プロリーグ(鳳凰戦)決勝観戦記

第36期鳳凰位決定戦 三日目観戦記 荒 正義

2日目までの、結果がこれだ。
藤崎 +72,7
古川 +55,6
西川 ▲45,0
吉田 ▲83,3

藤崎と古川の差は17,1Pだ。残り8回戦あるから、あってないような点差である。しかし、2日目の出来から態勢は藤崎有利だ。それは、抜いた者と抜かれし者の差である。藤崎にとって大事なのは、古川との距離だ。
今日、誰が吹こうとその距離が広がればいいのだ。それは古川も同じ。
3番手の西川は、マイナスを消すことから始める。話はそれからだ。
残念ながら、吉田の連覇は途絶えたかに見える。今日から負け戦だ。しかし、現・「鳳凰」らしく堂々と麻雀を打ってくれることだろう。

これまで、トップは藤崎が5回。古川が3回だ。西川と吉田は0である。
なお、この日の解説は瀬戸熊直樹と黒沢咲だ。実況は古橋である。

 

9回戦。
出親は吉田。順に古川、藤崎、西川の並び。
点棒が大きく動いたのは、東3局だ。

東3局。ドラ六索
吉田がこの手をリーチで引いて、1,600・3,200点。

二索二索二索五索五索三筒四筒五筒五筒六筒  暗カン牌の背三万 上向き三万 上向き牌の背  リーチ  ツモ七筒

藤崎が親で、少し痛かった。

東4局は、吉田の1人テンパイ。これで、吉田の浮きは9,700点で、1人浮き。もしかしたら…の感無きにしもあらず、だ。今日、3回トップを取ればいいのだ。

 

100

 

南2局。ドラ九索
9巡目、西川に勝負手が入った。

一万二万三万三索四索五索九索九索九索七筒八筒九筒八万  ツモ南

南は、2枚切れの地獄待ち。八万は初物。西川は八万切りのリーチを選択。
しかし、これが親の古川の鳴きタンヤオのロン牌で1,500点。西川、無念!

南2局1本場。ドラ六筒
今度は、その西川が怒った。

六万七万八万三索四索五索六索八索六筒七筒八筒南南

7巡目にテンパイで、ヤミテン。入り目は七万
そして、次巡七索ツモで2,000・3,900 (+300)

南3局は、流局。
テンパイは、吉田と西川。藤崎と古川が沈んで、西川と吉田が浮いている。追う側にとっては、いい流れだ。

南4局1本場。
親の西川が、古川からピンフのヤミテンを打ち取る。1,500点(+300・1,000)

南4局2本場。ドラ八索
8巡目、藤崎にリーチがかかった。

一索一索四索四索四索二筒二筒二筒四筒五筒六筒発発

ツモなら、三暗刻で浮きに回れる。しかし、古川が発を放銃。3,200(+600)点。

9回戦の成績。
吉田 古川 藤崎 西川
42,1 7,6  23,4 46,9

9回戦までの総合得点。
藤崎 +66,1P
古川 +33,2P
西川 ▲28,1P
吉田 ▲71,2P

 

 

10回戦。
親は古川で西川、藤崎、吉田の並び。
東1局 。ドラ五万
6巡目に、古川の親のリーチがかかった。

一万 上向き一筒 上向き発中四筒 上向き五万 左向き

これじゃあ、待ちも高さも分からない。だが、見てびっくり!

四万五万六万七万八万九万七索八索九索七筒七筒七筒八筒

三色高めの九筒ツモなら、6,000点オールだ。
実況の古橋が、悲鳴を上げた。なんと入り目が、西川に暗刻の七万だったのである。このツモの流れから、アガリは約束されたようなもの。しかし、ツモは八筒で2,000点オールだった。

1本場は、1,000点(+300)で藤崎が落とす。競っている古川の親は、容赦なく蹴るのだ。

 

100

 

東2局。ドラ四筒
この局は、仕掛け合戦。初めに動いたのは藤崎で、6巡目の早い仕上がり。

二万二万北北白白白  チー七万 左向き五万 上向き六万 上向き  チー七万 左向き八万 上向き九万 上向き

吉田もすぐに追いつく。こちらは四筒のドラが暗刻。

三索四索五索二筒四筒四筒四筒  チー六万 左向き四万 上向き五万 上向き  チー六筒 左向き五筒 上向き七筒 上向き

勝ったのは吉田で、二筒打ちは古川だった。7,700点。藤崎はラッキーである。

東3局。ドラ三万
テンパイ一番乗りは、西川だった。8巡目でこれ!

