王位戦 レポート/第40期王位戦準決勝レポート 太田 優介
2014年12月19日
11月29日、第40期王位戦準決勝が東京、夏目坂スタジオで行われた。
先週までの予選を勝ちあがった15人に、去年王位を戴冠した森下剛任を加え16人で争われる。
まずは簡単にシステムを説明しておこう。
ルールは一発裏ドラなしの日本プロ麻雀連盟Aルール。
今日は半荘6回戦を行い、上位4名が明日の決勝へ駒を進めることになる。
ただし、半荘5回戦を終えた時点で、下位4名は最終戦を打てず敗退となってしまう。
最終6回戦はニコニコ生放送での対局となる。
また、例年決勝戦は5人で行われていたが、今年から4人で決勝戦を行う。
今年の準決勝を戦うのは以下の16名(予選通過順・敬称略)
森下剛任(現王位・連盟)
荒正義(連盟)
灘麻太郎(連盟)
前原雄大(連盟)
安村浩司(連盟)
石井一馬(最高位戦)
五十嵐毅(協会)
矢島亨(協会)
浜上文吾(連盟)
近藤久春(連盟)
東谷達矢(連盟)
手塚紗掬(連盟)
海老沢稔(最高位戦)
古川孝次(連盟)
清原継光(連盟)
福島直次郎(一般)
灘麻太郎 |
荒正義 |
古川孝次 |
前原雄大 |
近藤久春 |
浜上文吾 |
森下剛任 |
安村浩司 |
清原継光 |
東谷達矢 |
手塚紗掬 |
五十嵐毅(協会) |
矢島亨(協会) |
石井一馬(最高位戦) |
海老沢稔(最高位戦) |
福島直次郎さん(一般) |
4卓同時に行われるという性質上、どういう風にレポートを書くべきかと考えたが、各回の注目卓にスポットを当て、1卓ずつ紹介していくというやり方に決めた。
選手によっては観戦回数の偏りがあるが、どうかご容赦いただきたい。
また、しがないCリーガーである筆者が、超上から目線で色々書いてるのもホント許してくださいお願いします。
1回戦卓組
1卓 森下・安村・浜上・海老沢
2卓 荒・石井・近藤・古川
3卓 灘・五十嵐・東谷・清原
4卓 前原・矢島・手塚・福島
1回戦は現王位、森下の卓を観戦。
1回戦1卓(起家から、浜上・森下・安村・海老沢)
その森下の開局第一打に注目。
東1局 南家 森下
ツモ ドラ
ここから森下は打を選択。
を親の浜上に鳴かれるも、・と引き入れ、自然な手順でリーチ。
ピンズのホンイツに向かっていた浜上が程なくしてを掴み、森下の3,900のアガリ。
打点はそれほど高くはないが、幸先の良いスタート。
リーチ ロン ドラ
は、親・浜上の現物だったが、森下は迷いなくリーチを敢行。
これを見て筆者は「腕が振れているな」、と感じた。
予選を戦い抜いて来たものには勢いがある、とはよく言うが、森下は勢いにも負けず、いいテンションで対局にのぞめている、と思った。
東2局、西家 海老沢が先制リーチ
リーチ ドラ
は1枚切れ、は生牌。
そこにまたしても森下が参戦、役牌を2つ仕掛けて追いつく。
東家 森下
ポン ポン ドラ
だが、その争いに待ったをかけたのは南家、安村。
チー ポン ツモ ドラ
他家の2軒テンパイをかいくぐって、値千金の1,000・2,000
東3局は、これまで失点続きだった浜上が積極策に出る。
西家 浜上 8巡目
暗カン リーチ ドラ
恐らくは1,300・2,600を引きに行ったリーチとは思うのだが、河状況からソーズは別段良いとは思えず、危ういリーチだなぁ、と筆者は感じた。
焦りから掛けてしまったリーチで無ければ良いのだが・・・。
このリーチを受け、親・安村は勝負手ではあったのだが、テンパイを入れられず撤退。
ひっそりとタンピンのテンパイを入れていた海老沢と浜上の2人テンパイで流局。
東4局は浜上が終盤に捌き手を入れ、海老沢の親をカット。
南家 浜上
