第4期JPML WRCリーグ ベスト16A卓レポート
2018年08月24日
8月10日(金)
連盟夏目坂スタジオ─
集いたるは16名の選ばれし者達。
勝ち上がりの12名に加え、4名のシード選手がここから参戦。
そしてこれ以上のシードはない。
よってこの中から第4期WRCリーグの覇者が生まれるのだ。
皆の表情を見てみる。
リラックスしている者、緊張している者と様々だが、その中で一際目を引いたのは沢崎だった。
それはまるで友達の家にでも遊びに来ているかのよう。
開始前に同卓者と話す者、目を瞑り一人の世界に入る者。
それぞれの想いを胸に、立会人の合図で一斉に対局が開始された。
【A卓】
小林正和(前回覇者・C3)vs冨田久志(D1)vsケネス徳田(B2)vs藤島健二郎(B1)
第3期覇者の小林正和が登場。
小林とは何度も顔を合わせているが、この日の小林は気持ちが入りすぎているように見えた。
一方、先日行われたリーグ戦最終節でA2リーグに首位で復帰した藤島は、やはり落ち着いていて充実しているように見える。
さてどのような対局になるか─
1回戦(冨田―小林―藤島―ケネス)
東1局、開局の親リーチにケネスがまっすぐ打ち抜く。
リーチ ロン ドラ 裏
ケネス→冨田5,800
次局も冨田がリーチ。ツモアガリで1,300は1,400オール。
続く2本場も冨田が4巡目リーチ。
リーチ ドラ
藤島手牌
ツモ
現物はのみ。効率なら切りだが、藤島は切りで放銃を回避した。
11巡目にはケネスが追い掛けリーチ。
リーチ ドラ
ケネスはひたすら本手でぶつけてくる。相手のリーチにもひるまない。
もしが出れば(ダブロンがないため)上家のケネスのアガリとなる。
結果は2人テンパイで流局。
同3本場も流局(藤島1人ノーテン)
そして4本場、供託2本。まだ東1局だ。
藤島が3巡目に自風のをポン。小林も4巡目に自風のをポン。
全員が流しにきている雰囲気の中、親の冨田。
ツモ ドラ
ここはを切ってヤミテンとした。
冨田もまた納得のいく形でリーチをしていくスタイルなのだろう。
すぐにを引き入れた冨田はを切ってリーチといった。
冨田のリーチ攻勢が止まらない。しかし小林がを切るとケネスがチー。続いて現物のを切るとケネスがロン。
ケネス
チー ロン ドラ
小林からケネスへ8,000は9,200の放銃となった。(供託3本)
長い東1局が終わった。一次二次トーナメントに続き、冨田の勢いは続いていると思われた。
親を迎えた藤島。
ドラ
藤島の捨て牌
ほぼ手出しのこの河に対し他家はどうするか。
するとケネスが打。藤島スルー。テンパイとなる牌は仕掛けるか。
しかし上家の冨田はドラドラながらすでに受けていた。マンズが出ないよう七対子を目指すも、それも難しくなりはっきりと撤退。
終盤にを引きテンパイした藤島だが、テンパイ前にドラもツモ切りし、手出し(テンパイ打牌)でを切ると全員前に出られなくなり流局。1人テンパイ。
ドラ
東2局1本場
ヤミテンしていた藤島。
そこに南家の小林がリーチ。その宣言牌をポンしてケネスも前に出てきた。
藤島が持ってきたのは無スジの。これをそのままツモ切りリーチ。
すると戦闘態勢のケネスが一発で藤島に放銃。
リーチ ロン ドラ 裏
12,000は12,300のアガリ。
同2本場は流局。藤島、小林の2人テンパイ。
藤島はダブポン。小林はリーチピンフドラドラの3メンチャンだった。
リーチ ドラ
苦しい状況でのこのチャンス手がアガれないのだから本当にキツい。
小林は冷静に打ち続けられるだろうか。
続く3本場は藤島がリーチ後にドラのをカン。
そこにリーチで勝負した冨田が単騎に放銃。
暗カン リーチ ドラ
さらにドラが乗り18,000は18,900。
東1局に続き東2局までもが4本場まで積まれた。
持ち点はこう。
(親から)藤島62,700・小林17,400・ケネス21,800・冨田18,100
東2局4本場。
ドラ
藤島、ここから打。ツモ→打。ツモで切りリーチといった。
態勢良ければ手なりで育つとはまさにこのことか。流れるように手が高く育っていく。
冨田が役なしテンパイでワンプッシュするが、定められた運命かのようには藤島に引き寄せられた。
リーチ ツモ ドラ
裏ドラは乗らず4,000は4,400オール。藤島75,900点。
次局もダブをポンして5巡目には小林から2,900は4,400。
持ち点は8万点を超えた!
