日本プロ麻雀連盟女流プロリーグ（女流桜花） レポート／第９期女流桜花プレーオフＢ卓レポート 紺野 真太郎 - 日本プロ麻雀連盟

1位　魚谷　 191.3P
2位　和久津　141.9P
3位　安田　 99.7P
4位　和泉　 96.2P
5位　仲田　 62.3P
6位　斉藤　 46.2P
前週のプレーオフ２.４.６.８位卓が終了しての順位がこうなった。
和久津と和泉の対局は終了しており、３位までが決定戦進出となるので、魚谷はほぼ当確、安田は仲田、斎藤を抑えつつ和泉より下にならないこと。
仲田、斎藤は和泉を超えつつ安田を捉えることと、各自条件を持っての戦いとなる。
通常のリーグ戦と違い、降級というものが無い上に、別卓のポイントも確定している為、追う者にとっては比較的戦いやすい。
１回戦
東１局、親の安田が魚谷から4,800で先制するが、魚谷も東３局の親番で2,600オールを決め逆転。
仲田も南１局、斉藤とのリーチ合戦を制し5,200。浮きに回る。
南２局、５巡目、北家・安田がここから動く。
  ドラ
斉藤から打ち出されたをポン。ホンイツは見えるが、ドラもファン牌トイツも無い仕掛け。
安田にしてみれば牽制の意味合いが強かっただろう。
９巡目に上家・仲田から切られた４枚目のもチーではなくポンとした。
  ポン  ポン
チーをした方が相手から押し返されても安全牌としてを使えるので良い気もするが、相手から見た場合、迫力はポンのほうが大きい。とはいえ、１メンツも無い３シャンテン。安田も仕掛けてきた親・斎藤の足止めになればくらいのつもりだったろうが、この手が劇的な変化を見せる。
、、とツモリテンパイ。
これは空テンだが、を引きを加カン。そして終局間際にアガリに結びつけた。
  ポン  暗カン  ツモ
原点を割りそうなとこらからの復活。次局の魚谷の親っかぶりでトップに立つ。
しかし、ここで沈むと苦しくなる仲田が、オーラス5,800のアガリで浮きに、魚谷も１本場500・1,000でトップを再逆転し１回戦を終了した。
 
２回戦
安田が仲田から8,000を直撃し先制するも、東４局の親番で、仲田の反撃が開始される。
斉藤リーチ。

それを受けた12巡目仲田の手牌
  ツモ  ドラ
は２枚切れだが、この３面張を斉藤の河がソーズが安く・が捨てられているとはいえ、ヤミテンに受けるイメージが仲田にはなかったが、ここはヤミテンを選択。は無筋であったが為、かわしに出た安田が注文にはまった。2,900。点数以上に大きなアガリである。
このアガリがきっかけとなり仲田の猛攻が始まる。
5,800、4,000オールとアガリ、あっという間に40,000点を超える。
黙って見ているわけにはいかない安田、続く３本場、安田と仲田の全面戦争が勃発する。
まずは安田がをポン。すると負けじと仲田もをポンする。
マンズ対マンズの染め手対決。先にテンパイを入れたのは仲田。
  ポン  ツモ  ドラ
打としカン。安田はこのをでチーして１シャンテン。
  チー  ポン  打
２巡後に安田はをツモリ手が止まる。
テンパイだが、は生牌、・が通る保証など勿論ない。
意を決した安田の打牌は、そこにすかさず仲田の「カン」の声。
当面の相手からの直撃を狙った大明カン。責任払いありなのでリンシャンにが寝ていれば安田にとって痛恨の12,000放銃となるが、そこには存在しなかった・・・
この局のクライマックスを過ぎ、迎えたのは流局。
決定戦３つ目の椅子はまだ決まらない。
安田、仲田の叩き合う半荘であったが、決着をつけたのは魚谷だった。

