第35期十段戦 ベスト8B卓レポート 前田 直哉
2018年08月17日
第35期十段戦準決勝B卓レポート:前田直哉
十段戦ベスト8B卓に勝ち上がった選手はこの4名である。
現鳳凰位前原雄大
現マスターズ沢崎誠
A1リーガー内川幸太郎
昨年の決勝進出者青山めぐみ
以上の4名で決勝への2枚の切符をかけた戦いが始まった。
1回戦(起家から、沢崎・前原・青山・内川)
東1局1本場いきなり4者のぶつかり合いとなる。まずは内川が仕掛けてテンパイ。
チー ドラ
そこへ前原もツモり三暗刻のテンパイを入れてリーチとする。
リーチ
ここにをチーして親の沢崎も参戦する。
チー
更に青山も追いつき負けじとリーチ!
リーチ
これで4人テンパイ、ここを制するかどうかで今日の調子の判断材料になりそうである。結果は内川がをツモり1,000・2,000のアガリとなった。これは内川にとってかなり感触の良いアガリとなったであろう。
東2局は青山が1,000・2,000をアガリ、まずはホッとしたことだろう。昨年決勝に残っているとはいえ、きっとこの3人を相手にするのはかなりのプレッシャーを感じているに違いない。
南2局には親の前原が仕掛けて5,800をアガる。
ポン ロン ドラ
これを機に前原が1,500、1,500、と立て続けにアガリいつの間にかトップ目にたっていた。次局はなんとか沢崎がかわして、南3局に内川がこの形になった。
ドラ
切りならタンピンイーペーコーだが、を切って高目三色に構える手もある。しばらく考え切りのリーチとした。すると沢崎もテンパイを入れリーチ!
リーチ
ここも内川が安目ではあったがをツモる。
そして迎えたオーラス、沢崎がアガれば浮きの1,300のテンパイを外してトップを狙いにいく!だが狙いは思うようにはいかず、最後は前原がアガって終局した。
1回戦成績
内川+14.6P 前原+8.4P 沢崎▲5.2P 青山▲17.8P
2回戦(起家から、青山・沢崎・前原・内川)
東2局、最初にテンパイしたのは前原。好形変化を待つが、その間に親の沢崎にもテンパイが入りドラを切ってヤミテンに構える。
ドラ
すると前原も最良では無かったが好形になりリーチとする。
リーチ
これに何事も無かったようにドラを切る沢崎。もう一歩も引かない構えだ。これに1シャンテンだった青山がを切って沢崎のアガリとなった。続く1本場、今度は沢崎が今度はドラ表示牌のから仕掛けていく。
チー ドラ
これを受けて前原がリーチとする。
リーチ
打点こそ無いが親番までに自らの流れに持っていきたいところだろう。そして更に内川もテンパイを入れる。
ドラドラの勝負手だがが2枚切れの為に一旦ヤミテンにする。そして次巡、内川の切ったをポンして沢崎もテンパイ。更に今度は内川もを持ってきて高目跳満のリーチといった!
