第9期女流桜花第1節レポート 魚谷 侑未
2014年05月12日
第9期女流桜花が開幕しました。
プロ連盟の女流プロの頂点を決める戦いです。
出場選手はそれぞれ思い思いの気持ちでこの日を迎えた事でしょう。
私は6、7期と女流桜花を連覇しましたが、8期では吾妻プロが優勝。
私にとって、2年ぶりの女流リーグ出場となりました。
そんな私は「決勝戦の舞台に立つこと」を今期の目標に掲げています。
この日の前日、前々日がマスターズの本戦・ベスト56・ベスト28・ベスト16と連戦が続き、しかもベスト16で負けてしまった私は朝起きると軽く燃え尽き症候群になっていました。
これではいけないと何とか気合いを入れて、挑んだ女流桜花第1節。
スタートとしては最悪の箱下ラススタートとなりました。
ただ、1回戦打ち終わった時の私の気持ちは落ち着いていました。
1回戦のハイライトとしては私がアガリに向かわない鳴きをして4,000オールをツモられたり、南3局のオリたくない親番で3巡目に既に2フーロしている武石プロに12,000を放銃したり…。
見る人によっては私の麻雀が酷く映ったと思います。
箱下スタートなんですから、それはもう逆噴射の見せ場しかありません。
麻雀のバランス感覚も全体的にこの日はよくありませんでした。
今思うと、もう少し我慢すべき局面も多々あったように思います。
それでも気持ちだけはずっと冷静にいられた事だけが、この日の良かったところでしょうか。
さて、今回は自戦記ということなので、自分の麻雀について書いて行こうと思います。
私の世間の印象は「鳴き屋」というものが強いように思いますが、私自身の自分の印象は「イメージよりは鳴かない」と思っています(笑)
鳴きというのは、テレビ対局にはあまり向かない戦術であります。
門前での失敗は目立ちにくいですが、鳴いて失敗すると物凄く目立ちます。
例えば、門前で他家のリーチを受けます。
ベタオリをしていて安全牌がなくなって放銃します。
どう思いますか?
「まぁ、これは仕方ない放銃だね」
って思いませんか?
それとは別に、役牌を鳴いていて2シャンテンからリーチを受けます。
戦える手格好ではないのでベタオリを選択して、安全牌に窮して放銃します。
どう思いますか?
「そんな手で鳴くから…」
「鳴いてオリるとか格好悪い」
テレビ対局を見ていてそう思ってしまう事ってありませんか?
でも、これって私から見るとどちらも同じ事なんです。
鳴く→オリるという一連の流れも必然であるように感じます。
他家の攻撃を受けるまでは、自分がアガれると思って鳴くわけですよね。
でも、思うようにツモがきかなかった所で、他家からのリーチという攻撃を受ける。
これに真っ向勝負を挑む場合もあります。でも、戦えない時は戦いませんよね。
麻雀というのは1巡ごとに状況の変わるものであり、その状況を捉えながら打つ事が大切であると思っています。
なので、その時の判断でなるべく放銃を避ける打ち方をして、それでも避けられなかった時は仕方ないと。
これって、門前でも鳴いていても同じ事だと思うんですけどね。
さて、不利な点を語ったのにどうして私は鳴くのか。
疑問じゃないですか?
そういったデメリットが多々あると分かりながらもそれが自分に合っていて、自分向きの打ち方だと思っているからです。
鳴く事って、実は凄く難しいです。
門前に比べれば平均打点は下がりますから、自分の手との勝負というよりは、他家の進行速度との勝負になります。
どこが何をしていて、推測何シャンテンで、この手出しがあったから安全牌候補はここで、攻め返されたらこっちは落とせるな。
今まで安牌しか打って来なかった他家が、急に無筋を押してきたってことはテンパイか1シャンテンかー。とか、考えることが凄くたくさんあります。
まぁ、もちろん自分が門前でテンパイを組んでいたとしても考えるんですが、更に敏感でなければいけません。
ただ単純に「ポンチー」と言ってるだけでは、鳴きの良さは活かし切れません。
ね。結構難しいですよね?
だから、もっとこの道を突き進んでみたいんです。
目に見える部分で、まだまだ成長出来るところがたくさんありますから。
と、前置きが長くなり過ぎて、自戦記の部分が少なくなってしまいそうです。すみません。
2回戦をオーラスの12,000のアガリでギリギリの浮きの2着で終えた3回戦。
気持ちとしては少しずつ負債を減らしていきたいところですが、まだ第1節ですから焦りはありません。
ツモ ドラ
絶好のツモでのテンパイです。
ヤミテンでも出アガリで満貫、ツモれば跳満の手ですが、私は迷わずリーチと行きました。
仕掛けている親の清水さんの捨て牌にがあります。そして、下家の亜樹さんがも通しています。
普段の私ならヤミテンにする事が多いでしょう。しかし、これには理由があります。
亜樹さんが、を仕掛けている清水さんの上家で、無筋を→と押しています。
武石さんもポンの清水さんに対して打。
これは、清水さんの受け方次第ではロン牌になり得る打牌でした。
清水さんはテンパイかどうかはわかりませんが、対子落としが入ってからのポン→打です。
河の濃さも合わせて最低でも1シャンテン以上である事がわかります。
その清水さんに上家の亜樹さんに被せられ続けると分は清水さんにありそうです。
なので、早い段階で清水さんとの一騎打ちに持って行きたかったんです。
亜樹さんと武石さんに完全にオリて貰って、場に良さそうな待ちを2人でツモりたかったんです。
清水さんは親で1シャンテン以上であるなら、簡単にはオリないとも思いました。
この時、仕掛けた清水さんの形は
ポン
と、想定通りにのポンテンが入っていました。
この後、清水さんにが入り自然な形で切りの待ち替え。
清水さんに行けばツモ切られそうなは、このリーチを受けてオリを選択した武石さんの手の内へ。
そして、14巡目に
ポン ツモ
この形から清水さんは切り。
でアガリ切りました。
最終形を見て熱い思いはありましたが、思惑通り亜樹さんと武石さんは受けに回ってくれたので後悔はありませんでした。
このももう少し巡目が早ければ、場に打たれた可能性のあったであっただけに、悔しい気持ちはありましたが…。
しかし、ここできっちりとアガり易さよりも、私への放銃回避を選択した清水さんが素晴らしかったと思います。
そして、この後展開に恵まれて3回戦は大きめのトップを取るのですが…。
4回戦のオーラスを迎えるまで、1日を通して落ち着いて打てていたと思うのですが、4回戦目のオーラスの仕掛けだけは目先のアガりだけを見た酷い仕掛けだったと思います。
第1節の反省を活かして、残りの5節+プレーオフを精一杯戦っていきたいと思っています。
他にも語りたい局面は多々あったのですが、長くなりすぎてしまいそうなので色々と切り上げて、今回のレポートはこのくらいで終了します!
