グランプリ レポート

グランプリ レポート/第5期麻雀グランプリ MAXベスト16 A卓レポート 紺野 真太郎

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前田直哉、杉浦勘介、伊藤優孝、ともたけ雅晴
現鳳凰位前田を筆頭に鳳凰位経験者が3名。この相手に挑む杉浦の胸中は・・
1回戦東1局、起家杉浦にいきなりチャンス手が入る。
10巡目
四万四万五万四索五索五索六索六索九索九索三筒三筒五筒  ツモ五万  ドラ九索
このテンパイ。打五筒とし四索単騎と受ける。
捨て牌はピンフ形も視野に入れ進行させていた為、七対子には見えない。
次巡二筒に待ち変えると、3面張のピンフをテンパイしていたともたけより二筒が打ち出されて9,600。
各上3名を相手にスタートダッシュを決めることに成功する。
スタートを決めた杉浦だったが、簡単には逃げさせてはくれない。
前田は小刻みに、伊藤は勝負手を決めて、オーラスには3人のトップ争いとなる。
南4局、東家・前田34,800、南家・杉浦33,900、西家・伊藤36,500、北家・ともたけ14,800。
杉浦はトップ伊藤と2,600差。その杉浦8巡目にテンパイ。
七万八万四索四索七索八索九索五筒六筒七筒中中中  ドラ八索
条件どおり2,600のテンパイ。直撃かツモで単独トップ。
捨て牌からは六万九万はこぼれる感じだ。ヤミテンを選択する者もいるであろう。
しかし、杉浦はリーチを宣言。
5回戦勝負の1回戦目、前田と伊藤は放銃しなければほぼ浮きを確保できる。
このリーチは相手を引かせるにも条件を満たす。
また明らかな各上相手の杉浦にとって、気で負けていては勝負にならないという思いもあったであろう。
結果は杉浦の2,000・3,900ツモ。見事トップを決めた。
1回戦成績
杉浦+19.8P 伊藤+7.5P 前田+1.9P ともたけ▲29.2P
 
2回戦東3局、杉浦4巡目テンパイ。
三万三万二索二索四索四索八索八索三筒三筒七筒七筒白  ドラ八索
捨て牌は、発九索 上向き西五索 上向きと七対子には見えない。
先程もそうであったが、この辺は杉浦の能力の高さを物語る。
これにともたけが捕まる。
ともたけは普通に手牌を進行させていたが、杉浦の捨て牌が変則には見えない為の放銃。
ともたけ苦しい。
更に杉浦、親番の南1局に三索六索九索のピンフドラ1のテンパイ。
手巡上九索はフリテンとなっているが、お構いなしとばかりにリーチを打つ。
脇はオリて終盤までもつれたが、三索をツモアガリ2,600オール。
次局にも前田より7,700は8,000を打ち取り大きく抜け出す。
南2局1本場、伊藤の親リーチに対しても一歩も引かずアガリ切った。
この2回戦は正に杉浦の完勝。まだ3回を起こすとはいえ、杉浦の勝ち上がりは固いと思われた・・
2回戦成績
杉浦+31.6P ともたけ▲1.6P 伊藤▲5.0P 前田▲24.0P
2回戦終了時
杉浦+51.4P 伊藤+2.5P 前田▲22.1P ともたけ▲31.8P
 
3回戦
起親ともたけ2,600オール。
このベスト16戦、初めてと言っていいほど自然な形でのアガリ。
反撃開始だ。
東1局1本場8巡目、西家/杉浦の手牌。
三万四万七万五索五索七索七索九索二筒四筒七筒八筒東  ツモ五万  ドラ九万
ここから打七万。ほんの少しの違和感。杉浦の配牌は
四万七万五索七索九索一筒二筒四筒七筒八筒東西中  ツモ南
この配牌から、東以外の字牌は自然な形で処理していた。次巡ツモ四筒で打九索
「・・・」もちろん生牌の東を切ったほうが良いという話ではない。
ともたけの2,600オールスタートでマークすべき親なのだが、1、2回戦の杉浦なら8巡目に切っているような気がした。
大事なものを失わなければよいのだが・・
この半荘を制したのはともたけ。
南1局2本場の高め6,000オールを引けなかったのは痛かったが、杉浦をラスにし反撃体制を整えた。
3回戦成績
ともたけ+16.9P 前田+7.4P 伊藤▲6.8P 杉浦▲17.5P
3回戦終了時
杉浦+33.9P 伊藤▲4.3P 前田▲14.7P ともたけ▲14.9P
 