一万一万二万二万三万二筒二筒三筒三筒三筒東東東

次巡二筒ツモで、ドラ切りリーチだ。

九万 上向き六索 上向き西南七筒 上向き九筒 上向き
発九索 上向き三万 左向き

この時点で、一万二万は河に1枚ずつ出ていた。二万はドラの指示牌で0。西川の目から、一万は1枚限りだ。それを、引きの勝負に賭けたのだ。手堅く構えるなら、こうだ。

一万一万二万三万二筒二筒二筒三筒三筒三筒東東東

これでヤミテンし、ドラの三万引きを待つところだ。この後、ツモが一万ならアガるか、四暗刻単騎に取るかは状況次第だ。

その残りの一万が、親の藤崎の手の内だ。一通を見て止めたのだった。

一万三万四万五万七万八万九万一索三索一筒一筒四筒五筒

しかし、藤崎のツモはこの後四索ツモで、345の三色変化する。

一万三万四万五万七万八万九万三索四索一筒一筒四筒五筒  ツモ八万

藤崎の手も、てっぺんで決まれば6,000点オールだ。この一万は、止まらなかった。痛い、12,000点の放銃である。

東4局。ドラ四索
ここは吉田の親番。13巡目、その吉田からリーチが入った。

一索一索四索五索六索六索七索一筒二筒三筒三筒四筒五筒

これにタンヤオ・ドラ1でテンパイの古川が戦う。
しかし、五索を掴んで放銃。5,800点。さっきと今度、そしてその前。2つ高い山が崩れ出した。

東4局1本場。ドラ四万
テンパイ一番乗りは藤崎だ。これが、6巡目のリーチだ。

二索二索六索七索八索三筒四筒五筒六筒七筒発発発

入り目が発だから、手応えがある。しかし、ツモれない。17巡目、親の吉田が追いつく。そして、リーチだ。残り1回のツモだ。なのに、リーチ。

四万五万七万八万九万二筒二筒六筒七筒八筒白白白

三万六万は、藤崎に通っていた。とっても薄かった。この六万を、手詰まりの古川が打ちこんで7,700(+1,000・300)点。吉田の闘志を見た。

東4局2本場。ドラ七万
吉田のツモが軽い。無駄ツモなしで早いテンパイ。この手を5巡目で仕上げて、即リーチ。

一索二索三索六索七索七索八索八索三筒四筒五筒六筒六筒

昇り調子ですぐにアガリできるかと思ったが、流局で吉田の1人テンパイ。

3本場は、古川が落とす。1,300(+1,000・900)点。打ったのは藤崎だった。

この時点で、4人の持ち点はこうだ。
古川 西川 藤崎 吉田
24,5 29,7 13,1 52,5

吉田はラス親だ。もっと点棒が欲しい。古川と西川は浮き狙いだ。それだけで、藤崎との距離は詰まる。

南1局は親の古川の2,900点のアガリ。打ったのは西川だ。
1本場は、藤崎が1,000・2,000(+300)点のツモ。

南2局。ドラ中
吉田と西川がぶつかった。吉田の手はこうだ。

六万六万東東南南南  暗カン牌の背五索 上向き五索 上向き牌の背  ポン九筒 上向き九筒 左向き九筒 上向き

追いついた親の西川が、リーチだ。

一万二万三万八万九万二索三索四索六索七索八索中中

入り目は、ドラの中だ。勝ったのは西川で、吉田の放銃。
7,700点は痛かった。後は小場で流れて終了。

10回戦の成績。
古川 西川 藤崎 吉田
21,4 36,1 13,8  48,7

10回戦までの総合計。
藤崎 49,9P
古川 25,6P
西川▲23,0P
吉田▲52,5P

 

 

11回戦。
親は吉田で古川、藤崎、西川の並び。

東1局。ドラ九万
藤崎が5巡目にテンパイ。

三万四万五万六索七索八索八索一筒二筒三筒六筒七筒八筒

ピンフのみの手は、ヤミテンが常識。すぐに四筒を引いてタンヤオになったが、それでもヤミテン。これが彼の大局観の明るさである。現状トップを走る藤崎は、危険を冒す必要がないのだ。まして親は、前回大きなトップを取った吉田だ。
このヤミテンに古川が捕まる。2,000点。

東2局。ドラ四万
この局は、鳴き合戦。制したのは藤崎だった。

四万六万二索三索四索七筒七筒  チー七万 左向き八万 上向き九万 上向き  暗カン牌の背発発牌の背  ツモ五万

1,000・2,000点のアガリだ。

東3局。ドラ中
この局は、古川の早い仕掛け。しかし、11巡目に西川がリーチだ。

三万三万九万二索二索四索四索七索七索八筒八筒北北

河に六万があるから、掴めば出そう。そこに、吉田のリーチだ。

四万五万六万七万八万五索五索五索六索七索八索九筒九筒

親の藤崎は、古川の2度の鳴きでドラの中を3枚にしてこの手で、オリる気無しだ。

二万二万二万三万四万五万七万八万三索四索中中中

誰が勝つか分らない。古川は、2フーロしてノーテン。
しかし、勝ったのは西川で1,600・3,200(+1,000)点。

 