6本場には冨田がタンヤオのアガリ。1,300は3,100。
長い長い東2局が終わった。ここまでで実に12局。他の卓はもう1回戦が終わろうかというところだ。
ここからはスムーズに進行。
藤島は捌き、局まわしなども上手いためリードされると厄介である。
オーラスにはこうなった。
(親から)ケネス24,900・冨田21,000・藤島69,800・小林4,300
5巡目に親のケネスがリーチ。
捨て牌はこう
冨田1シャンテンだがアガれば2着になれるため押す!
ドラ
そして小林がを切るとケネスがロン。
リーチ ドラ
小林→ケネス9,600
あの捨て牌でかつ安全牌が少ない状況。小林はどんどん追い詰められていった。
1本場にはケネスが700は800オール。
南4局2本場
跳満ツモで2着になれる冨田は手替わりを待っていた。
ドラ
ツモはフリテンリーチにいくかもしれない。
持ってきたのは。これでも充分嬉しい。を切ってリーチとした。
これに飛び込んだのはマンズに染めていた小林。
高めのを掴んだ。
リーチ ロン ドラ
8,000は8,600
このアガリで冨田は原点付近まで戻り、小林は大きすぎるラスとなった。
そして20局に及ぶ長い1回戦が終了した。
1回戦成績
藤島+54.0P・ケネス+11.9P・冨田▲6.2P・小林▲59.7P
2回戦(冨田―ケネス―藤島―小林)
東場は大きな点棒移動はないが、小林のテンパイ打牌がことごとく捕まる。
南入した時点で
冨田32,200・ケネス30,600・藤島35,100・小林22,100
南1局は藤島が仕掛けて300・500
南2局、小林→ケネスに7,700
南2局1本場、冨田がリーチを掛けるもケネスに1,500は1,800を放銃。
南3局
親の藤島が5巡目にをポン。8巡目にはこのテンパイ。
ポン ドラ
しかしはすでに3枚切れていた。そこに冨田がポンして打。小林がポンして打。ケネスは鼻息が荒い(雰囲気)。明らかな親の染め手に全員が戦う姿勢である。
そこにを持ってきた藤島。は3枚切れ。皆さんなら何を切るか。
ポン ツモ
藤島の選択は打だった。なるほどと思った。恥ずかしながら私はこの時この選択は思いつかなかった。
このをケネスがポンするのだが、結果は流局。ケネス以外の3人テンパイだった。
冨田
ポン
小林
ポン
続く1本場は小林が執念のアガリ。1,300・2,600は1,400・2,700
オーラス
(親から)小林23,800・冨田28,500・ケネス33,200・藤島34,500
親で頑張りたい小林。だが配牌が悪い!
対して藤島は手が軽い。6巡目にはドラのを切った。これをポンしたのは親の小林。
ポンして2シャンテン(役ありにするには3手必要)だが、じっとしていられるわけがない。このポンは連荘率を上げるポンだと思った。
しかしそこにトップを取らんと冨田がリーチ。
リーチ ドラ
アガれれば最低でも2着に浮上。ツモor藤島からor裏ドラ1枚でトップ。
だがここはまっすぐ行かなければならない小林が、藤島に1,000点の放銃で終局となった。
2回戦成績
藤島+21.5P・ケネス+8.2P・冨田▲7.5P・小林▲22.2P
2回戦終了時
藤島+75.5P・ケネス+20.1P・冨田▲13.7P・小林▲81.9P
1回戦2回戦と同じ並びになってしまい、素点差もあるためそれぞれが離れていった。残り2回あるとは言え、小林にはもうあとがない。
3回戦(冨田―藤島―ケネス―小林)
東2局には小林が待望の3,000・6,000。これからどんどん加点していくしかないのだが、次局ケネスに5,800の放銃となる。
親のタンヤオピンフドラ1をヤミテンにしていたケネス。こういうのはガンガンリーチしてくるかと思っていたが、待ちがドラまたぎだからなのか、これがケネスバランスなのだなと感じた。
東3局1本場
藤島
ドラ
ここからをポンして打。チンイツへ向かう。
一方ケネス(親)
七対子とメンツ手の両天秤1シャンテン。ここに一番嬉しい(私だったら)ドラのを引き、切りリーチといった。
そこに向かったのは小林。をポンしてを切るとこれが御用。
トップ目からの痛すぎる12,000の放銃。だが小林の立場からすればただトップを取るだけでは足りない上、トップが欲しいからこそ他家にアガられるわけにはいかないと思ったか。
トップへの強い渇望が、小林をどんどん前のめりにしていった。
リーチ ロン ドラ 裏
実はツモれば8,000オール。もし七対子のリーチになっていたとしてもツモれば8,000オール。
もはや風はケネスに吹いていると言わざるをえない。
東4局、親の小林がポン。そしてを加カンし打点を上げに行くがドラは乗らず。しかしリンシャン牌でツモアガリ、1,300オール。
続く1本場で小林7巡目リーチ。
リーチ ドラ
小林も手は入っている。6,000オールを引きに行った小林。
私もリーチを掛けてしまいそうだが、これはヤミテンの選択もあったのだろうか?流局となってしまう。
この立場でのリーチ判断は本当に難しい。
東4局2本場
冨田が7巡目にドラのを切った。捨て牌はこうだ
明確に何かに向かっている。
そこに親の小林はポンにチー。冨田も中張牌を強く切り続けた。しかし12巡目、冨田がすっ…と優しくを切った。
危険信号、不穏な空気…
2つチーしてテンパイしていた藤島だったが、を引かされてテンパイを崩した。
結果は流局。
冨田は国士無双の待ちだった。(王牌2枚)
南1局
仕掛けてテンパイしていた藤島からケネスが8,000のアガリ
ロン ドラ
南2局
親の藤島
ポン チー ドラ
2,900テンパイ。一方ケネス
ツモ
この手をヤミテンにしていたケネス。持ってきた(当たり牌の)を収め、打とした。
すると冨田からすぐにが出て2,600のアガリ。
素晴らしいケネスバランス。
オーラス
(親から)小林32,200・冨田25,100・藤島23,800・ケネス38,900
小林ここで頑張りたい!
