麻雀日本シリーズ、麻雀日本シリーズ レポート

女流プロ麻雀日本シリーズ2017 プレーオフレポート 楠原 遊

女流プロ麻雀日本シリーズ2017のプレーオフが行われた。
予選までの成績は以下の通り。

1位 仲田加南 +84.1P
2位 朝倉ゆかり +44.2P
3位 和泉由希子 +25.4P
4位 高宮まり +19.1P
5位 二階堂亜樹 +16.6P
6位 宮内こずえ +15.8P
7位 大平亜季 ▲2.7P
8位 魚谷侑未 ▲2.7P

※プレーオフ全4回戦(各自2回対局)は予選までのポイントを持ち越し上位4名が決勝進出
※ルールに関してはこちら→女流プロ麻雀日本シリーズ2017第1節レポートを参照

プレーオフの組み合わせは以下の通り。

1回戦:仲田加南vs高宮まりvs大平亜季vs魚谷侑未
2回戦:朝倉ゆかりvs和泉由希子vs二階堂亜樹vs宮内こずえ
3回戦:1位vs4位vs5位vs8位
4回戦:2位vs3位vs6位vs7位

ここから、決勝進出をかけた8名での戦いがはじまる。

プレーオフ1回戦
魚谷▲2.7P 高宮+19.1P 仲田+84.1P 大平▲2.7P

ポイントでアタマひとつ抜けている仲田。プレーオフは2戦で決勝までのポイント持ち越しもないため決勝進出の見込みはかなり高い。
一方、進出ボーダーとなる高宮、そしてポイント下位の大平・魚谷がどのように道を切り開いてゆくのか、注目していきたい。

東3局

8巡目、親番の仲田から強烈なリーチが入る。

五万六万二索三索四索一筒二筒二筒二筒三筒三筒四筒五筒  リーチ  ドラ二筒

親のピンフドラ3。4枚切れのリャンメンを少し迷ってリーチ。
立場が違う大平や魚谷ならどうしてもアガリたいリーチだが、仲田にはポイント的な余裕がある。
決めにいったのか、それとも局を長引かせることを選択したか。

11巡目、丁寧に手を作っていた西家魚谷にもテンパイが入る。

 

100

 

ドラを切っての高目リャンペーコー、もしくは仲田の中筋の六万を切ってのドラ単騎の七対子。九万は4枚切れなので、河に見える待ち牌の数は同じ。
マンズが安くアガリ易さでいえばマンズ待ちとしたいが、親の仲田にドラで放銃してしまうと1戦目とはいえ決勝進出が遠のいてしまう。
難しい選択となったが、魚谷が選択したのは打六万切りリーチ。ドラの二筒に賭けた。
しかし二筒は親のリーチが3枚使ってしまっている。仲田の待ち牌も山にはない。
2件リーチも流局かと思われたが、手詰まった大平が苦しい形から仲田に12,000の放銃。
魚谷にも大平にとっても、非常に難しい選択を迫られた局となってしまった。

東3局1本場

続く仲田の親番。ここでも最初に動いたのは仲田。
魚谷の切ったダブ東をポンして4巡目にこの形。

三万八万九万五索五索一筒二筒三筒南南  ポン東東東  ドラ五索

またしても12,000点が見える手を、積極的に仕掛けていく。
しかし最初にテンパイしたのは北家・高宮。

七万七万八万八万一索二索二索五索五索九索九索七筒七筒

7巡目、生牌の一索単騎をヤミテンとする。
そして同巡、南家の大平も七対子テンパイ。

四万四万六万六万九万九万一索一索三索三索八筒八筒中

ポイントの欲しい大平、ここはリーチといく。
そして次巡、西家の魚谷もテンパイ。

一万二万三万四万五万六万七索八索三筒三筒三筒七筒七筒

六索九索待ちで追い掛けリーチといく。
9巡目にして3人テンパイ。しかも注目すべきは、トイツ手にせよメンツ手にせよ、各者与えられた配牌から最速のテンパイだということだ。
各者のこの戦いに対する集中力がみてとれる。

しかし3巡後、手を開いたのは親の仲田。

一万二万三万五索五索二筒三筒四筒南南  ポン東東東

この手を魚谷から12,000は12,300。強すぎる仲田が、下位2人にポイントを与えない。
このまま南場にも4,000オールをアガリ、1人プラスの大きな大きなトップで終了。

1回戦結果
仲田+54.5P 魚谷▲4.1P 高宮▲16.7P 大平▲34.7P

 

プレーオフ2回戦
朝倉+44.5P 和泉+25.4P 二階堂+16.6P 宮内+15.8P

仲田の大爆発によって、いくぶん楽になった2回戦卓の4人。
1回戦の結果を受け、2位朝倉・3位和泉・4位二階堂・5位宮内の対決となったが、こちらの卓はポイントが大きく離れていない分、1回1回の着順が大切な戦いになってくるだろう。

東2局、9巡目、北家の朝倉が先行リーチ。

三万四万四万五万五万四索五索六索三筒三筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ西

2巡前にドラの西も切り、ポイント的にも上位の朝倉からの先制。受ける側も愚形のリーチではないことは十分に分かる。
そこに、13巡目迂回しながら手を作っていた亜樹がこの形。

