グランプリ レポート/第6期麻雀グランプリ MAX二次予選レポート 船木 伸一
2016年03月14日
第6期グランプリMAX二次予選。
ここからは、特別シード・灘麻太郎、女流桜花・宮内こずえ、プロクイーン・童瞳。
ポイントランキング上位から、櫻井秀樹、瀬戸熊直樹、ダンプ大橋、野方祐介、前原雄大、古川孝次、望月雅継が参戦!
錚々たるメンバーが加わり、更に激しさを増す二次予選。ベスト16・そして、決勝へと駒を進める者はだれか!?
レポートは引き続き、29期生、船木伸一がお届けします。宜しくお願いします。
A卓
(灘麻太郎VS望月雅継VS小川尚哉VS鈴木秀幸)
特別九段シード・タイトル多数・カミソリ灘の異名を持つ、灘麻太郎。
A1・4位、最年少鳳凰位の記録を持つ、望月雅継。
昨日の一次予選を、ダントツで勝ち抜き勢いに乗る、小川尚哉
昨日の一次予選、苦しみながらも逆転で勝ち残った、鈴木秀幸
大ベテランの灘・A1リーガーの望月に、勝ち上がり組の小川・鈴木が挑む構図。
東1局、いきなり親・望月の大物手が炸裂!
ポン
これをリーチの鈴木から。望月らしい、華やかなアガリ。12,000でスタートとなったA卓。
しかし、終わってみれば小川の1人浮きのトップ。
昨日に引き続き、小川はギリギリまでの踏み込みや、高打点の手組みでポイントを伸ばしていく!
また、灘も仕掛けを駆使した、巧みなゲーム回しで、好位置をキープ。
4回戦終了時には、トータルトップへと躍り出る。
一方、望月はかなり苦しい立ち上がりだが、3回戦ラス前にトップ目から、7,700は8,300をアガリ、トップを取ると、4回戦もプラスで纏め、小さいマイナスで最終戦へ。A1の底力を見せた望月。
逆転通過なるか!?
4回戦迄のトータル
(灘麻太郎+18.1P・小川尚哉+7.0P・鈴木秀幸▲9.1P・望月雅継▲16.0P)
全員にチャンスがある最終戦も、オーラスへ。オーラスの親は小川。望月は厳しい条件。また鈴木は跳満ツモ条件で、以下の手牌。
ドラ
絶好のチャンス手!しかも、これが3巡目なのだ。
しかし、これが全く埋まらず、まさかのノーテン終局。
『テンパイすら出来ないなんて・』
鈴木は肩を落とすのだった・・・。
最終成績
(小川尚哉+25.1P・灘麻太郎+16.8P・鈴木秀幸▲13.5P・望月雅継▲28.4P)
勝ち上がり : 小川尚哉・灘麻太郎
B卓
(前原雄大VS山田浩之VS和久津晶VS宮内こずえ)
A1・6位、タイトル多数、チームガラクタ総帥、前原雄大
昨日の一次予選、危なげなく勝ち切った、山田浩之
大激戦の一次予選を制した、超攻撃型アマゾネス、和久津晶
念願の連盟初タイトルを取り、目指すは二冠。純白の牌奏者、宮内こずえ
攻撃型が揃い、激しい叩き合いが予想されるB卓。
しかし、1・2回戦は大きなスコアの動きなく進む。
しかし、内容はせめぎ合いの連続で、特に前原は常にギリギリまで攻め、アガリやテンパイ料を集めていく。苦しい手牌でも、戦う姿勢は非常に勉強になった。
また、2回戦オーラス。親は前原。
宮内が、丁寧な手順で以下のリーチ。
ドラ
3面張の好形リーチだが、ピンフが付くと、浮きに回るため、ツモるならで。という所。
そこへ、1回戦マイナスで28,500持ちの山田が粘りに出る。
ツモ
イーシャンテンから、無筋のドラを勝負して、以下のテンパイに。
リーチ宣言牌が、のためも切りにくく、で放銃になるか?と思いきや、打!として放銃回避。そして、ツモでテンパイ復活。
粘り込んだ!読みの精度の高さは流石である。
これをアガリきれば、浮きに回るが、ここは宮内がを引きアガる。見応えのある1局だった。
4回戦では、オーラストップ目の親宮内が、14巡目に、ション牌のドラを切って以下のリーチ。
リーチ
ドラが当たってしまえば、トップどころか、沈みまである局面。
アガる事は出来なかったが、桜花らしい、勇気ある決断だと感じた。
4回戦迄のトータル
(前原+20.6P・和久津+13.2P・宮内▲15.0P・山田▲21.8P)
A卓と同じく、全員にチャンスがある最終戦。和久津・前原が積極的に卓を回していく。和久津は40,000点を超え安全圏に。
山田も親番でチンイツをテンパイしたり、宮内もラス前の親で粘るが、最後は和久津がアガリ切る。前原と共に勝ち上がりを決めた。
最終成績
(和久津晶+36.6P・前原雄大+16.0P・山田浩之▲23.4P・宮内こずえ▲32.2P)
勝ち上がり:和久津晶・前原雄大
C卓
(HIRO柴田VS童瞳VS野方祐介VS高谷圭一)
改名しての初陣を、見事勝利で飾った、HIRO柴田
激戦の末、見事プロクイーンを制したバイリンガル雀士、童瞳
王位戦準決勝、十段戦決勝と、今年大ブレイクの、野方祐介
苦しい位置から、見事逆転で勝ち残った、高谷圭一
A1に復帰したHIROに対し、今年活躍した3人が挑む。
HIROは、昨日と打って変わり好スタートを切る。高谷も、オーラスまで沈みの3着だったものの、オーラスの親番で連荘。浮きに回る。童瞳は大きなラスになってしまう。
苦しい位置の童瞳だが、2回戦、反撃開始!
