第10期女流桜花第4節レポート 魚谷 侑未
2015年08月12日
人生の中で、自分の一番輝ける場所を見つけられた。
私は幸せ者だ。
「麻雀」という、かけがえのない存在と出会えたから。
以前、フィギュアスケートの選手の浅田真央さんがインタビューでこう言っていた。
「私はスケートしかして来なかったけど、私の輝ける場所で頑張っていきたい」
凄く、胸に響いた。
自分は浅田真央さんほど、たくさんの人に見てもらえる立場ではないけど、それでも私の対局を見て応援してくれる人がたくさんいる。
私が嬉し涙を流す時、一緒に泣いてくれる人がいる。
私は私の輝ける舞台で精一杯戦おう。
そして、自分が輝く事で誰かの心に何かを伝えられたらいいな、と思う。
そんな理想の麻雀プロになれるように、まだ先は長いけど一歩ずつ歩んで行きたい。
女流桜花、第4節。
降級枠から10数ポイント上で迎えた4節目。
ここでマイナスをすると、ポイント的にも精神的にも辛くなってくる。
今年で、プロ7年目。
まだ私はリーグ戦で降級した事がない。
もちろん今期も降級するつもりはないし、むしろまだ決定戦まで夢見ている。
1回戦に、ただ両面だからという、しょーもない理由でリーチを打ち7,700放銃。
Aルールでのノミ手での両面リーチは精度を高めて打とうといつも考えているのに、「何となく」で打ってしまったリーチ。
ヤミテンにしていても止められた牌ではなかったが、何か結果は変わっていたかもしれない。
私は、このリーチを悔やんでいた。
しかし、その後すぐにチャンス手に恵まれる。
5巡目、北家
ドラ
が打ち出され「ポン」と声が出る。しかしそこで、止まってしまった。
手なりで打つなら当然のピンズ両面ターツ落とし。というか、それが普通。マジョリティー。
失敗してもきっと誰も私を咎めないし、当然の一打。
でも、上家の南里プロが明らかなソーズのホンイツに向かっていた。
も場に放っている。
の1枚くらいなら鳴かせてくれるかもしれない。
ここで、両面ターツ落としを見たら、キー牌のは鳴かせてくれない可能性が高いのももちろんだが、それ以前に私の欲しい牌は全て南里プロの手の内にしまい込まれそうだ。
「失敗したら私を笑うがいいさ。それでも自分を信じて打つって決めてるんでしょう?」
少考の間に、そんな風に自分の中の自分を説得する。打とした。
2,000点でアガリたくはないので、次巡も打。
すぐにが暗刻になり、出アガリ8,000点。
この日、一番お気に入りのアガリ。
上手くいかなかったら、バッシングされ兼ねない一打。
でも、自分を信じて打てた。
ちなみに、ピンズの両面ターツを払ってると待ちテンパイ。
しかし、テンパイした時には既に純カラ。
結果論ではあるけど、正解を選べた事が嬉しかった。
道中、展開苦しいなぁ。でも要所要所はツイテるなぁ。と、自分を客観的に見ていた。
4回戦を戦い、何とか+14.7Pのプラスで第4節を終えた。
第1節に作った大きな借金はなかなか返済出来ない。それでも焦らず、自分を信じて一歩一歩進むしかない。
女流桜花は、私が初めて戦ったタイトル戦の決勝戦。
そして、初めて手にしたタイトル。当時の私が一番欲しかったタイトルだ。
4年連続、女流桜花の決勝戦に残っているが、ここ2年は不甲斐ない成績しか残せていない。
また、あの場所で、輝きたい。全てを尽くして戦い、喜びの涙を流したい。
私は、こんな所で降級するわけにはいかないのだ。
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