第11期女流桜花プレーオフB卓レポート 楠原 遊
2016年11月29日
11月16日、女流桜花のプレーオフB卓が行われた。
先日行われたA卓の結果を踏まえた現在のポイントは以下の通り。
1 魚谷 +196.6P(4/4)
2 仲田 +135.7P(0/4)
3 松岡 +106.8P(0/4)
4 斉藤 +33.2P(0/4)
5 美波 +26.2(4/4)
6 武石 +5.8P(0/4)
7 亜樹 ▲14.3P(4/4)
8 清水 ▲17.6P(4/4)
本日の対戦者は、2位仲田+135.7P、3位松岡+106.8P、4位斉藤+33.2P、武石+5.8P。
1位の魚谷がほぼ決定戦進出確定のため、残り2つの椅子をB卓の4名で争うこととなる。
ポイントで先行している仲田・松岡に、追う斉藤・武石が直接対決でどこまで迫ることが出来るのかが今回の見どころとなる。
1回戦 仲田 武石 松岡 斉藤
北家の仲田が7巡目にテンパイ。
ドラ
片アガリだが、ドラの振り替わりもあるヤミテンに構える。
次巡、松岡にもテンパイが入る。
この手をヤミテンとする。
そして次巡、テンパイした武石の宣言牌七で、タンヤオ・ドラの2.600のアガリ。
普段、リーグ戦での松岡はリーチをかけそうな手。ポイントのアドバンテージを意識してか、慎重なゲーム入りとなった。
南1局、仕掛けた松岡が一番乗りのテンパイ。
ポン ドラ
そこに、三番手、斉藤からの勝負リーチ。
先行テンパイの松岡だったが、躊躇なく現物のを切ってオリ。
1人旅となった斉藤の2.000・4.000。
南2局、親の武石の手が
ツモ ドラ
ここから1シャンテン取らずの打。さらにを引いて打。
親番ではあるが決定戦を意識して手を高く、しっかりと作っていく。
しかしテンパイ一番乗りは松岡。
フリテンの–待ちをヤミテンとして、次巡さらにツモで単騎に待ちかえ。
しかし親の武石も、すぐに狙い通りの一気通貫のテンパイで追いつきリーチ。
リーチ
ドラ3の松岡の押し引きに注目が集まったが、すぐに現物のを抜いていった。
全4半荘のまだ1回目。勝負どころはここではないと踏んだか。
結果は武石の1人テンパイ。
持っているポイントに応じた、各者の打ち方が光る局だった。
オーラスはトップ目の仲田が松岡からチートイツの1,600をアガリ、1回戦が終了した。松岡は苦しい1人沈みの4着。
1回戦結果
仲田+12.0P 武石+4.4P 斉藤+1.1P 松岡▲17.8P
トータル
仲田+147.7P 松岡+89.0P 斉藤+34.6P 武石+10.2P
2回戦 斉藤 武石 松岡 仲田
昨年のプレーオフ、斉藤は2位からのスタートだった。
と言っても、2位から6位が24ポイント差にひしめく混戦状態。
4回戦を終えて▲46Pした斉藤は順位を落とし、決定戦進出はならなかった。今年こそは、と思う気持ちは追う立場でも、いや追う立場だからこそ一層強いだろう。
東1局、親の斉藤にダブが暗刻の形。
ドラ
ここから生牌のを打たずに打、続くもツモ切る。
その間に松岡の手も伸びる。
ツモ
親はマークすべき3番手の斉藤だが、ここから生牌のを切りだしていく。
1回戦とはうって変わって、積極的な手作りに見える。
しかし斉藤が13巡目にを引いてテンパイ、打。
ツモ
すぐに山に3枚残っていたをツモって4,000オール。
生牌のを簡単には見せず、最後まで大切に打っていた斉藤に嬉しいアガリとなった。
東1局1本場、南家の武石にテンパイが入る
ドラ
表示牌のは場に合わせて2枚切れ。は生牌。
ここはヤミテンに構える。
しかしすぐに、すでにを切っている松岡がこれをツモ切る。もちろんアタれない。
ここに北家の仲田からリーチ。
リーチ
すぐに武石がをツモ切って1,300は1,600の放銃。
終わってしまった局にたらればは尽きないが、あの時リーチをかけていたらどんな結末があったのか、考えさせられる局だった。
東4局1本場、北家の松岡が積極的に仕掛けていく。
ポン ポン ドラ
ここにを引いてきてドラを切ってリャンメンテンパイとする。
斉藤もすぐにのポンテン。
ポン
しかしそれよりも先にテンパイしていたトップ目の仲田が、松岡のアタリ牌を引いて勝負手のリーチ!
