第5期JPML WRCリーグ ベスト16B卓レポート
2019年01月31日
ベスト16卓、2戦目となるB卓。
A卓では現女流桜花・仲田加南と原佑典が勝ち上がりを決めた。
2人に続き、ベスト8へ駒を進めるのは一体誰なのか。
ルールは一発裏ドラカンドラあり、30,000点持ち30,000点返し。
順位点はトップから+15、+5、▲5、▲15。
4回戦を行いポイント上位2名がベスト8進出となる。
1回戦(起家からHIRO柴田→石立岳大→前原雄大→中村毅)※文中全て敬称略
東1局
石立岳大 C1リーグ 東京本部所属 二次トーナメントより勝ち上がり
第15回日本オープン準優勝の実績を持つ選手。このJPML WRCリーグでも、第3期には予選1位でのベスト16進出を果たしている。
5巡目、南家の石立の手牌がこの形。
早くも1シャンテンの手に、引いてきたのはドラの。
ピンズのカンチャンを選択するか、ドラをツモ切りか。1回戦の東1局、石立が選んだのは。
一旦のを引いてのカンチャンテンパイも辞さない選択とする。
次巡のツモも、こちらもツモ切り。
そして7巡目、親の柴田からリーチ。
ドラ
これを受け石立、無筋のを引いてのトイツ落とし。そしてその次巡。
ツモ
3枚目のドラツモ。そして次巡のツモは。一発裏ドラのあるWRCルールでの難しい選択となったが、ドラ暗刻リーチの分かれ道もあっただろうか。
ここはアガリへの道は厳しくなってしまったとの暗刻落としでオリへと回ることになる。そして直後のツモ。石立は何を思ったか。
第1局は柴田の1人テンパイで流局となった。
東1局1本場供託1
南家の石立、先行リーチ。
ドラ
しかしなんと、この4巡目リーチが山にはもう残っていない。
それを知っているはずもない親の柴田が、無筋を続けざまに押し通してゆく。
そして追いついたのが14巡目。
ツモ
の4メンチャンの追いかけリーチ!そして石立が一発目に掴んだ牌は無常にも高めのとなった。
リーチ・一発・ピンフ・一気通貫・ドラで18,300の大きなアガリとなる。
東2局3本場
ここでも手のぶつかりあいとなる。
はじめにテンパイを入れたのは南家・前原。
ポン ドラ
そしてその前原のテンパイの余り牌、自身から3枚目のをチーした西家中村にもチンイツのテンパイが入る。
チー
そして北家・柴田も追いつきヤミテン。
その直後、最後にテンパイを入れたのは親の石立。
こりらも高めリャンペーコーの手をヤミテンとする。各々のアガリ牌がまだ山に残されており、緊迫した空気となった卓上。
最後の最後にハイテイで石立が引いたのは中村のアガリ牌。
ここはヤミテンにしていたおかげで、と入れ替え七対子のテンパイに。
4人テンパイで流局となる。
南2局
前原雄大 現鳳凰位 東京本部所属 鳳凰位シードによる二次トーナメントより勝ち上がり 前回の第4期では決勝進出も3位。
鳳凰位・十段位・グランプリMAX…など今まで獲得したタイトルは枚挙に暇がない。
ベテランプロと呼ばれる位置にありながら、どんな相手ともどのような場所でも真剣勝負を挑むその姿勢こそが、最強プロとして真のあるべき姿を体現しているのかもしれない。
南家の前原がダブをポン、そしてをポン、この形
ポン ポン ツモ ドラ(手牌のは後引き)
ここから自身がポンしたのちに引いた4枚目のを切っていく。
カンドラもあるこのルールでは、カンをするかどうかも押し引きによって大きく左右される。
そしてツモ、親の石立がのポンを入れていることもあり、ドラのではなく先にを外していった。
その後すぐにを引き入れる。
ポン ポン
そのをポンして石立もテンパイ。
ポン ポン
一気に場に緊張が走る。そして1巡後、テンパイを入れた中村から が打ち出され3,900のアガリとなった。
を加カンせず、またドラを先に切ることもせずに、しかし最良の打点で最高の結果を引き出す。前原らしい絶妙なバランスの1局となった。
南3局2本場
HIRO柴田 A1リーグ 前年度旗首順位1位シードによる二次トーナメントより勝ち上がり
2期連続で鳳凰位決定戦メンバーに残り、先日発表された優勝者予想では予想者全員に◎を印され、今期最も波に乗っている選手の1人。
