プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第31期A1リーグ最終節レポートC卓 白鳥 翔
2015年02月02日
中位卓であるB卓が終わって、順位は以下の通り。
1位 瀬戸熊 +144.1P
2位 前田 +66.5P
3位 勝又 +63.4P
4位 ともたけ+44.7P
5位 沢崎 +35.8P
6位 荒 +27.9P
B卓が終わり前田が2位まで浮上してきた。
C卓の対戦カードは、瀬戸熊、勝又、ともたけ、荒の4名。
瀬戸熊はほぼ当確。残りの3名はそれぞれのポイント差はもちろん意識するが、順位の確定している2位の前田のポイントを抜いてしまえばほぼ確定といったところか。
鳳凰位決定戦進出を賭けた最後の一戦が始まった。
1回戦、まずは東1局、勝又が自然な形で速いポンテンの3,900を荒からアガると、次局の勝又の親番は瀬戸熊が役なしドラなしをツモって300・500のアガリ。ここからあまり点数が動くことはなく、この2人のペースで場が進行していくが大きく点数が動いたのが南2局1本場、勝又の親番。勝又が5巡目にこのテンパイ。
ドラ
この手牌をヤミテンに構えると、10巡目をツモって小考の後、空切りリーチと出た。
そこに既にテンパイが入っていた南家の瀬戸熊。
ここに一発でを引かされるも、全く迷うことなくを打ち抜き、勝又7,700は8,000の大きなアガリ。
勝又は10巡目までの情報から山にが濃いと見ての判断だったか、序盤に1枚切れのこのは勝又の読みどおり山に3枚生きていた。
続く南3局はラス目の荒も意地を見せ、リンシャンから満貫のツモアガリ。
暗カン ツモ ドラ
オーラスには、沈んでいるともたけが、らしさを魅せつける。5巡目、
ツモ ドラ
ここから打と、絶対にドラは2枚使いきろうという意志ある一打。
理想の形にはならなかったものの、残したがうまく重なり
この高目3,900オールの形でリーチ。安目ながらをツモり2,600オールと一気に2着目まで浮上。
1本場は荒がアガって何とか浮きをキープして終了。勝又のトップ、瀬戸熊の1人沈みで終了となった。
ここまでの戦い、私見だが勝又、ともたけ、荒、この3人が各々卓に入り込んでそれぞれの持ち味を発揮しているように見えた。そして瀬戸熊。守れば確実に決定戦だと思うがそれをしようとはせず、いつも通りの己のフォームを貫いているなという印象だ。
2回戦は完全にともたけの時間。
南1局4巡目、
ツモ ドラ
ここから大きく打とすると、最終形はこの形でリーチ、そしてツモ。
ツモ
力強く高目のをツモって2,000・4,000。
そしてトップ目で迎えたオーラス。ドラが暗刻の親・ともたけ。
上家の勝又に仕掛けが入っているにも関わらず、この形から勝又から打たれたをスルー。
ドラ
すぐさまを引き入れると、テンパイが入った瀬戸熊からを捕えて12,000のアガリとなった。
次局は、ハイテイ間際に勝又がなんとかテンパイをいれて浮きの2着をキープした。
瀬戸熊は連続ラスで少し雲行きが怪しくなってきた。
3回戦は勝又のトップ、そして荒が執念の2着。
瀬戸熊はまさかの3ラスで決定戦が危ぶまれる位置まで落ちてしまった。
残り1半荘を残してのポイントが以下。
勝又 +100.3P
瀬戸熊 +75.3P
ともたけ +68.2P
前田 +66.5P(ポイント確定)
沢崎 +35.8P(ポイント確定)
荒 +32.3P
荒は前田のポイントを超えるトップが獲れれば決定戦進出。
瀬戸熊、ともたけは前田より下にはいけない為、ともたけは浮き条件か。最終戦が始まった。
開局、起親の荒が3本場まで積んでなんとか粘るが、思うように得点が伸びない。
東2局4本場では、ラス目に追いやられた勝又が、700は1,100オール。
