プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第32期鳳凰位決定戦 初日観戦記 HIRO柴田
2016年02月12日
初めてA1へ昇級をした年、わたしはこの場にいた。あれからもう7年か…
この時期になるとあの時の悔しさを思い出す。その時からの成長を今一度みせてやりたいと思う気持ち。皆それぞれ思う気持ちがある。
それが年間のプロリーグでありこの決定戦であろう。
今期のリーグ戦では生きる伝説、荒のまさかの降級。決定戦争いに敗れた前原。
それらを退けて勝ち取った瀬戸熊直樹、勝又健志、古川孝次の3名が、前年度の鳳凰位である前田直哉に挑戦する。
溢れる個性を持ったこの4者が、4日間に渡る戦いを始めようとしている。
1回戦(起家から瀬戸熊・前田・古川・勝又)
東1局 ドラ
初動はやはり古川、をポン
この1年間の戦いをみてきた古川ファンには嬉しい第一声にも聞こえる。
西家の古川がをポンして、
ポン
ここからと払いピンズに寄せる。
その数巡後、「リーチ!」と最初のリーチ発声は期待どおり親の瀬戸熊。
古川、瀬戸熊の「らしさ」が開局に観られて力が入ってしまったのは私だけではないだろう。
リーチ
瀬戸熊のリーチをみて、古川がリーチ後に表示牌である→ドラの
とツモり、
ポン
ロン
古川が勝又より2,000のアガリ。
東2局、これぞ現鳳凰位の前田の構想力。
親の前田
ドラ
実況の山井は言っていた「か
で迷っているのでしょうか?」
解説の沢崎は答えを知っていたかのように「をスーッて打てないとね」
前田の選択はだった。
正直私の力量では234三色への渡りを見ることはできるが、ここでという器量はない。
だが、昨年の前田の麻雀を観た人は知っている、これが前田なのだ。
そしてこの手をリーチ、入り目は宣言牌は
。
きっと入り目がだったら打
でテンパイとらずだったのだろう。
リーチ ロン
当たってみろとばかりに瀬戸熊がを打ち3,900のアガリ。
リーチのみの2,000とこの3,900が明暗を分ける勝負になるのでは?と感じさせられるほどのアガリであった。
南1局、東場は我慢が続いた勝又が、と
の振り変わりを頃合とみてリーチといく。
古川もこのテンパイでと
を振り替え手痛い高めの放銃となってしまう。
古川
ポン
ドラ
勝又
リーチ ロン
南3局1本場、古川の持つエネルギーは凄まじい。
4巡目に、北家・前田のを迷うことなくチー。
チー
ドラ
前田も10巡目にテンパイを入れる。待ちのは山に3枚。
ドラ
そして瀬戸熊も残りツモ2回に賭けたリーチ。
リーチ ドラ
前田、リーチ直後に持ってきたを覚悟を決め河に放つ。
そこに古川の手が開かれる。
チー
ロン
ドラ
古川にはわからないことだが、実際にはと跳満まであるツモを自らの仕掛けでさげてはいる。
しかしそんなことは関係ないのだろう、相手を勝負の形で討ち取って自分の型にもっていく。
3者のアンテナは、既にこの古川の仕掛けでずれてきているのかもしれない?と感じさせられた。
南3局、古川はここからを手牌に残して打
とする。
ドラ
そのを勝又がチーして絶好のテンパイ。
チー
ポン
ドラ
切りは失敗なのでは?と大半の方は感じたと思う
だが、古川のツモはそして
チーと一気に勝又へ追いつき追い越すこの2,000は2,200オールのツモアガりでこの半荘1浮きのトップとなる。
チー
ツモ
ドラ
1回戦成績
古川+20.7P 勝又▲2.1P 前田▲5.4P 瀬戸熊▲13.2P
2回戦 (起家から、前田・古川・勝又・瀬戸熊)
東1局、親の前田6巡目の牌姿。
ドラ
123三色やタンヤオピンフなどを見てを捨てると瀬戸熊へ8,000の放銃となる。
瀬戸熊
ドラ
打点力のある前田の選択は123三色を見切る、もうすでに卓上の何かを感じているのだ。
そして11巡目に勝又リーチ。
リーチ
瀬戸熊もツモ切りリーチで倍満狙いとくる、だがこうなると前田のはもうでることはなく流局。
運があるとかないなどあるが、を掴んでいた前田に運がないのか、それともアガリがない瀬戸熊、勝又にないのか?
