第32期鳳凰位決定戦 三日目観戦記 HIRO柴田
2016年02月26日
折り返しての9回戦、勝又とは数字を意識しなくてはいけないほどの距離となっている。
優勝ボーダーは例年どおりなら100P前後か、現状のポイントは
勝又+77.4P 前田▲11.8P 古川▲19.5P 瀬戸熊▲46.1P
トータルポイントがプラスに転じれば3者のうち1人、2人は優勝への位置取りとなるだろう。
そのためにも前田、古川、瀬戸熊は勝又のポイントをこれ以上加算させられないのだ。
9回戦 (起家から、勝又・前田・古川・瀬戸熊)
東1局、親の勝又の打牌選択が面白い。
勝又
ドラ
は2枚見えているので手順ならかと思ったが打
ソーズは場に高いので受けを意識しつつ攻めの判断を測ったのかもしれない。
勝又
だが12巡目に裏目のツモで打とくる。
受けならであろうこの打ちの意図は3者に見せる為か、それとも自己都合かはわからないが戦っているということはわかる。
前田
そして12巡目の前田の牌姿、7巡目に打ったをまた引き戻した形。
は自風なのでここでとするを打たないのは、ホンイツ気配の瀬戸熊と勝又への距離感だろう。
13、14巡目で勝又のツモが一気にのびる。
やめるのは簡単だが、このメンバーでそれをやっていたら全局やめなくてはならない。
だからこそ、ぎりぎりを攻めることが大事であり、それをすることでアガリたい時にアガリが生まれる。
いろいろな駆け引きがあったと思うからこそである。
勝又は非常に大きな5,800のアガリでスタート。
東2局、しかしこの日の主役は前田。
ドラ
好配牌を上手く生かし、5巡目に持ってきたで自然にホンイツへ渡り、
前田
ロン ドラ
この強烈な18,000を古川からアガる。
東2局1本場
前田
ポン 明カン ツモ ドラ
七対子ドラ2の1シャンテンである瀬戸熊から絶好のが鳴けてこの4,000は4,100オール。
東2局2本場、古川が10巡目にこの–待ちテンパイ。
古川
ポン ドラ
そこに瀬戸熊も仕掛ける。
瀬戸熊
チー ドラ
ドラのもも生牌なので無謀な仕掛けにも見える。そして、ホンイツの古川にこれでもかとばかりにをツモ切ると、古川のツモは・・・古川やむなく後退することになる。
そう、瀬戸熊は優勝するため、この3日目に勝負をかけた命がけの仕掛けだったのだ。
古川が後退した気配を見逃すことなく、当然の様に瀬戸熊はを打ってテンパイとなる。点数よりも大事なものを得たはずだ。
南3局
瀬戸熊
リーチ ツモ ドラ
必死に加点を続けた瀬戸熊。ここで1,000・2,000のツモアガリ浮き状態になり次の親番に繋げる。
南4局「リーチ」現場にいた私には、その瀬戸熊の声はひときわ大きく聞こえた。
瀬戸熊
リーチ ドラ
東場の攻防、前局のツモアガリ、それらをこの局全てに繋げていると瀬戸熊は信じているからだ。
は牌山には残っていない、あとは相手がこの状況下で攻めきれるかであり、攻めなくてもいいのではという状況も整っていると思う。
そして、ここで退いてくれればさらにチャンスは来るはず。
勝又
チー ロン ドラ
牌の流れは勝又にあった、フリテンを解消するチーから始まり難なく決着
勝又がどこで退くか観たい視聴者もいたと思うが、勝又が退く牌はどんな牌だろう?
通っていない無スジくらいでは勝又は退かない
なので退く牌はもう無いのかもしれないし、それほど2人の態勢差はあったと思う。
9回戦成績
前田+30.4P 勝又+12.5P 瀬戸熊▲5.7P 古川▲37.2P
9回戦終了時成績
勝又+89.9P 前田+18.6P 瀬戸熊▲51.8P 古川▲56.7P
10回戦 (起家から、古川・前田・勝又・瀬戸熊)
東1局、親の古川の6巡目リーチに驚く。
手役やドラなどの手替わりは多種ある、これが問題と提出されれば不正解となる。
そんな手替わりすらも見切り、古川は麻雀の押し引き一点を測る為にリーチをしているのだろう。
古川
リーチ ロン ドラ
東1局1本場
古川
チー ツモ ドラ
表か裏かの勝負を毎回突き付けられているようにも見える古川の2,000は2,100オール。
東2局、前半荘トップの前田も黙ってはいない。親で3連続のツモアガリを決める。
前田
ツモ ドラ
ツモ ドラ
ツモ ドラ
続く3本場で大物手のリーチ。
瀬戸熊の選択は粘るための。
345の三色などもあるが、自身の捨て牌やの枚数、古川のを見ると、瀬戸熊に疲弊を感じさせられる1局に見えた。
そして、それを生んでいるのは古川だろう。
南3局、失点を最小限に押さえ、前田の猛攻に耐え忍んだ甲斐あってここでトップ目前田から12,000をアガる。
勝又
ロン ドラ
トータルポイントが目前まで迫っていた前田にとっては非常に手痛い放銃となった。
前田、勝又の2人浮きで終える。
10回戦成績
前田+38.3P 勝又+12.2P 古川▲19.4P 瀬戸熊▲31.1P
10回戦終了時成績
勝又+102.1P 前田+56.9P 古川▲76.1P 瀬戸熊▲82.9P
11回戦 (起家から、前田・古川・瀬戸熊・勝又)
残りの半荘は6回。現状は勝又の先行を前田が追う並び。