100

 

東4局は流局。テンパイは西川と吉田。
東4局1本場は、古川が制す。2,000(+300)点。打ったのは藤崎だ。

南1局。ドラ四筒
この局は、好調西川のアガリ。

一万二万三万三索三索五筒六筒白白白  ポン発発発  ツモ四筒

高目のドラを引いて、1,300・2,600(+1,000)

南2局。ドラ五万
藤崎が一万を切って、Wリーチだ。

二万二万五万六万七万六索七索五筒六筒七筒西西西

ドラもあるし、三色もあるぞ!五索八索は、8枚山残り。
しかし、西川の手が止まっている。

藤崎「どうした淳よ、早く切れ!」
淳 「麻雀は、配牌で打つものではありませんから…流します」
藤崎「何すんだ!」

残念ながら、西川の九種倒牌だったのである。藤崎はリーチ棒まで供託となり、散々である。

南2局1本場は、親の古川のアガリ。1,500(+1,000・300)点。打ったのは吉田だった。

南2局2本場。ドラ一万
今度は、藤崎が怒った。これが9巡目の仕上がり。そしてヤミテン。

二索三索三索四索四索五索七索八索九索南南発発

怒っているときは…無口がいいのだ。これに古川が飛び込んで、8,000と600点の献上。

南3局は藤崎の親番。ここはライバルの古川が300・500点で、早く蹴る。
今、怖いのは藤崎の連荘なのだ。ラスだっていい。まだ、先があるのだ!

 

100

 

南4局。ドラ七筒
今度は、古川に4巡目のリーチがかかる。受けも好形。

二万三万四万八索八索三筒四筒四筒五筒五筒六筒六筒七筒

これには、親で踏ん張った西川が放銃。7,700点は大きかった。

11回戦の成績。
吉田 古川 藤崎 西川
15,2 21,9 38,8 44,1

11回戦までの総合得点はこれだ。
藤崎+58,7P
古川+17,5P
西川▲8,9P
吉田▲67,3P

 

 

12回戦。
出親は西川で吉田、藤崎、古川の並び。

東1局。ドラ発
11巡目に、古川からリーチがかかる。

七万八万九万三索四索五索七索八索七筒八筒九筒発発

この手にテンパイの吉田が、一発で九索を掴んで打つ。8,000点。
古川は、鳴きより面前の方が怖いのだ。

東2局は、吉田の親番。
吉田は1,500点をアガって連荘。
1本場は古川が、鳴き合戦を制す。3,900と300点だ。打ったのは、2度とも西川だった。

東3局。ドラ四万
今度はその西川から、9巡目にリーチが入った。

七万八万九万七索九索二筒三筒四筒七筒八筒九筒西西

吉田も追いついて、この形。

三索三索三索六索七索八索九索  チー四索 左向き二索 上向き三索 上向き  ポン一索 上向き一索 左向き一索 上向き

勝ったのは西川。八索のツモで、2,000・3,900点。

東4局は、古川の親番。
藤崎が500・1,000点で落とす。

南1局。ドラ七筒
5巡目、親の西川からリーチがかかった。

西九索 上向き五万 上向き中東

その手はこうだった。

二万二万二索二索八索八索四筒四筒七筒南南白白

ツモなら6,000点オールだ。七筒は、3枚生きていた。
しかし、古川が500・1,000(+1,000)点ツモで、これを蹴る。

南2局、ドラ八筒
9巡目、親の吉田のリーチが入った。

一万二万三万四万五万六万七万九万五索六索七索六筒六筒

これを藤崎が1,300点で蹴る。吉田は残念。

南3局。ドラ七筒
6巡目、古川がテンパイ。

五索六索七索八索一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒

ここに六索を引いて、受けを変える。

六索六索七索八索一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒

そしてヤミテン。同巡、西川もテンパイ。

一万二万三万七筒三万四万四万五万五万六万六万六万九万  ツモ八万

七筒

一万二万三万三万四万四万五万五万六万六万六万八万九万

この辺七万を、不調の吉田が掴んで打ち込んだ。一通があるから、16,000点。
この一発で、トップを捲った。

南4局は、全員ノーテンで終局。

12回戦の成績はこうだ。
西川 吉田 藤崎 古川
52,4 ▲4,5 25,9 46,2

トップは、西川3で吉田が1 。今日は、西川の圧勝だった。

そして、総合成績がこれである。
藤崎 +54,6P
古川 +33,7P
西川 +13,5P
吉田 ▲101,8P

西川が見事、浮きに回った。これで三つ巴戦となり、最終日が楽しみだ!