冨田と小林の2軒リーチだったがここは流局。藤島もテンパイし、トップ目ケネスの1人ノーテン。
南4局1本場 供託2本
藤島が5巡目にリーチ。
リーチ ドラ
最後の着順争いは藤島が競り勝った。冨田から出アガリ2,600は2,900。
3回戦成績
ケネス+20.9P・小林+7.2P・藤島▲5.3P・冨田▲22.8P
3回戦終了時
藤島+70.2P・ケネス+41.0P・冨田▲36.5P・小林▲74.7P
4回戦(ケネス―藤島―小林―冨田)
上下大きく離れた4回戦となった。
3番手の冨田ですらターゲットのケネスとトップラスを決めてさらに47,500点差が必要という状況。小林にいたっては85,700点差が必要という絶望的数字。
そこにトドメを刺すかのように、東2局には藤島が60,000点を超えていた。
東4局
(親から)冨田36,200・ケネス19,100・藤島62,700・小林2,000
親の冨田、5巡目にドラの切りリーチ
リーチ ドラ
数巡後をツモるとなんと裏ドラが。大きな大きな4,000オールのアガリ。
これで藤島と10,500点差。もう一度4,000オールなど出来ようものならケネスとほぼ並びである。
しかしそう簡単にはいかず、次局は藤島が冨田から2,000は2,300。
続く南1局は藤島が2,000・4,000。
南2局
(親から)藤島70,000・小林▲5,000・冨田43,900・ケネス11,100
親の藤島は手を組んでいない。ケネスがテンパイで打(ドラ)そこに冨田がリーチ!
リーチ ドラ
ケネス無スジ押す!さらに小林もリーチ!七対子ドラドラ待ち!
ケネスツモ!
ツモ
700・1,300のアガリ。
ケネスの麻雀には勝負師の熱が常に感じられる。
続く南3局、親の小林がリーチ!
リーチ ドラ
ケネス一発目でも無スジ押す!
冨田も無スジ押す!
ケネスツモ!
ツモ ドラ
なんと3,000・6,000!
これでケネスには大分余裕が出来た。しかしその余裕にあぐらをかかないことを私は知っている。
最終戦オーラス
持ち点(親から)冨田39,200・ケネス28,800・藤島65,700・小林▲13,700
冨田は連荘あるのみ。藤島をまくるぐらいは加点しないと現実的な数字が見えてこない。
小林はケネスからトリプル役満直撃条件。
冨田は配牌から長考。
8巡目にはこの形だった。
ドラ
鳴ける牌も出ぬまま、巡目は過ぎていき…
14巡目にツモ。七対子1シャンテンで打とすると次のツモが。
次にツモで七対子をあきらめる打。17巡目にをツモって最後の長考に入った。
ツモ
残りツモあと1回。上家の小林はフリテンになっているは切ってくれるかもしれない。でもポン材も残したい。じゃあ何を切る…
こんな考えが堂々巡りしていたのではないだろうか。
冨田は長考の末、をツモ切った。
結果は流局。
冨田は手牌を開けることが出来なかった…
長い戦いが終わり、結果は圧倒的なバランスだった藤島、絶妙な勝負勘を持つケネスの勝ち上がりとなった。
冨田、小林も最後まで自分の麻雀をぶつけていたように思う。今日の敗北を受け止め、また来期にぶつけてほしい。
1位通過:藤島健二郎 2位通過:ケネス徳田
カテゴリ:JPML WRCリーグ レポート