四万六万三索四索五索四筒四筒五筒六筒七筒白白白

朝倉には通っていない九索を押して現物待ちのカンチャンテンパイ。続けて無筋の二筒も切っていく。
しかし16巡目、残りツモ3回のところで引いてきたのはアタリ牌の三万。アガリについてだけ考えるなら六万を切ってのリャンメン変化の牌だがここで亜樹の手が止まる。
そして少考の末、手を掛けたのは暗刻の白
ぎりぎりまで押すも、アタリ牌をピタリと止める形となった。

そして次巡、朝倉がラス牌の六万を引き1,300・2,600のアガリ。

 

100

 

開かれた手を見た亜樹の表情は、安堵か落胆か。

南2局1本場

親の和泉の手、何を切るか難しい。

 

100

 

七対子の1シャンテンだが、メンツ手も見える手。八万は既に2枚場に切られ六万九万のターツも外しがたい。
ここで和泉が選択したのは八万。七対子とメンツ手、両方の可能性を残す選択をした。
そして5巡後、超大物手のテンパイを果たす。

一万一万一万三万三万三万六索六索七索七索七索一筒一筒  ドラ一索

この手をヤミテンとする。最高打点を見た見事な手作りをした和泉だったが、静かにテンパイを組んでいた亜樹に3,900は4,200の放銃となり局を終える。

そのまま好調の亜樹・朝倉が宮内・和泉を抑えつつ局をまわす。
オーラスも仕掛けた朝倉が親の宮内のリーチをかわし2,000・4,000をアガリ、半荘を終わらせた。

2回戦結果
亜樹+29.4P 朝倉+16.5P 宮内▲13.1P 和泉▲32.8P

ここまで、プレーオフ前半戦を終えてトータル成績は以下の通り。

1位 仲田加南 +138.6P
2位 朝倉ゆかり +60.7P
3位 二階堂亜樹 +46.0P
4位 宮内こずえ +2.7P
====決勝進出ボーダー====
5位 高宮まり +2.4P
6位 魚谷侑未 ▲6.8P
7位 和泉由希子 ▲7.4P
8位 大平亜季 ▲37.4P

 

プレーオフ3回戦
高宮+2.4P  仲田+138.6P 大平▲37.4P 宮内+2.7P

決勝進出ボーダーである宮内・高宮の順位争いと、そして現在は最下位となってしまっている大平がこの2人をかわして上位に上がる可能性をどれだけ作れるかが半荘のポイントとなる。

東2局1本場

南家・大平が先行テンパイ。

四万五万六万二索三索四索四筒四筒六筒七筒八筒中中  ドラ三筒

この手を10巡目に先行リーチとするが、同巡、西家・宮内にもテンパイが入る。

七万八万七索八索九索一筒二筒三筒九筒九筒九筒白白

序盤に打たれた白を鳴かずに面前で育てたこの手で追い掛けリーチ。
手がぶつかるが、終盤に宮内が九万をツモり3,000・6,000。高宮とのボーダー争いを一歩有利に進める。

南1局

 

100

 

高宮にドラ3の手が入る。南場の親番、ラス目、アガリ逃ししたくないこの手をペンチャン外しでテンパイ取らずとする。
そして七万をツモってこの形。

二万三万四万五万六万七万七万八万三索四索西西西  ドラ西

そこに一番乗りのリーチは西家・大平。

一万二万三万八万九万二筒三筒四筒六筒六筒中中中  リーチ

入り目によっては、高宮のテンパイ打牌で七万が出てしまう。
そしてトップ目・宮内もテンパイ。

三万四万五万二索二索四索五索七索七索七索三筒四筒西  ツモ六索

西家の大平の一発目だけに西も切りづらいかと思われたが、躊躇なく切ってヤミテン。
そして9巡目、高宮も三索を引いてようやくのテンパイ。

二万三万四万五万六万七万七万八万三索三索西西西

追い掛けリーチとするも、すぐに宮内が五筒をツモって500・1,000。
度胸のあるドラ切りが、高宮・大平の勝負手を蹴ってゆく形となった。

このアガリで6万点を超えた宮内が、オーラスの親番でもドラ単騎などをツモり8万点オーバーのトップ。力強い麻雀で2位の朝倉までをかわし決勝進出をほぼ確実なものとした。
一方、前回優勝者高宮と現女流最高位大平は苦しい展開になったこの2戦で、女流日本シリーズプレーオフ敗退となってしまった。

3回戦結果
宮内+66.7P 大平▲6.7P 仲田▲17.3P 高宮▲43.4P

 

プレーオフ4回戦
亜樹+46.0P 朝倉+60.7P 和泉▲7.4P 魚谷▲6.8P

ここまで、長かった決勝進出者を決める戦いもこれで最終戦。メンバーは4位亜樹・3位朝倉・6位和泉・5位魚谷。3回戦で宮内が大きくポイントを伸ばしたため、亜樹が決勝進出ボーダーとなった。とはいえ、4位と5位の差が50Pあるので、朝倉・亜樹にとっては大きな失点を防ぎながらきょう局を進める戦いに、そして下位の魚谷・和泉にとっては彼女たちに楽な局まわしをさせないように、場を作りゲームを作りながらチャンスを切り開いていかねばならない戦いとなってゆくだろう。