押し引きのしっかりしたメリハリと、勝負どころでの攻めの強さで、初タイトルを狙う。
半荘も最終盤に入り各選手の持ち点は以下の通り
柴田51.5P 前原35.4P 中村19.1P 石立14.0P
親番中の前原は、あともうひとアガリでトップ目に指先が届くかと言うところ、そして親番が落ち残りの局数でどうにか着順アップを狙いたい石立。
ツモ ドラ
9巡目、この手から打としたのは親の前原。手役を強く見た選択。しかし次巡に持ってきたのは。
そこに、北家石立からリーチが入る。
リーチ
そして4巡後、アガリ逃しの牌となるが前原にもテンパイが入る。
ツモ
はリーチには通っていない牌だが、しっかりと打点のある形でヤミテンとする。
そこに3人目のテンパイとなったのは西家の柴田。
先行リーチとそれに押し返す親に対し、ここを1回戦の天王山とみたか、トップ目ながらドラを切ってタンヤオのテンパイどり。
そしてすぐに、500・1,000は700・1,200のツモアガリ。
勝負にもしものたらればはつきものだが、前原がリーチをかけていたら、また違った展開もあっただろうか。
次局、南4局は、親の中村にようやくトイトイドラドラの手が入るも、これ以上の減点はしたくない石立がアガって終局となる。
1回戦結果 柴田+42.1P 前原+16.6P 中村▲16.6P 石立▲33.7P
2回戦(起家から柴田→中村→石立→前原)
東4局1本場
親の前原が4,000オールのツモアガリを決めた次局、南家の柴田が4巡目リーチ。
ドラ
上家に切られたばかりの単騎でリーチ。残りの2枚は両方とも山に残っている。
そして同巡、石立が追いつく。
ツモ
待ちのリーチで追いかけリーチとゆく。これが実に山に7枚残り。
2対7、今度ばかりは石立に枚数の分があるかと思われたが、なんとここは柴田の一発ツモ。裏ドラも乗って3,000・6,000は3,100・6,100のアガリとなった。
南3局1本場
7巡目親の石立は現在4着目、ここでも先行リーチ。
ドラ
しかし今度は南家でを仕掛けている前原が無筋を押す。
そして柴田が切ったリーチの現物牌で2,000は2,300のアガリ。
石立にとっては苦しい時間ばかりが続いてしまう。
南4局も先行リーチをいれるものの実らず1人テンパイで流局、3着でこの半荘を終える。
2回戦成績
前原+25.7P 柴田+5.8P 石立▲10.8P 中村▲21.8P
トータル
柴田+47.9P 前原+14.0P 中村▲21.8P 石立▲44.5P
3回戦(石立→前原→中村→柴田)
東1局
前半戦が終了し、ここまでAリーガー2名が先行する展開。
ここで起家の石立にうれしいアガリ。
リーチ ツモ ドラ
リーチをかけ裏ドラも乗り6,000オール。これが反撃の狼煙となるか。
しかし次局以降、追い上げたい石立・中村、2人の手がよくぶつかる。
東1局1本場は石立が中村に3,900は4,200の放銃、そして東2局には柴田のリーチに、ツモり四暗刻1シャンテンの中村が押し返すも、追いついた石立が柴田から2,000のアガリ。
互いにさらなる加点をのぞむも、じりじりと局が進んでいく。
東3局
北家の前原がとをポンしている状況、先行テンパイを入れたのは南家・柴田。
を切れば待ちの5面チャン、を切れば中膨れの単騎の形だが四暗刻の1シャンテン。
4名中2名勝ち上がりのトーナメントで大物手を決めればその後の戦いはかなり楽になる。
しかし、その瞬間の自身のアガリの可能性を下げれば、他者の加点のチャンスも与えてしまう。
どちらも考えなければいけない局面での選択、柴田が選んだのは。自身の最終形を大きく見た。
しかしすぐに前原の手が開かれる。
ポン ポン ツモ ドラ
役役ホンイツトイトイドラ2の4,000・8,000。
5面チャンとしていればでの出アガリもあったと思われる局面だが、この場況、この場面で一体どの選択がよりベストだったのか、ここに座るプレーヤーによって意見は分かれるだろう。
東4局1本場
前局、親の柴田がリーチのめくりあいに勝って中村から12,000の出アガリ。ラス目を脱する。