チー ロン
森下から2,000は2,300(+供託1,000点)のアガリ。
東場を終えて点数状況は以下のとおり。
浜上 28,900
森下 28,100
安村 33,500
海老沢29,500
現状、小さいリードではあるが、安村の1人浮き。
浜上は開局からの連続失点をほぼ取り戻した。
南1局、北家・海老沢がアグレッシブに仕掛ける。
ポン ポン ポン ドラ
ここに親の浜上がで飛び込み、海老沢5,200のアガリ。
微差ではあるが、海老沢がトップに躍り出た。
南2局、親・森下の一撃が炸裂。
リーチ ロン ドラ
ここにを放銃してしまったのは、タンピンの1シャンテンだった安村。
4巡目と早いリーチであり、不運だったか。
南2局1本場は、西家・海老沢がピンフのみをしっかりヤミテンにして、森下の親を落とす。
ツモ ドラ
400・700は500・800のアガリ。
南3局も海老沢のかわし手が成就。
ロン ドラ
森下から1,600のアガリ。
海老沢が連続のアガリ、さらに1,600をトップ目の森下から直撃したことで、トップでオーラスを迎える。
だが、この半荘の主役はやはり森下であった。
南4局 森下 5巡目リーチ
リーチ ロン ドラ
リーチドラ3の8,000。浜上からが出て、森下の再逆転で終了。
1回戦成績
1卓 森下+23.7P 海老沢+12.1P 安村▲13.0P 浜上▲22.8P
2卓 近藤+17.4P 荒+6.2P 石井+3.7P 古川▲27.3P
3卓 五十嵐+18.3P 清原+4.5P 東谷▲8.4P 灘▲15.4P
4卓 福島+13.8P 手塚+13.7P 前原▲7.8P 矢島▲24.7P
※福島選手は遅刻ペナルティにより、5P分のマイナスを加算しております。
2回戦卓組(数字はトータルポイント)
1卓 森下+23.7P・石井+3.7P・東谷▲8.4P・福島+13.8P
2卓 荒+6.2P・安村▲13.0P・清原+4.5P・手塚+13.7P
3卓 灘▲15.4P・古川▲27.3P・矢島▲24.7P・浜上▲22.8P
4卓 前原▲7.8P・海老沢+12.1P五十嵐+18.3P・近藤+17.4P
2回戦は3卓のカミソリ灘VSサーフィン打法・古川VS協会Aリーガー矢島VS十段戦ファイナリスト浜上の対決をチョイス。
後から気が付いたのだが、なんとこの4人、全員1回戦ラスなのである。
卓組みは事前に決まっているので、もちろん、意図してこの4人の対局が組まれたわけではない。
もしも、この卓で大きなラスを引いてしまうと、決勝進出へ早くも黄色信号が点ってしまう。
生き残りをかけて、早くもサバイバルマッチが始まる。
2回戦3卓(起家から、浜上・灘・古川・矢島)
起家の浜上、早々に以下の形でテンパイ。
ドラ
だが、足止めリーチはせず、ヤミテンを選択、数巡後、を引いてリャンメンに変化したところでリーチ。
リーチ ロン ドラ
(一発はないが)即、古川からが出て3,900のアガリ。
雑な攻めを見せず、1つ1つの親番をしっかり使っていこうという浜上の姿勢が感じ取れた。
東1局1本場は、古川・灘の仕掛け合い、そして矢島のリーチも飛んできたが、ここも浜上が制す。
チー ツモ ドラ
500は600オールのアガリ。
東1局2本場は、浜上・灘・古川の3人テンパイ。
決定打は出ていないものの、浜上が親権を死守、本人も「さぁ、これから!」と思っていたに違いない。
だが、悲劇は突然やってくる。
東1局3本場 北家 矢島
リーチ ツモ ドラ
矢島がリーチをした時点で、山に生きていたのはの1枚のみ。
だが、その1枚を矢島は見事に手繰り寄せた。
矢島の8,000・16,000は8,300・16,300が炸裂!
