十段戦 レポート

第34期十段戦 ベスト8A卓レポート HIRO柴田

 

準決勝ベスト8A卓ここを勝ちあがれば決勝だ。各々の選手が自分の勢いを信じて挑んでくるだろう。今回勝ち上がってきた4名は以下。

青山めぐみ(二段戦からの出場)

 

荒正義(九段戦Sからの出場)

 

柴田吉和(前年度決勝シード・ベスト16からの出場)

 

瀬戸熊直樹(九段戦Sからの出場)

 

 

1回戦(起家から、青山・荒・柴田・瀬戸熊)

東1局 親青山

開局に思い切ったリーチを打ったのは柴田。打点こそあるものの3枚切れのシャンポンでリーチ。

柴田
二万三万四万九万九万一索一索二索三索四索二筒三筒四筒  ロン一索  ドラ五筒

放銃となったのは荒。まずは柴田の狙いどおり5,200と好スタート。

東3局3本場 親柴田

柴田の連荘が続いたこの局、わずか5巡で大物手テンパイを入れたのは荒。


二索二索五索五索六索六索九索西西白白中中  ドラ五索

続いて瀬戸熊もリーチ。柴田もそこへドラ五索を勝負と打ち出し緊迫した局面となる。

柴田
五万五万六万七万八万七索八索九索五筒六筒七筒七筒八筒

瀬戸熊
五万六万七万七万八万九万四索五索七索七索東東東  ロン三索

柴田・瀬戸熊、荒の手牌を知ることもなく、めくり合うが結果は荒の放銃となった。

東4局 親瀬戸熊

青山が軽快にポンと動く、守備が強い青山が動いたのだから十分形ということは対戦者には伝わっていそうだ。

青山
四万四万六万七万七万八万八万  ポン五万 上向き五万 上向き五万 上向き  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ドラ西

そこへ親の瀬戸熊リーチ、柴田もドラを暗刻にして追いかけるがその牌が瀬戸熊にあたってしまう。

柴田
六万七万八万二索二索一筒二筒二筒三筒三筒西西西  リーチ

瀬戸熊
四索五索五索六索六索四筒四筒五筒五筒五筒六筒七筒八筒  ロン四索

このアガリで瀬戸熊が一歩リードする。

南2局 親荒

瀬戸熊が絶好のドラを引き入れリーチ。

瀬戸熊
三万四万四万五万五万六万一索一索一索三索四索八索八索  リーチ  ドラ四万

この瀬戸熊リーチを柴田が仕掛けて見事にアガリきり逆転する。

柴田
四万四万五索六索七索五筒六筒七筒白白  チー六索 左向き七索 上向き八索 上向き  ロン白

南4局7本場 親瀬戸熊

柴田の連荘を引き継ぐ形となった親の瀬戸熊ドラの扱いが難しくフリテンとはいえマンガンのテンパイとなりドラ切りリーチ。
そこへ我慢が続いた荒の追撃となるリーチに瀬戸熊が再度ドラを持ってきてしまい放銃となる。

瀬戸熊
二万二万四万五万六索六索七索七索八索八索二筒三筒四筒  リーチ  ドラ八筒


三万四万四万五万五万六万六万七万八万五索五索六筒七筒  リーチ  ロン八筒

荒のアガリで柴田は1人浮きとなり荒3着浮上で1回戦を終える。

1回戦成績
柴田+37.7P 瀬戸熊▲8.5P 荒▲11.8P 青山▲17.4P

 

2回戦(起家から、荒・青山・柴田・瀬戸熊)

東3局 親柴田

瀬戸熊・荒が好調柴田の親を落とそうと仕掛ける、そこへ柴田、瀬戸熊の当たり牌である七万を重ねリーチと迎え撃つ。

瀬戸熊
二万二万五万六万七万八万九万  チー三万 左向き二万 上向き四万 上向き  ポン三万 上向き三万 上向き三万 上向き  ドラ中

柴田
七万七万五索六索七索一筒二筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  ツモ三筒

どちらが勝ってもおかしくない局だったが、柴田が3,900オールをツモアガリ連荘となる。

東3局3本場 親柴田

柴田の親の爆発力が際立っている中、ここは荒・青山の両者が仕掛ける。

青山
二筒四筒五筒六筒六筒七筒八筒西西中  ポン発発発  ドラ九索

青山発は鳴いたが西は鳴かずの良形と受けのバランス感が好手となりツモが伸びる。


五万六万七万一筒一筒北北  チー三筒 左向き四筒 上向き五筒 上向き  ポン東東東

青山
四筒五筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒西西  ポン発発発  ロン九筒

荒の早いテンパイに青山が見事に追いつきアガリきる。

南1局 親荒 ドラ九索

青山が早いテンパイを入れる。

青山
四万六万六索六索八索八索八索二筒三筒四筒  ポン中中中

そこへ親の荒、3色にならない八万を引いたのでカン八索リーチと相手を止めに行く。


六万七万八万七索九索一筒二筒三筒五筒六筒七筒東東  リーチ

リーチ後にドラの九索は場に3枚でることになる、注文どおり受けにまわった青山だが守備意識は非常に高く最後の九索が見えるまで八索は打たれそうにない。
そんな親のリーチに向かって行ったのは瀬戸熊、異様な捨て牌の正体は四暗刻だった。

