特集企画/天鳳位vs.連盟プロ対抗戦 2nd season 第3節レポート:ケネス徳田
2017年03月17日
~ルールの相違点の対応~
麻雀は基本頭を使うものと思いがちだが、身体で打つ「慣れ」の部分も大きい。例えばターツ選択や押し引きなどは頭、不要牌を切る、カンチャンをリャンメンに変化させる、など思考を入れず条件反射で行える部分は身体が担っているといえる。その身体で打つ部分が多ければ多いほど、「打ち慣れてる」ということになる。
しかしこの「打ち慣れてる」からこそ失敗するパターンもある。頭ではルールの違いを把握していたとしても、条件反射の部分でついいつものルールと同じ選択をしてしまう事がある。今節は天鳳勢にとってそういった皮肉な結果が目立った。
例えば11回戦南2局4本場、かにマジンさんの手牌。をポンしてとカンのイーシャンテン。不要牌でを浮かしているところに4枚目の。
一発裏ドラカンドラありルールならばとりあえず加カンせず安全牌として持っておき、カンの方を先に引いてリャンメン待ちなら加カン…という打ち手が多いだろう。
勿論かにマジンさんもその選択、を加カンせずに打とした。
しかし一発裏ドラ無しルールならば…を好形変化の種として持っている以上はを加カンが攻めの手筋である。
だが結果は…これが大成功を収める。をツモってテンパイからの加カン、するとリンシャン牌のでツモアガリ。
加カン リンシャンツモ ドラ
唯一の満貫の手順となったわけである。
~点棒=エネルギー?~
通常の麻雀が順位戦とするならば、プロ連盟のルールは素点麻雀。普通の麻雀と違い「勝っているところからさらに得点を伸ばす」のが勝つ秘訣というのは前回のレポートでも記したとおりである。
逆に負けている場合、普通の麻雀ならばせめて1順位でも上の順位、あるいは満貫クラスなら…というのがセオリーなのだが、このルールでは「これ以上の失点を防ぐ」のが望ましい考え方である。
30000点を原点として、浮きで終わればプラスの順位点、沈みで終わればマイナスの順位点がこのルールの特徴。
「沈んでいた場合、浮きを狙って大きく狙えばいいんでしょ」…このルールを打ち慣れていない人はそう考えがちである。おそらくこのルールの強者であるほど、沈んている時こそ慎重にこれ以上失点を増やさない打ち方を選ぶ。
例えば11回戦東4局2本場、ここまで独歩さんが1人苦しい戦いを強いられている。とそこに東家・前田直哉プロから8巡目に先制リーチ。
独歩さんが安全牌を切りつつツモでテンパイが入る。打で高目タンピンイーペーコー。普通なら追っかけリーチで挽回したい気持ちになるが…このルールではこれが罠。独歩さんもをツモった時の手つきに躊躇が見られた。おそらく心中は「行きたくない、けどこの形でテンパイしたからには…」という葛藤があったと思う。結果このが前田に11600の放銃となってしまう。
ロン ドラ
普通のルールならば順位点が大きいため接戦のラスも大きいラスもそこまで差はない。しかしこのルールは順位点が大きくないため、ある程度の失点、浮きが見込めないところまで落ちたら、今度は徹底的に失点を避けるべきなのである。
テンパイとイーシャンテンは大違いとよく言われるが、テンパイとアガリもそれこそ大違い。むしろ「テンパイだから」という理由で危険牌を切らざるを得なくなり、さらに傷を広げる結果となることが多い。
この半荘も南場の独歩さんが…
さらに傷を広げ、そしてこの南家・前田のリーチにで放銃してしまう。
ロン
もちろんこの状況では安全牌がそこまでないため切りになるだろう。しかしこれも「親番でイーシャンテンだから」という理由で打たされた牌である。
プロ連盟のルールでは「ラスを受け入れる」という考え方がある。順位点がそれほど大きくないため、ラスであってもこれ以上失点しないようにする作戦である。
このルールに精通していれば、手を組まないで極力安全牌を残しながら進めて、おそらく放銃は免れていただろう。
皮肉にも攻撃力のある独歩さんだからこそ、逆に傷を深くしてしまったのかもしれない。
~止めてもまた来る当たり牌~
12回戦のすずめクレイジーさんもだいぶ苦戦を強いられた。東1局に11600を放銃しじわりじわりと削られ
カンでテンパイしているところに5巡目、東家・前田プロのリーチが入る。
このツモで…すずめクレイジーさんは打でテンパイくずし。も通っていないのだが、マンズを厚く持っての反撃を考えたのである。
実はこのは見事に前田プロの当たり牌。
ドラ リーチ
回ったすずめクレイジーさん。12巡目で
ツモ ドラ
高目イーペーコーがついて切りで追いかける。反撃ののろしを上げたいところだが…一度止めたをもう一度掴んでしまい3900の放銃。
持ち点が少ないほどアガリも遠のくのがこのルールの不思議な点である。
~一方どん底からの生還も!?~
13回戦ではASAPINさんも泥沼に。東4局4本場で8300点まで減らされたが…このテンパイ
ポン ポン ポン ドラ
そして連荘中の勝又プロからハネ満直撃。
この起死回生のアガリからなんと31700の浮きまで回復する。これ以上のマイナスは背負えないだけに、ここでの踏ん張りは値千金。
予選成績
順位 | 名前 | 合計 |
---|---|---|
1 | 勝又健志 | 85.7 |
2 |
就活生@川村軍団 (9代目天鳳位) |
79.1 |
3 | 前原雄大 | 67.1 |
4 | 瀬戸熊直樹 | 2.7 |
5 | 前田直哉 | ▲ 5.2 |
6 |
かにマジン (8代目天鳳位) |
▲ 18.1 |
7 |
すずめクレイジー (4代目天鳳位) |
▲ 23.8 |
8 |
ASAPIN (初代・11代目天鳳位) |
▲ 45.9 |
9 | 藤崎智 | ▲ 49.0 |
10 |
独歩 (3代目天鳳位) |
▲ 93.6 |
第3節で大きく稼いだ勝又プロが首位に。逆にやはり11回戦での負けが響いた独歩さんが最下位に転落。残る予選1節で挽回できるか!?
【スケジュール】
放送予定 3/20 13:00~
天鳳位vs.連盟プロ 2nd season第4節
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プレーオフ:4月15日(土)
決勝戦 :5月 4日(木)
カテゴリ:対局番組レポート