第37期鳳凰戦A1リーグ最終節A卓レポート
2020年12月18日
【A1降級をかけた最終節の戦いは柴田が抜け出し大荒れの展開に】
A1最終節で先に行われるこの日の対局は、降級者が確定する戦いである。
今期最下位だった伊藤が2節連続で国士無双ツモアガリを決めて9位浮上。否応にも波乱の予感を感じさせる。
前田、瀬戸熊、紺野はプラスしておけば残留出来そうなポイント。裏を返せばマイナスが続けば降級争いに足を踏み入れるという事だ。
1回戦 起家から、瀬戸熊、伊藤、柴田、紺野
最初に勝負がけしたのは柴田。ペンの一通をリーチし、3,900オールのツモアガリ。
柴田の手牌がだんだん良くなって来た。このままトップが取れたら。そんな願いを真っ向から叩くリーチが飛んでくる。
南1局、瀬戸熊の4巡目親リーチだ。絶対振りたくない。しかし気持ちとは裏腹に柴田の手は順調に育ち345三色のカンテンパイ。手牌が行けと言っているが、切るのはドラ。覚悟を決めて切る。
ドラは通ったが、瀬戸熊は強かった。高めのをツモりあげて6,000オール。
オーラスもチンイツの跳満ツモで柴田を沈めて1人浮きトップをとった。
2回戦 起家から、伊藤、紺野、柴田、前田
ロン ドラ
起家伊藤がドラドラ七対子でヤミテンの9,600テンパイ。これに紺野が飛び込んでしまう。もしリーチと言ってくれたら絶対打たないのに。伊藤はどんなにポイントが欲しくてもヤミテンを混ぜて来る。
ロン ドラ
東4局には3巡目234三色テンパイ。これは前田から出て5,200のアガリ。
波に乗って来た伊藤はドラのを引き入れてリーチ。2,000オールをツモり、53,600持ち。
こうなるとキツいのは柴田。
何とか浮きを維持したい。メンピンドラをハイテイでツモって満貫で食らいつく。
柴田の満貫でいよいよ降級争いは紺野を含む三つ巴となって来た所で、事件が起きた。
南2局1本場、7巡目の伊藤の手牌はピンフドラの1シャンテン。外しを選択するのだが、下家で親番の紺野の手牌とがっちり噛み合ってしまった。
待ちのリーチに出た伊藤がで紺野に18,000(+300)の放銃。
起死回生のチンイツで浮きに回った紺野はほっと一息つけるかと思いきや、ここまで耐えていた前田の大砲がオーラス親番で炸裂。タンヤオ七対子ドラドラのヤミテンに紺野が再び放銃。
2回戦トップは柴田。紺野は2連続4着となってしまい、降級争いから脱する事は出来なかった。
3回戦はトップから、瀬戸熊、柴田、前田の3人浮きで終了。
3回戦終了時
柴田 ▲105.5
紺野 ▲105.5
伊藤 ▲170.5
柴田と紺野がちょうど同点。
伊藤との差は65ポイント。
伊藤抜け番の4回戦で柴田か紺野の着順が下になった者は、最終戦伊藤のターゲットとなる。
4回戦は紺野にとって地獄のような半荘であった。
親番瀬戸熊のリーチに1枚切れでトイツので9,600放銃。
純チャン三色ドラの跳満テンパイがアガれず。
柴田のポンテン5,800(+1,500)に放銃。
ライバル柴田に7本場まで積まれて、やっとアガれたと思ったら柴田とダブロンで柴田の上家優先。
8本場でやっと2,600(+2,400)直撃で親を流せたが、瀬戸熊の今日何度目かわからない跳満ツモで素点を削られる。
ペンの一通リーチを打つが、親番前田にドラ単騎放銃。
ラス前の7巡目跳満テンパイもアガれず。
柴田は遥か彼方。紺野は完全に伊藤のターゲットになってしまった。
4回戦終了時
紺野 ▲143.9
伊藤 ▲170.5
その差は26.6ポイント。
およそ15,000差のトップ3着で変わる差となった。十分実現可能な条件が残ったが…。
5回戦 起家から、伊藤、紺野、前田、瀬戸熊
東1局に瀬戸熊が先制リーチ。
暗カン リーチ ドラ
ドラの暗槓を見せられてしまい、高いのは明白だが、親番を捨てるわけにはいかない伊藤も追っかけリーチに出る。
リーチ ドラ
瀬戸熊がツモで倍満のアガリ。リーチ棒付きで9,000失点な上、東場の親が終わった伊藤は俄然厳しくなった。
とにかく浮かなければ始まらない伊藤。タンヤオドラドラのテンパイ。待ちになった所でリーチに踏み切る。自分が浮きさえすれば紺野との並びは出来ている。一方紺野は絞っていた伊藤の字風が打ち切れず迂回。終盤に重なりを勝負してテンパイを入れると、何と伊藤のハイテイ牌はだった。
その後も伊藤は懸命に手を作るが実らなかった。
卓内トップは完全勝利の瀬戸熊。柴田も大きなプラスで最終戦を待たずして残留を確定させた。
来週は12/23(水)16:00からのA1リーグ最終節B卓。ついに決定戦進出の3名が確定する。沢崎、佐々木、西川、勝又、吉田の5名の戦いも、今から楽しみである。
(文:編集部)
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