瀬戸熊
五万五万五万一索一索一索二索二索二索七筒白白白  ロン七筒

これに放銃したのは荒、これで3者を追いかける展開となり2回戦とはいえ苦しくなる。

南2局 親青山

親の青山三色のヤミテンに構えるが多面張となる四筒を引きフリテンリーチを選択。

青山
五万六万七万五索六索七索二筒二筒二筒四筒四筒五筒七筒  ツモ四筒  打七筒 左向き  ドラ六万

この判断が見事に決まり三筒ツモの3,900オール。この大きなアガリで2回戦は3人浮きで終了する。

2回戦成績
瀬戸熊+32.5P 柴田13.4P 青山+8.9P 荒▲54.8P

2回戦終了時成績
柴田+51.1P 瀬戸熊+24.0P 青山▲8.5P 荒▲66.6P

 

3回戦(起家から、青山・荒・柴田・瀬戸熊)

東1局 親青山

上下の差がはっきりでてきた3回戦、もうマイナスは許されない荒が仕掛ける。


五万五万二索八索八索一筒二筒三筒四筒五筒  ポン発発発  ドラ二万

少しでも自分のリズムにもっていきたい荒だがすでに二索は瀬戸熊の当たり牌。

瀬戸熊
二万三万四万九万九万三索四索二筒三筒四筒四筒五筒六筒  ロン二索

そして瀬戸熊ドラの二万ツモで打五万と手変わると荒がポンをして狙いすましたように二索がロンとなる、そんな日なのだろう。

東3局 親柴田

柴田がドラを鳴いて荒のリーチに応戦するがここは荒が引き勝つ。

柴田
三索四索五索三筒四筒六筒七筒八筒八筒八筒  ポン六万 上向き六万 上向き六万 上向き  ドラ六万


四万四万六万七万八万六索七索八索二筒三筒四筒六筒七筒  ツモ五筒

この柴田の親かぶりで雲行きが変わってくることとなる。

南1局 親青山

前述の2局以降は小場で進むこととなった今局に青山がシフトチェンジする。

青山
一万一万二万二万六万七万八万三索三索二筒三筒発発  打北  ドラ北

今までの青山の打点と守備を重視した打ち方を見ていたらホンイツか七対子を残した打牌選択かと思ったが、青山は真っ直ぐ北とした。
そして青山が仕掛けを入れると荒に大物手テンパイが入るがその打牌が青山につかまる。


一筒三筒三筒三筒四筒四筒五筒五筒五筒六筒七筒八筒九筒九筒  打一筒

青山
六万七万八万三索三索二筒三筒  ポン発発発  チー三万 左向き一万 上向き二万 上向き  ロン一筒  ドラ北

守備の強さと時おりみせる思い切りの良さ、このバランスが青山の持ち味なのだろう。

南1局1本場 親青山

柴田
一万二万三万九万九万五索六索七索八索八索八索七筒八筒  リーチ  ドラ二索

柴田5巡目と早いリーチを打つ。
一方で柴田リーチ時の青山は仕掛けてはいるが形が弱い。

青山
四万五万五万二筒四筒八筒九筒  ポン白白白  ポン南南南

真っ向勝負の青山にここから九筒は打ち出されることは無く、さらにこの2つのポンがドラ2の瀬戸熊への牽制となり柴田と1対1の図式を作り2人テンパイへともつれこむ。

青山
五万五万五万四筒四筒八筒九筒  ポン白白白  ポン南南南 テンパイ

南1局2本場 親青山

柴田この青山の親落としで仕掛けるも、手変った後の待ちに打点が伴ってしまいアガリが苦しくなる。

柴田
三索三索四索四索四索五索五索中中中  チー四万 左向き三万 上向き五万 上向き  ドラ四筒

すると局が長引き、手が進んでいた荒のアガりとなる。


三万三万五索六索七索三筒三筒三筒四筒五筒六筒六筒八筒  ロン七筒

この半荘は柴田このたった1度の放銃で1人沈みで終了となる。

3回戦成績
瀬戸熊+12.8P 青山+5.0P 荒+2.9P 柴田▲21.7P

3回戦終了時成績
瀬戸熊+36.8P 柴田+29.4P 青山▲3.5P 荒▲63.7P

 

4回戦(起家から、瀬戸熊・荒・柴田・青山)

東1局 親瀬戸熊 ドラ九万

対局終了後の青山のコメントより「山にいると信じていた」と。

青山
五万五万七万七万八万八万九万七索七索九索九索一筒一筒  リーチ ツモ九万  ドラ九万

九万は2枚切れだった、リーチをしたら全員がこの九万を止めてしまうだろう。
そんな彼女が自分を信じて打ったリーチから生まれた3,000・6,000これには瀬戸熊・柴田の両者へプレッシャーがかかったはずだ。

