第4期麻雀グランプリMAXベスト8レポート 瀬戸熊直樹
2014年03月27日
「B卓」
沢崎誠、望月雅継、前田直哉、安村浩司の4人の決勝を賭けた熾烈な戦いも
4回戦(全5回戦)を終えていた。
トータルポイント
前田+42.1P 安村▲3.5P 望月▲18.5P 沢崎▲21.1P
残り1回という事を考えれば、前田は、ほぼ当確で、残り一枠を3人で争う事となった。
ベスト8で負けることは、決勝で負けるよりもつらいと僕は思っている。
特に若い安村と、タイトルのない前田にとっては、絶対に負けられない戦い。
前田の心は、今非常に軽くなっているだろう。
逆に安村は、不安と戦っているはずだ。
何しろ追ってくる相手は、沢崎と望月なのだから。
しかし、冷静に見れば安村にも勝機は充分にあった。
この日の沢崎は、とにかく後手に回っていた。俗に言う、全く手が入らない状況。
それを技術だけでここまでのポイント差にまとめていた。
対称的に望月は好調だったが、途中望月らしからぬイージーミスで、この混戦を招いていた。
あとは安村がどう腹をくくれるかだ。
事件は、東2局に訪れる。
親は望月、受け取った配牌は、
ドラ
テンパイしている。まさにこの上ない配牌。
当然のダブリ―。安村は心の中で何を思っただろうか。
キチンと「4,000オール」と言われた時の気持ちを作っていただろうか。
5巡目、安目とは言えをツモリ、あっさり安村を追い抜く。
このアガリで、ここからはセオリーとばかりに畳み掛ける望月。
その後も親番を維持して持ち点を47,900まで伸ばす。
安村と沢崎は、22,000点前後となる。
望月と沢崎は、着順勝負。
望月と安村は、望月トップで安村が沈みなら、3,000点だけ点差をつければいい。
安村が浮いても、望月は11,000点差をつければ勝ち。
この時点で、安村は最低2回の満貫クラスのアガリが必要となった。
局は消化され、沢崎の親、安村の親が簡単に落ちて、南場に入る。
前田は余裕があり、着実に小さいアガリを拾い、原点復帰していた。
そして南2局、2度目の望月の親番。
11巡目、後がない南家・沢崎がリーチ。
暗カン ドラ
同巡、西家・安村もリーチ。
リーチ
北家、前田も前に出る。
ここから、安村の宣言牌をチーして、打。
望月はオリ。沢崎ツモ切り、安村のツモは。暗カン。そしてリンシャンから持って来た牌は。
安村にとって値千金のアガリとなった。このアガリで再びトータル2着になる。
南2局の沢崎の親は、前田が1,000点で落とし、オーラスを迎える。
オーラスの持ち点は、
安村32,700 前田30,500 望月39,200 沢崎17,600
安村が浮いている為、望月は3,900点以上のアガリ、もしくは800・1,600ツモ。
また、望月1人テンパイは届かないが、安村ノーテンで、前田、望月の2人テンパイなら、望月の勝ち。
親の安村としても、手を組んでいかなければならない状況で始まった。
望月が8巡目、運命の選択を迫られる。
ツモ ドラ
僕の直観は打。しかし望月の選択は打。次巡ツモ。痛恨のテンパイ逃し。
巡目が深くなり、前田が役なしテンパイ。
安村、望月が1シャンテンのまま、各自ツモは2回。
前田が打ちきれない牌を持ってきて、ノーテンに戻したとたん、望月にテンパイが入る。
ツモ
本来なら、望月のアガリとなっていた。
残すツモは、あと1回ずつ。望月のツモはアガリ牌ではなく、ツモ切り。
安村の勝ちが見えてきたが、今度は、テンパイしない牌を、持ってこなければならないという条件が入っている。(前田のノーテンを安村が見抜いていたかは、微妙なので、テンパイすれば、宣言の可能性があった)
勝利の女神は安村に微笑んだ。
勝ち上がり 前田直哉 安村浩司
安村に焦点をあてたレポートとなったが、若い安村にアドバイスを1つ贈りたい。
解説中もコメントで「熊、激辛」などと言われたが、安村は非常に期待している若手の1人である。
もし安村がワンステップ上を目指すなら、足りないものは「覚悟」である。
一次予選から勝ち上がったその戦いぶりを観ていると、状況判断、打牌選択はどれもクレバーで好感が持てる。でも競った時の打牌は全て「保留」しているチョイスが目立っていた。
「負けられない戦い」だからこそ、そこに「覚悟をもった、魂を込めた打牌」を今後見せてもらいたい。
そういう戦いが必ず道を開く。せっかく良い物を持っているのだから。
そして若さは、その「勇気」が許されるのだから。
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