枚数的にはほぼ互角であったが、ここは沢崎がをツモって相手のチャンス手を潰していく。沢崎の親が流れて東3局、親番は前原。ここでいきなり沢崎が動き出す。
ポン ドラ
ちなみに沢崎は北家、タンヤオと役牌の重なり、トイトイ等が考えられるがまさに良い子は真似しないでくださいね!とういう典型である(笑)
だがこの仕掛けを見て、よほど前原の親を警戒しているのだと感じてとれる。この後を重ねてをポンしてすぐにをツモったのだ。をポンしてからわずか4巡の出来事だった。打点こそ無いがこういう仕掛けが成功しているときの沢崎は負けるイメージが湧かない。
そして次局また沢崎が仕掛ける。
ポン ドラ
なんと今度は大三元の見える超本手である!そしてすぐにも鳴けて大三元テンパイ。内川も好形の1シャンテンになった為、あっさりとを切ったがさすがに今度の捨て牌は本手だと感じテンパイをするもヤミテンとした。結果ここは流局。
ここまで終始受けにまわっていた青山だったが、南1局の親番でようやく高打点のテンパイが入りリーチといく。
暗カン リーチ ドラ
これを受けここまでトップ目の沢崎にもテンパイが入ってしまう。たぶん感覚的に行く気持ちはあまり無かったように私は思えたが、この形になってしまったら行くしかない。
このが出て青山にとって大きな12,000となった。次局は沢崎がきっちりと流すが今度は前原が沢崎から5,800。
チー ドラ
かなり出入りの激しい半荘だったがオーラスを迎え、沢崎が頭一つ浮いているが他3者はほぼ並びで全員に浮きもトップもチャンスのある点差であった。
だが最後も沢崎がアガリ1人浮きのトップで終了した。
2回戦成績
沢崎+17.8P 青山▲1.6P 前原▲4.5P 内川▲11.7P
2回戦終了時
沢崎+12.6P 前原+3.9P 内川+2.9P 青山▲19.4P
3回戦(起家から、内川・前原・青山・沢崎)
開局早々親の内川が1,500、2,900と効果的にアガリを重ねていく。青山も受けてはいたがちょっと勿体ない放銃もあり、最後に響いてこなければいいのだが…。だがその青山も東3局で大きなアガリをものにする。
ポン ツモ ドラ
この2,600オールで一歩抜け出す。次局は沢崎が仕掛けて流し、迎えた沢崎の親番でまたしても仕掛ける。流局しまたしても仕掛ける!
ポン ドラ
ドラドラとはいえこの形である。ここまで仕掛けて前に出ることが多く、良い結果に結びつくことが多かった。それに対し3者もやりづらそうに見えるため、今日は終始徹底しているように思えた。ここからも鳴け、青山もチャンタドラ1の1シャンテンからドラを切りそれをポン。あの仕掛けが7巡目にして大物手としてテンパイをした。こうなると苦しい3者…慎重に打牌していくが、青山もついにはギブアップ。あとは山との勝負かに見えたが、沢崎もが暗刻になりを切って一旦単騎に受け変える。そして数巡後前原の手が止まる…。オリているのだがなんでもある沢崎の仕掛けなので役牌も切りにくい。そして悩んだ末に選んだ牌が数巡前に通したであった。
ポン チー ポン ドラ
前原にとっては痛恨の放銃になった。今日の前原は本調子ではないと3者は感じていたであろうし、本人が1番強く感じていたに違いない。
オーラスは沢崎の連荘を青山が止め、沢崎、青山の2人浮きで3回戦は終了した。
3回戦成績
沢崎+16.8P 青山+11.2P 内川▲5.7P 前原▲22.3P
3回戦終了時
沢崎+29.4P 内川▲2.8P 青山▲8.2P 前原▲18.4P
4回戦(起家から、青山・沢崎・前原・内川)
下3者にとっては大事な4回戦、まず抜け出したのは青山だった。
ドラ
東3局にドラを重ねてリーチし、すぐにツモ!
青山1人浮きのまま東場を終え、南1局に前原が七対子テンパイを取らずに更なる大物手を狙いに行く。そして13巡目にこうなった。
暗カン ポン ドラ
それを受けて沢崎もを持ってきてこの形。
トータルでリードしているだけに止めるかと思ったが、ここは真っ直ぐを打ち抜いたのだった。結果放銃となったが、長年一緒に戦ってきた者同士の意地みたいなものを感じた。そして守るにはまだ早いと感じていたのかもしれない。だが前原にとっては価値ある8,000となり、また4者の競りとなった!
南2局真っ先にテンパイを入れたのは内川。
ドラ
ドラドラの勝負手だが更なる好形変化を待つ。そして今度は親の沢崎からリーチが入る。
リーチ
ドラ無しピンフだがここは強くリーチとした。それに対し前原も丁寧に対応しながらテンパイを入れる。
ツモ
両者に危険なではあるが、2人のチャンス手を潰すことが出来れば、このあと自分の時間がやってくると考えているのではないだろうか?
