十段戦 レポート

第38期十段戦 ベスト16C卓レポート

【十段戦ベスト16C卓、藤原、瀬戸熊の勝ち上がり】

対局者は、本田朋広vs瀬戸熊直樹vs藤原隆弘vs櫻井秀樹。

1回戦、まずリードしたのは瀬戸熊。
南4局、本田がテンパイでドラの発切り。これを櫻井が仕掛ける。
親の瀬戸熊は、いいタイミングで同巡にテンパイが入り、「鳴かれて重ならなくなったので切りますね」の装いで切って、ヤミテン。
藤原が櫻井に対し受けで切った三索を見事捕らえる。(ピンフ、三色同順の5,800点)

 

 

同1本場、本田からタンヤオ、三色同順、ドラの5,800(+300)。

 

 

(瀬戸熊は三索をチーして打六筒

 

 

本田は、対局後のインタビューでこの放銃を後悔していた。
一筒が3枚切れていて一筒四筒の受けが弱いので三筒切りにしてしまったとのこと。

瀬戸熊は続く2回戦もトップ。
逆に藤原は1回戦に続き、2回戦もラスとなってしまう。
このとき藤原は、最終戦に逆転するチャンスを残すように、と思っていたであろう。

それを体現したのがこの手。
多くの人が、「追いかける立場だしリーチ」としそうなところだが、『緻密な仕事師』はまだすんなりアガれる時間ではないとヤミテン。

 

 

2巡後、四筒を引き打一筒と打点を落としてリャンメン待ちにする。
結果は、本田のリーチの後、瀬戸熊から本田の現物の二筒で出アガリ。
藤原がリーチしていれば、出なかった牌だった。

4回戦、櫻井が後悔していたのはこの局。

 

 

 

九筒を手に残し、リーチ宣言牌にすることで、相手に七対子を否定させるという意図。
しかしながら、一万の重なりを逃してしまい、一手遅れに。
藤原に追いつかれ、追い越される。(リーチ、ツモ、ドラの1,300・2,600+2,600。)

 

 

最終戦、勝負処は南3局だった。
最初にテンパイしたのは藤原、中をポンしていて、ダブ南、中、チャンタの満貫のテンパイ。

 

 

追いつく櫻井。一気通貫、ドラ。
藤原もテンパイだけに、直撃も十分にありえる。

 

 

親を連荘するしかない本田も、リーチのみだが追いつく。

 

 

 

本田が残り1枚の一索を掴み、藤原のアガリ。
後半の流れは完全に藤原だった。

そして最終戦オーラス、櫻井は倍満ツモと厳しい条件であったが、藤原はその条件すらもなくしてしまう四暗刻で締めくくった。

 

 

 

(文:福光聖雄)