第89回:西島一彦
2014年06月19日
初めて投稿させていただきます、19期生の西島一彦です。
簡単に自己紹介しますと、私は1946年生まれの67歳、血液型はAB型の乙女座です。
趣味は、旅行、読書、将棋。数年前までは、テニス、ゴルフ、スキーでしたが、怪我をする前に妻にやめさせられました(笑)
55歳まで商社に勤務しており、国内外の営業を担当し、アメリカのサンフランシスコに7年ほど駐在していました。当時、サンフランシスコに雀荘は無く、日本料理店の別室か駐在員の自宅で麻雀をやっていましたが、当然自動卓ではなく、手積みでジャラジャラ、ポン、チーでした。
60カ国以上の国を出張や旅行で訪問し、ほとんどすべての国のカジノ等でゲームを体験しましたが、最も面白く、楽しかったのは麻雀でした。
大学1年生の時に覚えてから約半世紀。学生仲間、仕事仲間、取引先との接待麻雀とどれも楽しい思い出ばかりですが、アメリカから帰国後、プロ団体の存在を知り、この道の世界に強く興味を持つようになりました。その後、会社で早期退職募集があり、絶好の機会と思い、準定年退職をし、翌年日本プロ麻雀連盟の試験を受けギリギリで合格しました。
当時の面接で、試験官の伊藤優孝副会長から「何故その年になってから、わざわざ厳しい業界を目指すのですか」との質問を受け、こうお答えした憶えがあります。
「私にとって世界一面白いと思われるこのゲームをもっと深く探求したい。このゲームの素晴らしさをできるだけ多くの人に伝え楽しんでもらいたい。麻雀のイメージアップのための活動をしたいからです。」
と、ちょっぴり気取った回答をしましたが、今も変わらずその考えで行動しています。
プロの世界に入って、初めての公式戦に参加した時のワクワク、ドキドキ感は今でもはっきり覚えていますが、C3リーグからすぐDリーグに落ち、プロの厳しい洗礼を受けると同時に、技術的レベルの違いを見せつけられました。
リーグ戦で1番嬉しかったのは、C1リーグで優勝しB2に昇級した時でしたが、わずか2期でC1に降級しました。この時に学んだ事は、昇級するのも大変ですが、上位リーグに留まる事の難しさでした。長年、上位リーグに在籍されている皆様の実力と努力は大変素晴らしく、並々ならぬ事です。
次にチャンピオンズリーグの事ですが、ここでの戦いは私にとって最高の勉強の場であります。
タイトル戦以外では、トッププロとAルールで対戦できる唯一の機会だからです。
まだプロになりたての頃、審判で会場を見回っていた瀬戸熊十段位から、対局終了後、色々と貴重なアドバイスを頂き、次に繋げる事が出来ました。(瀬戸熊プロは、きっと私の打ち方をハラハラしてみていたのでしょうね?(笑))
このチャンピオンズリーグで一度だけ決勝に進み、藤原プロ、増田プロ、藤井プロと対局しました。第1戦、第2戦でトップをとり、「これはもしかすると、、、」
と思った第3戦からズルズルと後退し、藤原プロが2度目の優勝に輝きました。
この苦い経験と、藤原プロの一言「西島さん、まだまだ甘いね?(笑)」が今回のマスターズ決勝戦に大きく貢献したのは間違いありません。
さて、今回の麻雀マスターズ全体を通して、最も印象に残った2局を振り返ってみたいと思います。
麻雀マスターズ準決勝 2回戦 東2局 親・西島
この配牌で、安い手なら早くアガれそうでしたが、1回戦、同率3位のスタートの悪いムードを払拭したく、なんとか大きなアガリに結びつけたく、
ツモ
5巡目のピンフをテンパイとらずで、強引に三色を目指しました。
リーチ 一発ツモ
結果は、一発で高目のをツモり6,000オールとなり、勢いをつけ決勝に進出する事ができました。
もう1つは、決勝の最終戦オーラス1本場。
和久津プロがオーラスで4,000オールをツモり、さすがにもうこれまでかと思いました。
しかしながら、満買ツモの条件が残り、それだけを目標に最終局に挑みました。
をツモった瞬間、1ヶ月に渡る長い苦しい戦いが終わった?勝ったんだな?と万感の思いが押し寄せました。
この10年間、いくつものタイトル戦で上位に進むも、どうしても決勝の舞台に上がる事が出来ず、落ち込んでいた時に、私の心に響いた言葉があります。
最後に皆様に、この言葉をご紹介して締めくくりたいと思います。
私の好きな将棋棋士に、米長邦雄氏という人がいました。
永世棋聖で一昨年亡くなられましたが、米長氏の書かれた『運を育てる』という本の中の言葉です。
*「どうせ俺なんて、、、」は勝利の女神が最も嫌う言葉である。
* 全力投球するか否か、どんな心構えで対局に挑むか、「彼女」はじっと見ている。
* いかなる局面においても「自分が絶対に正しい」と思ってはならない。
* 惜福で生きるという謙虚さ。(せきふくとは、福を独り占めせず人にも分け与える事)
* 常に笑いがなければならない。
これらの言葉は、将棋を念頭において書かれたものですが、麻雀はもちろんのこと、すべての勝負事に共通する内容であり、人生の本質を突いている様な気がいたします。
今回、初めて「麻雀マスターズ」というビッグタイトルを手にする事ができ、喜び、感激していますが、この戦いでは筆舌に尽くし難い苦しみや理解できない幸運を数多く経験しました。
今後とも、前述の米長氏の言葉を再度心に刻み、実践し、努力を重ねていきたいと思っています。タイトルをとれたのは、応援していただいた仲間、友人、家族のお陰と心から感謝しています。
本当にありがとうございました。
それでは次のバトンは、連盟チャンネルの天空への道(女性大会)で見事優勝され、エンタメ~テレのレギュラー番組「天空麻雀」に初出演された、井上絵美子プロにお渡ししたいと思います。
井上プロよろしくお願いします。
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