第30期十段戦 ベスト8レポート
2013年08月16日
誰もが十段位を目指して戦ってきた戦いもいよいよベスト8の戦いとなる。
7月28日(日)。前日にベスト16の戦いを勝ち抜いた8人が、決勝の椅子をかけた戦いに挑んだ。
タイトル戦における決勝は特別な場所であり、ここまでくれば誰もが優勝を意識するだろう。
その想いを叶えた4人は誰であったのだろうか?
その激戦の模様を振り返ってみたいと思う。
A卓
前原雄大 vs 沢崎誠 vs 古川孝次 vs 中村毅
前原雄大 |
沢崎誠 |
古川孝次 |
中村毅 |
多くのタイトルを獲得してきたベテラン3人の経験か?
それとも初タイトルに懸ける中村の思いか?
非常に楽しみな戦いである。
1回戦。
沢崎が東場からこの2度のアガリで大きくリードを奪う。
東1局 西家・沢崎
リーチ ツモ ドラ
1,300・2,600
東3局 東家・沢崎
リーチ ツモ ドラ
3,900オール。これに待ったをかけたのは中村であった。
まず前原が4巡目にリーチと来る。
リーチ ドラ
そこへ無筋を連打し中村がついに追いつく。
リーチ
中村が最後のツモでしっかり高めのをツモリ、6,000オールをものにする。
前原のリーチに対してもしっかり押し返してアガリ切り、得点的にも精神的にも非常に大きなアガリとなったのではないだろうか。
しかし、南2局の親番を迎え前原も黙っていない。
リーチ ロン ドラ 3,900
1本場
リーチ ロン ドラ 2,400+300
2本場
ロン 2,900+600
3本場
ロン 11,600+900
前原がこの4連続のアガリで一気にトップ目に立つ。
この連荘も最後は中村が捌き、中村が1回戦をトップとする。
2回戦。
東1局から前原と沢崎がぶつかる。
前原の先制リーチ。
リーチ ドラ
それを受け沢崎も親番で追いつきリーチ。
リーチ
ここは前原がをツモアガリまずはリードを奪う。
東2局。
またもや前原の先制リーチに、今度は中村がフリテンながらも強気に追いかける。
リーチ ツモ ドラ
この強気な姿勢に牌も応えてくれて、1回戦に引き続き6,000オールをものする。
このアガリで中村が2連勝と絶好のスタートを切る。
また、1回戦から苦しい展開だった古川も、南1局に前原からアガった8,000をきっかけに、プラスの2着で2回戦を終えた。
南1局 北家・古川
リーチ ロン ドラ 8,000
それに対して、この放銃を機に前原は非常に苦しい戦いに追い込まれてしまう。
3回戦。
中村が攻めの姿勢を崩さずリードを奪い東場は進む。
そんな中、迎えた東4局に沢崎が魅せる。
東4局 西家・沢崎
チー ドラ
古川の先制リーチに対して打としてチンイツに向かう。
これが功を奏して古川から12,000をアガる。
チー ロン
このアガリが決定打となり、沢崎が待望のトップをものにする。
4回戦。
中村の勢いが止まらない。
東1局 東家・中村
リーチ ツモ ドラ
南1局 東家・中村
リーチ ツモ ドラ
東場、南場の親でそれぞれ4,000オールをツモリ3度目のトップを取る。
古川は何とか粘りを見せて浮きの2着を死守する。
4回戦を終えて中村はほぼ勝ち上がりを決めた。
そして、あと1つの椅子をベテラン3人が争う形となった。
5回戦。
ベテラン3人がそれぞれに自分らしさを魅せる。
まずは古川。
東1局に2,000オールをツモリ迎えた1本場。
ポン ポン ポン ポン ツモ
この裸単騎をツモリ4本場まで積み上げる。
これに待ったをかけたのは前原。
東1局 4本場 南家・前原
チー ツモ ドラ
この3,000・6,000でまた勝負は分からなくなる。
ここから前原の流れになるかと思われたが、沢崎への2度の放銃が効いて痛恨のラスを引いてしまう。
東2局 西家・沢崎
ロン ドラ 7,700
南4局 東家・沢崎
ロン ドラ 5,800
結局、東場のリードが効いて古川がトップ、沢崎が浮きの2着となる。
この結果、最終戦は沢崎と古川の最後の椅子を争う戦いとなる。
最終戦を迎え、ポイント状況は以下。
中村(+73.1P)沢崎(+1.2P)古川(▲11.9P)前原(▲63.2P)
序盤は古川が小刻みにアガリを重ねてリードを奪うも、東4局に沢崎に決定打が出る。
東4局 西家・沢崎
ロン ドラ
このメンチンをリーチしていた古川から出アガリ、沢崎が勝ち上がりを決めた。
勝ち上がり 中村毅 沢崎誠
B卓 小島武夫 vs 伊藤優孝 vs 山田浩之 vs 堀内正人
小島武夫 |
伊藤優孝 |
山田浩之 |
堀内正人 |
面前手役派の小島、伊藤、山田に対し、仕掛けを多用する堀内がどう戦うのであろうか?