東1局の親番で3本場まで積み、52,900点まで点数を伸ばす。
親は落ちるも、野方の親でこのリーチ。
リーチ ドラ
親の野方も追いかける。
リーチ
残り1枚ずつのリーチ合戦。
童瞳は、これに勝てば負債を全て返せるだけに力が入る。
勝ったのは野方。童瞳からで12,000、童瞳は自分でを2枚使っていただけに、悔しいところ。
『だけは持ってこないで。と祈っていた・・・』
とのコメントだった・・。
勝負所を制した野方は、そのままの勢いで、4回戦終了時にはトータルトップに。
童瞳・高谷も、十分逆転可能な位置で、最終戦を迎える。
4回戦迄のトータル
(野方+36.3P・HIRO+14.1P・童瞳▲23.2P・高谷▲27.2P)
最終戦、南2局に事件発生か。
HIROのハイテイ牌が、高谷のピンフ高め三色に当たってしまった。
HIROは、
『童瞳が、オリたと思った。だから、プレッシャーを掛けたかった。』と語る。
結果は悪い方に出てしまったが、HIROが常々語る。都合の良い時だけ勝負するAリーガーは居ない。
が思い出された。
そして、オーラスへ。ラス前アガリ返したHIROはトータル2着目になっていた。
童瞳は、満貫条件。
トータルトップの野方が親なので、1局勝負だ。
HIROが唸る。
ドラ
最悪の待ちだが、どうするか?
HIROはリーチを選択した。
勝負を掛けた。
高谷も
どうする!?
高谷は、切りリーチを選択し放銃を回避。凄い!
が1枚あるので、高谷有利か。
童瞳も、ピンズのホンイツで勝負に行く。
そして!
引き勝ったのはHIRO。
A1リーガーの底力を見せた。
終局後、瀬戸熊の元に向かう童瞳。残念そうに話す童瞳だったが、まだ東京に居る高谷を誘って、道場の瀬戸熊ゲストdayに行くと話すのだった。ちなみに、明日である。
その精神力と向上心の強さに打たれた。目頭が熱くなりそうなワンシーンだった。
最終成績
(野方祐介+31.0P・HIRO柴田▲0.6P・高谷圭一▲12.0P・童瞳▲18.4P)
勝ち上がり:野方祐介・HIRO柴田
D卓
(古川孝次VS石渡正志VS櫻井秀樹VS山田学武)
鳳凰戦での激闘が、記憶に新しい、サーフィン打法、古川孝次
一次予選、危なげない麻雀で勝ち切った、来期A1復帰、石渡正志
十段戦は、惜しくも失陥、このグランプリで雪辱を果たしたい、A2リーガー、櫻井秀樹
更に上を目指したい、嵐を巻き起こせるか!?サンフランシスコハリケーン、山田学武
勢いに乗る山田が、Aリーガー3人に挑む。E卓の阿部と同じ構図である。
山田が、思い切った仕掛けと、踏み込みでAリーガー3人相手にトップスタート。
そして、古川も仕掛けを駆使して局面をリードしていく。
2回戦、石渡が櫻井からドラ暗刻のメンホン16,000!見事なメンホンだった。
放銃した櫻井は、かなり厳しい位置に立たされてしまう。
また、古川も。持ち味を発揮する。
南2局、北家 古川 ドラ
この手から
チー ポン
と、積極的に動き。
を引き込み、を鮮やかに引きアガった。
3回戦は山田が大きなトップ。
若手ながら、各大会で好成績を残しており、特に大きなトップを取るのが、上手いと感じる。
しかし、櫻井もこのままでは終わらない。4回戦に猛反撃。
東1局に4,000オールを引きアガると、得点を伸ばし続け、30Pを超えるトップを取る。
しかし、ターゲットの古川も櫻井の嵐の中、しっかり浮きをキープするのだった。技術の高さが光る。
4回戦迄のトータル
(山田学武+33.9P・古川+20.0P・石渡▲26.0・櫻井▲27.9)
『これで、やる事が出来たよ。』開始前語る櫻井。まだまだ条件は厳しいが、古川とトップ・ラスなら、素点は約30,000差。
ザックリ言うなら、18,000直撃1回で条件を満たすのだ。決して不可能な差では無い。これは石渡も同様である。
