第93回『態勢的な打ち方②』 猿川 真寿
2014年09月16日
前回の続きになります。
残りの2者の打ち方について考えてみる。
3番手の配牌。
ドラ
いい配牌なので少し考察してみたいと思う
実際の第一ツモはだったが、仮にツモとした場合、Aルールにおいて、実に悩ましい手である。チャンタにするか、真っ直ぐアガリを目指すかの選択はどちらも自然だからである。
ドラがなければチャンタにするほうが自然。がだとしたら、さらに難しくなる。
私はこういう判断をするときに、態勢で決める。
態勢がいいときは、アガリ逃しが緩手になりやすく、隙になりやすいので、から打ち出す。
逆に悪いときは、速度的に不安があるのでのトイツ落としで、急速な場の変化をつけないようにする。
3番手のときはどうであろうか?
持ち点=態勢値とするならば、そこまでの差はないように思える。
TV対局のような短期決戦であれば、アガリ逃しは緩手。
リーグ戦ならほぼ切り。
タ―ツの形が弱いので、役牌を鳴かれた時の対応が難しくなる。
ではなくであったのなら、とりあえずを切っては手牌の進行具合で手放すタイミングを計ることになりそうだ。
が重なって、手牌が大分引き締まったが、ここもかなり難しい選択。
打牌候補は、、だろうか?
態勢が4人の中で1番悪ければ、私なら受けに徹した切りをしてもいいと思える。
上家の切りを見て、局のテーマで打牌が決まりそうだ。
言えることは、態勢のいい親にたいしてを切りやすくなった事と、を切らずに済んだという事で、展開は悪くないと感じる。
の仕掛けが入って一気に中盤になった。
ここは自分も前に出て、態勢のいい親を落としにかかる。
親がテンパイしたなと感じるぐらいまでは押していい。
いかに態勢のいい人を楽に打たせないところが大事なのである。
4着目からリーチが入った。
下家が仕掛けているのにも関わらず、真っ直ぐテンパイを目指してきているので好形か打点があるというところだろう。
態勢的にはアガれなさそうに感じるが、仕掛け者の手出し牌の回数が多いので、奇襲の可能性が高い。
よって、4着目のアガリを誘発しているかもしれないので注意は必要になる。
加えてこの後で大事なことは1番手の動向である。
真っ直ぐ立ち向かわれてアガリを取られた場合は、2人がかりでも止めれない程の態勢の差がついているので、その後の戦い方に更なるマークが必要になる。
最後に4番手について考えてみよう。
配牌は
ドラ
ドラのカンがネックではあるが、自風のが暗刻でかなりの好配牌。
満貫級のアガリが見込めるので、なんとかものにしたいところ。
下家から仕掛けが入ったが、このツモで好形テンパイになる可能性が出たので、ここは真っ直ぐいく。
仮にが出たとしても仕掛けるのはお勧めしない。
態勢や展開が悪いとどうしても焦って、一度アガリを拾いに行きたくなるが、本当にどうしても落としたい親や高い手を張っている気配がある時ならばその選択もアリだとは思うが。
しかしそれでも、結局次に繋がるアガリにならなそうなので微妙かもしれない。
エネルギーの無駄遣いになりそうだ。
エネルギーは基本、遣うものではなく、遣わせるものであるのだから。
順調にツモがきいてテンパイが入った。
待ちがいい理由は1つもないが、ドラでの放銃がないのでリーチといくのが自然であろう。
ただ、弱気に映るかもしれないが、態勢が悪いのでヤミテンの選択も十分ある。
Aルールにおいて、絶対にリーチという局面は極めて少ない。
今回のケースは、仕掛けが入ったことが後押しするので、私もリーチという選択にすると思う。
これで、4者の態勢別の打ち方というよりかは考え方になってしまったが、なんとなくお分かりいただけたであろうか?
最後に終局図を見てみる。
3番手の北家が仕掛けとリーチを無理なくうまくかわした。
俗に言ういいアガリであろう。態勢が上がるというよりは展開が向いてきたという印象。
西家は親落としがテーマの奇襲だったので成功ということになる。
しかし、考えてみてほしい。
この局、誰が1番得をしたのだろうか・・・?
私には態勢のいい東家にしか思えない。
全くアガレそうにない局が、最小限のリスクだけで終わってしまったのである。
態勢がいい=手が入るわけではない。
エネルギーを無駄に遣わない展開になるから、態勢がいいのだ。
今回の牌譜は、タイトル戦の途中の局から引用したので、当然そこまでのポイントもふまえた麻雀になっている。
よってリーグ戦での打牌とは異なるのは仕方が無い。
決して選手たちの揚げ足を取りたいわけではないのでご了承頂きたい。
次回は「最終話 復習問題」です。
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