南３局の親番
  ツモ  ドラ
強烈すぎる8,000オール。
終わってみれば魚谷２連勝。安田、仲田も浮きは確保し、決定戦進出の行方はまだわからない。
 

 
３回戦
終始魚谷がリードする展開。南３局を迎え、安田27,900、仲田25,500このまま終われば勝負は最終戦にもつれ込む。そんな中、親の魚谷がリーチ。安田、仲田共に立ち向かいづらいが、安田の手は
  ドラ
この超勝負手。
14巡目に絶好のカンを引き入れテンパイ。魚谷の捨て牌にはがある。
次巡、を引きと入れ替え。このは魚谷に通っていない。斉藤の手に２人の共通安全牌はが２枚あったが、流局まではあと３巡。この１枚だけと放たれたのは。安田にとっても仲田にとっても大きすぎる8,000。オーラスも安田が1,000・2,000をアガリ待望のトップ。
仲田は沈みの３着となり、両者の差は74ポイントと大きく開いた。
「決まったかな・・」「そうですね・・」
放送ブースで交わされた短い会話。プレーオフを含め、ここまで全27戦を終えた段階での絶望とも思える差・・仲田は何を思い最終戦の卓につくのだろうか・・
「朝まで連チャンしてもいいですか？」
１回戦開始前、仲田はこんなことを尋ねていた。
顔は笑っているが、目は笑ってない。仲田にとってこのくらいの差は諦めるに値しないのだろう。
 
４回戦
東３局２本場、ここまでは魚谷の１人浮きで、安田、仲田共に少しの沈み。
嵐の前の静けさか・・
12巡目、安田をチー。残った形が
  チー  ドラ
実質２シャンテン。少しの違和感。焦りか・・
仲田はこの時すでにテンパイしていた。

点差を考えれば、最低でも満貫級が欲しいとこなので、当然のヤミテンであろう。
もしをツモれば切りフリテンリーチもやむなしである。
安田の鳴きで、仲田が引き入れたのは。
条件を満たした。リーチに踏み切る。２巡後、安田テンパイ。
  チー  ツモ
仲田のリーチは子方のもので、ツモられても、放銃しても点差はほぼ同じならば勝負の選択もあるか・・だが、安田は現物のを選択。次巡、を引くとは勝負し、とのシャンポンテンパイ。
仲田の待ちをソーズと感じ、ピンズは勝負する辺りの感覚は良いが、ここは単純に勝負を選択した方がよかったように思える。
この後はどこかで見たような光景が繰り広げられた。
安田ツモ、仲田ツモ・・仲田のターン開始だ・・

「6,000は6,200オール」
  リーチ  ツモ  ドラ
２局連続の１人テンパイの後の２本場、ついに安田の背中を捉える位置まできた。
続く３本場、勢いは止まらない。点差は既に9.8Pまで縮まっている。
10巡目、仲田またもやリーチ。これで５局連続リーチだ。
  リーチ  ドラ
ドラこそ無いが、絶好のメンタンピン３面張。
ツモるか直撃で74P差の逆転が現実となる。
その時安田の手牌は
  ツモ  ドラ
相手の当たり牌を掴んだのはもう数えきれない。それでも我慢してきたから、この位置で戦うことができていた。だがもう我慢も逃げも許されない。安全牌は１枚もない。
打、次巡ツモ、打、１シャンテン。
さらに次巡、ツモテンパイ。ここはノータイムで打の勝負。もう迷いはない。
こうなればもう待ちの強さなど関係ない。五分の勝負・・。
安田、ドラをツモ。暗カン。リンシャンは。勝負はまだつかない。
次の仲田のツモ・・マンズだ・・手元に引き寄せるか・・それとも・・
「ロン」

開かれる安田の手牌。ギリギリでの競り勝ち。決定戦へ大きな前進。これがドラマかマンガならばここでラストシーンでもおかしくない・・が、これはリアル。幕はまだ下りてはいない。
南３局、あと２局で決勝。安田にしては配牌がいい。３巡目でこの形。
  ツモ  ドラ
ここから打・・？・・安田は北家だ。を残しソーズ２メンツを見るのはいいが、それなら打とし、平たくした方がよいのでは・・４トイツだけに七対子の目を残したいのか・・
ツモで打。完全に形を固めた。リーチなのか？魚谷の捨て牌は

こうで、手組を放棄しているようには見えない。
８巡目、を引きリーチ。とのシャンポン。
10巡目、魚谷から発せられたのは「リーチ」安田の構想は崩壊した。
あっさり引かされる・・そこに「ロン」の声・・
  リーチ  ロン
見事すぎるタンピン三色。絶望的に大きい18,000・・
次局、魚谷2,600オール。安田も追いかけリーチを打つが届かない。
３本場は安田が１人テンパイ。そしてオーラスへ・・
結末は意外なほどあっさりついた。安田が選択を間違えずに６巡でツモあがった。
長かった戦いが終わった。結果的には、前年度の決定戦と同一メンツとなった。
去年は劇的な吾妻の初戴冠で幕を閉じた。今年は全員がタイトルホルダーである。
更なる素晴らしい戦いを魅せてくれることに期待してレポートを終えたいと思う。