最終戦が始まる。
古川が、仕掛けて卓を回していく。
古川と共に浮いている者は、頼もしく感じているのだろう。
山田も、好調を維持し点棒を集めていく。櫻井は厳しくなってしまったか。石渡は必死に追いすがる。
も、山田・古川が勝ち切った。
最終成績
(山田学武+49.7P・古川孝次+10.6P・石渡正志▲17.0P・櫻井秀樹▲43.3P)
勝ち上がり:山田学武・古川孝次
E卓
(瀬戸熊直樹VS仁平宣明VSダンプ大橋VS阿部謙一)
7年連続、鳳凰決定戦進出。出るか!?クマクマタイム!瀬戸熊直樹
昨日の一次予選は、強敵相手に、圧勝での勝ち上がり!仁平宣明
十段戦決勝進出、マスターズBest16
、A2リーガー、ダンプ大橋
井上との戦いを制して、二次予選へこちらも注目の若手、阿部謙一
阿部が仕掛けを駆使した思い切った打ち回しで、Aリーガー3人を相手に、大きなリードを奪う。このまま金星なるか!?
その煽りを受けてしまったのが仁平。高打点を作ってのリーチも不発、かなり厳しい立場に立たされてしまう。
結果から書くと仁平は、敗退となってしまうのだが、絶望的状況になっても、最後まで気迫溢れるトーンで、打牌を繰り返すのだった。A1リーガーの矜持を感じた。
4回戦迄のトータル
(阿部謙一+40.3P・ダンプ大橋+10.1P・瀬戸熊直樹▲3.8P・仁平宣明▲46.6P)
リードする阿部は、安全圏か?
ダンプVS瀬戸熊。そうなる筈だった最終戦。
東1局、瀬戸熊の親。
眠れる熊が、目を覚ました。
1本場、2本場、3本場、
そして・・・
・・・7本場!
瀬戸熊の親が、終わらない。
瀬戸熊の左手が、小さく震えている。
神経が、極限まで張り詰めているのが分かる。
『この機・逃さん!』の心境か?
物凄い集中力だ。
ダンプも負けていない、怖い瀬戸熊の親、ポンテンを取りたい手をグッと堪えて、面前勝負。
リーチ
瀬戸熊も、を暗カン。そして、追いかけリーチ!
暗カン リーチ
勝ったのは、ダンプ。
価値ある1,000・2,000は1,700・2,700だ。
そして、東4局。親ダンプの反撃。2巡目にして、このリーチ。
ドラ
捨て牌は。
瀬戸熊はとがあるのだが、を切り、次は無筋を切って凌ぐ。
瀬戸熊『とはインスピレーション。は危険と感じた。この1巡凌げば何とかなると思った』
ダンプは『2巡以内にアガれなければ、出アガリは無いと感じた』
麻雀に対するアプローチは違えど、Aリーガー同士による、局面に対してのシンパシーを感じた一場面だった。
そして、オーラスへ。
トータルトップはダンプに。そして、いつの間にか阿部が引きずり込まれている。Aリーガーの力は恐ろしい。
追う瀬戸熊は300・500で勝ち抜ける条件。
ダンプ・瀬戸熊にテンパイが入る。
待ちは奇しくものスジ。
阿部がを切る。2人の声がこだまする。
頭ハネでダンプのアガリ。打点は・・・11,600!
しかし、瀬戸熊頭ハネなら、勝ち上がりが決まってしまうため、阿部はギリギリで、凌いだとも言える。
次局、阿部の条件は2,000・3,900。逆転に向かい、阿部が手を作る。
ついに。
まで漕ぎ付ける!
しかし、この手が開かれる事は無かった・・・。
最終成績
(ダンプ大橋+44.0P・瀬戸熊直樹+21.9P・阿部謙一+14.6P・仁平宣明▲80.5P)
勝ち上がり:ダンプ大橋・瀬戸熊直樹
Best16からは、
前グランプリ覇者・荒正義。
十段位・柴田吉和。
鳳凰位・勝又健二。
に、加えポイントランキング上位から、前田直哉、藤崎智が参戦!
熱い戦いは、まだまだ続く。
拙いレポートでしたが、最後まで読んで頂いた読者の皆様、そして素晴らしい対局を見せて頂いた選手の皆様。
ありがとうございました!
カテゴリ:グランプリ レポート