第29期鳳凰位決定戦 三日目観戦記
2013年03月15日
「瀬戸熊のポイントが100を越えると、追う者にとってはかなり厳しい数字になる。」
この日ニコ生放送の冒頭で、私はそう答えた。
初日、2日目を全て見たうえでの素直な気持ちだった。
瀬戸熊の10回戦までの全着順をご覧いただきたい。
「2、1、3、2、2、2、4、2、1、1」連帯率は実に8割である。
これをふまえて、ここまでのトータルポイントをおさらいしてみよう。
瀬戸熊+72.5P 前原+30.6P 藤崎▲47.0P 荒▲56.1P
堅実に積み重ねていった結果が、この得点差である。
前原にはまだ望みがあるが、藤崎で約120P差。
そして、荒に至っては、およそ130Pの差が開いてしまった。
今日、瀬戸熊が数字を伸ばすということは、追いかける3者でポイントを削り合うということに繋がる。
ひいては、優勝争いから脱落する人間も出てくるということである。それでも前に出なくてはならない。
瀬戸熊を追撃するために、協同戦線が敷かれる局面もあるだろう。もう相手の出方を伺っている段階ではない。ここからは、初日、2日目とは全く別の戦いが始まるのである。
11回戦(起家から、瀬戸熊・荒・前原・藤崎)
東1局、真っ先にテンパイを入れたのは西家の前原。
ツモ ドラ
これがわずか2巡目である。
瀬戸熊の親ということもあり、ソーズのホンイツに向かって大きく狙うかと思っていると、前原の選択は打での即リーチ。結果、瀬戸熊からで1,300を出アガるのだが、どうも納得感には欠けるものがある。
反対に瀬戸熊は、放銃したものの、前原のやにポンテンを掛けず、この局を勝負局にしてやるとの強い思いがあったに違いない。
もし、前原が一度ヤミテンに構えていた場合、上手くホンイツに移行できて、瀬戸熊の7巡目のを捕まえていた可能性が高かっただけに、悔やまれるところだ。
前原にすれば、この親だから隙を与えずに攻めるという意味合いのリーチなのだろうが、やや焦りすぎと感じたのは私だけだろうか。
東2局、こちらは手材料を十分生かし切って、藤崎が2,000・4,000のツモアガリ。
暗カン リーチ ツモ ドラ
ここからは簡単に経緯を記すと、
東3局、瀬戸熊→前原1,500。
東3局1本場、荒400・700は500・800。
東4局、藤崎1人テンパイ。
東4局1本場、藤崎、前原2人テンパイ。
東4局2本場、瀬戸熊1人ノーテン。
そしてここまでの得点が、
藤崎42,000、前原31,500、荒26,300、瀬戸熊19,200となっていた。
これこそが、瀬戸熊を追いかける者にとって理想の展開で、後は瀬戸熊にラスを押し付けたままどうやって得点を稼ぐかが重要になってくるわけである。
東4局3本場、藤崎の9巡目の手牌に注目していただきたい。
ツモならばタンヤオでヤミテンが効くため、打となるのが自然だが、現状役なしのテンパイ。
だとしても、その後の変化形やダイレクトのツモがあるので、私ならここがドラの放し所と見るが、藤崎は打を選択する。
もちろん全体の捨て牌相もあっただろう。
一色系の荒からが余ったように見えなくもない。それでも、である。
巡目が深くなればなるだけ、このドラは切りづらくなるのが明白なのだ。
更に、ここでもしが鳴かれたとしても、変化が効く分、藤崎の手牌だって十分戦えると私は考える。
ヤミテンが効かない形からドラを外すのは、藤崎のプレースタイルではなかったとしても、ここはもう少しギアチェンジを図ってもいい局面だったのではないだろうか。
ここまで瀬戸熊を苦しめる展開を作り上げていただけに、この親落ちは非常に悔やまれるものとなってしまった。
藤崎智プロ |
そして迎えた南1局4本場、この1局が本日のクライマックスと言ってもいいほど、大きな大きな1局となる。
まずテンパイを入れたのは、8巡目の瀬戸熊。
ドラ
親ということもあるが、をトイツ落としでのリーチが手牌の高さを物語っている。
同巡、西家・前原もを引いて1シャンテン。
そして南家・荒も前に出る。
瀬戸熊の現物であるを藤崎が切り出すと、これをポン。
ポン
まだ1シャンテンではあるが、リーチを打っているのがトータルトップの瀬戸熊ということもあり、ここは敢然と勝負に向かう。その後も鳴け、荒は高目ダブ南トイトイのテンパイ。
ポン ポン
この時点で瀬戸熊の–は山に3枚。そして、荒のとも同じく山に3枚残っている。
前原は荒の仕掛けを見て受けに回ったため、勝負は瀬戸熊と荒の2人に絞られたかと思われた。