東2局は親の灘が1,300オール。
リーチ ツモ ドラ
東2局1本場は、矢島が淀みのない手順でアガリをものにする。
リーチ ロン ドラ
安目だが、勝負してきた古川から2,000は2,300の出アガリ。
東3局は古川・灘の2人テンパイ。
同1本場は灘が
暗カン リーチ ツモ ドラ
1,000・2,000は1,100・2,100のアガリで早くも原点復帰。
東4局は見ごたえのあるリーチ合戦。
東家 矢島
リーチ ドラ
これに浜上が真っ向勝負
南家 浜上
リーチ ツモ ドラ
打点以上の大きなアガリで1,000・2,000。
南1局は古川が4巡目リーチ。
リーチ ロン ドラ
中盤に灘から1,300のアガリ。
南1局まで終えて、点数は以下のとおり。
浜上22,500
灘 29,500
古川14,300
矢島53,700
このまま終えれば、矢島は約+35P。1回戦の負債を完済してもお釣りが来る。
逆に古川は、このまま終わってしまうとトータルのマイナスが50を越えてしまい、土俵際に立たされる事になる。
南2局、親の灘が積極的に仕掛ける。
東家 灘
チー ポン ドラ
そこに待ったを掛けたのがラス目、古川。
西家 古川
リーチ ツモ ドラ
終盤に2,000・3,900のツモアガリ。
親・灘が古川の待ちと同色の鳴きをしていたが、ここは古川に軍配が上がる。
南3局、親・古川が
ポン ロン ドラ
打点は1,500と安いが、浜上から出アガリ、とりあえずラスからは脱出。
だが、同1本場、またしても古川と浜上の争い。
東家 古川
ポン ドラ
西家 浜上
リーチ ロン ドラ
浜上が古川から2,600は2,900をアガリ再度ラスを脱出。
オーラスを迎え点数状況は以下のとおり。
浜上21,900
灘 25,600
古川20,800
矢島51,700
矢島はラス親なので、ほぼトップが確定。灘は5,200以上をアガれば原点復帰、浜上・古川は現状、跳満をアガらないと原点復帰できないので、ラス回避を主とした打ち方をしそう。
オーラスもまた古川と浜上の争い。
北家 古川 4巡目リーチ
リーチ ドラ
そこに浜上もリーチで応戦。
南家 浜上 7巡目リーチ
リーチ ドラ
古川はシャンポン、浜上はリャンメン。見た目は浜上のほうが有利に見えるが、浜上が追いかけた時すでにお互いの待ちは山に2枚ずつ。
矢島、灘は撤退し、もしかしたら流局終了もあるかな、と思いかけてきた14巡目、古川がをツモり、決着。
リーチ ツモ ドラ
500・1,000のツモアガリ。
2連続ラスで、浜上は早くも窮地に立たされた。
2回戦成績
1卓 石井+32.6P・森下▲2.0P・福島▲7.6P・東谷▲23.0P
2卓 安村+14.0P・荒+9.5P・手塚▲9.2P・清原▲14.2P
3卓 矢島+32.7P・灘▲5.9P・古川▲9.2P・浜上▲17.6P
4卓 五十嵐+17.8P・近藤+7.1P・前原▲10.1P・海老沢▲14.8P
3回戦卓組(数字はトータルポイント)
1卓 森下+21.7P・古川▲36.5P・手塚+4.4P・五十嵐+36.1P
2卓 荒+15.7P・矢島+8.0P・東谷▲31.4P・海老沢▲2.7P
3卓 灘▲21.3P・近藤+24.5P・安村+1.0P・福島+6.2P
4卓 前原▲17.9P・清原▲9.7P・浜上▲40.4P・石井+36.3P
3回戦は、過去に2度の王位を戴冠している荒の卓を観戦。
また、まだ知名度は低いが、今年の十段戦で7回勝ちあがった東谷にも注目。
3回戦2卓(起家から、矢島・東谷・海老沢・荒)
東1局、親の矢島、北家の荒が激しいつばぜり合いを演じる。
先手は荒。
ポン ドラ
矢島、3巡目に七対子ドラ2の1シャンテンだったが、
ドラ
ここからをポンし、打。程なくを引き入れ高目11,600のテンパイ。
ポン ドラ
荒も一歩進んで以下の形
ポン ドラ
テンパイの仕方では、荒の放銃だなと思って見ていたら、矢島がをツモって待ちのリャンメン待ちへ移行。
