第36期十段戦 ベスト8B卓レポート 望月 雅継
2019年08月27日
十段戦決勝の椅子はあと2つ。
昨年の雪辱を晴らしたい黒沢か、久しぶりの決勝の舞台に燃える伊藤か、そして初の決勝進出を狙う杉浦、小松か。
タイプの異なる4名の激突に注目は尽きない。
小松武蔵(東京本部、B2リーグ)
黒沢咲(東京本部、A2リーグ、TEAM雷電)
杉浦勘介(東京本部、第9期野口恭一郎賞、B1リーグ)
伊藤優孝(東京本部、第9期鳳凰位他、A1リーグ)
1回戦(起家から、杉浦・小松・伊藤・黒沢)
初のG1タイトルの決勝進出を目指す小松、開局から高打点の手が入り続ける。
東1局は、
ドラ
東2局は、
リーチ ドラ
東2局1本場は、
ドラ
東3局は、
リーチ ドラ
そして東3局1本場は、
ポン ドラ
なんと5局連続の満貫級のテンパイ。
そのうち一本でも引ければ、ベスト8の戦い方もガラリと変わったはず。
しかしこの勝負手の数々も、3人の捌きとディフェンス力に完全に封じ込められる。
東1局は伊藤が、東2局は流局、東2局1本場は黒沢が、東3局は再び伊藤が、そして東3局1本場は流局と、先手を取りたい小松の思惑をあざ笑うかのように空を切り続ける小松。
対する3人の攻勢はすさまじい。
東4局2本場は杉浦が、
リーチ ツモ ドラ
安目ながらリーチを引きアガると、次に襲い掛かるのは伊藤。
南1局、伊藤13巡目、前巡のテンパイ取らずからのリーチに。
リーチ ツモ ドラ
高めのをツモアガリ、2,000・4,000。
混戦から一歩抜け出すことに成功。
続く南2局は黒沢の出番だ。6巡目テンパイを果たすとヤミテンに。
ドラ
ここにをツモって、テンパイ外し。ツモでテンパイ復活、そして即ツモ。
ツモ ドラ
今度は黒沢の2,000・3,900が炸裂。
三者三様の攻めを見せる。
勝負の行方は南4局、オーラスにドラマが。
まずは小松8巡目、を暗カンしてリーチに。
暗カン リーチ ドラ
黒沢10巡目、七対子ドラ2をテンパイ。ヤミテンに。
黒沢は打で単騎のテンパイを選択も、2巡後ツモは…痛恨のアガリ逃し。
同巡杉浦メンホンのテンパイ。
ロン ドラ
ピンチの後にチャンスあり、とはこの事で、黒沢の次巡ツモは。このをツモ切って黒沢は杉浦に12,000の放銃。をツモっていればトップに浮上していたところが、のツモ切りで一気にラスに転落。
1回戦のオーラスに大きな落とし穴が待ち受けていた黒沢。
黒沢にとって受難の戦いが始まった。
1回戦終了
杉浦+27.9P 伊藤+5.2P 小松▲13.0P 黒沢▲20.1P
2回戦(起家から、黒沢・小松・伊藤・杉浦)
東1局から伊藤のエンジンが火を噴く。
西家伊藤、いきなりのダブルリーチ。
リーチ ツモ ドラ
親番黒沢、5巡目をポンして押し返す。
この仕掛けで伊藤ツモ。2,000・3,900と幸先の良いスタートを切る。
続く東2局も伊藤。今度は4巡目テンパイ。
7巡目、ドラのを引いて待ち変え。
ドラ
8巡目、親番小松のリーチ
待ちの枚数は圧倒的に小松有利。
しかし勝ったのは伊藤。小松がラス牌のを掴み8,000の放銃。伊藤、大きくリードを広げる。
伊藤の攻勢は止まらない。
東4局、伊藤4巡目。ドラのが暗刻のヤミテン。
ドラ
ここも伊藤がすんなりとツモアガリ。さらに加点して盤石の状態で南入を迎える。
南入しても伊藤の安定感は光る。
南3局、親番で黒沢から2,900を討ち取ると、続く南3局1本場にも、
リーチ ツモ ドラ
時間はかかったが、2,000は2,100オールと目論見通り引きアガリ連荘に成功。
