女流プロリーグ(女流桜花) レポート/第10期女流桜花第3節レポート 室伏 理麻
2015年07月08日
こんにちは。第3節の自戦記を担当させて戴く室伏です。
拙文ではございますが、懸命に書きましたので、最後迄お付き合い下さると幸いです。
自戦記に入る前に、皆様にお伝えしたい事があります。
女流桜花Aリーグ第一節開始時に、私から視聴者の方々に向けたメッセージを記したメモを運営の方に託しました。
選手紹介の中で実況の小車さんが丁寧に読み上げて下さいました。
今節も対局途中、実況の中でメッセージを再び紹介して下さいました。
感謝です。ありがとうございます。
そのメモに少し加筆して、以下に再掲しますので、私事で恐縮ですが、どうかご一読下さい。
〈視聴下さる全ての皆様へ〉
私は6年前から、体が酸素を取り込み難くなる原因不明の難治性の病気にかかり、現在酸素ボンベを使用しながら生活しております。
この度、プロ連盟のご理解を賜り、酸素吸入をしながらのニコ生での対局に臨む事となりました。
その為、マスクを着用し、お見苦しい点が多々あるとは存じますが、決して病気に甘える事無く、極力良い対局をお見せ出来る様、一生懸命頑張りますので、どうか事情をお汲み下さると幸いです。
治癒には時間がかかりますが、全力で治療中ですので、視聴者の皆様におかれましては、どうかご理解を賜ります様、何卒宜しくお願い申し上げます。
それでは、第3節の自戦記を以下に記したいと思います。
(文章の口調が観戦記調に変わりますが、ご了承下さい)
2年ぶりにAリーグに出戻った私は、この舞台での戦いを非常に楽しみにしていた。
ひとつの大きな不安を除いて…。
…それは、ネット配信。
私はプロ生活こそ長いものの、実はニコ生の対局がこの女流桜花Aリーグが生まれて初めてで…。
不安・緊張・畏怖の気持ちが半端無かった。
ましてやマスク装着でカッコ悪いのなんのって…。
健康で何の憂いも無い状態で出場出来れば一番良かったのだけれど。
第1節…スタジオの勝手も分からず、緊張し過ぎて平常心を保てず▲30.4P
第2節…1節目から数日後、立て直す暇も無く更に焦り、自滅。大きくマイナスして▲78.5P/小計▲108.9P
第3節のテーマは『冷静になって自分らしい麻雀を取り戻し、今節+20Pする事』
今節の対戦相手(期首順位順・敬称略)
・キレのある精度の高い鳴きを随所に見せる速攻型 魚谷
・鋭い観察眼と洞察力、どんな相手にも対応出来る、柔軟で懐の深い 亜樹
・生真面目でとても研究と観戦熱心な勉強家 澤村
この3人との真剣な対局をとても楽しみに、スタジオに向かった。
…大苦戦が待ち構えているとも知らずに…。
1回戦 ミスはあったものの配牌やツモの感触は悪くなく、何とかトップ。
2回戦 私に大きな落とし穴が…。
南3局 0本場
親の澤村の配牌
ドラ
のトイツ落としから始まり、ドラのが2巡目に暗刻。
澤村の打牌センスとツモの良さが光る。
一方、西家の私は、7巡目にカンをチー。9巡目に単騎でホンイツのテンパイ。
チー
更に、11巡目にを引き入れ、のチンイツドラ1のテンパイに変化。
チー
一方、澤村は、10巡目にタンヤオ三色ドラ3のテンパイを入れている。
カン 対
Aルールではかなりの高打点。大物手同士がぶつかる。
観ている方は面白いが、打っている当事者はものすごく心拍数が上がっている。
めくり合いが続く。
14巡目に私は4枚目のをツモるが、ここでもし切りとすれば、待ちに受け変わった。
しかし、私の眼から、は7枚見えていて、は8枚見えている。
このまま待ちの方がアガれる確率が良しと踏んで、そのまま待ち変えせずに、をツモ切り。
澤村の18,000に放銃となった。
それまで+1.5Pの2着目に付けていたこの半荘、一撃で私は奈落の底に落ちた。
折角1回戦にトップを取ったのに…痛い、痛過ぎる。点棒的に非常に痛い。
…前に出て、勝負した結果なので、たとえ骨折しても仕方無いと思った。
ちゃんと骨折は治してから立ち直らねば。
3回戦 南4局 2本場 ドラ
3回戦目の、この時点(オーラス)での成績を整理しておくと、
東家から、亜樹▲5.2P 魚谷+1.8P 澤村+1.6P 室伏+1.8P
前局の親である亜樹への、私の放銃で、私は同点トップに魚谷に並ばれ、それを追う澤村は僅かに0.2P差。
魚谷・澤村・私は何でもいいからアガればトップ。
親の亜樹も勿論トップを狙える、という平たい点棒状況に。
ここで本日一番の大事件勃発。
西家 澤村の配牌。
ここから澤村、ツモ、、と3巡目迄全く無駄ヅモ無し。
羨まし過ぎる。
南家魚谷が、4巡目に、タンヤオ決め打ちをにらんだをでチー。
アガりトップなのだから、当然の早い仕掛け。
このチーで、澤村にが流れ、暗刻に。澤村は大三元に近付いたのに、気配は消える。
この時点での澤村の牌姿
4巡目
ツモ
切りとして、面前にて大三元の1シャンテン。
7巡目にをポン、高め大三元のテンパイ。
ポン
直後の8巡目、亜樹は安めではあるが当たり牌の『』を掴む。
ポン ツモ
しかし、この『』をピタリと止め、打とする。
さすがは千里眼亜樹、タイムシフトを観ながら興奮してしまった。
9巡目にタンヤオ仕掛けの魚谷が、をツモ切り。大三元の放銃となった。
この放銃は仕方無い。誰でも止まらないと思う。
をポンしただけの澤村、1,000点アガればトップの局面だけに、かわしに来ただけに見えた。
まさか大三元とは。
ロシアンルーレットさながら、誰が掴んでも出て行っておかしくない『』であった。
4回戦 魚谷は、1人浮きの大トップを取り、大三元放銃したとは思えない程の小さいマイナスで抑えた。
流石である。
対戦相手の3人に、好調時、不調時の戦い方を身を持って学んだ。
『冷静になって自分らしい麻雀を取り戻し、今節+20Pする事』という、私の今節のテーマは達成出来なかった。
しかし、この優れた人たちと真剣に打てて、本当に幸せだし、恵まれた事だと思った。
今回の対戦を糧に、欠点を修正し、長所は伸ばして、更に進化出来る様に精進しようと強く思った次第である。
※長文に最後までお付き合い戴き、ありがとうございました。
カテゴリ:女流プロリーグ(女流桜花) レポート