ところが、ここから前原のツモが突然伸び始め、実に8枚目の–が入ってテンパイを果たしてしまう。
頭を抱えて長考に入る前原。確かに難しい局面だ。
瀬戸熊のリーチだけならまだしも、荒の手をどう読むかである。
もしこれが1,000点や2,000点の手なら、荒が2フーロしてまで突っ込んでくるとは考えにくい。
荒が瀬戸熊を潰しに掛かっているなら、ここにドラの塊があると読むのが自然である。
だが、それだと引っ掛かるのは荒の、の嫌い方だ。ここでを2枚に固定してまで、、を払うだろうか。あるとすれば、それはが暗刻のケースである。或いはクイタンのポンテンから、トイトイに移行したケース。例えば以下の形である。
ポン
荒の最終打牌がであるから、これも一応考えられるか。いずれにせよ、荒の2フーロには必ず意味がある。
それをふまえて前原がどのような選択をするのか。この手になれば恐らくオリはないだろう。
誰もが前原の選び出す一打に視線を傾けた。
前原が打ち出したのは。このときの心境を前原はこう語る。
「瀬戸熊とのポイント差を考えて、純粋に打点の高いほうを選んだ。瀬戸熊からの出アガリならリーチ棒込みで18P。ツモアガリなら20P。これだけ縮まるということ。」
実際は、積み場や供託があるのでそれ以上ということにはなるが、いずれの現象が起こったとしても、その時点で前原がトータルポイントで瀬戸熊をかわす。本日の初戦にして、いきなりの山場。
瀬戸熊、荒、前原、3者の待ちが山に残っているだけに、解説席に座る我々も固唾を飲む。
、、、。
頭の中で繰り返し、瀬戸熊のツモ牌に注目する。。
「切りなら…」
そう、前原がもしドラに手を掛けていたら、瀬戸熊からこの直撃を取ることに成功していたのである。
とはいえ、このがそう簡単に打てる代物ではないことは誰の目から見ても明らかである。
瀬戸熊、荒に通る保障もなければ、でアガれる保障だってどこにもないのだ。
ただ、ひとつ言えることがあるとすれば、前原がアガリを逃した事実だけは残ったということである。
そして、勝負はまだ終わっていないということである。
前原は自身の最後のツモでを引いた。私は正直、ここで前原はオリるだろうと思っていた。
が通ったかどうかはわからないにしろ、とにかくでのアガリ逃しだけは目に見えているからだ。
だが、それでも前原はをツモ切った。そこに一切の逡巡はなかった。
自分にツモ番はなくても、瀬戸熊のハイテイに賭けたのである。
リーチ ロン ドラ
「あの11,600で勝負あったと思った。それほど大きなアガリだった。」
後に荒はそう語った。
たらればをいくら言ったところで仕方がない。
だが、前原があのをもし捕らえていたら、前原があので、もしブレーキを踏んでいたら、この後一体どんな結果が待ち受けていたのだろう。
少なくとも、瀬戸熊の独走を許す展開にはならなかったように思う。
「あのアガリ逃しで完全に軸がブレた。」
前原がこう語った通り、瀬戸熊のこのアガリは、追いかける者にとって、想像以上のダメージとなったことは間違いない。
11回戦成績
藤崎+28.0P 瀬戸熊+7.4P 前原▲15.3P 荒▲20.1P
11回戦終了時
瀬戸熊+79.9P 前原+15.3P 藤崎▲19.0P 荒▲76.2P
12回戦(起家から、前原・藤崎・荒・瀬戸熊)
藤崎に復調の兆しが見えてきた。もうすぐ、前原の背中も捉えようかという勢いである。
反対に、箍(たが)が外れたように放銃マシーンとなってしまったのが前原だ。
前原雄大プロ |
東3局、まずは荒に2,900の打ち込み。
チー ロン ドラ
続く東3局1本場がこちら。
荒にすれば、瀬戸熊からの直撃か、ツモアガリのチャンスだっただけに、喜びも半減といったところか。
東3局2本場もそうである。
確かにテンパイはしているのである。
しかし、道中で受けに入った以上、攻め手が2人のところに向かってこのを打ち出すのは、とても間尺に合わない。やはり、瀬戸熊に打ち上げたあの11,600がよほど尾を引いているのだろう。
前原は続く東3局3本場でも荒のリーチに放銃。
歯止めが利かず、どこまでも転がり落ちていく。
こうなってくると、注目すべきはトータル2位の座である。
この時点で、荒と前原との差が20Pまで縮まってきたのである。
荒は前原をかわせば、いよいよ瀬戸熊とサシの勝負に持ち込めるチャンスを掴む。
この親は正に叩き時なのである。
リーチ ロン ドラ