配信での対局は自分自身も反省点が分かりやすいので有難いですね。
プロ連盟チャンネルでの配信は、毎回素晴らしいゲスト解説の方もいらっしゃるので、観てる方も楽しめることは間違いありません。
まだ連盟チャンネルにご加入でない方も、月々540円でたくさんの番組が見放題ですので是非ご加入をご検討下さい!
第9期女流桜花第1節レポート:黒沢咲
戦いに向けて一番大切なことは何かと聞かれれば、私はコンディションの管理だとこたえる。
体調管理は大前提だが、精神的なコンディションを整えることが非常に重要だ。
リラックスしつつ、適度な緊張感を持ち安定した状態。集中して、余計なことは考えない。
そこにモチベーションが加われば、結果はともかく、自分の力を出し切るようないい戦いができると思っている。
リーグ戦の開幕戦で、私はそのコンディション管理に失敗した。
頭はボーッとしているし、途中から自分が何をやっているのかわからなくなってしまった。
同じ失敗を繰り返してはいけない。そう誓って臨んだ女流桜花開幕戦。
私の卓は、二階堂瑠美プロ、南里はるみプロ、山下忍プロの3名だった。
二階堂瑠美プロは、ここ最近安定して調子が良いと感じているし、劣勢でも「コツ、コツ、ガツン」というリズムで巻き返してくるイメージが強い。
この日も1回戦がはじまり、瑠美プロの調子の良さを感じていた。
対する私は、今日も厳しいスタート。
なかなか手が入らないし、打点が見込める材料があっても、遠すぎて全く追いつかない。
2回戦の東2局、親番の私は好調だった瑠美プロからドラ暗刻のヤミテン満貫をアガリリードした。
しかし、そのあとが簡単にはいかなかった。
東4局、12,000点持ちの瑠美プロが、思い切りの良さと勝負勘、そして丁寧さを見せつける。
まず7巡目に、南里プロから本手のリーチがかかる。
リーチ ドラ
これを受けた時の瑠美プロの手は、
一発目にツモってきた無筋のを押し、をツモって雀頭チェンジで打。
そして3段目に差し掛かったところで、をチー。
チー
私だったら、巡目的にも、手格好的にも、自分の状態を考えても、もう降参する。
しかし、瑠美プロは諦めない。七をチーしてテンパイ。
チー チー
ここからが、ただのイケイケではない瑠美プロのすごいところ。
南里プロの当たり牌であるを食い取り、冷静に打、チーでテンパイ復活、親番を維持したのだ。
この打ち筋の良し悪しは判断できないが、私には絶対にできないし、思い切りの良さと丁寧さのバランスがすごいなと思った。
終わってみれば、私は前半のアドバンテージを吐き出して沈みの2着。
リーグ戦の記憶がよみがえりかけた。
しかしまだ予選2/24だと言い聞かせた。今は集中して麻雀を打つ以外やることはない!!
少し気持ちが落ち着いた。
そして3回戦、前半は我慢が続いたが、ついに私の時間がやってきた。
東4局、南家、
リーチ ツモ ドラ
この2,000・4,000を皮切りに、南2局、北家、
リーチ ツモ ドラ
この1,600・3,200。
南3局、西家、
リーチ ロン ドラ
この8,000。更にオーラス、南家で5巡目に、
ポン ロン ドラ
この7,700をアガってフィニッシュ。
55,000点オーバーで、久しぶりに気持ちの良いトップがとれた。
私は、自分の調子が悪いとき、基準を2万点に置いて戦うようにしている。
誰でもラスをひくことはあるが、トッププロたちはラスをひくときもマイナスを最小限(2万点前後)におさえていることが多く、元々「どうせ負けてるからいくら負けても同じだー!」と突っ込む自分の悪いクセを修正するために、「マイナス時2万点基準」を決めたのだ。
この日は4着、2着、トップ、3着という苦しい成績でも、微差ながら卓内トップだった。
反省点はたくさんあるが、(特に2回戦)、ダメな時にマイナスをおさえられたことはよかった点だと思う。
いい状態のときもあれば、苦しいときもあるということを忘れてはいけない。
まだまだ先が長いが、久しぶりの決勝卓を目指して精一杯戦います。
カテゴリ:女流プロリーグ(女流桜花) レポート