グランプリ レポート/第8期麻雀グランプリMAX ベスト16 D卓レポート
2018年04月13日
2代目WRCチャンピオン。美意識が高く、手役に非常に強いこだわりを持つ。
「世界の!」ともたけ雅晴。
「教授」の異名を持つ理論派雀士。悲願のG1奪取なるか!A2リーガー山田浩之。
誠実な人柄だけでなく、粘り強く諦めない麻雀を打つ。こちらも悲願のG1優勝を狙う「パン屋さん」で人気の仁平宣明。
人には中々真似できない、独創的な仕掛けで、第43期王位を奪取。グランプリでもその仕掛けで、存分に暴れてくれると思いきや「野方は、面前型です」の衝撃発言!
本当なのか!?野方祐介。
ともたけと野方。雀風が対極にある両者の戦いが見所だと思いますが、A1経験者もある山田・仁平の打ち回しにも要注目です。
実力者揃いのD卓ですが、気になるのは、ロン2での野方・面前型発言。果たしてどの様な結果になるのでしょうか??
1回戦 山田 野方 仁平 ともたけ
東1局
野方
ドラ
開局は山田から野方の1,300でスタート。C卓と並び、静かな立ちアガリです。
東4局
親 ともたけ 配牌
ドラ
この配牌から、ともたけは打!普通はから切りそうですが・・。
5,200では満足できないか。ともたけの手役への強いこだわりを見た一打。
リーチ
そして、リーチ。構想通りとは、多分行かなかったのでしょうが、ドラドラがありこれは勝負手。
そこに、野方が
ポン
これで対抗してここは野方のアガリ。
ともたけは南1局も
ドラ
ドラが暗刻のチャンス手がくるも、ここから打でピンフに捕まってしまいます。
南2局1本場
仁平
ドラ
仁平がドラのを切ってテンパイ。ヤミテンに構えます。
親 野方
そこに、ヤミテンにしていた親・野方。
を持ってきて 切りなら345の三色になるが、危険度も考えて暗カン。リンシャンから持って来たのは、当たり牌の。
小考ののち、打として迂回。山田の仕掛けもあったとは言え、中々オリられる手では無いだけに、野方の見事な守備力が光る1局となりました。
南3局
山田
ドラ
カンでリーチ。山には無くピンチに思えたが、押し返したともたけが打で2,600は2,900の放銃となりオーラスに。
南4局
野方
チー チー ドラ
野方らしい?仕掛けで仁平がら で1,000点のアガリ。
1回戦は野方が、トップ、ペースを上手く握っている印象です。
1回戦終了
野方+17.6P 仁平+7.6P 山田▲8.9P ともたけ▲16.3P
2回戦 ともたけ 仁平 山田 野方
東1局
野方
ポン ドラ
をポンした野方、ツモで1,300・2,600と好調なアガリ。この勢いで野方がこの半荘も走るのか?
東2局
ツモ ドラ
親の仁平にチャンス手!3巡目マンズのを払いを引いて待ちでリーチ。
山田
しかし、この選択が残念な事に裏目。アガリ逃しの仁平がを持ってきた後、山田が追いついてツモの400・700。
仁平にとって厳しい1局。
そして東3局
野方 配牌
ドラ
ここからと入り、
リーチ
2巡目でこのリーチ!
そして、1発で(一発役はありませんが)高めのをツモ!
と全く無駄ヅモ無しでの3,000・6,000。驚きましたね!
勢いも完全に味方につけた野方。勝ちアガリにかなり近づいたでしょうか?
東4局
苦しいポジションのともたけですがこのリーチ。
ドラ
ヤミテン5,200ですが、積極的にリーチ。をツモり2,000・4,000。
やっとアガれた本手。ともたけは、このアガリをきっかけにしたい所です。
南2局2本場
2本積んだ親の仁平が
ドラ
この形になりリーチ。苦しいポイントから2本積んだ仁平。
これをアガることができれば、この半荘も浮きに回れる。しかしこの局の主役は野方。
ツモ残り1巡でテンパイが入った野方。は生牌。は無筋。
野方の選択は単騎で打とすると、なんとハイテイに居たのは!
ハイテイ付きで1,600・3,200は1,800・3,400。
野方にとっても仁平にとっても大きなアガリ。やはり、野方。勢いに乗っています。
このアガリが決め手となり野方が2連勝!