だがこのが内川へ5,200の放銃となり、内川にとっても前原にとっても大きな1局となった。
オーラスにはトップ目の内川からリーチが入る。
リーチ ドラ
これをアガれば勝ち上がりまでも見えてくる、だがそうはさせまいと前原もテンパイを入れる。
チー ポン
大きな山場となったこの局、最後に手を開けたのは前原であった。
4回戦成績
前原+13.6P 内川+8.0P 青山+3.1P 沢崎▲24.7P
4回戦終了時
内川+5.2P 沢崎+4.7P 前原▲4.8P 青山▲5.1P
なんと最終戦を迎えて上から下まで10.0ポイントという大接戦となった!
最終戦(起家から、沢崎・内川・青山・前原)
東2局13巡目に沢崎がテンパイ。
ドラ
が3枚切れの為ここはヤミテン。そして先にテンパイしていた親の内川の手が勝負手となり満を持してリーチ!
リーチ
更に前原もテンパイを入れ最初の山場となった。
ポン チー
このまま流局かと思ったがハイテイで前原が持って来た牌は…しばらく考える前原。そして意を決したようにをそのまま河に置いた。12,000、内川にとっては決勝の舞台がグッと近くなるアガリとなった。
今度は青山だ!リーチ一通の勝負手は流局となったが、1人テンパイから親番を迎え、2,900、2,000オールと一気に内川をかわしてトップ目に立つ。
南場に入り親の沢崎が渾身のリーチを放つ。
リーチ ドラ
ツモれば6,000オールだがここは流局。更に流局をはさみ、巧妙な仕掛けから再びツモれば6,000オールに仕上げるがここも流局。しかしここまでのテンパイ料で浮きにまわりかなり接戦となる。次局は連荘とはいかなかったものの、ついに沢崎の手が開けられる時が来る。
8巡目にこの形でリーチ。
リーチ ドラ
山にはが1枚、が3枚。ここは安めでもかなり嬉しいアガリとなる。そしてようやくその想いは届くのだった。いつものようにそっと手牌に乗せられた牌は最後のであった。とてつもなく大きな1,300・2,600になった。南3局は沢崎の1人テンパイで沢崎がトータル首位に躍り出る。
オーラス、現状のトータルポイントは
沢崎+15.9P 青山+11.7P 内川+10.7P 前原▲38.3P
上位3者はアガれば勝ち上がりだが、沢崎がアガると青山をかわしてトップになる為、内川のほうが上になる。そして前原はかなり厳しいがラス親なので全くわからない。4者条件を確認した後、ついに運命のサイコロが振られた。
まず動いたのは内川。
ポン ドラ
そして今度は沢崎。
チー
これは内川にとっては嬉しい仕掛けだろう。ドラがだけにタンヤオなら安いのがほぼ確定する。ならば仮に沢崎に放銃してもトップが沢崎になる為、内川が勝ち上がりとなるからだ。だがそこに地獄の門番こと前原からリーチが入る!
リーチ
打点は無いがここは足止めをしに行くしかない。そして沢崎、内川も更に仕掛けて3者がテンパイを果たす。そして長い戦いにようやく終止符が打たれた。、持って来たのは沢崎だった。前原のアタリ牌であったが内川の頭ハネとなりB卓から決勝に駒を進めたのは沢崎、内川となった。
最終戦成績
青山+16.8P 沢崎+9.9P 内川+6.8P 前原▲33.5P
最終戦終了時
沢崎+14.6P 内川+12.0P 青山+11.7P 前原▲38.3P
これで今年の決勝メンバーが決まった。
現十段位の藤崎には3連覇がかかっている。だが発表のあった通り、体調を崩し決勝に間に合うのか…ただただそれが心配でならない。いち早く戦いの舞台に戻り、そして5人でのぶつかり合いを見たいと思うのは私だけではないだろう。
カテゴリ:十段戦 レポート