瀬戸熊・古川は勝又のポイントをできる限り減らして、優勝ボーダーを60前後にしなくてはいけない。
残り6半荘はぎりぎり届くかどうかといったところか。
東1局
瀬戸熊
リーチ ドラ
瀬戸熊は全ての局をアガってみせるとばかりのリーチを打つが
古川
ポン ポン ツモ ドラ
ここは古川の大物手が炸裂する。
2人で攻めきって前田・勝又に何もさせない麻雀を打てば、どちらかに勝機はあるかもしれない。
東2局
勝又
ドラ
古川のリーチを受けてはいたが、勝負打ちとなるで古川につかまる。
古川
ロン ドラ
東2局1本場
瀬戸熊
リーチ ドラ
6巡目の瀬戸熊の選択はヤミテン。加点よりもまずは古川の親落し。
7巡目にツモ切ったを古川がポンとすると、リーチを打ち古川との勝負に挑むが古川のアガリとなる。
古川
ポン ロン ドラ
東2局2本場
古川先制リーチに、瀬戸熊がドラをツモ切って追いかけリーチ。
映像では勝又はをツモって一瞬ではあるが手が止まる。
瀬戸熊の手牌の値段を読んだのだろうし、または現状ポイントのライバルである前田との差を考えたのかもしれない。
答えは、を打って瀬戸熊への放銃。これが良いも悪いも誰にもわからない。わかるのは古川の親が止まって、前田の差が少し縮まったということだ。
東3局、いろいろな麻雀のスタイルが存在する。
相手に合わせて抑え込むか、それとも自分のスタイルを突き通すか。
瀬戸熊
ポン ドラ
ポンしての打牌は。場にはが2枚、2枚目のをポンする選択もある。
瀬戸熊は自分のスタイルを突き通すことを選択したということだ。
古川
ポン ツモ ドラ
6万点持っている古川の辛く自在ともいえるアガリで親が落ちることになる。
東4局
前田の16巡目の河へ放つが、この鳳凰戦が終わりに近づいているのを感じさせられた。
みなさんでしたら何を切ります?
私は答えがでませんでした。言い訳が作れるに引き寄せられそうな気もします。
古川の1人浮きそして勝又4着という並びでこの半荘を終える。
11回戦成績
古川+44.2P 瀬戸熊▲9.9P 前田▲12.3P 勝又▲22.0P
11回戦終了時成績
勝又+80.1P 前田+44.6P 古川▲31.9P 瀬戸熊▲92.8P
12回戦 (起家から、瀬戸熊・古川・勝又・前田)
東1局
瀬戸熊
ドラ
勝又
ポン
ポン ポン
ポン ポン ロン
今回の決定戦は、瀬戸熊の選択が常に逆に逆にときていることを表すかのように勝又がアガる。
勝又の選択は6巡目のをポン。が暗刻なので鳴くが自然なのだろう。
仕掛けの局面も多いだけに、場も軽いと踏んでかもしれない。とにかく合っている。
東4局1本場、古川が動いて勝又・前田がヤミテンに構える。
古川
ポン ポン ドラ
前田
勝又
ロン
勝又が古川からアガリ、5万点まで一気に引き離す。
古川としては、この半荘トップもしくは浮きで終わりたいところだったので惜しまれる。
南1局
勝又が先制リーチを打ち、親の瀬戸熊が追いかける。
そこへ3人目の前田が追いかけてアガる局なのだが、親への打ち込みも許されない前田が、ここで3人目のリーチを打つということは、事態が緊急であること、そして選手達はかなり息苦しいことが伺える。
南2局
前田
ポン ツモ ドラ
想いが通じたかのように、前田ここで2,000・4,000のツモアガリ。
勝又との差は、現状40P以上あるので最終日に向けて順位だけでも上にしたいはずだ。
南3局
勝又
ポン ロン ドラ
古川の全力の攻めも、ここで親番の勝又は7,700をうまくアガリさらに引き離す。
南4局、古川は“見逃しをしない”と解説の望月は言っていた。
古川
この1,300出ればアガるのだろう、でも持ち点が7,900、これをアガるのは自ら負けを受け入れるということだ。
アガリ牌がでることはなく2枚目のが場に放たれ、それに古川は動いたのだ。あくまでも古川流で決着をつけようということだろう。
前田
リーチ
そこへ親の前田がリーチ。古川はオリを選択、少しでも勝又との点差が縮めるために苦しめたいという3者の想いか。
南4局1本場、13巡目に瀬戸熊リーチ、宣言牌はだ。
瀬戸熊
リーチ ドラ
前田も8巡目からこのテンパイ。
前田
は山に3枚眠っている。一方、瀬戸熊の待ちのが1枚。巡目が深くなるにつれ、2人でをツモっている気がした。
16巡目、前田のツモは自身で切っている4枚目のだったのだ、ここで前田はフリテンに受けかえると次ツモが。
前田
ツモ ドラ
皆戦っているのだ、もしかしたらは無しだろう。
南4局3本場
古川の2トイツ落としがその予感を漂わせる。
しかし、頭で危険はわかっているが、古川と対峙したものは徐々に意識が朦朧とするかのごとく、その感覚を薄れさせられるのだ。
牌譜ではわからないが、前田の最後の打牌選択でつまんだ牌はだった。
応援しているファンの声が届いたのだろうか、河へ置いたのは勝又トップで終了となるだった。
12回戦成績
勝又+31.0P 前田+24.8P 瀬戸熊▲24.1P 古川▲32.7P
12回戦終了時成績
勝又+111.1P 前田+69.4P 古川▲64.6P 瀬戸熊▲116.9P
カテゴリ:プロリーグ(鳳凰戦)決勝観戦記