第37期十段戦 六段戦レポート
2020年09月30日
9/27(日)六段戦が行われた。段位制を採用している麻雀プロ団体は当連盟のみ。
他のタイトル戦とは一味違う面白さがあり、そのシステムを理解するとより速報結果や観戦が楽しめると思う。
要点は2点。
①トーナメント戦
会場内上位◯◯%通過というシステムは1回戦ごとに対戦相手が変わる。通過ラインは変動するため、大まかに予想しそれを上回るように照準を合わせて打つ。最終戦はトップなら間違いなく通過、2着は7割方通過、3着ならかなり素点が必要といった具合だ。今同卓している相手を上回る戦略はもちろん大事だが、ライバルは卓内の人間とは限らない。先に終わった卓が不利にならないよう最終戦の別卓の結果は全卓が終わるまで明かされないよう配慮されている。
一方トーナメント戦は同一の4名で規定回数を戦い、卓内上位2名が次に進む。これだと別卓の結果は影響なく、目の前の3名のみがライバルとなる。序盤は自分のみが連勝などして当確になる事を目指す。もし自分以外の人が当確になれば2、3、4位のうち1人しか勝ち上がれないので、現状2位の自分は3位には振り込まないように打つなど、毎局正確な戦略を立てる事が出来る。トーナメント巧者と言われるプロは他家とのポイント差を瞬時に判断し、その局の最善手を選ぶ能力が高い打ち手だ。ベスト16からは配信される予定なので、選手の戦略に注目してご覧頂けたらと思う。
②段位戦
連盟に入るとまずは初段からスタートとなる。規定値を達成すると二段に昇段となる。プロリーグ戦やタイトル戦に出場する事で段位ポイントが加算されるが、そこで好成績をおさめるとポイントが多く加算され、昇段が早くなる。
初段から二、三、四…と勝ち上がる十段戦は強者の集まる塔を登る行為に近い。4人中2人しか登れない階段があり、同フロアのライバルを倒して登ると次のステージにはボスが2人待ち構えている。そこで何とか勝っても次の階にはさらに強いボスが現れる。六階ともなるとフロア中がボスだらけ、それ以外は傷だらけになりながらも目力はギラついて勝利を欲しているような顔ぶれだ。一階で見かけた者が向こうで無念を滲ませ倒れているのが見える。三階で激突し、自分が非常に苦戦した相手はAリーガーに惨敗し、俯いて悔しさを堪えている。例えるならそういうシビアなタイトル戦である。高段者の圧倒的な強さももちろん見所だ。低段位からスタートして勝ち上がっている勢いのあるルーキーに着目すれば、いつかタイトルを獲得するような大物を早くから見つけて応援する事が出来る。次の段でも高段者やタイトルホルダー相手に大金星を挙げるかもしれない。未来のスターを発掘するのも十段戦観戦の楽しみの1つと言えよう。
六段戦
現A1リーガーは西川淳、吉田直、佐々木寿人が、A2リーガーは和久津、藤島、一井、魚谷、麓、白鳥が七段戦に駒を進めた。
魚谷は卓内1人プラスで同卓者を圧倒し、一方白鳥と一井は最終戦着順勝負の痺れる接戦を切り抜けた。
リーグ戦の上位者が強さを見せつける結果となった六段戦。実況でおなじみの日吉や、「麻雀番組が10倍楽しくなる本」を出版した黒木も注目したい。
初段から出場の曽篠は7回目の勝ち上がり。今期十段最大のルーキーだ。ワイルドカードを使用しているが初段からの津村、二段からの奥津、古川も厳しい戦いを制し七段進出。初段から勝ち上がり続けたダニエル、立田は残念ながらここまでとなった。
(文:編集部)
カテゴリ:十段戦 レポート