第135回『勝負の感性⑤~親の感性~』 荒 正義
2018年08月23日
1・先制攻撃
第1戦の東の1局の親番。その日の運も手探りの状態。7巡目にテンパイが入ったが、どう打つ?なお、場は無風状態である。
ツモ ドラ
戦い方は人それぞれだが、親番だけにリーチもOK。
(親の河)
これは連盟公式ルール(一発・裏なし)とWRCルールに限らずリーチがある。
ドラのの出が期待できなくても、場の主導権を握りツモに期待。
公式ルールなら2,000点オールで打点が大きいし、WRCルールなら引いて裏ドラ1つで4,000点オールが見込めるからである。
もちろん、散家の反撃もある。追いかけリーチを食らえば、分が悪い。親に向かうからには、相手は受けが良くて打点があると想定できるからである。
しかし、一方でこういう予測も成り立つ。散家も直線的に攻めてくるわけではない。安全そうな牌を選び、迂回しながら前に出る。相手は親だから用心だ。その間に、無筋の危険牌を2牌掴めばオリである。
ご承知の通り、麻雀はロン牌よりも通る牌の方が圧倒的に多いのだ。となればこの後、親の一人旅になる可能性が高いのだ。
このリーチが多いのが、チームがらくたの前原雄大とヒサトである。先制リーチで相手に圧力をかけ、相手の手を曲げる。そのため相手のアガリ逃しが出る。
そして彼らは、流局間際にドラのをツモリ高笑いするのである。
しかしこのリーチ、散家でかけるようでは負け組である。散家のリーチなら圧力は半減だし、手が良ければ相手は向かってくる。当然、親も来る。だから脅しは通じない。愚形の先制リーチは、親番だけに許される特権なのだ。
では、ツモがではなくと来た場合はどうか―。
ツモ ドラ
ここでも先制リーチはありだが、他にも手段がある。
567の三色が見えるから、落としが目に入る。
理想のテンパイはこれである。
これならテンパイ即リーチで、ツモで文句なしの跳満だ。裏目は打後のツモだが、それでもこうだ。
待ちのはドラの指示牌で苦しい受けだが、アガリ逃しのフォローになっている。私の感性はツモがなら、打である。
では、打後のツモがの場合はどうか。
公式ルールなら、親でもヤミテン。一度アガって、次の手を待つのだ。WRCルールなら一発と裏ドラ狙いで、即リーチが正しい応手だ。
だが、公式ルールでもツモが利けば、リーチがある。ツモがのときである。
これなら、打点ができたのでリーチだ。出て5,800点、ツモで2,600点オールなら十分と見る。
先制リーチは状況を見ることが肝心。運や点棒の動きの少ない場面なら、効果がある。しかし、3回戦になって運に開きが出た場合は、話は別だ。親のこれまでの着順が3着・4着。しかも、そのラスが大きく沈んだ場合の脅しは利かない。親でも、リーチでも利いてはくれない。
ドラ
(親の河)
この時、西家は2着・1着で昇り調子。手もいい。
この手ならオリは考えられない。ここから予想されるテンパイ形はこうだ。
こんな追いかけリーチを食らったら、親に勝ち目はない。
ドラのを重ねてもこう。
運の高低の差が出ると、このパターンがよくある。好調の西家は、親のロン牌のが出る流れにならない。3回戦で愚形の親の先制リーチが成功する場合は、2着、1着のときか1着、1着とき来た場合のときである。これなら怖い親と見て、そう簡単に向かって来ないと想定ができる。
2・親の勝負手
麻雀は、親番と散家で打ち方は変わる。いや、変えて打つことが肝心。
7巡目に南家からリーチが入る。麻雀は始まったばかりで、点棒の動きが少ない場面だ。
(南家の河)ドラ
河はピンフ系で、待ちも絞れないし打点も分からない。このとき、親の手がこうだ。
次に追いかけようとツモルと。
こんなとき、手拍子で「ツモ!」となるのが実戦心理だ。リーチ棒付きの1,000点オールである。ラッキーなアガリに見えるが、勝負はこんなことでは決まらない。リーチがかかっていようが、親の手は稀に見るチャンス手なのだ。
ここは切りリーチの勝負手がある。
フリテンだがを引けば6,000点オールだ。危険だが、やってみる価値はある。ツモなら、この半荘の勝負は一瞬で決まるのだ。この回、この一発運をわしづかみできたなら、次の半荘もトップ濃厚である。これが親の勝負手である。
親なら、これも同形の勝負手。
ツモ ドラ
切りのフリテンリーチを行くか、いかないかである。こんなときは山読みが大事だ。
このとき3者の河がこうだ。
(南家の河)
(西家の河)
(北家の河)
河から、南家はマンズの染め手。西家はピンズの染め手は一目瞭然。となれば、は持っていないと読める。北家はタンピン形だが、7巡目の切りから、手の内にはなさそうだ。ならば3枚生き、賭けてみる価値は大いにある。
高目ツモで決めたら8,000点オールだ。振りテンリーチで高めの追求、これが親の勝負手である。
3・打牌の強弱
東3局の親番の7巡目。西家にリーチが入ったがどう打つ?
なお場は、まだ点棒の動きの少ない状況である。
(西家の河)ドラ
(東家の手)
ツモ
一発、裏なしの公式ルールなら。WRCルールなら取りあえず現物の。
―これでは話にならない。親の手は、タンピン形で345の三色があるチャンス手なのだ。ここは戦って、勝つ姿勢が大事。ここは切りか、切りの一手である。(私の雀風は切り)
切りから導き出される、理想のテンパイ形はこうだ。かを引けばこう。
また、マンズが伸びたらこうだ。(先に切りでも、この変化は残る)
三色は消えるがこれでもいい。
先に切りならこうだ。
親の一手先の変化図は、無限に近い勝負手。だからこの手にオリはない。一発を避ける切りも悪手である。では、打後に初物のドラのを掴んだらどうか。
ツモ
考えることはない。要らない牌は、すべてツモ切りである。行くと決めたら、とことん前に出るのだ。麻雀は放銃するより、打たずしてアガリを逃す方が罪が深いのだ。
ここでオリの選択は南場の親で(南3局)、2番手に2万点以上離したトップ目のときだけである。それなら話は分かる。これが、親の打牌の強弱である。
以下次号
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