第126回『字牌』 沢崎 誠
2017年11月28日
201711上級講座:沢崎誠
「字牌」
今回のテーマは字牌です。7種類の字牌ですが、自分が使用するには便利で高打点に繋がる事が多いですが、逆に放銃にまわると痛い目にあう厄介な牌です。
麻雀を覚えたての頃、周りの人達に言われたのがと有ったら切らない方が良い!そう教えられた覚えがあります。卓に座ればいつもアガリを目指しますから、それも忘れて自由に打ちましたけど・・。
そこで早速ですが問題です。
問1
この三元牌を三巡連続で捨牌したいと思います。左→中→右の順に打牌します。どの選択でしょうか?
A
B
C
D その他
問2
風牌を四連打の捨て牌をしたいと思います。
出題1と同じ局面で考えます。問1と同様に左→→右の順に打牌します。
A
B
C
D その他
こちらは先日行われた日本シリーズ決勝の最終半荘戦です。ツモで考えているところです。手牌にも有りましたが、第一打は切りです。どうして切りなのでしょうね?
現在、麻雀のタイトル戦はたくさん有りますしその観戦はスマホやパソコン・自宅でのタイムシフト観戦と気軽に勉強できるようになりました。良い時代ですね。
連盟の初期時代、決勝戦の対局は沢山観戦に行きました。誰かの応援というのも有ったのでしょうが、一番の目的は人の技を盗むことでした。誰が優勝したとか、何をアガったとかはあまり興味がありませんでした。技とは人の思考です、考え方・ものの見方と思います。たくさんの人の技を得ると同時に新たな発見のように思えた事もありました。その一つに字牌の切り出しが有ります。
上の画像は東1局と始まったばかりですが、切り以外の打牌は自分のなかではミスと言えます。
それは自分の手牌や他家の捨牌・手役を考えて自分の打牌を選択しているのではないという事です。見たいのは・・相手の運です!
今どのくらいの運なのか?この先の運も感じられるようなら闘いも組みやすくなるのでしょう。
上の状況で優勝争いをしているのは北家です。この状況では最もマークが必要なのだと思います。
仮にの順番で外したとして、北家に2巡目にをトイツにされて3巡目にをポンされてのアシストでドラ3でもアガられるなら・・勝負の雲行きは怪しくなるのでしょう。
過去のタイトル戦の最終戦、ラス前・オーラスでこの第一打切りをせずに接戦を逆転されタイトルを落とした人を何人か見ています。字牌は自分の手牌の価値で考えるだけではなく、対戦者の字牌の必要性も考えていかなければならないと思います。
連風牌と言えばダブ・ダブですね。2翻役と魅力的ですが、特にアガれば連荘のダブは破壊力満点です。このダブをいつ切るか?悩む打ち手は多いと思います。
配牌から1牌持って手恰好が出来てから放つ人。持ち過ぎてタンピン三色テンパイでもオリる人。第一打に切る人。
僕は基本的に最初に打牌します。東場の東家が重なる前に打牌するのでしょう?と聞かれる事もありますが、必ずしもそうとは限りません。
殆んどのケースで持っていない・鳴かれないと判断して切り出して第一打に切り出しています。初めの半荘戦は情報が少ないので判断は難しいですが、手牌を広げるという自分のスタイルに向けて第一打切りを行います。
東2局1本場 親は勝又プロです。
6巡目リーチ・8巡目に高めツモの2,600オールは2,700オール。
ツモ
親の連荘中です。第一打にダブとしていますが、何も危険は感じていません。
累計得点の自分との比較、それと前局に高めツモながら裏ドラが無い運気を情報として判断します。ダブは並の運気では配牌時の手牌にトイツのケースは少ないと考えています。逆に好調時に対子で有ることが多いと考えます。
この手牌切りからの切りも有るかと思いますが、連風牌の打牌の方がこの手牌の伸びやテーマの局面を進めたい状況に合いそうです。
第34期鳳凰戦~A1リーグ第9節B卓~
こちらはA1リーグ戦です。親の伊藤プロはツモからチーでテンパイ、全員テンパイの連荘となりました。
その次局がこちらです。何を打牌するか?
ここで考えるのは・・前局の14巡目、リャンペーコーを目指す自分の切りによって親の切りを通してしまった事です。本来なら連荘の無い親番で、僕のミスで作られた1局と考えます。
ですからこの親はこの局では運気があると考えます。と言う事は散家の運気が減ったと考えます。ですからがトイツで持たれていても不思議ではありません、自分から切り出してポンとされてはまた運気を差し出すように思えます。ここでの打牌選択は波風を立てぬように切りとしました。この手牌はアガリに向けて進めようとは一切考えない方が良いのでしょう。傍観者のように見しなければならない局と考えます。
この局、この親に逆らってはいけません。この局の9割は親に注目です。
と切り出しています。このは親が外したら切るくらいの感覚がベストに思います。
このように第一打でダブを切らないパターンとして、散家の見逃しとかで連荘とかも同様です。
第34期鳳凰戦~A1リーグ第11節A卓~
先日のリーグ戦、ツモから暗カン・・
嶺上開花ツモ! 跳満。
待ちは悪くても破壊力満点で決まった感のあるアガリの次局は第一打にの打牌をしない事が基本です。それでも誰かが打牌してポンと動かれたら・・親のアガリ決着と見込んで完全に受けの意識で局を進めることが大事です。
ダブ、南場のであっても連荘というゲーム性を考えるとの打ち出しは第一打・同巡の合わせ打ち・テンパイ切りくらいが良いのでしょう。どこで打ち出すかは自分で色々な局面の中で試して経験を積み重ねて自分なりのスタイルを会得するのがベストに思います。
そう言えば最初の問題でしたね、僕はこう考えます。
問1
D その他
3種類目のから・・→親の現物の順ですね。
は何処に有るかわかりません。動かれてもよいですからこのを手放します。持ち点のある親の現物を残して先に切りとしました。
問2
D その他
親はトップ目とはいえ僅差、ここはちょっと無視して切りから。自分の風牌を大事に持つ人が多いようですから、トイツになるのも巡目が過ぎた方が重なりやすい。遅い巡目に上家が動いてくれた方がツモの価値も高いとみます。
そんな訳で→→→と考えました。手牌にドラが3つ有ったら?
→→→になりそうです。基本面前で手牌を伸ばす事を優先すれば9割方Dのになります。
三元牌はいつもの順番で切る人はいませんよね?その切りは狙われやすいですよ!ご注意を。
ダブは第一打に切るべし!!
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