第39期十段戦 ベスト16A卓レポート
2022年07月01日
【十段戦ベスト16A卓、三浦智博完勝。二番手争いは魚谷侑未に軍配】
「タイトル5個くらい獲ってもおかしくないと思うよ。早くA1にいって鳳凰位を獲ってほしいね。とてもバランスがいい。」
これは解説の荒から三浦に向けてのコメントである。
「途中で負けてくれないかな。決勝にきたら獲っちゃう気がするよ。」
半ば冗談だろうが、こんなコメントもしていた。
これ以上の褒め言葉はないのではないかという気もしてくる。
対局中は表情を崩さなかった三浦だが、インタビューで「5年以内に鳳凰位獲ってほしい」と荒に直接言われると、流石にこの笑顔である。
荒絶賛の三浦の内容を振り返ってみよう。
まずは守備力の光った場面から。
1回戦東3局1本場、川原舞子が七対子、ドラ2のヤミテン。
続いて親の佐々木寿人がリーチ。
そして三浦の手牌、メンホン、七対子の1シャンテンになり、多くの人は打になるだろう。
僕は確実に6,400点の支払いである。(ちなみには場に2枚切れの牌)
佐々木のリーチは単騎待ちがなさそうなので、明らかに川原のケアである。
これで気を良くした三浦は(本人にとってはさも当然かもしれないが。笑)、この後、8,000、6,400と加点し、1回戦を1人浮きのトップとする。
川原からリーチ、ドラ3の8,000。
佐々木から七対子、ドラ2の6,400。
2回戦東1局、親の三浦はを暗カンして、先制リーチ。
佐々木、魚谷が高打点でテンパイするも、ツモアガリは三浦だった。リーチ、ツモ、白の3,900オール。
まだ4分の1も終わっていないのだが、「三浦が抜けてしまって、あとひと席の争いになってしまったな。」佐々木、魚谷、川原はそう思ったように感じる。
そのくらい実力が評価されているし、近年の三浦は充実著しい。
このあとの三浦は安定した立ち回りをみせる。
リスクの取り方が適切で、先行リーチに対しての追っかけリーチはこの形。
高目ツモなら倍満、結果は安目のツモだったが満貫だ。
三浦「今日は運良く通過できました。気を引き締めてベスト8に臨んで、荒さんにリベンジしたいと思います。」
対象的に今日1日苦しかった川原。
「1回戦目からふわふわしてしまって、夏目坂スタジオは何度も経験していて慣れているはずなのに、今日は結構緊張してましたね…」
初のベスト16、あと2つで決勝という強い思いがあっただろう。
しかし、今日は相手が強かったし、タイミングが悪く手がぶつかり、なかなかアガリが取れなかった。
前述、三浦の高目倍満のリーチのときも、川原は絶好のを引いて、3面張のリーチだった。
この巡目のリーチであれば、だいたいは加点できるのだが、もうリスクを取らなくていい三浦に手ができてしまう。
放銃にならなくてよかった、ではあるもの、この局をアガれて浮きに転じていれば、また違った1日だったように思われる。
川原「四段戦をワイルドカードで勝ち上がってから、多くの応援をいただいてベスト16まで来ることができました。道のりは長いですが、来年もこの場に戻ってくるように1年間頑張ります。」
最終戦、佐々木と魚谷の着順勝負。
東1局、川原の高目大三元もあった3人テンパイは魚谷が制す。
リーチ、ピンフ、ツモ、ドラ2の2,000・4,000。
佐々木を親被りさせ、一歩のリード、いやこのルールなら一歩以上のリードを得た。
追う立場となった佐々木だが、南入して迎えた親番ではこちら。
2秒でテンパイ、安目だったが4秒後にツモアガリ。2,600は2,700オール。
土壇場で魚谷に迫る。
南1局2本場、魚谷の先制リーチを受けたが、仕掛けた三色同順の1,500は2,100。
このアガリで魚谷を逆転。
3ポイントではあるが、佐々木がリードする。
しかし、魚谷も競り合いには強い。
南2局の親番、安目だったが2,000オールで再度逆転すると、
同2本場では、佐々木の仕掛けにスピードをあわせて、500(+200)オール。
これが非常によい判断だった。(カンチャンで鳴いてはいるが、リャンメンにも関わらずチー)
3本場の3,900(+300)オールで勝負あり。
(リーチ、ツモ、中、ドラ)
36期以来、二度目のベスト8進出を決めた。
佐々木「今日は勝負どころで競り負けていましたね。一歩及ばずでした。決定戦で荒さんと戦いたかったのですが、それが叶わなくて非常に残念です。また次の試合で頑張りたいと思いますので、応援よろしくお願いします。」
魚谷「今日もなかなか厳しい戦いだったのですが、後半、手が入ってよかったです。まずは決勝を目指して頑張ります。応援よろしくお願いします。」
(文:福光聖雄)
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