リーチ
場に緊張が走るが、ここは松岡がラス牌のを引いて1,000・2,000は1,100・2,100。
ここまでの展開を見て、1回戦と明らかに松岡の打ち方が変わっていることに気づく。鳴くべき牌は鳴き、切るべき牌は切る。
松岡の武器である素直な麻雀が、ここにきて戻ってきた気がした。
しかし追い上げる斉藤も、勝ちたい気持ちでは負けてはいない。南場も丁寧に打ち、オーラス、仲田から1,000点をアガって1人浮きのトップをもぎ取る。
泣いても笑っても残り2回、各者の麻雀から目が離せない。
2回戦結果
斉藤+29.0P 武石▲2.3P 松岡+▲5.7P 仲田▲14.9P
トータル
仲田+132.8P 松岡+83.3P 斉藤+57.5P 武石+7.9P
3回戦 仲田 斉藤 武石 松岡
東場から、松岡がよく攻める。東1局に1,300放銃、東2局に4,500アガリ、東3局に1,300放銃と、1回戦とはまるで別人の麻雀を打っている。
そしてトータルトップ目の仲田もただ逃げるだけではない。
東4局
ポン ポン ツモ ドラ
仲田が強烈な3,000・6,000をアガってトップ目に立つ。
南1局、親の仲田が先行テンパイ
ドラ
これをヤミテン。すぐに追いついた松岡
ここでもリーチに踏み切った。
このリーチに、国士1シャンテンの武石が飛び込んで3,900。このアガリで浮きに回る。
上位2人が局を回す展開になった。だが、斉藤・武石もこのままでは終われない。
南2局、親番の斉藤の手
ツモ ドラ
待望のドラ引き、トイツ手なら1シャンテン、メンツ手ならリャンシャンテン。ここから逡巡せず打。メンツ手に決めた。そしてツモ、打。ポン。
ポン
この形でテンパイ。
しかしポイントが欲しいのは斉藤ばかりではない。
武石もこの手でリーチ
リーチ
松岡も回ってテンパイ。
しかし誰にもアガリは来ないまま、流局かと思われたハイテイで斉藤がをツモり執念の4,000オール。
南3局、ここでも手がぶつかる。
松岡
ポン ポン ドラ
斉藤
ポン ポン
しかしその2人の勝負をよそにアガったのはトップ目の仲田。
チー ツモ
大きな300・500で、局を終わらせた。
そしてオーラスも仲田の1人テンパイで終了。大きく存在感を示した半荘だった。
3回戦結果
仲田+22.2P 斉藤+8.8P 松岡+▲7.9P 仲田▲23.1P
トータル
仲田+156.0 P松岡+75.4P 斉藤+66.3P 武石▲15.2P
4回戦 仲田 松岡 斉藤 武石
仲田が2回目のトップを取ったことによって決定戦へのチケットは実質残り1枚。
松岡と斉藤の差はわずか9.1ポイントまで縮まった。武石は大きなポイントが必要になってくるが、まだ諦めてはいないだろう。
残り1席をかけて、最後の半荘が始まる。
東1局、親の仲田が4巡目リーチ
リーチ ドラ
ぶつかったら大ケガの満貫リーチ。しかしここは松岡が丁寧に打ってアガリをものにする。
ツモ
追う者にとっても、追われる者にとっても大きな大きな2,000・3,900だ。
東2局3本場、2局連続松岡・仲田の2人テンパイが続き、我慢の展開が続く斉藤。
ここでも仲田
ポン ドラ
武石
ポン
2人のテンパイに挟まれながら自身もテンパイ。
役なしだがヤミテンに構え400・700は700・1,000のアガリ。
ここでも、いつもどおりの冷静な斉藤だ。
東4局、親の武石にテンパイが入る。
ドラ
が4枚切れている絶好の単騎。ここに飛び込んだのは松岡、痛すぎる7,700の放銃になった。
南3局、親の斉藤が8巡目にリーチ。
リーチ ドラ
これを受けて武石の手が
四暗刻単騎になる1シャンテン。は4枚切れ、はまだ1枚残っている。ここでの武石の選択は打。しかし実際、とはすでに山に1枚も無かった。次巡、次次巡と続けてが河に並んでしまう。
武石から見て、はどちらも場に生牌。この選択は非常に難しいものになったが、もしもこの局面、この手が成就していたならオーラスは全く違った展開になっていただろう。
この局は斉藤の1人テンパイで流局。
1本場も斉藤が3面張のリーチをかけるが流局、2本場に仲田が1,300は1,900をアガリ、斉藤の最後の親を終わらせる。
迎えたオーラス、松岡と7,700直撃・跳満ツモ条件を残した斉藤だったが、
ドラ
仲田が武石から2,600をアガリ、長かった4半荘を終わらせた。
4回戦結果
仲田+19.1P 松岡+10.6P 斉藤▲7.1P 武石▲22.6P
トータルポイント
※()内は消化ゲーム数
1 魚谷 +196.6P(4/4)
2 仲田 +174.1P(4/4)
3 松岡 +86.0P(4/4)
↑ これより上位3名が決定戦進出
4 斉藤 +59.2P(4/4)
5 美波 +26.2(4/4)
6 亜樹 ▲14.3P(4/4)
7 清水 ▲17.6P(4/4)
8 武石 ▲37.8P(4/4)
魚谷・仲田・松岡。現桜花宮内が待つ決定戦への挑戦権を得たのは以上の3名となった。
女王・宮内の連覇か、3期ぶり・6期ぶりの戴冠を狙う魚谷・仲田か、はたまた決定戦初参戦の松岡か。冬に咲く桜の花をめぐる戦いが、間もなく始まろうとしている。
12月10日(土)
第11期女流桜花決勝初日
12月17日(土)
第11期女流桜花決勝二日目
12月24日(土)
第11期女流桜花決勝最終日
カテゴリ:女流プロリーグ(女流桜花) レポート