ここまでは伊藤の時間が長く続いたが、黒沢だって負けてはいない。
南3局2本場、杉浦10巡目にチー。
このチーで、黒沢に入るはずのが食い下がり、、三暗刻のテンパイを逃した黒沢。
しかし黒沢はツモ切られたを悠然とスルー。次巡、ツモで三暗刻のテンパイ。
後がない小松、黒沢がツモ切ったドラのをチーテンに取るも、ここは黒沢のツモアガリ。
1,300・2,600は1,500・2,800と、原点復帰に執念を見せるが…。
ツモ ドラ
オーラスも、
ロン ドラ
黒沢としては手変わりを待ちたいものの、手牌は変化せず。国士無双をテンパイした小松からが打ち出され、原点復帰ならず。伊藤の大トップで2回戦が終了した。
2回戦終了
伊藤+41.3P 黒沢▲3.5P 杉浦▲12.4P 小松▲25.4P
2回戦終了時
伊藤+46.5P 杉浦+15.5P 黒沢▲23.6P 小松▲38.4P
3回戦(起家から、杉浦・黒沢・伊藤・小松)
現在2着目の杉浦、勝ち上がりを決める為にはなるべく後続を引き離しておきたいところ。東1局3巡目、あっさりとピンフのテンパイ。
当然のようにリーチを選択する。
リーチ ドラ
ドラのが暗刻の黒沢、ギリギリまで粘って12巡目に追いつくと、待ち取りの選択でに受けて追いかける。
リーチ ロン
この選択が大正解。杉浦が一発で掴んだ牌は…。
決勝の椅子を争うライバルから、価値ある8,000の直撃で、3回戦は黒沢のリードで幕を開けた。
杉浦を追いかけるのは小松も同じ。
東4局1本場、しかし先手を取ったのは前を走る杉浦。
6巡目、メンホンドラ3の跳満テンパイ。
ドラ
一手変わりは倍満から三倍満まである大チャンス手。
小松8巡目テンパイ。こちらはヤミテン。
このヤミテンが好判断。
1,500ではあるものの、トップ目の黒沢から直撃した事と、杉浦の大チャンスを潰した事に大きな価値があるアガリとなった。
3者の争いを悠然と構える伊藤は全く焦らない。
東4局2本場、6巡目テンパイもヤミテンに。周りの動向を窺うと、8巡目ツモ切りリーチを敢行。
リーチ ツモ ドラ
伊藤、2,000・3,900のツモアガリ。
1回のアガリで、この半荘もトップに躍り出る。
このアガリで勢いを増した伊藤、南1局10巡目、メンチンテンパイ。すぐに手変わって、
ドラ
盤石のテンパイに。
ここにたちむかったのは杉浦。
ツモ
ここは杉浦が粘ってツモアガリ。
伊藤の勝負手を流す。
南1局1本場、ここまで我慢の続く小松、6巡目メンホンテンパイ。
ドラ
ここに飛び込んだのは黒沢。
小松、価値ある8,000で二番手に浮上した。
小松は南3局、1人テンパイで首位奪還。このまま逃げ切って初トップを決めたいところだったが、立ちはだかったのはやはり伊藤。
南4局1本場、ラス牌のドラを引き、トップ再逆転の条件を満たすと、
ロン ドラ
親番の小松からの出アガリで逆転でのトップを奪取。2連勝で4回戦に向かう事となった。
3回戦終了
伊藤+16.8P 小松+9.7P 杉浦▲8.6P 黒沢▲17.9P
3回戦終了時
伊藤+63.3P 杉浦+6.9P 小松▲28.7P 黒沢▲41.5P
4回戦(起家から、小松・黒沢・杉浦・伊藤)
伊藤の2連勝で、勝ち上がりの椅子は残り1つになりそうだ。
3者の熾烈な争いの行方のカギは、この半荘で大きな動きを見せる。
まず飛び出したのは小松。
東3局3本場、小松5巡目テンパイもドラ切りリーチに打って出る。
リーチ ツモ ドラ
高めのを力強くツモ。2,000・3,900は2,300・4,200。
小松、杉浦への追撃体制に入る。