2回戦トータル
野方+39.0P 仁平+0.9P ともたけ▲12.1P 山田▲27.8P
3回戦 ともたけ 山田 野方 仁平
東1局
苦しい立場の山田が2つ仕掛けてホンイツテンパイ。
ポン ポン ドラ
河が強く、ピンズのホンイツとは断定できないため、アガれる期待も膨らみます。
しかし、仁平が1枚切れとは言え、ドラも押し返してアガリをもぎ取ります。胆力ある見事なアガリ。
その後は小場で周り、トップからラス目まで3,600差。大接戦のオーラスに。
1人沈みの仁平はなんとか浮きに回りたい所。
南4局1本場
ここに来て、ともたけの捨て牌が”普通”?解説の紺野が言っていますが、普通の捨て牌のともたけは恐ろしいとの事。
普段手役を強く狙うともたけだけに、手役を狙う
“必要が無い”
と、言うのは、他者3名にとってはそれこそが、異常事態なのでしょう。
そのともたけ、5巡目にしてこの形に。
ドラ
ツモときて、渋々カンのテンパイ。
しかし、この局アガリとなったのは仁平。
山田から2,900は3,200。山田は、処理したはずのドラを再び摑まされての放銃だけに、厳しい放銃となりました。
2本場ともたけ
チー ポン ドラ
なりふり構わずアガリに向かいます。
山田も
これでリーチすると、仁平も追いつき3つ巴に。
ポン
ここは、3人テンパイで流局。痛い1人ノーテンで、野方がラス目に。
2本場山田
ここから、打とすると、裏目のをツモ。そこから、打としてツモ。のフリテンリーチ。
野方ポン。苦しい形からの仕掛けでしたが、
ポン
打で2人テンパイに。このままで流れると、ラスになる山田でしたが、仁平のハイテイずらしの仕掛けが入り。
それによりツモったのは!大きな価値があるトップとなりました。
ラスになった野方は、ちょっと雲行きが怪しくなってきたでしょうか?
3回戦トータル
野方+23.3 P仁平+2.4P ともたけ▲7.8P 山田▲17.9P
4回戦 野方 山田 ともたけ 仁平
親野方が、ホンイツの仕掛け。
チー ドラ
注目は、山田
このドラ待ち七対子テンパイからを引いて、打のテンパイ外し。
は、なんと、ともたけの当たり牌。その上、野方にもの受けがあり、(山田がを抑えたのはこちらに対してがメインだと思いますが、これには解説の紺野も絶賛)
山田の守備力が光ります。
ともたけは
この単騎テンパイ。
仁平も
メンゼンの3人は全員七対子。仁平のを野方がチーしてテンパイに
チー チー
打。
を引き戻した山田がを打ち、ともたけに放銃。今度は守備的な七対子から、山越のを狙いに行った攻撃的な七対子に変更。
(の受けをチーしてが当たる確率が下がったのと、他家から、が打ち出される可能性を考慮して。だと、思われます)
放銃とはなりましたが、濃密な1局でした。
東3局 親ともたけ
ドラ
七対子を2回アガって親を迎えたともたけ。普段なら三色を見そうだが、打とストレートに構えます。道中を持ってきてしまうも以下のテンパイに。
リーチを打ちたい手だが、手堅くヤミテンに。野方から2,900。明らかに打ち方を変えて来ています。
東4局
カン ドラ
ポン カン
これに飛び込んでしまったのが、テンパイの入ったともたけ。かの選択だったが、を選び8,000。
前回のラスから点棒を減らしていた野方・反撃の真っ最中だったともたけ。2人にとって大きなアガリに。
南2局
親の山田に大物手が。
ドラ
打でリーチ!しかし、はすでに無くをツモっての2,000オール。
は山田の目からも3枚見えていただけに、山田も納得のアガリでしょうか。
南2局 ともたけ
ドラ
共に1枚切れ。とはいえテンパイですが・・なんと、ともたけはテンパイ外し!そして、を引いてヤミテン
仁平が
これでリーチを打つも を掴んでしまい2,000点の放銃となりました。
ともたけの見事な判断が生きた1局です。
そのまま、オーラスもともたけがアガリきり終局。大混戦の最終戦を迎える事になりました。
最後に勝ち上がるのは!?
