第29期プロリーグ A1 第8節レポート
2012年11月09日
文化の日の11月3日、プロリーグ第8節が行われた。
ここからは終盤戦に入る、誰しもゴール前の直線に備えて少しでも好位置をキープしたいものだ。
そんな中、今節の注目卓の1つ、2位・瀬戸熊と3位・伊藤の卓を観てみた。
他の同卓者は、沢崎と望月。2人共に前節は後退し、これ以上マイナスすると降級のピンチというポイント。
A1でも、実力と実績がある者ばかりの対戦だけに、いつにも増して厳しい闘いになる事が予想された。
まずは望月が立ち上がりから快調に飛ばす。
その望月に、2回捕まった沢崎が13,000点程のラス目で、この時点では別卓の石渡にトータルで抜かれそうだった。
南1局、親の瀬戸熊がホンイツ仕掛けで満貫をテンパイし、生牌のを切ると南家の望月が合わせ切る。
ドラ暗刻の1シャンテンだった西家・沢崎が続いてテンパイし、山越で地獄の単騎リーチ。
を絞っていた北家の伊藤は、数巡堪えたが瀬戸熊と沢崎の共通安全牌が無くなり、無念の満貫放銃。
続く南2局は、1人浮きの親番・望月が自信の駄目押しリーチ。
リーチ ドラ
河には、序盤からマンズが上手くバラ撒かれてあり、出アガリも充分あると思っていたが、沢崎が七対子ドラ単騎で追いかけリーチ。
は残り1枚で、沢崎の方が絶対不利だったのだが、何と望月が先にを掴んでしまった。
粘りのある沢崎が、2局連続の満貫で500点浮きの2着目に浮上してラス親だ。
1,100点沈みの瀬戸熊が、を一鳴きして速攻のテンパイ。
出アガリでは1,000点で原点にならないが、トータル3位につける伊藤がラスなので、このまま終わらせれば浮かずとも良しの捌きだった。
とのシャンポン待ちだったのだが、これをあっさりツモって300・500。
丁度30,000点で、親カブリの沢崎も丁度30,000点と、珍しい2人が配原ピッタリの同点2着。
伊藤は1人沈みのラスになってしまった。
不運な放銃と、不幸な展開で初戦ラスになった伊藤だが、まだ50Pの貯金があった。
これまでは出だしが悪くても、後半踏ん張って帳尻を合わせ、上位をキープし続けてきた伊藤だったが、
この日は「ダイハードの優」にはなれず、2回戦は瀬戸熊トップ、3、4回戦は沢崎連勝の煽りを受けてオールマイナス。
これで貯金を全て吐き出し、トータルもマイナスとなり決定戦争いから一気に後退してしまった。
他3人はプラスしたが、勝ち頭の沢崎は降級からはひと安心となり、瀬戸熊は来節、沈まなければ最終節を待たずに決定戦進出は当確のポイントとなった。
マジックナンバー1が点灯といったところだろうか?
もう1つの注目卓は、首位・藤崎の卓だが、観るべきは4位・前原と5位・柴田の位置取り争いだ。
1回戦目は超小場で回り、オーラス4者の持ち点は、親から石渡29,300点、柴田28,900点、藤崎31,000点、前原30,700点と、このミクロの争い。
12巡目に、ようやく–待ちのピンフテンパイを入れた柴田が即リーチを打つ。
ヤミなら出アガリでは浮かないし、リーチしてツモればトップになる。
1人テンパイでもトップだし、前原を抜かねばならない柴田はリスクを承知でリーチで攻める。
今日は柴田との闘いだと解っている前原は、一歩も引かずにテンパイを目指すがテンパイできずに流局。
オリたらラスに落ちる降級ポジションの石渡だがここはオリを選択。
七対子テンパイを入れた藤崎は、無筋を1つ押してテンパイを維持しラッキーな1人浮きのトップとなる。
この半荘、藤崎はのみの1,000点を一度アガっただけなのに、1人浮きのトップになるなんて・・・
多くの貯金が気持ちの余裕と展開の利をもたらすものなのである。
初戦からこんな楽なトップを貰えばこの日も藤崎は沈まない。
この後、前原も柴田も果敢に凌ぎを削るが、互いに相譲らず共にポイントを伸ばして決着は次節以降に持ち越しとなった。
前節、トータルマイナスが100Pを越え、陥落の位置に落ちた石渡は、何故か弱腰の引き気味の麻雀で1人沈み。
これで降級濃厚の最下位となったが、残り2節こそは開き直って強く闘う姿を見せてもらいたい。
残り1つの卓は、朝武が降級争いの3人を食って大きく浮上するかもと予想していたのだが、
初戦から1人浮きのトップを取るも、何故か失速し決定戦進出が難しくなってしまった。
今節も少しだけマイナスを減らした右田は、残り2節にA1残留の望みを繋いだ。
第9節組み合わせ
A卓 右田 勇一郎 vs 柴田 弘幸 vs 瀬戸熊 直樹 vs 伊藤 優孝
B卓 藤崎 智 vs 望月 雅継 vs 朝武 雅晴 vs 石渡 正志
C卓 沢崎 誠 vs ダンプ大橋 vs 前原 雄大 vs 近藤 久春
いよいよ残り2節となり、藤崎と瀬戸熊はこれまでの内容から見ても当確間違いなしだから、今節3位に浮上した前原が焦点となる。
前原が今後ポイントを伸ばすと、決定戦進出ボーダーが100Pオーバーとなり、追いつける可能性がある者は柴田くらいしかいなくなるが、
もし前原がポイントを減らし、50Pあたりにボーダーが下がるならば、朝武や伊藤にも充分チャンスが回ってくる。
降級争いの方は、右田が60P強の差となった、近藤、ダンプ、望月のうちの1人を引きずり降ろして生き残れるかどうかに絞られたようだ。
ということで、次節のA卓は、もう前原との同卓が無いと思われる柴田が、出来るだけポイントを増やしに行く。
右田も、最終節の降級争い直接対決に備えて、少しでもマイナスを減らしに行く。
目標は違えど、共にアグレッシブに闘わねばならない2人のどちらのチャージが成功するのか?
B卓は、藤崎はノラリクラリと安全に回すし、沈めば降級もある望月は、流石にもう守備に比重を置くだろうし、
朝武はホームラン3本くらい打たねばならないし、あまり見所は無いかな?
C卓は、前原が浮くか沈むかで、最終戦の様相が大きく変わってくるだろう。
また、近藤かダンプが負ければ、最終戦で右田とのA2落ちを賭けた差し勝負となるだろうからこの卓の結果は注目だ!
ではまた来月お楽しみに・・・・・
カテゴリ:プロリーグ(鳳凰戦)レポート