東4局

8巡目、西家・朝倉がテンパイ

二万二万五万五万八万八万六索六索四筒四筒白発発  ドラ白

すぐに白をツモり2,000・4,000。大きなアガリで魚谷の親を落としてゆく。

南2局

10巡目、先行テンパイは親番・朝倉。

七万八万九万三索四索五索五索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  ドラ六筒

この手をヤミテンとすると、すぐに西家・魚谷がリーチ。

七万八万九万四索四索五索六索一筒二筒三筒白白白  リーチ

これを受け13巡目、北家・亜樹の手がこちら。

 

100

 

東南ともに1枚切れ、役有りとなるNは魚谷の現物だ。ポイントの差を考えるとここはヤミテンに構えるかと思われたが、亜樹の選択は追い掛けリーチ!

3巡後、亜樹がツモり上げたのは高目の南。裏ドラも乗って2,000・4,000のアガリ。
逃げる立場の朝倉・亜樹だったが、その後も力強い麻雀で自らの力で決勝進出を決める。
モンド王座・魚谷と、特別推薦の和泉はここで悔しい敗退となった。

4回戦結果
朝倉+23.0P 亜樹+11.3P 魚谷▲10.8P 和泉▲23.5P

以上を以って、女流麻雀日本シリーズのプレーオフが終了した。
最終結果は以下の通り。

 

システム

■予選全20回戦(各自8回対局)を行いポイント上位8名がプレーオフ進出
■プレーオフ全4回戦(各自2回対局)ポイントを持ち越し上位4名が決勝進出
■決勝全4回戦

プレーオフ成績

順位 名前 予選合計 プレーオフ1回戦 プレーオフ2回戦 合計
1 仲田加南(女流桜花) 84.1 54.5 ▲ 17.3 121.3
2 朝倉ゆかり(女流雀王) 44.2 16.5 23.0 83.7
3 宮内 こずえ(プロクイーン) 15.8 ▲ 13.1 66.7 69.4
4 二階堂 亜樹(女流モンド杯優勝) 16.6 29.4 11.3 57.3
5 魚谷 侑未(モンド王座優勝) ▲ 2.7 ▲ 4.1 ▲ 10.8 ▲ 17.6
6 和泉由希子(連盟会長推薦) 25.4 ▲ 32.8 ▲ 23.5 ▲ 30.9
7 高宮 まり(前年度優勝) 19.1 ▲ 16.7 ▲ 43.4 ▲ 41.0
8 大平 亜季(女流最高位) 17.3 ▲ 34.7 ▲ 6.0 ▲ 43.4

※ペナルティ込み

予選成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 7回戦 8回戦 合計
1 仲田加南(女流桜花) ▲ 10.0 45.9 ▲ 25.5 11.4 6.9 24.4 41.4 ▲ 10.4 84.1
2 朝倉ゆかり(女流雀王) 7.0 5.8 ▲ 12.6 ▲ 9.4 8.8 8.8 25.3 10.5 44.2
3 和泉由希子(連盟会長推薦) ▲ 40.9 80.9 29.1 ▲ 27.1 ▲ 28.9 ▲ 23.9 31.2 5.0 25.4
4 高宮 まり(前年度優勝) ▲ 20.2 11.5 ▲ 11.9 6.9 28.4 ▲ 18.4 ▲ 7.7 30.5 19.1
5 大平 亜季(女流最高位) 23.2 7.9 46.2 48.5 ▲ 28.4 ▲ 35.8 ▲ 14.7 ▲ 29.6 17.3
6 二階堂 亜樹(女流モンド杯優勝) 24.5 ▲ 2.2 ▲ 2.9 26.3 ▲ 26.5 3.6 4.1 ▲ 10.3 16.6
7 宮内 こずえ(プロクイーン) ▲ 9.1 ▲ 47.1 23.2 ▲ 15.1 ▲ 13.3 38.7 7.8 30.7 15.8
8 魚谷 侑未(モンド王座優勝) 12.5 0.8 4.4 14.2 ▲ 43.7 7.1 22.6 ▲ 20.6 ▲ 2.7
9 和久津 晶(連盟会長推薦) 37.5 ▲ 8.0 ▲ 23.7 ▲ 30.5 ▲ 4.8 ▲ 21.2 ▲ 19.3 ▲ 20.6 ▲ 90.6
10 大崎初音(ファン投票1位) ▲ 93.2 ▲ 4.6 24.2 ▲ 6.7 15.5 ▲ 33.8 ▲ 7.4 ▲ 25.2 ▲ 131.2

 

決勝進出者は仲田加南、宮内こずえ、朝倉ゆかり、二階堂亜樹の4名に決定した。
ここまで24戦にわたる女流プロナンバーワンを決める戦いも、あとは決勝の1日を残すのみ。
最後まで、彼女たちの戦いから目が離せない。