東2局 親荒

青山の先制リーチ、対してまだポイント有利な柴田はここでアガリを取れればさらに展開がよくなるので早い段階で勝負へでた。

柴田
四万五万六万六万七万八万二索三索四索二筒四筒七筒七筒  リーチ  ドラ三筒

青山
四万五万六万七万八万一索二索三索五索五索三筒四筒五筒  リーチ  ロン九万

しかしここは待ち牌が有利な青山へ柴田が3,900の放銃となる。青山にとっては当面のライバルなので嬉しいアガリだ。

東3局 親柴田

青山またもや先制の早いリーチを打つ。

青山
三万四万三索三索八索八索八索二筒三筒四筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ二万

青山が抜け出しているこの4回戦、瀬戸熊の視点からすれば柴田より上位で終えることが何よりも大事で、放銃を嫌がる選択もあったはずだ。
だが瀬戸熊の選択は自分らしく攻めることを選んだ。何枚も牌を勝負し鳴いて3,900にも目も寄せずメンゼンで進めてヤミテンの5,200をアガリきる。

瀬戸熊
二万二万三万四万五万五万六万七万四索四索四索四筒五筒  ロン三筒

南3局1本場 親柴田

親の柴田が4巡目に相手の足止めも含めリーチといく。

柴田
二万二万二万三索五索七索八索九索三筒四筒五筒西西  リーチ  ドラ五索

トップ目の青山チンイツへの渡りを見てスジの四索を打つと放銃という危険な選択もあったが自分に甘えずドラ色ではない三筒一筒と選択。
そして青山最後に二索勝負とテンパイをとることに成功する。

青山
四索六索四筒四筒四筒五筒五筒五筒七筒七筒八筒八筒八筒

南4局 親青山

なんとしても原点を上回りたい柴田に手が入る。中白とポンをしてドラも暗刻だ。
良すぎたせいもあり最終形が単騎待ち選択となるがこれが功を奏して荒から出アガることとなる。

柴田
四万四万四万二索三索四索九索  ポン白白白  ポン中中中  ロン九索  ドラ四万

柴田にとっては非常に大きな1局となり3人浮きで終了した。

4回戦成績
青山+17.1P 瀬戸熊+7.4P 柴田+4.4P 荒▲28.9P

4回戦終了時成績
瀬戸熊+44.2P 柴田+33.8P 青山+13.6P 荒▲92.6P

 

5回戦(起家から、柴田・青山・荒・瀬戸熊)

いよいよ最終戦青山が柴田を20P・瀬戸熊を30P追う並びなので相手を沈めてしまえば現実的な数字だ。

東2局 親青山

親の青山がホンイツへ一気に寄せるとツモもそれに答えるように伸びて8巡でアガリきる。

三筒三筒三筒四筒五筒五筒六筒六筒南南南西西  ロン七筒  ドラ三万

放銃は荒、青山絶好の9,600スタート。
これをみて柴田・瀬戸熊にとって色々とテーマができたはずだ。

南1局 親柴田

この時の青山と柴田のポイントが青山+19.6P・柴田+19.8Pとわずか200点差だ。
柴田は現在4着で3着瀬戸熊と600点差なのでまだ青山のほうが不利にみえる。
その青山の7巡目の手牌に選択が訪れる。

青山
一万二万四万五万六万七万八万九万三筒四筒六筒七筒八筒八筒  ドラ一索

打点が欲しいところなので青山の選択は四筒三筒落とし。すぐに二筒を引きテンパイ逃しが見えたところで柴田からリーチがくる。

柴田
二万三万七万七万七万四索四索五索五索六索六索五筒五筒  リーチ

結果は流局、青山先ほどの打牌選択が七筒六筒でリーチと青山が宣言すれば柴田への放銃という結果もあっただけに。紙一重の勝負となってきた。

南3局 親荒

柴田+19.2P、青山+17.6Pその差1.6Pと無いようなものだ柴田自らアガって決めにいこうと仕掛ける。
対して青山も打牌に力を入れてリーチと勝負にでた。

柴田
七万七万四索五索六索白白  ポン南南南  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  ドラ六万

青山
一万一万三万四万五万六万七万八万二索三索四索四筒五筒  リーチ  ロン六筒

非常に大きな3,900のアガリとなった。これで6.2P青山リードで最終局を迎える。

南4局 親瀬戸熊

1局勝負となるこの局、柴田が8巡で条件を満たすテンパイを入れる、アガリ牌は山に残り3枚。
柴田ドラのツモ切りに緊張感が伝わってくる。

柴田
六万七万八万六索七索八索二筒二筒三筒五筒六筒七筒八筒  ドラ三万

青山、自分の過程を信じた力が通じたのだろう柴田のアガリは訪れなかった。

5回戦成績
荒+13.9P 青山+9.4P 瀬戸熊▲6.3P 柴田▲17.0P

5回戦終了時成績
瀬戸熊+37.9P 青山+23.0P 柴田+16.8P 荒▲78.7P

勝ち上がり 瀬戸熊直樹 青山めぐみ