プロリーグ(鳳凰戦)レポート

プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第32期A2リーグ最終節C卓レポート 古橋 崇志

第32期鳳凰戦A2リーグ最終節C卓。
本日は9節終了時の5位、6位、7位、8位の組み合わせ。
ポイントは以下の通り。
5位猿川真寿+49.6P
6位吉田直+35.4P
7位藤原隆弘+18.9P
8位西岡慎泰+18.0
昇級のボーダーは2位内川幸太郎の+112.4P、
降級は13位滝沢和典の▲52.0P。
打ち手のタイプとポイントを加味すると猿川・吉田は昇級を目指し、
藤原・西岡は降級しないように戦うのではないか。
1回戦
まず先手を取ったのは吉田。東1局、リーチ白三色の満貫を猿川から打ち取る。
その後藤原、西岡も加点し迎えた南3局。14巡目、北家の吉田がテンパイを入れる。
二索三索四索六索七索三筒四筒五筒七筒七筒  チー四万 上向き五万 上向き六万 上向き  ドラ七筒
そして藤原の手牌。
三索四索五索六索四筒五筒五筒六筒七筒八筒九筒発発  ツモ五索
親番と言うこともあり、役なしドラ1ならばリーチか?と思いきや、藤原の選択は打九筒
リーチをしなけばテンパイすら取らない。これが「緻密な仕事師」たる所以か。
オーラスは吉田が500・1,000をツモり3人浮きのまま終了。
2回戦
連勝しポイントを伸ばしたい吉田。東1局から早速チャンス手が入る。
七万七万二筒三筒四筒六筒七筒東東東中中中  ドラ五索
10巡目テンパイを迷い無くリーチ!
しかしここに立ち塞がったのが西岡。
三万三万四万四万五万五万一索二索三索五索南南南  ドラ五索
リーチに向かって無筋を切り飛ばしていく!
そして3巡後に吉田が掴んだのはドラの5であった。
西岡はこのままの勢いで1人浮きのトップ。
昇級ラインが遠くに見えてきた吉田は痛恨のラスとなってしまった。
3回戦
東1局、吉田この日一番の大物手のテンパイ。
七万七万七万四筒四筒五筒五筒南南南西西西  ドラ七万
親なのでツモれば16,000オール。一気に昇級が視界に入る。
最後のツモ番、吉田の手にも力が入る。山には四筒が1枚残っている。
吉田の盲牌の隙間からピンズが見えた!
四筒か!と期待が膨らんだが、そこに見えたのは三筒
チャンス手をモノには出来なかったが、この半荘は吉田の独壇場。
53,800点持ちのトップとなり昇級にわずかな可能性を残した。
4回戦
ここまでのトータルポイントは、
吉田+76.6P
西岡+37.1P
猿川+7.8P
藤原+0.4P
吉田は最低でも6万点のトップでD卓の対局者にプレッシャーを与えたいところか。
拮抗した展開を打破したのは、やはり吉田。
東3局、9巡目にリーチ!
二万三万四万二索四索二筒三筒四筒五筒六筒七筒東東  ドラ南
ホンイツのテンパイをしていた親の猿川との1対1になったが、山に2枚の三索をツモ!
2,000・3,900のアガリで1人浮きとなった。
しかしそこに立ちはだかったのは緻密な仕事師、藤原。
南2局、藤原の親番。
三万四万二索三索四索五索六索七索二筒二筒三筒四筒五筒  ドラ四万
13巡目に力強くリーチの声!同巡、吉田の手牌。
四万四万八万八万五索六索六索七索七索七索四筒五筒六筒  ツモ二万
タンヤオドラ2の1シャンテン。
藤原の河には4巡目に三万が切られており、場には三万が3枚見えている。
藤崎智は「三万が早いとは言えドラが四万だから二万が通る保証は無い。あとは行くか行かないかの選択。」と解説。
結果、吉田は勝負を選択。11,600の放銃となってしまう。
吉田は対局後に「藤原さんの自信満々のリーチなので二万は危険と感じていたが、自身のアガリを見た結果、放銃となってしまった。」と語る。
この放銃で昇級は厳しくなってしまった吉田であったが、私にとっての吉田の本当の見せ場は次局に訪れる。
南家の猿川が北白とポンしてピンズのホンイツ模様。
その中親番、藤原がテンパイ。
六万六万七万七万一索二索三索八索八索一筒二筒三筒三筒  ツモ七万  ドラ一索
三筒は通る保障は無いが藤原は三筒を叩き切ってリーチ!
そして猿川がその三筒をチー!
三筒四筒中中  チー三筒 左向き一筒 上向き二筒 上向き  ポン白白白  ポン北北北
さらに吉田にテンパイが入る!
三万三万三万四万四万一索三索三索八索八索七筒七筒西  ツモ一索
私は「吉田、ここは地獄待ちの西タンキでリーチにいってほしい!」と軽はずみな実況をしたことを少し後悔している。
吉田は次巡、2枚切れの南タンキに待ちを変え、そしてさらに次巡、自身で切っている五筒をツモる。
ピンズのホンイツの猿川はもちろん、親リーチの藤原にも通っていない牌。
吉田の選択は打南。しかもほぼノータイムであった。
点数状況、自身の打点、そして何より放銃しても降級などのリスクは全く無い局面。
私であったらそんな言い訳を並べて五筒をツモ切っているであろう。
そして次巡のツモは無筋の四筒。ここでもフリテンである五筒を切ってもおかしくはない。
が、吉田は三万切りでオリを選択。
この局が1年間A2リーグの実況をさせてもらった中で最も感動し、身震いした局である。
結果、吉田は残留となるのだが、来期もこんな感動を与える麻雀を期待したい。
(いち視聴者としての意見なので決して上から言っている訳ではありません・・・)
100
この結果、滝沢・佐々木・二階堂という連盟屈指のスター選手のBリーグ降級が濃厚となった。
人気・実力共にトップクラスの選手でも降級してしまう。それだけ今のA2リーグのレベルが高いということであろう。
残すはいよいよ最終D卓。
安定の石渡か?昨年のリベンジに燃える内川か?
1年での復権を狙う柴田か?それとも山田の大逆転か?
プロ連盟最高峰のA1リーグに挑戦する2名が決定する!