プロリーグ(鳳凰戦)レポート

第37期鳳凰戦A1リーグ第7節C卓レポート

【超攻撃前田。親のホンイツに全く絞らない紺野。守備型の打ち手が闘志を剥き出した負けられない戦い。第7節C卓】

 

 

A1の中では攻撃よりも守備の印象が強めの4名が揃った今回の組み合わせ。
その中でも特に守備寄りに思えるマイナス組の紺野、前田が普段より攻撃強めシフトで挑んだ事により非常に面白い対局になった。

まず超攻撃を魅せてくれたのは前田。

 

 

この手をリーチして親満をツモった。一見普通に見えるかも知れないが、ヤミテンでも發イーペーコードラの70符3飜の親満。ツモれば親満。つまり一発裏のない公式ルールである今日の対局では、全く打点上昇のないリーチ棒を出した事になる。他家に自由に打たせないため圧力をかける事を期待したリーチ宣言は、先制愚形などが多く半ば流局連荘狙いのものも多く見られるが、前田のこのリーチは違う。狙いを是非本人に聞いてみたいものだ。

とにかくツモアガリで連荘に成功し、次局はピンズのホンイツに向かう前田。ここに大リスクを背負いながら立ち向かったのが紺野だ。

 

 

北家でこの手牌。リーチしても2,600で下家の親前田はホンイツ濃厚。しかし三筒をぶつけて行き、場が凍りつく。
前田がチーして打七筒は紺野のアタり牌だが、役がないのでアガれず。一手変わり三色だけに仕方ないか。

次巡、紺野のツモは九筒普通ならもうやめたい。だが紺野にとってはオリたら負けなのだろうか?
覚悟を決めて打八筒とする。一筒九筒のシャンポンに待ち変えした。すると次の前田の打牌は九筒でまた役がないのでロン出来ず。前田にアタり牌を2回も打たれてしまい、さすがに次巡前田が2,600は2,700オールのツモアガり。

 

 

2回戦東3局には沢崎が五万ポン。これにより紺野のツモ牌は勝又に流れ、六索七索五筒とツモ切られる。紺野は

二万二万六万七万八万六索七索八索六筒六筒七筒七筒八筒 ツモ五筒

このアガリを喰い流されたのがはっきり見えてしまい、1回戦に続き辛い時間を強いられる。振りに回っていないのがせめてもの幸い。ここで崩れずに堪えられるのが紺野の強さ、南2局にピンフから役なしに受け変える丁寧な打ちまわしでアガリ切った。

 

 

一番辛いのは勝又。上記の紺野のアガリが封殺された局は沢崎に5,200放銃。2回戦南1局には沢崎のリーチを受けて丁寧にオリていたが、最後の打牌でドラ3の前田に痛恨のオリ打ち。

 

 

3回戦東1局には南をポンしてドラツモなら倍満のテンパイを入れるが、同テンを沢崎に引き負ける。沢崎は紺野、勝又の勝負手を尽く潰しながらチャンスと見れば強引にねじ込んで来る。

 

 

この跳満ツモも決して手なりではなくトイトイの重なりを強く意識した切り順で、配牌を見た時は沢崎のアガリ番には思えなかった。独特の仕掛けが観ていて面白い。

そんな厳しい勝又のターニングポイントになったのは3回戦南3局。
勝又はドラが雀頭のピンフテンパイ。待ちは二筒五筒で高め234三色だ。前田がピンズのホンイツ気配で良い色ではないが、意を決してリーチ。これに前田がテンパイキープでワンチャンスの二筒を勝負。跳満の放銃となり、絶好調だった前田は3回戦ラスを引いてしまう。

 

 

4回戦は前田にとって厳しかった。懸命に戦い続けたが、まるで12,000点と一緒に勝負に大切な何かを勝又に奪われてしまったかのようだった。それでも前田の今日の闘志剥き出しの戦い方は観ている者をワクワクさせてくれた。
一方の勝又は4421着。たった1つのきっかけをしっかり捕まえて今日のマイナスをほぼ帳消しに出来た。

 

 

2回戦終了時には90以上あった前田と勝又の差は一気に埋まり、4回終わってみればロースコアゲームとなった。卓内トップは唯一トップがなかった紺野。序盤の攻撃が空を切り厳しい展開に見えたが、その後は引き過ぎず行き過ぎず、きちんとまとめたのはさすが。

 

 

大きな変動はないまま終えた第7節C卓。勝負の山場はまだ先になりそうだ。開幕当初は打撃戦のハイスコアゲームが多かったが、飛び抜けたり、崩れたりする者が居なくここ数節ですっかり落ち着いた印象。嵐の前の静けさといったところか。

文:編集部