第23期チャンピオンズリーグ トーナメントレポート
2013年02月12日
近年のチャンピオンズリーグのレポートは皆、全卓の牌姿をまじえながらの説明が書いてありました。
トントンは困りはててしまった・・・なぜなら、対局の細かい内容よりも、私はいつも、押し引きや卓上の出来事によって選手の状態がどう変化していくのかを追っているから・・・しかも最高7卓が同時進行・・・
とったメモを手元に、うまくまとめようと思えば思うほど、文章がちぐはぐしてくる、どうしよう・・・
悩んだ末、歴代の先輩たちの書き方と違うスタイルで書くことにしました。
楽しく読んでいただければ幸いです。
ベスト28、ベスト16とも、各卓で3半荘を同じメンバーで行い、トータル上位2名が勝ち残るトーナメント方式です。まずは、ベスト28、ベスト16を通して見た感想から。
【ベスト28】
ベスト28組み合わせ
1卓 仲田加南 小川拓麻 手塚紗掬 中村信吾
2卓 堀内正人 石川正明 三好直幸 藤井すみれ
3卓 藤本哲也 沢崎誠 越野智紀 増田隆一
4卓 石橋薫 吉田直 弓削雅人 末続ヒロトシ
5卓 吉田幸雄 客野直 吉田勝弥 相沢かおる
6卓 大木亮典 福光聖雄 関島義基 白鳥翔
7卓 西島一彦 土井悟 井出康平 高沢智
沢崎プロ、吉田(幸)プロ、第4期女流桜花の仲田プロ、デビュー以来、好成績を残している手塚プロと、剛腕が揃うトーナメントの中、まず注目したのは堀内プロです。
連続3年、彼は十段戦の決勝卓まで勝ち上がっています。
これは、トーナメントの戦い方に対して、堀内プロなりの勝ち方のセオリーあるはずと思い、そっと彼の背中に立ちました。
1回戦、開局間もなく、堀内プロが順調にアガリを続けています。
東2局、親の藤井プロのリーチをかわし、ホウテイで見事にアガリ満貫。
ドラ ロン
さらに東3局、親の石原プロのリーチに対しても、これを巧妙にかわし、またもや満貫を物にします。
ポン ツモ
続いて、堀内プロは親番を迎えます。持ち点47,300。
ここだ!この親番を物にできれば、きっとベスト28を軽々と勝ち上がるのでは!?
予想通り、絶好のチャンス手だ。東4局、親・堀内プロ6巡目手牌、
ドラ
8巡目、上家の石原プロよりが切られ、そのをチー。
チー
そしてこの形でテンパイ。
ブレイクにつながるか否かのこういった繊細な状態が一番難しく、どうするのが一番いいのかいつも迷います。堀内プロはデジタルスタイルで実績もあるプロの1人。
その堀内プロの鳴きが、この後どのような展開になるのか、非常に興味深く観させて頂きました。
終わってみれば、堀内プロの親番はその局でピリオドを打ち、1回戦終了時に、堀内プロは沈みの2着まで落ちていたのです。逆にをチーさせた石川プロが1人浮きのトップになりました。
2回戦のトップも虚しく、堀内プロは3回戦でラスを引きそのまま敗退となりました。
未だに頭に浮かぶクエスチョン、彼の敗因はあのチーにあったのかどうか。
他にも、1卓から出場の中村プロや、5卓はベテランの吉田(幸)プロが、共に1着1着2着と順調な滑り出し、あっという間にベスト28が終わり、去年のチャンピオン西川淳プロと今期予選1位通過の須浦正裕を加え、ベスト16の対戦が始まります。
【ベスト16】
ベスト16組み合わせ
1卓 西川淳 福光聖雄 高沢智 手塚紗掬
2卓 須浦正裕 吉田幸雄 土井悟 三好直幸
3卓 中村信吾 吉田直 白鳥翔 沢崎誠
4卓 石橋薫 石川正明 客野直 藤本哲也
特に印象に残ったのはこの局。
1回戦開局そうそう、1卓の前チャンピオン西川プロの親番。
河からみて、かなり明確なソーズの染め手でしょう。
12巡目の手牌。
ポン ドラ
下家の高沢プロはそんな親に警戒し、丁寧にを下す、と、その時!事件が起きた!