続く5本場では、ヤミテンで荒から5,800は7,300、そして6本場で700は1,300オールと盛り返す。
7本場は、荒がリーチといくが、ともたけがドラ2七対子を荒からアガリ6,400は8,500のアガリ。
この時点でともたけは38,000点持ちで、決定戦ボーダーを争っているのがなんと瀬戸熊と前田という状況にまでなってしまっていた。
しかし追い込まれた瀬戸熊、今までの経験からこのままではダメだと分かっているのか、強引にホンイツで2フーロして他家に対応させ1人テンパイに持ち込むと、次局の親番でまたも仕掛けて2,000オールのツモアガリ。
チー ツモ ドラ
そして南2局3本場、ここまで苦しんできた西家・瀬戸熊に遂に手が入る。
配牌でトイツのドラのを暗刻にし、
ドラ
このテンパイ。これに飛び込んでしまったのがともたけ。
このアガリで瀬戸熊は、事実上決定戦進出を決めた。
残すはこの放銃で原点を割ってしまったともたけが、原点復帰できるかどうか。
南3局のともたけの親番。荒が終盤に手詰まりでともたけに3,900の放銃。
これでともたけは27,800点持ち。あと2,200点。
そして1本場、持ち点14,400点の荒の手牌進行。
ツモ ドラ
ここから打。そして最後はこの形でリーチを打った。
リーチ
ここからともたけも執念のテンパイ。
ツモ
普段はどんな牌もそっと置くともたけだがこの時ばかりは流石に力が入っていた。
荒に無スジの打ち。
しかし同巡、荒がをツモ。2,100・4,000のアガリ。
そして迎えたオーラス。ともたけの持ち点は23,800点。
条件をクリアしているオーラスの親・瀬戸熊は、ノーテン宣言することが予想されるので実質1局勝負。
6,400点以上のアガリがともたけの決定戦出場条件となった。
ともたけ必死にチャンタ系に寄せるも手牌がなかなか追いつかない。
そこに荒からリーチが入り、程なくして荒のツモアガリ。
ツモ ドラ
こうして鳳凰位決定戦出場の4名が出揃った。
勝又、瀬戸熊、前田、そして現鳳凰位の藤崎である。
この最終節最終戦であるC卓。毎節日本プロ麻雀連盟チャンネルにて放映、その実況をさせていただいたが、今期のベスト対局と言い切れるくらい素晴らしい内容であった。
終始安定感もあり勝負所ではきっちりと攻めきった勝又。
自分のスタイルを崩さずそのままのスタイルで戦い抜いた瀬戸熊。
あと一歩届かなかったものの、らしさを十分発揮し大きく構えていたともたけ。
最後に荒。正直、最終節の荒の牌勢は厳しかった。しかし我慢を重ね勝負所を決して急がないスタイルには脱帽である。
そして、最終戦の南3局、南4局の連続の満貫ツモについてだ。
プロ連盟には年度末にその年活躍した選手だけに出場資格のあるグランプリというものがある。
そのグランプリは年間のタイトル戦での成績や、リーグ戦の順位によってシードなどが変動する。
荒は南3局、南4局と満貫以上を連続でツモアガった場合のみ、沢崎をかわして5位に浮上するのである。
これを荒は瞬時に計算しやってのけた。とすれば、南3局1本場に打とした手組みも頷ける。
荒からすれば当然、必然の満貫に向かっての手牌進行だったのである。
ともたけにとっては苦しいこの荒の選択。しかし私は、ここに荒正義のプロとしての矜持を見た。
これがプロの世界なんだと教えられる様な、厳しくも美しい2連続の満貫で今期の長いリーグ戦が幕を閉じた。
第31期鳳凰位決定戦初日は2月7日、14時から日本プロ麻雀連盟チャンネルで放映されます!
お見逃しなく!
1年間、拙い実況でしたがお付き合いいただきありがとうございました!
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