2巡後に、東谷がをツモ切り矢島の5,800のアガリ。
ポン ロン ドラ
東1局1本場、またも矢島が動く。
ここからをポン。
レポートに書ききれていない箇所もあるが、矢島は非常に手数が多い。
今日1日を見ての印象だが、仕上がれば高いが遠い仕掛けを多用するイメージである。
ただし、観戦できなかった初戦は分からないが、それ以外では致命傷になるような放銃は一切していなかった。
仕掛けを多用する戦術は、高い守備力、読み、対局者との間合いを感じる能力が必要なのだと、改めて感じた。
この局、東谷が早々にドラ2のポンテンを取れそうな局面であったのだが、この矢島の動きで字牌が重くなり、なかなかテンパイを入れさせてもらえなくなってしまう。
これも矢島の戦術の内なのだろうか。
南家 東谷
ドラ
だが、おかげで自力でを引き入れ、リーチを敢行。
終盤に以下の形でテンパイを入れた海老沢が東で8,000の放銃。
ドラ
形だけ見れば致し方ない放銃かもしれないが、自身でを切っているフリテン待ちであり、も枯れている。
東は生牌なだけに、個人的には我慢して欲しかったと思う。
東2局、前局8,000をアガった東谷の親は荒が高速でカット。
東3局、矢島が鳴きで魅せる。
西家 矢島 8巡目
ドラ
ここからをポン。打と構えるかと思いきや、打でホンイツに向かう。
ポンの後連続で、引き、最速テンパイ、そしてテンパイと同時に東谷がを掴み最速のアガリ。
ポン ロン ドラ
東谷は今日1日を通してツキに恵まれていなかった印象。5,200の放銃。
東4局は西家・東谷が渾身の三色リーチを入れるが、不発。1人テンパイで流局。
リーチ ドラ
南入時の点数状況は以下のとおり。
矢島 40,000
東谷 29,300
海老沢19,700
荒 30,000
南1局1本場、矢島の8巡目。
ツモ
三色変化も有り、いざとなれば出アガリも利くので、Aルールでは打orのヤミテンがマジョリティか。
だが、矢島は迷いなく切りのリーチを選択。
3巡後にを持ってくるものの、変化を待っても結局アガリにはつながらなかった。(ヤミテンにしていたなら他家から出たかもしれないが。)
必死の粘りを見せた海老沢と2人テンパイで流局。
南1局2本場は3者の手がぶつかる。
北家 荒 7巡目
リーチ ドラ
そこに親の矢島がタンヤオで追っかけ。
東家 矢島 9巡目
リーチ ドラ
さらに同巡、東谷もをポンして追いつく。
南家 東谷 9巡目
ポン ドラ
矢島有利かと思いきや、矢島がを掴み、荒のアガリ。
3,200は3,800。リーチ棒も2本もらえる大きなアガリ。
南2局、4巡目荒の手牌。
西家 荒
ドラ
ターツオーバーの形。が1枚切れでさらにドラ表示牌のため、荒のは打を選択。
だが、その矢島が以下の形からチー。
北家 矢島 4巡目
ドラ
この鳴きで荒に入るはずだった、ドラの、さらにはアガリ牌になったであろうも矢島が食い取ってしまう。
皮算用ではあるが、(引きの時点ではリーチを打たないので)以下の形での荒のアガリが有った。
リーチ ツモ ドラ
は矢島の手の内に吸収されたため荒の目からは見えないが、もも矢島にツモ切られているので、鳴きによって自分のアガリを消されたことは荒からも見て取れるはずだ。
結局荒は、10巡目に以下の形でリーチ。
リーチ ドラ
だが時既に遅し、以下の形でテンパイを入れていた矢島のアガリが先。
チー ロン ドラ
東谷から1,000のアガリ。素晴らしい発想力で荒の本手を潰してしまった。
南3局は親の海老沢が12巡目にリーチ。
リーチ ドラ
同巡、荒も追いつく。
ドラ
荒は前巡、1シャンテンから六を処理して放銃を回避。だが、アガリ牌は山には0。
海老沢の待ちも薄かったが、見事にを掘り当て2,600オールのアガリ。
南3局1本場は、海老沢・東谷・矢島の3人テンパイで流局。
同2本場、またしても矢島が先手を取る。鳴いた時は2シャンテンだったが、急所を連続で引き、
加カン ツモ ドラ
