グランプリ レポート/第6期麻雀グランプリ MAXベスト8 A卓レポート 小車 祥
2016年03月23日
灘麻太郎vs古川孝次vs和久津晶vs白鳥翔
灘と古川は仕掛けを多用するタイプの打ち手であるが、和久津や白鳥も手数は多い方である。
つまりは、かなりの空中戦が見られるのではないかと予想されるメンバーの対戦。
これは普段の映像対局ではなかなか見られない対局になるだろう。
1回戦(起家から、灘・和久津・古川・白鳥)
東4局、親番の白鳥が最後のツモでテンパイして、ドラを切っていく。
ドラ
先にテンパイを入れていた灘が、ハイテイ牌をツモってきて以下の手牌。
チー ツモ
テンパイを取るならば、をツモ切るかを切るかの選択。
6単騎に受け変えを切って白鳥への放銃。ホウテイもついて5,800。
南1局1本場。
灘がここはメンゼンでテンパイを入れる。
リーチ ドラ
灘は仕掛けの多い選手だが、決まり手はメンゼンで仕上げてくると解説席で藤崎が言った矢先のことであった。
すぐに1をツモり、6,000は6,100オール。このアガリで一気にトップに躍り出た灘が、そのリードを守り切り1回戦終了。
1回戦成績
灘+30.3P 古川▲6.0P 白鳥▲8.4P 和久津▲16.9P
2回戦(起家から、白鳥・和久津・古川・灘)
この2回戦は和久津の独壇場となった。
東1局
リーチ ロン ドラ
3,900のアガリ。
東2局
ポン ロン ドラ
5,800のアガリ。
東4局1本場
チー チー ポン ツモ ドラ
2,000・4,000は2,100・4,100のアガリ。
南2局
ロン ドラ
12,000のアガリ。
南2局1本場
リーチ ロン ドラ
12,000は12,300のアガリ。
南3局
ロン ドラ
1,600のアガリ。
これでもかというくらいにアガリ倒した和久津。
76,000点の大きなトップで1回戦のビハインドを一気に解消し、さらにトータルトップに躍り出るという結果に。
2回戦成績
和久津+58.0P 灘▲6.1P 白鳥▲8.2P 古川▲32.8P
2回戦終了時
和久津+41.1P 灘+24.2P 白鳥▲16.6P 古川▲49.7P
3回戦(起家から、灘・白鳥・和久津・古川)
ここで突き放されると完全に追う立場になってしまう白鳥。
3回戦は派手なアガリはないものの、小刻みに得点を重ねていく。
南4局1本場には白鳥が1人浮きの状況。
アガれば1人浮きのトップになれるこの局で、しっかりアガリを決めた白鳥。
ポン ポン ロン ドラ
1,000は1,300。トータルポイントの差を詰めていく。
3回戦成績
白鳥+21.1P 灘▲2.1P 和久津▲4.2P 古川▲14.8P
3回戦終了時
和久津+36.9P 灘+22.1P 白鳥+4.5P 古川▲64.5P
4回戦(起家から、古川・白鳥・灘・和久津)
トータルトップの和久津がこの4回戦もトップでオーラスを迎える。
こうなると、白鳥と灘の点差がどうなるのかに注目が集まるところ。
白鳥が22,300点持ちの3着目、灘が22,200点持ちのラス目という状況。
白鳥は、最低でも灘よりも上の着順で終わりたいところだったが……
ツモ ドラ
ここでアガったのは灘。700・1,300のアガリ。
追う白鳥にきつい条件を叩きつけた。
4回戦成績
和久津+15.3P 灘▲9.1P 白鳥▲16.4P 古川+10.2P
4回戦終了時
和久津+52.2P 灘+13.0P 白鳥▲11.9P 古川▲54.3P
5回戦(起家から、白鳥・和久津・古川・灘)
この最終戦、白鳥は灘との点差24.9Pを捲る戦い。
白鳥、自分の型にうまくハメてゲーム展開していく。
少しずつ点差を縮め、オーラスには順位点を含めると灘を捲っていた。
38,000点持ちでトップ目の白鳥。23,600点持ちでラス目の灘。
オーラスの親は灘。この親番を落とせば白鳥の勝ち上がりというところまできていた。
この南4局、先にテンパイを入れたのは灘。
ドラ
現状、白鳥がトータルポイントが上だとはいえ、灘は持ち点を原点復帰すると白鳥にとっては一気に苦しくなる状況だった。