こちらも非常に楽しみな戦いである。
1回戦。
いきなり小島が大物手を炸裂させる。
東1局 北家・小島
ロン ドラ
この12,000を伊藤からアガリ幸先の良いスタートを切る。
東2局。
山田もしっかり手を作りツモアガる。
北家・山田
リーチ ツモ ドラ
この2人のアガリに対し、堀内は積極的に仕掛けていくがなかなかアガリに結びつかず苦しい展開となる。
迎えた南3局。ついに堀内の仕掛けが実る。小島のリーチを受けるも、一歩も引かずに押し切る。
ポン ロン ドラ
山田から嬉しい7,700の初アガリをものにする。
オーラスも堀内がアガリ、小島、堀内、山田の3人浮きで1回戦を終える。
伊藤にとっては厳しい緒戦となった。
2回戦。
1回戦で我慢を続けていた伊藤に手が入る。
東2局に2,000・4,000をツモアガると、迎えた東4局の親番でも4,000オールをものにして今まで溜まっていた鬱憤を晴らすかのようにリードを広げていく。
東4局 東家・伊藤
チー ツモ ドラ
迎えたオーラス。
山田が伊藤から8,000をアガリ浮きに回り、伊藤、小島、山田の3人浮きで2回戦を終えた。
伊藤にとってトップは取ったものの、少し不満が残る戦いだったのではないだろうか。
3回戦。
小島がここでも魅せる。
東2局 南家・小島
リーチ ツモ ドラ
この2,000・4,000。
東3局 東家・小島
ツモ ドラ
そして8,000オール。
この2度のアガリで、小島がこの半荘のトップを決定づける。
南2局。
堀内が伊藤のテンパイ打牌を捕えて12,000をものにする。
南2局 東家・堀内
ロン ドラ
このアガリで堀内が浮きの2着となり、トータルでも小島の1人浮きで他3人の争いが更に面白くなってきた。
4回戦。
手役派の山田の本領が発揮される。
東1局 南家・山田
リーチ ハイテイツモ ドラ
堀内との2軒リーチになるも、ハイテイでツモアガリ3,000・6,000。
このアガリをきっかけに山田が止まらなくなる。
東4局 西家・山田
リーチ ロン ドラ
南2局 東家・山田
ロン ドラ
この2度の12,000を小島と伊藤からアガリ7万点オーバーのトップを取る。
これでトータルがプラスの小島と山田が伊藤と堀内に対して60Pほど差をつけ、残り2戦を残して非常に有利な状況になる。それに対し、伊藤と堀内はもう後がなくなり2連勝が最低条件となってしまう。
5回戦。
後がない堀内が意地を見せる。
東1局 北家・堀内
リーチ ロン ドラ
東3局 南家・堀内
リーチ ロン ドラ
東4局 東家・堀内
リーチ ロン ドラ
東場の3度のアガリで1人浮きのトップとし最終戦に望みを繋ぐ。
最終戦を迎えポイント状況は以下。
山田(+29.7P)小島(+24.3P)堀内(▲1.4P)伊藤(▲52.6P)
5回戦をトップで終えた堀内にとって、この最終戦もほぼトップ条件な上に、山田か小島を沈めなければならずかなり厳しい状況である。
序盤から静かに場は進み迎えた東4局。
小島が2,000・4,000をツモアガリ勝ち上がりに大きく近づく。
東4局 西家・小島
リーチ ツモ ドラ
このまま場は進み迎えた堀内の最後の親番。
堀内の十段位に懸ける思いがそうさせるのか、この4,000オールで山田に並びにかかる。
南3局2本場 東家・堀内
リーチ ツモ ドラ
続く3本場
リーチ ロン ドラ
山田から、この3,900は4,800をアガリついに山田を捕え逆転する。
オーラスも堀内自らアガリ切り、小島と共に勝ち上がりを決めた。
5回戦、6回戦と堀内の最後まで諦めずに戦う姿勢は非常に素晴らしく、
それがこの結果をもたらしたのであろう。
勝ち上がり 小島武夫 堀内正人
これで決勝戦を戦う4人が出揃った。
この4人の中から、現十段である瀬戸熊直樹を倒すものが生まれるのであろうか?
カテゴリ:十段戦 レポート