東3局4本場は藤崎から5,800の出アガリ。
そして続く5本場では、この半荘実に5度目となる前原からの出アガリを果たす。
前原はこれで箱を割り、トータルでもこの瞬間荒が前原を上回った。
こうなれば焦点は、荒がどれだけ瀬戸熊に詰め寄ることができるかだったが、前原が大きく沈んだことで余裕が生まれたか、逆に瀬戸熊は得点を伸ばして行く。
まずは南1局。
リーチ ツモ ドラ
そして南2局。
リーチ ツモ ドラ
出アガリで点棒を膨らませた荒とは対照的に、要所できっちりツモアガリを重ねてくる。
そして南4局2本場、親番でのリーチ。
これを荒からアガって、遂にはトップを捲ろうかというところまで辿り着いてしまった。
強い。全く隙がない。そして気が付けば、瀬戸熊のポイントが100を越えていた。
瀬戸熊直樹プロ |
12回戦成績
荒+39.8P 瀬戸熊+23.9P 前原▲29.5P 藤崎▲34.2P
12回戦終了時
瀬戸熊+103.8P 前原▲14.2P 荒▲36.4P 藤崎▲53.2P
13回戦(起家から、前原・瀬戸熊・荒・藤崎)
恐れていた得点状況になってしまった。
全員で瀬戸熊を追い詰めようとする意識は、痛いほど伝わってくる。
しかし、肝心要の瀬戸熊のポイントを削ることは叶わず、下3人で点棒を奪い合う展開が続いてしまうのだ。
この13回戦でも、悪循環は続く。まずは東2局の荒。
ドラ
親ということもあり、せめて流局連荘には持ち込みたいリーチだったが、瀬戸熊がリャンカン選択を間違うことなく、荒を捕らえる。
ロン
東3局、藤崎の親もそう。
リーチ ドラ
ここぞという場面ではしっかりアガリを決めてくる瀬戸熊とは対照的に、ツモアガリをさせてもらえる展開にならないのだ。ツモれば6,000オールというこのリーチも流局。
その1本場は、先にタンヤオのテンパイを入れていた藤崎が前原に5,200の放銃。
ドラそういった意味では、東4局1本場も実に象徴的な1局だった。
8巡目、北家の藤崎がを引いて8,000のテンパイ。
ポン ドラ ツモ
がドラの指示牌ということもあるが、瀬戸熊が2巡目にを切っていることから、藤崎は打として–の待ちに受ける。瀬戸熊が掴めば切るだろうとの算段があってのものだ。
ところが、狙い目でもあるそのは瀬戸熊に暗刻。そして直後、瀬戸熊に打たれたのはアガリ逃しともなる。
更に追い討ちをかけたのが、この局の結末である。
を引いて3メンチャンに受け変えたところで、前原への放銃。
藤崎にすれば、正に踏んだり蹴ったりの幕切れである。
藤崎は以降、一度もアガリに絡むことなく、4着に沈んだ。
だが、特筆すべきはやはり瀬戸熊の安定感である。
ここまでの悪い流れを振り払うかのように前原がトップを奪うも、自身はしっかり浮きの2着をキープ。
ゴールに向かって着々と歩を進めるその足取りには、微塵の不安も感じさせない力強さがある。
追いかける3者にとって、瀬戸熊の牙城を揺るがすのは、既に儚い夢となってしまったのだろうか。
13回戦成績
前原+23.3P 瀬戸熊+5.3P 荒▲11.3P 藤崎▲19.3P 供託2.0P
13回戦終了時
瀬戸熊+109.1 前原+9.1P 荒▲47.7P 藤崎▲72.5P 供託2.0P
14回戦(起家から、前原・瀬戸熊・藤崎・荒)
東1局、まずは荒が軽快に1,000・2,000をアガってリード。
ポン ポン ツモ ドラ
注目していただきたいのは東2局である。
9巡目(暗カンが入っているため)、北家の前原が先制リーチ。
2巡目の切り、荒の暗カンから、は良い受けに映る。
それを受けた親、瀬戸熊の手牌が以下。
ツモ ドラ
打、おそらくほとんどの打ち手がそう構えるだろう。だが、瀬戸熊の選択には私も目を見張った。
打なのである。初日から通して、とにかくこの姿勢が徹底している。追う側が苦戦を強いられてきたのは、ここに理由がある。弱気によって引き起こされるミスが、瀬戸熊にはほぼ皆無なのだ。
自分がを切っていること、が既に2枚飛んでいること、ドラは打ち出さないこと、そして何より、真っ直ぐ攻め抜くこと、を打ち出すには十分過ぎる理由があるというわけである。
のカンも大きい。が良く見えているのは、前原だけではない。ドラのを重ねれば、カンの12,000。
いや、場合によってはリーチもあるかもしれない。
3者に浮上のきっかけを与えることのないよう、瀬戸熊は決してその手綱を緩めない。
ロン
今決定戦、何度こういうシーンを見てきただろう。
