第31期A2リーグ第5節レポート 山井 弘
2014年08月20日
私は開幕に国士を放銃し、4節を終え▲152.9Pと後がない状態で折り返しの5節を迎えた。
勝負ごとの鍵は序盤にあると考える私だが、今節も1回戦目にそれがあったのではないかと思う。
東1局
起家スタートの私。正直、起家は苦手だ。特に理由はないが、嫌な雰囲気しかしない。
でも、そんな苦手意識を持ってはいけないと冷静に打ち進める。
山井
ツモ
私はここで、が2枚切れということもあり、一度切っているを止めて打とした。
七対子も見ての一打である。
そして次巡、をツモりを切って、仮テンのタンキに構える。
その私の切ったにポンと反応したのは前原さん。この光景はよく見る。
前原さんは、序盤からとにかく先手を取って、相手に対応させる。
打点も高いものから安いものまで織り交ぜてくる。
それに翻弄された者は、そのペースに引き込まれてしまう。
ドラ
ここからポンである。
たしかにアガるだけならポンをしたほうが形はいい。
この反応は、稽古を多く積んでいないと、出ない声だと今映像を振りかえり、そう思う。
1巡早くを切っていたら、を喰い流され私にテンパイは入らいないだろう。
次巡、私がツモったのは。
ここで考えたのは、とにかくリーチをして前原さんを止めなければ。
逆に、対応させなければいけない。
そう思い、が4枚見えているという理由もありリーチを打った。
もし前原さんがオリてくれれば・・
もし、ツモアガることができれば・・
もし、をツモってくれば・・
などと、都合のいいことばかり考えてしまう、B型特有の、いいところでもあり、悪いところでもある。
何はともあれ、あとはなるようにしかならない。
これを受けた前原プロは、ドラのをツモって、
ポン ツモ
を勝負。来たなと思う反面、本手であると感じた。
こんな時の前原さんは、ギリギリまで押してくるから、攻めている本人からはまず出ないだろう。そう感じた。
しかし、この押しで、逆に、黒沢さんや四柳君からこぼれるかもしれない。
そうも思った。
しかしそれもつかの間、四柳君に本手が入った。
ツモ
絶好のツモである。追いかけリーチ。
その同巡に、前原さんにもテンパイが入る。ツモ。
しかし、勝負しないといけない牌はドラの。生牌のドラ。
恐らく、これがタイトル戦の決勝であれば、を切ったに違いない。
それは、何度も前原さんの麻雀を後ろで見てきたから言えることでもある。
ロン
ただ、私はこのアガリで素直に喜んだわけではない。
実はこの時、こう考えた。
「もし前原さんのこの放銃がオリ打ちなら、きっとこの放銃を後悔し、この後は自分を奮い立たせて、鬼のように攻めてくるに違いない。もしかしたら、私はモンスターを目覚めさせてしまったかもしれない」と、そう思っていた。
だからこそ、次局、前原さんのリーチに対しては攻めた。
ここで引けば持って行かれる。意地でもここは攻めなければ行けない。そう思った。
リーチ ロン ドラ
4巡目リーチにで飛び込んだ私は、7,700は8,000を献上。
一発で生き返った。
東3局2本場には、四柳君が国士を炸裂させる。
ロン ドラ
放銃となったのは黒沢さんだが、何とも、僕が開幕に放銃した時もであった。
東4局、国士を決めた四柳君の親番。当然、マークする。
なんと言っても、点棒がこれだけあれば攻めやすい。
その親を交わしに行ったのが前原さん。
ポン ポン ドラ
この仕掛けに追いついたのは四柳君。
リーチ
捨て牌
リーチ
ここで私の手は
ツモ
こうなり、リーチである親の現物はのみとなった。
しかし、このは前原さんには通っていない。
むしろ、捨て牌にはと切られており本命にも見えた。
前原さんが交わしてであるだろうことは感じていたので、で放銃になったとしても、得点的な失点はそれほどない。しかし、それでは前原さんが楽になるだけ。
もしここでを打って前原さんにアガられると、この半荘はもう自分の浮上はない。そんな感覚である。
ここは、両方に通る牌を探して決着を待とう。そう決めた。親リーチの筋で前原さんの現物である打。
前原さんはギリギリまで押していたが、をつかみ小考。
きっと東1局のことが頭をよぎったに違いない。
ここでオリていいのだろうか・・私だったら押していた。
リーチ ツモ
前原さんはしっかりと当たり牌でやめて、四柳の4,000オールのアガリとなった。
もし、この時前原さんが放銃していたら、原点を割って、私と並びの位置まできていた。
そうなるのと、私と黒沢の思う気持ちはまったく変わってくる。
放銃となれば、「自分もよくはないが、前原さんは落ちてきたな」と考える。余裕が生まれる。特に私は。
ツモられれば、「前原さんにしっかり交わすか、放銃してほしかったな」と考える。
後者になれば、当然その後の展開も変わってくる。これが麻雀のいわゆる流れの1つでもあると考える。
前原さんにしても、で放銃するのと、回避するのとでは、次の戦いも変わってくる。
放銃すれば、この後はしばらく四柳君の親が終わるまでは守るしかないと考えるはず。
しかし、ここで放銃を回避できたのだから、次もまた戦えると、
ポン ドラ
そう考えたかどうかは定かではないが、前原さんは仕掛けて行く。ポンテンだ。
私は即座に対応したのだが、前原さんの3巡目にが切られていることもあって、
ツモ
ここからで1,000点の放銃となってしまった。
この放銃は、完全に気持ちが負けてしまっている。
この局、私は絶対に、四柳君と前原さんにだけは放銃(向かって)しては行けない。
自分でもそれは分かっていたはずなのに、の早切りから中途半端なを選択してしまった。
もし前原さんが前巡ので放銃していたら、もちろん前原さんが仕掛けるかどうか分からないが、少なくとも私は冷静に対応していたと思う。
そうなれば苦しくなるのは前原さんのほうなので、後半に自分が浮上するきっかけがあったかもしれない。
いや、浮上するきっかけは実際あった。
ただ、それがアガリに結びつかなかったのは、この序盤の攻防にあると私は考える。
4人同じメンバーで戦う場合は、半荘何回やろうとも、それが終わるまでは、やはり流れがあるのではないかと思えてならない。それが麻雀というゲームなのだと。
前半戦を終え、▲204.4Pと、はっきり言って、降級は免れないだろうと思う。
だけど、数パーセントでも可能性がある限り、しっかりと戦い、自分の麻雀を打ち切るしかない。
そう考える。
そんなわけで、プロリーグ開幕、序盤に国士を放銃して、大きな負債を抱えてしまった私は、
状態がいいはずがないので、残り、後半5節をどう戦うのか。
すでに方向は決まった。
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