第47期王位戦決勝レポート
2022年12月29日
【伝統ある第47期王位に就いたのは“強引グ・マイウェイ”石井良樹!杜の都に新たな歴史を刻む!!】
残暑の名残も遠退き、秋めいてきた街並みもすっかり哀愁漂う姿となった晩秋の頃。長い歴史を持つ王位戦決勝戦が今年も無事に開催された。
■システム
一発裏ドラ無し
日本プロ麻雀連盟公式ルール5回戦
■決勝進出者
石井良樹×蒼山秀佑×小野塚永遠×佐月麻理子(日本プロ麻雀協会)
解説:佐々木寿人・魚谷侑未
実況:吉井優
立会人:藤原隆弘
開始から僅か四半時、月日の流れにあやかるように卓上の光景も移ろっていった。
手牌ではなく点数テロップの方に注目して頂きたい。開局から怒涛の6連続のアガリにより石井が1人大きく抜け出している状況である。
昨今では地方にも熱い視線が注がれており、王位戦・マスターズ準優勝の菊田政俊をはじめ、今年の日本オープン覇者の皆川直毅といった選手らが在籍している東北本部がその代表の1つに挙がる。もともとは東京で活動していたがその拠点を東北へと移した石井。キャッチフレーズは“強引グ・マイウェイ”であり、その名の通り“強引に我が道を往く”攻めの特色が強く出たスタートとなった。
そんな火山のような幕開けとなった今期の決勝戦、噴火する石井を最初に鎮火させたのは昨年度の王位戦準優勝の蒼山である。
東1局6本場
西家・蒼山
ツモ ドラ
南1局
西家・蒼山
ポン ロン ドラ
2年連続ファイナリストとなった蒼山は繋ぎの捌き手に定評があり、それが大連荘となって返ってくる“マグマ打法”が持ち味である。自身の十八番を石井に奪われる入りとはなったが、昨年度の思いを胸に石井の1人浮きを阻止した。
うってかわって2回戦は下位2名が先行する展開へ。
まずはプロ3年目の小野塚が親番にて蒼山より5,800の出アガリで存在を示す。
東2局
東家・小野塚
ポン ロン ドラ
昨年度はデビュー1年目ながら王位戦を制した渡辺史哉の活躍が記憶に新しいが、小野塚もジャイアントキリングの再現を狙っているだろう。
そして小野塚に負けじと次に続いたのは、日本プロ麻雀協会所属の佐月であった。
東3局、親の石井がこの局も打点十分ながら“強引に”リーチと攻めの姿勢を貫いている。
リーチ ドラ
これに対して佐月も跳満級の手牌を武器に応戦すると、石井からこれ以上のない高め12,000の直撃に成功した。
第26期麻雀マスターズを獲得している佐月は、今回の王位戦を優勝した場合、史上初女流による日本プロ麻雀連盟G1オープンタイトル戦制覇という歴史的快挙となる。解説席からも『気持ちの強い選手』、『発想力が豊か』等という高い評価のお墨付きだ。
1回戦
東4局1本場
東家・佐月
ドラ
少し局面が戻ってしまうが何気ないこちらの手格好も佐月の手に掛かれば
ツモ ポン チー ドラ
と変幻自在である。
一発裏ドラ有りと比べると鳴きが有効な日本プロ麻雀連盟公式ルール。相手にプレッシャーを掛けながらも、その特性を活かした仕掛けやアガリが多く見られた。
2回戦オーラスは蒼山の高め九蓮宝燈の手を封じるドラ単騎で待ち構えていた佐月。
スピードや形よりも打点に重きを置く事に価値のあるルール。つまりドラは勝つ為にはシンプルで且つ効率の良い手段の1つであるのだ。
佐月のトップにより三つ巴の様相となった3回戦、今度は蒼山がそのドラを活かして石井に迫る。
東1局1本場
西家・蒼山
ポン ロン ドラ
ドラである自風のを揃え、リーチを掛けていた小野塚から7,700の加点。石井の背中を捉えるアガリとなった。
一方で打点作りは何もドラだけが頼りという訳ではない。忘れてならないのが“テンパネ”である。
東2局
西家・石井
リーチ ツモ ドラ
石井がドラ1の愚形残りでリーチに踏み切るとを引き寄せリーチ・ツモ・ドラ1は“テンパネ”して1,300・2,600のツモアガリを見せた。これは出現頻度の高い点数計算で、子とは6,500、親とは7,800の差が付き全員とほぼ子の満貫分のリードを築けるお手頃ゾーンである。
そして最後に打点作りの王道は何と言っても手役だろう。
4回戦の開局、蒼山が3番手の佐月より・ホンイツの8,000を決めて石井との一騎打ちに持ち込んだ。
その後はお互い譲らずのせめぎ合いが続いたが
オーラスに石井が蒼山からの直撃で逆転トップを掴み取ると
最終5回戦
東2局
西家・石井
ツモ ドラ
最終戦には七対子・ドラ2を手繰り寄せ、蒼山に役満級の条件を押し付けた。
そして予選から長い戦いであった王位戦もオーラスへ。
一番条件の軽い蒼山でさえ倍満直撃or役満ツモであったが最後まで見せ場が訪れる。
蒼山が最後に“マグマ”を噴火させるべく国士無双テンパイ。
しかし石井が“強引に”火口を封じて流局を迎えさせた。
その瞬間、新王位が誕生した。
第47期王位は石井良樹。最後まで攻めの姿勢である“強引グ・マイウェイ”を貫き、東北の地に新たな歴史を刻みました。
■第47期王位
石井良樹
▪️準優勝
蒼山秀佑
▪️3位
佐月麻理子(日本プロ麻雀協会)
▪️4位
小野塚永遠
石井良樹
『東北の仲間、地方で頑張っているプロ、そして支えて頂いた周りの方々のおかげでこの舞台に立てる事ができています。本当にありがとうございました。』
(文:小林正和)
カテゴリ:王位戦 レポート