あくまで白鳥がトップで灘がラスという現状、白鳥が上というだけなのだ。
だから灘は、当然このピンフドラ1の手はリーチを打ってくるだろうと思っていた。
2,600オールをアガれば持ち点原点復帰となる。2,900をヤミテンでアガったとしてもさほど点数状況は良くならない。リーチをしないという発想はなかったと言っても過言ではないくらいだった。
しかし灘はここでヤミテンを選択。しばらくして白鳥がリーチを打つ。
リーチ
このリーチを受けても灘はなおヤミテンを続行。
後に灘が教えてくれたのだが、この時の心境は「一度ヤミテンで確実にアガってから、リズムを作らなきゃならなかった」とのこと。
凄いと思わされるのは、この追い込まれた状況でもなお余裕のある心構えだというところだ。
実は白鳥がリーチをした時点で、白鳥の待ちであるは牌山には残っていなかった。
アガリが生まれるならば灘にしか生まれないところだったが、ここは流局となる。
南4局1本場、白鳥は苦しい配牌。
古川はまともにアガリには来ないような状況。
和久津も自身の勝ち上がりはほぼ確定しているので、自然とアガリになるような時以外は、まともに手組をしない可能性がある。
それを考えれば、白鳥は自力で灘の親を落とさなければならないのだが、手牌に助けてもらえない。
灘はとにかく親番維持が最優先事項。仕掛けを入れてテンパイ。直後にあっさりツモ。
ポン ポン ツモ ドラ
500は600オール。このアガリで最終戦の着順が2着になった灘は、この瞬間白鳥を捲り返す。
南4局2本場、灘がテンパイ。
ドラ
ヤミテンを選択した灘が、この後白鳥の切るをポンして打とする。その後、をツモってとのシャンポン待ちに待ち変え。
白鳥は七対子の1シャンテンだったが、結局テンパイしないまま流局となる。
現状は灘の方がトータルポイントが上なので、灘がノーテンと言えば灘の勝ち上がりとなるものの、白鳥がテンパイしていた場合はそのテンパイ料で白鳥が上になるため、灘は手牌を開けてテンパイ宣言をせざるを得ない。
南4局3本場、さきほどのテンパイ料の収入で、灘は30,900点持ちとなった。
これにより、白鳥の条件は2,300点以上の灘からの直撃か1,000・2,000以上のツモアガリとなった。
白鳥の手牌はタンヤオに伸びていく。
ツモ ドラ
ここで白鳥の手が止まる。リーチツモタンヤオでオッケーだが、リーチツモピンフではダメ。
そうなるとマンズの3面張は、本来の価値よりは下がってしまう。
ツモ切りか、あたりを切るかなどと考えながら見ていたが、白鳥の選択は切り。
この選択がどう出るか、その結果を見る前に灘がテンパイ。次の巡目にすぐにツモアガリ。
ツモ
1,000は1,300オール。これは白鳥へ今までよりもかなりきつい条件を突き付けるアガリ。
南4局4本場、白鳥の条件は4,500点以上の灘からの直撃か、跳満ツモ。
白鳥の手牌はどうやっても跳満を作れるような手には見えなかった。
灘は以下のテンパイを入れていたが、流局すればノーテンと伏せるだけとなっていた。
ポン チー ドラ
白鳥から出たをロン。さらにダメ押しのアガリ。2,900は4,100。
南4局5本場の白鳥の条件は跳満直撃、三倍満ツモとなる。
役満ツモ条件をクリアした選手も最近いたので絶対無理とは言わないが、こうなってはもはや奇跡レベル。
白鳥からすると掴みかけた決勝行きのチケットが、少しずつ遠ざかっていったという感覚だろうか。
この局は流局し、灘は手牌を伏せて終了。
5回戦成績
灘+16.9P 白鳥+5.5P 古川▲8.8P 和久津▲13.6P
5回戦終了時
和久津+38.6P 灘+29.9P 白鳥▲6.4P 古川▲63.1P
決勝勝ち上がり
和久津晶 灘麻太郎
数えきれないほどのタイトルを持つ灘が、その数を1つ増やすのか。
和久津、女流プロ初の麻雀グランプリMAX優勝となるか。
激戦必至の決勝も見逃せないのである。
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