無傷で済んだ古川に運が有るのは確かだろう。
東3局 ドラ
誰が打ってもおかしくないを瀬戸熊が掴む。
私は3者を狙った七対子や国士無双などを放銃するのは、それまで一番運が無い人または落としている人が持ってくると思っている。
この局面もそれに類似していると思う、瀬戸熊不調だなと。
東4局、そんな人の予想を吹き飛ばすように瀬戸熊の形には拘らないこの2,000オールのツモアガリ。
リーチ ツモ
ドラ
本人はどう受けとめたのだろうか、まわりにはどうみえたのだろう。
東4局1本場
「これは意外だった」私の感想である。
瀬戸熊はよく「テンパイでの放銃にもっていきたい」と言う。
瀬戸熊
ドラ
古川
リーチ ロン
ここからをチーして
で放銃。シャンテン数をあげる仕掛けなので普通にも見えるが、私の見てきた瀬戸熊の麻雀ではない。
ここから先テンパイしてので放銃ならよしと、先ほどの言葉は違うと思う。
先ほどの2,000オールを信じて繋げるのならチーせずもあると思う。
色々思うことはあるが、先ほどののツモアガリに感触は無かったのだと私は結論づけた。
南3局、勝又の読みの精度。
勝又
ロン
を嫌って見事にマンズを伸ばし
待ちで瀬戸熊から12,000をアガる。
この大舞台でこの選択ができる勝又の胆力でトップを勝ち取る。
2回戦成績
勝又+21.0P 前田+7.3P 古川+1.9P 瀬戸熊▲30.2P
2回戦終了時
古川+22.6P 勝又+18.9P 前田+1.9P 瀬戸熊▲43.4P
3回戦 (起家から、前田・古川・勝又・瀬戸熊)
東3局、親の勝又のリーチに瀬戸熊が押し切り6,400をアガる。
勝又
リーチ ドラ
瀬戸熊
ロン
東4局、アガリをものにした瀬戸熊に気分良く打たせないぞと勝又が動くが瀬戸熊へ放銃。
勝又
チー
チー
ドラ
瀬戸熊
暗カン
チー
ポン
ロン
南2局、ヤミテンで息を潜める前田、親の古川リーチ、古川の河にはがあるが不要牌の
を持ってきて、これを打つ以上はと追いかけリーチで古川から8,000のアガリ。
古川
リーチ ドラ
前田
リーチ ロン
南3局、この時点で17,800持ちの勝又からの猛反撃が始まる。
先にテンパイを入れていた古川から3,900。
リーチ ロン
ドラ
南3局1本場、続けてトップ目の瀬戸熊から12,000は12,300。
ロン
ドラ
南3局2本場、リーチ宣言牌はこれは流局。
リーチ ドラ
南3局3本場、3フーロしている瀬戸熊からホウテイで捕らえる。
後日、瀬戸熊にコメントをもらったが、この局に対して自分を呪ったと言っていた。
胸が裂けるようないろいろな気持ちが伝わる…
勝又
リーチ ロン
ドラ
南3局4本場
瀬戸熊はを手の中から入れ替えてリーチ。
残り枚数は2枚対1枚。勢いは勝又、瀬戸熊は焦りにみえたが非常に大きなツモアガリをものにする。
3回戦成績
勝又+16.2P 前田+5.7P 古川▲7.8P 瀬戸熊▲14.1P
3回戦終了時
勝又+35.1P 古川+14.8P 前田+7.6P 瀬戸熊▲57.5P
4回戦 (起家から、瀬戸熊・前田・古川・勝又)
東1局、親の瀬戸熊が力を込めてを叩きつける。
この日の瀬戸熊は、リードしてからそれが繋がらない展開が続いていた。
守る点棒とみるか、攻める点棒とみるかだが、手格好に拘らない態勢良しの攻めは、トータルポイントが許してくれない気もする。
東2局、7巡目前田の親リーチ。
リーチ ドラ
この時の古川の牌姿。
これをドラ2に溺れず、古川は丁寧に進め16巡目に追いつき18巡目にツモアガリ。
古川の手牌にはあるが
は1枚もないのが前田には見えるだけに前田もまだ不調にみえる。
東3局1本場、親の古川が難しい牌姿。
ドラ
上から→
と選択してこのテンパイ。
前田ここは跳満ツモを狙いリーチ、瀬戸熊も四暗刻の1シャンテンで山には残っていないのトイツを選択し、古川の待ちである
を引き入れて追いかける。
2人の待ちはどちらも山に3枚。勝負形の古川から瀬戸熊が東のアガリとなる。
南1局、古川先制リーチ。ここでは絶対に退くことはない瀬戸熊もすぐに追いつきリーチ。
古川
リーチ ドラ
瀬戸熊
リーチ
瀬戸熊はこれをアガれば本日の負債を全て返すことができる。応援コメントにも熱が入るが流局。
南1局1本場、リャンメン形リーチにアガリの感触がないと前田は終局時に語っていた。
前田
リーチ ドラ
瀬戸熊
リーチ
瀬戸熊も放銃となるを打たずに
を宣言牌としてリーチする、もう一本のアガリが欲しいところだが流局。
南4局1本場、3回戦までトータル首位の勝又が親リーチ。
この半荘トップ目の瀬戸熊も3回戦までの借りを返すとばかりにリーチを打つが軍配は勝又にあがる。
勝又
リーチ ロン
ドラ
瀬戸熊
リーチ
南4局2本場、今日の勝又は失点してからの親が強い!
最後の選択も正解を選び、他3者にこれでもかとばかりの6,000オール。
ツモ
ドラ
南3局4本場
「の切り出しで愚形の可能性が少なく、かなり危険な状態だったがここでいかないとまずい」と対局後の前田のコメント。
と切り飛ばし価値ある1,300。胸が熱くなる1局だった。
4回戦成績
瀬戸熊+29.6P 勝又+11.3P 前田▲10.4P 古川▲30.5P
4回戦終了時成績
勝又+46.4P 前田▲2.8P 古川▲15.7P 瀬戸熊▲27.9P
初日を終えてみれば不調の瀬戸熊が持ち直し、勝又は見事な安定感でリードという並びで終えた。
まだまだ続く激戦を是非ご覧頂きたい。
最後に勝又から初日を終えてのコメントを頂いた。
勝又「初日をプラスで終えることができたという結果は嬉しく思いますが、その内容はというと満足できないものにしてしまいました。課題を乗り越えるためにも、1週間、徹底的に自分を追い込み、結果、内容ともに充実したものにしたいと思います。」