対する杉浦も東3局の親番で、6巡目先手を取ってリーチに。
リーチ ツモ ドラ
杉浦、ラス牌のを引きアガリ2,600オール。原点復帰を果たす。
さらに杉浦は東4局3本場9巡目、一気通貫のテンパイ。ここは当然のヤミテン。
ロン ドラ
残り1つの決勝の椅子を争う小松から、価値ある5,200は6,100の直撃。一気にトップに躍り出る。
小松と杉浦の争いに指を咥えて黙っているわけにはいかない黒沢。ここからは1局1局が勝ち上がりに向けての正念場となる。
南1局1本場、まずは小松が仕掛ける。
小松6巡目ポンから手が動き、チンイツトイトイのテンパイ。
ポン ポン ドラ
この仕掛けに黒沢がかぶせる。
9巡目、ピンフの3メンチャンに取らずにドラ単騎リーチを敢行。
リーチ ツモ ドラ
起死回生の2,000・3,900。
このアガリで黒沢は勝ち上がりに首の皮一枚繋げたといったところか。
このアガリに刺激されたのは現在2番手の杉浦。
南2局、杉浦7巡目、親番黒沢が切ったドラのをポン。
ポン ロン ドラ
後がない黒沢、を止める気力は残っていなかった。
黒沢にとっては痛恨の12,000の放銃。杉浦にとっては勝ち上がりをグッと引き寄せる大切なアガリ。このアガリが杉浦勝ち上がりの最後の決め手となったアガリであったように感じた。
それでも最後まで諦めないのは小松。
南3局2本場、2巡目、暗カン。そして12巡目リーチ。
暗カン リーチ ツモ ドラ
2,000・3900は2,200・4,100。
このアガリで2着に浮上。最後まで原点復帰を目指す。
しかしこの半荘は杉浦の半荘に。
南4局も、
ツモ ドラ
最後まで杉浦が押し切って、1人浮きの大トップに。勝ち上がりの切符をグッと手元に引き寄せた。
4回戦終了
杉浦+31.4P 小松▲1.7P 伊藤▲8.2P 黒沢▲21.5P
4回戦終了時
伊藤+55.1P 杉浦+38.3P 小松▲30.4P 黒沢▲63.0P
5回戦(起家から、伊藤・小松・黒沢・杉浦)
トータル2位の杉浦と小松との差は68.7P。
杉浦と黒沢との差は91.3P。この差であれば十中八九は伊藤と杉浦との勝ち上がりだろう。
しかし勝負は最後までわからない。決勝進出へ一縷の望みをかけて、小松と黒沢の最後の戦いが始まった。
とはいっても、安定した局回しには定評のある杉浦と、安定感はピカイチの伊藤の牙城を崩すのはかなり困難であった。局終盤に甘い牌が場にオリる事はほとんど皆無で、粛々と局が進行していく。
東2局の小松の親番は、伊藤が、
ロン ドラ
黒沢からの出アガリで2,600。東3局の黒沢の親番も
ツモ ドラ
伊藤のツモアガリで700・1,300と、つけ入るスキを与えない。
小松最後の親番の南2局は、小松が3本場まで粘るものの、
ドラ
杉浦が小松から3,900は4,800を討ち取り勝負あり。
小松の挑戦はベスト8で幕を閉じた。
残るは黒沢の親番。南3局、
リーチ ツモ ドラ
後がない黒沢が意地を見せ4,000オール。
続く南3局1本場も、
リーチ ツモ ドラ
2,600は2,700オールと粘り込むが、ここまでの差があまりにも大きすぎた。
最後は杉浦、伊藤が上手くゲームメイク。大きな波乱が起こることもなく、安定した戦いを見せた伊藤と、4回戦に抜け出した杉浦の2人が、十段戦決勝の舞台に進出する事になった。
5回戦終了
黒沢+29.0P 杉浦▲5.2P 伊藤▲7.6P 小松▲16.2P
5回戦終了時
伊藤+47.5P 杉浦+33.1P 黒沢▲34.0P 小松▲46.6P
勝ち上がり:伊藤優孝 杉浦勘介
カテゴリ:十段戦 レポート