残り2回、差は詰まったとはいえ、2人勝ち上がりを考えるとまだまだ十分なリードを持っている杉浦。
だが、勝負の女神が迷宮へ誘う・・
東1局1本場、9巡目杉浦テンパイ。
二索三索四索北北白白白発発  ポン東東東  ドラ五筒
だがこのテンパイ打牌の五筒がともたけに捕まる。
2,000は2,300だが、杉浦の心境はどうであったろうか。
続く杉浦の親番わずか2巡でテンパイ。
一万二万三万四万五万六万六万一筒二筒三筒四筒四筒七筒  ツモ七筒  ドラ八万
リーチは打たずともテンパイに取る者もいるであろうし、取らない者もいるであろう。
どちらが正解とはいえない手牌。
杉浦の選択は打一筒のテンパイ取らず。その後のツモは三索南六万四筒一筒五万発三筒西発三筒三筒七筒、ここでテンパイとなるが、その形が
一万二万三万四万五万六万一筒二筒三筒四筒四筒七筒七筒
というもの。断っておくが、杉浦は牌理に弱いわけではない。むしろ強い。
だがそんな杉浦をもってしても、このような状態にはまり込んでしまうということである。
この局にはまだ続きがあり、この時伊藤が四筒七筒、前田が八万白でテンパイしており、次巡、掴んだ白を杉浦が河に置くことはなかった。
それもまた能力である。
先行に陰りが見えてきた杉浦を伊藤が捕まえにかかる。
六万七万八万六索七索八索六筒七筒八筒西西白白  ツモ西  ドラ七索
この4,000オール。更に8,000は8,600、2,000・4,000と爆発。杉浦を逆転する。
ここまで我慢の前田も、南3局に3,000・6000で原点を超えてくる。
ともたけは苦しくなったが、3人による争いで最終戦を迎えることとなった。
4回戦成績
伊藤+28.8P 前田+14.1P 杉浦▲12.0P ともたけ▲30.9P
4回戦終了時
伊藤+24.5P 杉浦+21.9P 前田▲0.6P ともたけ▲45.8P
 
最終戦東2局、親の前田が2,600オール。一気にトータルトップに浮上する。
この後伊藤は原点を回復させ、杉浦は20,000点近くまで削られてしまう。
迎えた南1局の杉浦の親、8巡目、伊藤からリーチが入る。次巡杉浦、ツモってきたのはドラの東
七万七万四索四索六索六索七索八索四筒四筒六筒七筒七筒  ツモ東  ドラ東
すでに東を切っている杉浦、最後の親番であること、標的の伊藤が前に出てきたことなど理由はある。
それでも嫌な感じはしていたのだろう。一瞬の逡巡の後にツモ切った。
この局にも分岐は存在し、杉浦が2巡目に東をツモ切っていれば伊藤が合わせていた可能性があり、七対子に決めていればここでテンパイしていた可能性があり、ツモ切りリーチを選択した伊藤がもう1巡リーチを打たなかったら・・・
四万五万六万六万七万八万三索四索五索七筒八筒九筒東  リーチ  ロン東
5,200。伊藤はほぼ確定。南3局2本場、7巡目前田テンパイ。
一万二万三万五万六万七万八万八万七索八索六筒七筒八筒  ドラ八筒
これをリーチ。ヤミでアガった場合は杉浦に満貫ツモ、5,200直撃の条件が残る。
これをツモれば最低跳満が必要となる。
また伊藤が仕掛けており止める効果もあったろう。それをきっちりツモアガリで決めたのも力である。
最終戦終了
前田+18.4P 伊藤+9.6P ともたけ▲7.2P 杉浦▲20.8P
最終戦終了時
伊藤+34.1P 前田+17.8P 杉浦+1.1P ともたけ▲53.0P
終了後、杉浦と少し話をしたが、落ち込んでるようなそぶりは見せなかった。
本心がどうだったかは計りかねるが、しっかり次を見据えているようであった。
近いうちに今度は勝ち上がる姿を見せてくれることであろう。