なんと、西川プロの上家の福光プロがポンの声を、バックのドラトイツ。
直感で「これは・・・まずい!」
次の瞬間!が西川プロの手の内に舞い降りるのだった。清々しい6,000オール
西川プロ、勢いを掴んだ。
1卓通過:西川淳 高沢智
2卓では、予選1位通過の須浦プロが、+22.1Pで迎えた3回戦で大きく崩れ通過できず。
3卓では、中村プロと吉田プロがワンツーを交代しながら走りぬく。
2卓通過:吉田幸雄 土井悟
3卓通過:中村信吾 吉田直
4卓、石橋プロが藤本プロに国士無双を振り込むも、四暗刻をツモりアガるなど、3回戦を通してめまぐるしい展開があった中、石川プロが1回戦で獲得したポイントのマイナスを最小限に抑え、難なく通過。
4卓通過:石川正明 藤本哲也
ベスト28から通しで見ると、勢いが止まらない西川プロ、中村プロ、安定の高沢プロ、技の吉田(幸)。ここまで勝ち上がった8人は皆、メラメラと闘志を燃やしていた。
あと準決勝1回、さあ誰が決勝への切符を手にできるのでしょうか。
【ベスト8】
決勝まであと1つ。きっと、誰もがここを潜り抜けたいのであろう。
ここまでくれば誰もが決勝、いや優勝をイメージする、なので、このベスト8で負けるのは一番堪えるはず。
「簡単には負けられない」
ここにいる8人は誰もがそう思っているでしょう。
準決勝も、各卓で3半荘を同じメンツで行い、トータル上位2人が勝ち残るトーナメント式です。
1卓:西川淳 吉田幸雄 中村信吾 藤本哲也
かなり好調をキープし、すいすい勝ち上がってきた中村プロは、堅いと思いながらも前チャンピオンの西川プロと吉田(幸)プロの存在が大きく、そう簡単にいくか。
西川プロは1半荘目でラスを引き、勢いが半減しそのままフェイドアウト。
藤本は3着、沈み2着で辛抱し、オーラスにかけて懸命に戦うも届かず。
中村は2半荘目で大勝し余裕で通過。
2番目を引いたのは吉田(幸)プロだった、2回戦終了時+17.1Pを持っていた。
トーナメント方式なので、2着をキープする必要がある。
1位と4位は離れていて、多少の浮き沈みで変わってしまう。
▲9.5Pの藤本プロを当面意識しなければならない。
3回戦東3局、藤本プロは1300・2600をツモリ1人浮きに。
南入時の卓内の点数はこうだ。
吉田プロ25,200
西川プロ31,800
藤本プロ36,300
中村プロ26,700
そう!トップラスで藤本プロが、吉田(幸)プロを逆転していたのだ。
南2局、吉田(幸)プロは、
リーチ ドラ
この手牌でリーチ。浮きを意識したリーチだ。無情にも流局を迎え、持ち点棒27,200。
このままではギリギリ通過できるが、あと2局もあるため、少しの点棒移動も命取りになる。
油断は禁物。
南3局、吉田(幸)プロは、放銃はもちろん、横移動があった場合でも通過が危うくなる。
テンパイできないまま、終盤に向かう、14巡目、ドラのを引き入れ、
またもや1人テンパイ。これで30,200点、原点復帰だ。
原点を超えていえば通過は堅い。南4局は中村プロのアガリで終了。
試合後、「あのを引かなかったら終わっていたね」と、吉田(幸)プロが悪戯っぽい笑顔で言った。
かなり苦しかったのが伝わった。
1卓通過:吉田幸雄 中村信吾
2卓:高沢智 石川正明 吉田直 土井悟
1回戦、高沢プロが華麗に魅せた。
南2局1本場、43,800点持ちの親・吉田(直)プロの親番を打ちとった高沢プロ。
それまで吉田(直)プロが好調だったため、私は高沢プロの後ろに移動した。
意外な出来事がきっかけになる、トントンの拙い経験の中のデータだ。
データがぴったりとはまった。
南3局2本場、南家・高沢プロ、23,600点。
ポン ドラ
ツモの1300・2600。オーラス、親番・高沢プロ、29,400点。
ドラ
7巡目の仮テンで2,000の加点、沈み3着より浮の2着へ浮上。
しかしこれでは終わらない。
オーラス1本場、親番・高沢プロ、31,400点。
ドラ
これをリーチ。さらにの出アガリで11,600は11,900の加点。
オーラス2本場、2,600オール、オーラス3本場、700オールをアガリ、迎えたオーラス4本場。
54,700点持ち。11巡目の高沢プロの手はこちら。
ドラ
12巡目、ツモ、切りリーチ。
29,400点持ち、北家の土井プロより追っかけリーチが入る。
リーチ
同じく、高め三色対決。
ここもやはり状態の差で、高沢プロが高めのをやすやすとツモアガる18,000の加点。
ここで50分+1局の時間制限により、対局は終了。
1人浮きのトップ、粗点+44.9P順位点+12.0P、1回だけで+56.9Pも獲得できた。
2回戦、3回戦と多少の失速があったものの、高沢プロは決勝卓への切符をしっかりと握りしめていた。
1回戦で、先に先頭を走るも、トップをもぎ取られた吉田(直)プロは、2回戦で運命の局に出会う。
残念ながらこの局はトントンが見逃した1局でしたが、本人の言葉をもとに再現してみたいと思います。
南1局3巡目、子の吉田(直)プロ26,200点の手牌。
ドラ
ツモ、ここでを暗カンし、嶺上からドラのを引き入れリーチ。
土井プロより追っかけリーチが入るも、をツモリ2,000・4,000の加点につながった。
きっかけの局をしかりとつかむ。
2卓通過:高沢智 吉田直
勢いの中村信吾、技の吉田幸雄、安定の高沢智、靱(しなやか)の吉田直。
勝利は誰の手に!
カテゴリ:JPML WRCリーグ レポート