しかし追い上げる石立も攻め続け
リーチ ツモ ドラ
2,000・4,000は2,100・4,100でくらいついてゆく。
南3局
ここまでの持ち点 石立56.1P 前原55.4P 中村-11.9P 柴田21.4P
果敢に攻め続けここでトップを取りたい石立、そしてこの親番はなんとしても連荘したい中村。
しかしここで元気よくリーチの声はトータルトップ目に立つ前原。
ツモ 打 ドラ
一発でをツモり、裏ドラは。この半荘2度目の4,000・8,000で、追い上げる者たちを再び振り切ってゆく。
そしてむかえたオーラス、親の柴田がポイント争いのライバル石立から9,600を直撃、ポイント差を広げるも次局は前原がアガリ、大きなトップで3回戦を終えた。
3回戦成績
前原+57.7P 石立+17.5P 柴田▲8.0P 中村▲67.9P
トータル
前原+91.7P 柴田+39.9P 石立▲27.0P 中村▲105.6P
最終戦(柴田→石立→前原→中村)
泣いても笑ってもこれが最終戦。
トータル2位柴田との差は石立が66.9、中村が145.5。追いかける2名が、どれくらいマックスで攻めきれるかが勝負の鍵を握る。
東1局、前原から5,200をアガった石立が東2局、親を連荘してゆく。
2,600オール、1本場での柴田との2人テンパイ、2本場で1人テンパイ。
そしてむかえた東2局3本場、9巡目。
ロン ドラ
ダブ・ドラの9,600点を柴田から直撃!!!
このポイント直撃で着順もあわせトータルポイントで柴田より上になる。
ポイント差を鑑み、冷静にヤミテンを構えた石立に嬉しい結果となった。
東3局
ここでは北家の石立、この手からをポンせず。
そこに西家柴田からリーチが入る。
リーチ ドラ
そして石立もを引き入れテンパイ。
ツモ
今度は追う立場となった柴田との真正面からのぶつかりあいに備えた結果か、メンゼンでの勝負となりこちらもリーチ!
トータル2位と3位のぶつかり合いになる。
ここでアガったのは柴田。2,000・4,000。これでこの半荘での着順が再び柴田がトータル2位に。
東4局
中村毅 C1リーグ 東京本部所属 一次トーナメントより勝ち上がり
前期である第4期ではベスト8進出。ここまで予選、一次トーナメント二次トーナメントを長い道のりを戦ってきた。
打点力のある麻雀が魅力の選手だが、この日はなかなかチャンスに恵まれることが少なかった。
ここでその中村の親番、
ドラ
上家のをチーせず、自力で引き入れたのは。ここでようやくとなったリーチ!
すぐにをツモアガリ裏ドラものって8,000オールのアガリとなる。
これが反撃の狼煙となるかと思われたが、次局、親の前原があっさり1,300は1,600。
4半荘を通して、中村は終始展開に苦しんだ1日となった。
南1局1本場
ふたたびトータル2位3位の柴田石立の手がぶつかる。
暗カン ドラ
6巡目、親の柴田が暗カンをいれ先行リーチ。
そこに南家石立もテンパイ。
ドラドラのこの手を追いかけリーチとゆく。柴田がさらにを引いて暗カン、カンドラ。
表ドラ3種に裏ドラ3種、一気に場の緊張が高まる。
リャンメン対カンチャンの対決だが山には互いに4枚ずつ残っている。2人はそんなことは知る由もないが、ツモる指先に力がこもる。
ここで軍配が上がったのは柴田。
石立から7,700は8,000の直撃を決め、大きな差をつける。これが事実上最後のぶつかりとなった。
その後は石立も連荘を狙うが大きく加点することなく親流れ、
オーラスは石立が倍満直撃か役満ツモ条件、中村が連荘して加点し続けるというものとなった。
中村が維持の6,000オールをアガるも次局はテンパイできず流局。
最終戦結果
中村+45.5P 石立▲0.4P 柴田▲15.8P 前原▲29.3P
勝ち上がり 前原雄大 HIRO柴田
前原「今回は鳳凰位決定戦の前哨戦のつもりで臨んだ。ベスト8も、鳳凰位決定戦同様がんばりたい。」
柴田「ベスト8は同卓・女流桜花仲田プロとの対戦、頑張ります。」
カテゴリ:JPML WRCリーグ レポート