正に横綱相撲という表現がぴったりの打ち回しである。
東4局、荒の親番。
ドラ
そして東4局1本場。
ドラ
いずれも高目タンピン三色という勝負手である。荒はそのいずれも、リーチでのアガリを物にする。
するのだが、そのいずれもが安目でのアガリ。そして出所も、前者が藤崎から、後者が前原からと、全く瀬戸熊の点棒を削ることができない。一度作られた4者の絡みは、なかなか崩れないということなのか。
荒正義プロ |
オーラス、前原が1,300・2,600をツモアガって、ようやく瀬戸熊の原点を割ることに成功するが、それでも瀬戸熊は2着を死守。この3日目、残すは後1戦。
明日に望みを繋げる者は現れるのだろうか。
14回戦成績
荒+17.0P 瀬戸熊▲1.8P 前原▲4.1P 藤崎▲11.1P
14回戦終了時
瀬戸熊+107.3P 前原+5.0P 荒▲30.7P 藤崎▲83.6P 供託2.0P
15回戦(起家から、前原・荒・藤崎・瀬戸熊)
この半荘、追いかける側の気持ちがようやく牌に伝わったのか、南1局まで瀬戸熊以外の3者がツモアガリを重ねる展開となった。
まずは東1局、荒が1,600・3,200。
暗カン リーチ ツモ ドラ
東2局は藤崎。
リーチ ツモ ドラ
東3局は前原。
リーチ ツモ
そして東4局も前原。
ポン ツモ ドラ
こちらは瀬戸熊の親リーチを潰しての価値あるアガリ。
そして南1局、こちらはまず全体牌譜をご覧いただこう。
荒のリーチを受けた藤崎の、11巡目の手牌である。
全体の捨て牌からも、ベストはドラのを重ねてのテンパイ。
–の待ちが残れば、打点もあるし、勝ち目も十分といったところである。
そこに引いたのが4枚目のである。を打てばピンフ、ドラ1のテンパイ。
そして一手変われば、確定のタンピン三色である。
荒のリーチはあっても、藤崎はそう構えるものと思っていたが、安全度を追ったか、ノーチャンスの打を選択する。
すると次巡のツモが。藤崎はここで切りのリーチに出る。
そして2巡後、をツモって2,000・3,900。アガるにはアガったが、やはり藤崎らしくはない。
ここまでの得点状況がそうさせるのか、精神の疲弊も相当なものがあったのだろう。
「攻撃力のない人間は初日に沈むときつい。やはり20戦を通しての戦術だから。」
この日の終わり、藤崎がそう話していたのが、ひどく胸に響いた。
南2局は前原が荒から3,900の出アガリ。
ポン ロン ドラ
荒はこの後も1人ノーテン、そして藤崎へ1,500放銃と、点棒を20,100にまで減らしてしまう。
前回1着を取った人間が、どうも勢いに乗り切れない流れが続いている。
それもまた、トータルトップを走る瀬戸熊の力ということが言えるのかもしれない。
南3局2本場、このアガリを見せ付けられれば、瀬戸熊がいかに緻密なゲームメイクをしているのかがお分かりいただけるのではないだろうか。
ここまで攻撃面ばかりが光っているように見えて、やはり我慢すべきところはしっかり我慢しているのである。
失点は最小限に抑え、ここ一番でのアガリで相手を蹴落とす。そして、着実にトータルポイントを積み重ねる。
冒頭、瀬戸熊の10回戦目までの着順を振り返った。そして本日、ここまでが2、2、2、2である。
全員が前に出てくる状況下でのこの成績は、さすがの一言である。
局面、局面での押し引きの見極めが、それだけ正確であるということだ。
オーラス、瀬戸熊は荒に満貫を放銃する。
こちらも攻めた上での放銃で、枚数こそ少ないもののアガリ目も十分という感触があったのだろう。
ラスには落ちたが、とにかく最終日に向けて一切の不安を残さないように、という瀬戸熊の気持ちが伝わってくるかのような放銃だった。
その前巡、打と、今日1日の収束に向かった前原とのコントラストが、凄く印象的だった。
15回戦成績
藤崎+23.2P 荒▲2.9P 前原▲5.4P 瀬戸熊▲14.9P
15回戦終了時
瀬戸熊+92.4P 前原▲0.4P 荒▲33.6P 藤崎▲60.4P 供託2.0P
これで残すは、最終日の5戦のみ。正直なところ、私はここまでの大差は予想できなかった。
もちろん、麻雀には何が起こるかわからない。
わからないが、この差をひっくり返すのは並大抵のことではない。
「大勢は決した」
私はノートにそう書き記し、会場を後にした。
その翌日、壮絶なドラマが待ち受けていることなど知ることもなく…
カテゴリ:プロリーグ(鳳凰戦)決勝観戦記