は「態勢論の捉え方」について書かせていただく。
「態勢論の捉え方」、一言でいうと、点と点を繋いで線にする。
ということになるだろうか?
局と局は繋がりがあるように、荘と荘も繋がっている。
最終的には、点と点を繋いで線にしたものを、さらに線と線を繋いでいき円にするのが目的である。
円というのは所謂、心・技・体。麻雀技術外のことも含まれている。
より強い円を作ることの出来る者が、強者になると推論している。
1日の1局目の態勢は、当たり前ながら誰にも分からないものである。
まず最初にやるべき事は、自分の態勢(運気)を測る。
自分の態勢を測ったところで一番大事な事。
態勢が良い人とどうやって戦うか?そして悪い人とどうやって戦うか?という戦略を練るのだ。
これは、AⅠリーグ第2節の自戦記から引用したものである。
1回戦東1局、南家の沢崎から4巡目にリーチがかかる。
ドラ
同巡の私の牌姿は
ツモ
こうでとりあえず筋のを切った。
次巡のツモが現物ので助かった。現物がこなかった場合とが2枚ずつ見えていたことから、私はを選択しようと思っていたからである。
その後は、親の古川がそれなりに押していたという事もあり、安牌に困ることもなく無事に流局で終わった。
流局後、開かれた沢崎の手牌は、
こうであった。
牌姿を見て私が感ずる点は2つ。
1つはまっすぐ打つと今日も負けるなという事と、展開はいいなという事。
局を傍観している際、私はだいたいこのように思考する。
最後の、”展開はいいな”は書きすぎの感があると、今読みかえして思ったので訂正しておこう。
展開は悪くない。
ならば、展開がいいとはどういう時かと問われれば、この局に関して言えば、私の手牌に安牌がたくさんあって、古川が放銃で終わった場合である。
理由は、手がぶつかっていなく、放銃の可能性が極めて低いということだ。
実際は、古川が仕掛けを入れていたので、展開がいいになるかは分からないが・・・
面前対決であったら、展開がいいと確信したい。
そして『仕掛け(鳴き)』が、今章の1番大事な所になる。
局が進んで仕掛けが入った場合、考えるべきことは以下の4つとなる。
鳴いた人は牌姿的に自然なのか?
鳴いた人は態勢的に自然なのか?
切った人は牌姿的に自然なのか?
切った人は態勢的に自然なのか?
流局で2人テンパイと他家のアガリがあった場合を除けば、鳴いた人か切った人の片方の手牌しか見えないのである。
見えない部分は、読みで相手の手牌を推理せざるを得ない。
実戦牌譜で説明すると・・・
分かりやすくするために、持点=態勢値という設定にさせていただく。
今、北家が切ったを西家がポンをして打をしたところである。
この局を南家視点で、さきほどの4つを考えてみたいと思う。
鳴いた人は牌姿的に自然なのか?
の両面タ―ツ落としからマンズのホンイツは濃厚。
ドラがということもあり、打点的にも仕掛けは自然そうに思える。
鳴いた人は態勢的に自然なのか?
4番走者ということを考えると、本手は空振りに終わりそうだなと感じてしまう。
両面タ―ツを払う必要が本当にあったのか?
この後の打牌と結果で決めたいところである。
切った人は牌姿的に自然なのか?
ドラは自分の手になく、誰が持っていてもおかしくない。
打点は読めないが、その後の手出しでそれなりに手が進んでる確率は高いと言える。
現時点では自然かどうかは不明。
切った人は態勢的に自然なのか?
そこまで離れていない3番走者ということを考慮すると、ある程度真っ直ぐいっても問題ないと思うが、北家がホンイツだと想定すれば、鳴かれる可能性は東家より高いはずなので、親落としの可能性もあると推測する。
終局牌譜を見て感じる事は、2人がかりでも止めれない程に態勢に差が開いてしまっていると思わせられてしまう。
この半荘は、上家には逆らわずケガしないように終わらせようと考える。
逆に、下家はアガリ逃しがあるだけに、バランスを崩しているように見える為、しばらくノーマークで良さそう。
ではもう1局の終局牌譜をみてみましょう。
今回も持ち点=態勢と考えて、トップ走者の目から考えたいと思う。
東家が4巡目に、7巡目にを仕掛けている。
捨て牌からみるに、ホンイツかトイトイもしくはドラを持っていそうな本手の見込みが非常に高い。
一鳴きは牌姿的に自然だと思われるが、態勢的に空振りそうだなと感じる。
8巡目に西家からリーチが入った。
ここは2人で戦わせておくのが、普通の選択であろう。
そして、西家のアガリ形と河を見ていただきたい。
3巡目にメンツを崩した可能性が高い。
メンツ手で手を組んでいると1シャンテンである。
からの待ち替えもあるが、前巡ののツモ切りが腑に落ちない。
態勢のいい人のこういうアガリは、自ら不自然にしてしまいその後の展開を変えてしまうアガリになることが多々あるが、今局の場合、3番手のいいアガリなので、もう少し波乱がありそうだなと感じてしまう。
ご覧の様に私は、1局1局を観察することによって、勝負どころを決めている。
次回は「態勢的な打ち方」をお送りします。
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