4回戦トータル
野方+15.3P ともたけ▲2.2P 山田▲2.5P 仁平▲10.7P
最終戦
山田 野方 仁平 ともたけ
26P以内に、4者がいる大混戦となった最終戦。
東2局、ここで大チャンスが入ったのが、ともたけ。
ドラ
なんと2巡目にドラがカンツに!アガリ切れば、通過に向けて大きく前進となるこの手。
しかし山田が2フーロで捌きます。なかなか、独走を許してくれません。
南1局2本場
東場は、山田がリードして勝ちアガリの位置に。
そして南入りしての山田の親。
チャンスが来たのは、仁平。
ドラ
七対子ドラドラ。1巡回すも、1枚切れので決断のリーチと行きます!
山田・野方が追いつくも、最後のツモでを力強く引きアガリます!
大きな3,000・6,000。
仁平の読みと決断が見事な1局でした。
また、山田はの大明カン出来なかった事に触れていました。仁平のツモを消す事が出来ただけに、山田の後悔は大きかったか・・。
このアガリで、勢いに乗った仁平は、なんと60,000近くまで加点。勝ちアガリをほぼ確定させます。
そしてオーラスへ
山田27,000
野方23,700
仁平57,900
ともたけ10,400
南4局2本場 供託1.0P
今のところの勝ちアガリは、仁平・野方。山田の条件は1,000・2,000。
ともたけは連荘だが、少し厳しいポジションか。
ともたけ 配牌
ドラ
山田1巡目
ともたけが
リーチ
これでリーチ。河には、があり一気通貫でアガる可能性もあっただけに、ともたけとしては不満でしょうが、勝ち上がるためにはアガリ続けなければなりません。
待ちで、リーチと行きます。
山田
この1シャンテンから
このテンパイ。は2枚切れで、非常に不満だが、ツモってもヤミだと足りないため山田も勝負リーチに。は1枚残り
しかさ、やはり枚数の多いともたけがをツモり2,000オール。
南4局3本場
ともたけ配牌
ドラ
ポン ポン ポン
あっと言う間の3フーロ。そしてを引き打。単騎のホンイツに。更にを引き‐に。
野方も
チー ポン
これで追いつくも、
ともたけが、を加カン・そして、ツモで4,000は4,300オール。大逆転のアメリカンドリーム!
野方は次局、
加カン
執念でテンパイを入れるが、アガることは叶いませんでした。野方の1人テンパイで終局。
1位通過 仁平宣明
2位通過 ともたけ雅晴
安定感のあった仁平ですが、個人的には最終戦・単騎での七対子ドラドラリーチが印象に残ります。勝ちアガリまで決められそうな手牌ですが、単騎待ちという事もあり、様々な選択がありそうに思えます。その中で、勇気を持ってリーチをかけ、最高の結果を引き寄せました。
勝負所で逃げない強さを、私も見習いたいと思います。
ともたけは、第2代目世界チャンピオンに相応しい、魅せる手筋と、最終戦の大逆転が印象に残ります。また、最後の3フーロの様に勝ちに拘る姿勢も素晴らしかったと思います。
ベスト8では、どんな、ともたけ麻雀を魅せてくれるのでしょうか?
また、敗れた山田・野方も最後まで大接戦を演じ、最後の最後まで、この卓を盛り上げてくれました。
勝敗を分けたのは、ほんの少しの差だと思いましたが、山田は本人が言う様に、もし、の大明カンをしていれば・。
野方は、紺野が言っていた様に、ほんの少しだけ守りに入るのが早かったのかも知れません・。
しかし、ベスト16最後を飾るに相応しい、素晴らしい対局だったと個人的に思います!
これで、私の担当する、グランプリレポートベスト16を終了させて頂きます。
グランプリベスト16の戦いは熱く激しく、どの卓も勝ちたい思いと、高い技術が詰まった、素晴らしい戦いばかりでした。
正直、自分のポジションだと、このレポートは恐れ多くて受けにくい部分もあったのですが、自分自身の成長のためにも、担当させて頂きました。
道中、先輩に対し、不適切な表現をした部分もあった事と思います。読んで頂いた方々には、不快な思いをさせてしまったかも知れません。
至らなかったとは思いますが、自分なりにやってみた結果ですので、御容赦頂ければ幸いです。
最後になりますが、機会がありましたら、また何処かでお会い出来ればと思います。
勿論!一番の形は、やっぱり自分が選手で出場する事ですね。
日々精進を重ねて行きたいと思います。
それではまた!!
カテゴリ:グランプリ レポート