第38期十段戦 ベスト16C卓レポート
2021年07月07日
【十段戦ベスト16C卓、藤原、瀬戸熊の勝ち上がり】
対局者は、本田朋広vs瀬戸熊直樹vs藤原隆弘vs櫻井秀樹。
1回戦、まずリードしたのは瀬戸熊。
南4局、本田がテンパイでドラの切り。これを櫻井が仕掛ける。
親の瀬戸熊は、いいタイミングで同巡にテンパイが入り、「鳴かれて重ならなくなったので切りますね」の装いで切って、ヤミテン。
藤原が櫻井に対し受けで切ったを見事捕らえる。(ピンフ、三色同順の5,800点)
同1本場、本田からタンヤオ、三色同順、ドラの5,800(+300)。
(瀬戸熊はをチーして打)
本田は、対局後のインタビューでこの放銃を後悔していた。
が3枚切れていての受けが弱いので切りにしてしまったとのこと。
瀬戸熊は続く2回戦もトップ。
逆に藤原は1回戦に続き、2回戦もラスとなってしまう。
このとき藤原は、最終戦に逆転するチャンスを残すように、と思っていたであろう。
それを体現したのがこの手。
多くの人が、「追いかける立場だしリーチ」としそうなところだが、『緻密な仕事師』はまだすんなりアガれる時間ではないとヤミテン。
2巡後、を引き打と打点を落としてリャンメン待ちにする。
結果は、本田のリーチの後、瀬戸熊から本田の現物ので出アガリ。
藤原がリーチしていれば、出なかった牌だった。
4回戦、櫻井が後悔していたのはこの局。
を手に残し、リーチ宣言牌にすることで、相手に七対子を否定させるという意図。
しかしながら、の重なりを逃してしまい、一手遅れに。
藤原に追いつかれ、追い越される。(リーチ、ツモ、ドラの1,300・2,600+2,600。)
最終戦、勝負処は南3局だった。
最初にテンパイしたのは藤原、をポンしていて、ダブ南、中、チャンタの満貫のテンパイ。
追いつく櫻井。一気通貫、ドラ。
藤原もテンパイだけに、直撃も十分にありえる。
親を連荘するしかない本田も、リーチのみだが追いつく。
本田が残り1枚のを掴み、藤原のアガリ。
後半の流れは完全に藤原だった。
そして最終戦オーラス、櫻井は倍満ツモと厳しい条件であったが、藤原はその条件すらもなくしてしまう四暗刻で締めくくった。
(文:福光聖雄)
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