厳しい待ちであったが見事に引き当て2,000・4,000のアガリ。
オーラス、親の荒、7巡目にポンテンを取る。
ポン ドラ
リーチをしてきた海老沢がを掴み、2,900のアガリ。
26,500持ちだった荒はリーチ棒も入り微差で浮きに回る。
南4局1本場、時間打ち切りの最終局、またしても先手を取ったのは矢島。
南家 矢島
チー ポン ドラ
そして海老沢も5巡目に一通の変化待ちの仮テンを入れる。
北家 海老沢
ドラ
そして、30,400点持ちの荒も、粘りに粘って以下のテンパイを入れる。
東家 荒
だが、アガリは発生せず、東谷の1人ノーテンで終局。
東谷はノーテン罰符でラス落ちと、苦い形で半荘を終えた。
3回戦成績
1卓 五十嵐+22.0P・手塚+6.7P・古川▲5.3P 森下▲23.4P
2卓 矢島+25.7P・荒+5.4P・海老沢▲12.1P・東谷▲19.0P
3卓 灘+23.9P・近藤+17.9P・福島▲5.5P・安村▲36.3P
4卓 前原+16.2P・清原+11.4P・石井▲5.1P・浜上▲22.5P
4回戦卓組(数字はトータルポイント)
1卓 森下▲1.7P・矢島+33.7P・清原+1.7P・近藤+42.4P
2卓 荒+21.1P・浜上▲62.9P・五十嵐+58.1P・福島+0.7P
3卓 灘+2.6P・手塚+11.1P・石井+31.2P・海老沢▲14.8P
4卓 前原▲1.7P・古川▲41.8P・安村▲35.3P・東谷▲50.4P
超獣・前原が不調である。
3回戦こそトップをとれたものの、未だトータルポイントはマイナス。
冒頭でもお伝えしたが、5回戦を終わった時点で下位4名になってしまうと、最終・6半荘目を打つ資格を失ってしまう。
4回戦目は前原をはじめ、ポイント的に正念場を迎えた4名の戦いを観戦することにした。
4回戦4卓(起家から、古川・安村・東谷・前原)
東1局、トータル14位と苦しい位置に居る古川、この局は素直に手が伸び、7巡目テンパイ。
リーチ ツモ ドラ
安目ながらも13巡目にツモアガリ。2,000オール。
東1局1本場、古川が独特の鳴きを見せる。
チー ドラ
連盟員のほとんどが同じ鳴きはできないと思う。だが、12巡目まででは全て山に生きている。
まさかを集めてアガってしまうんじゃないかと思い始めたが、
西家 東谷
ポン ツモ ドラ
のポンテンを取った東谷が300・500は400・600のツモアガリ。
東2局、前原が先制リーチ。
西家 前原 5巡目
リーチ ドラ
Aルールでは珍しい、役無しの中張牌同士のシャンポン待ちリーチ。
しかも驚くことなかれ、リーチ宣言牌は三色やピンフの変化もある、である。
これがガラクタリーチなのだろうか。
リーチで攻め込まれた、親・安村。
2枚目のをポンして応戦。
ポン ポン ドラ
古川も持ち前の粘り腰でテンパイを取る。
チー ドラ
東谷もひっそりとテンパイ。
ドラ
この局は全員テンパイで流局。
生き残りへ、全員1局1局を必死に戦っていく。
同1本場は、またも先手を取った古川が、
ポン ツモ ドラ
1,000・2,000は1,100・2,100のツモアガリ。
東3局、親・東谷が早々にメンホン一通の2シャンテンになっていたが、全く手が伸びず、またしても古川がアガる。
西家 古川 11巡目
ツモ ドラ
2,000・3,900のツモアガリ。
東谷は1つ1つの親番を大事に戦っていくしかないのだが、親権を維持するどころか、痛すぎる親かぶり。
東4局、南家古川の手牌。
南家 古川
ドラ
ここから打とすると、親・前原が反応。
東家 前原
ドラ
ここからをポン、打。
そしてそのを古川がチーして打。
南家 古川
チー 打 ドラ
当然、前原もをポン、ドラのを勝負して単騎の小三元テンパイ。
東家 前原
ポン ポン 打 ドラ
古川もに声を掛け、テンパイを入れる。
南家 古川
チー チー 打 ドラ
文章ではなかなか伝えづらいが、この4つの鳴きは連続して行われたものである。
ものの10秒くらいで同時にテンパイ。
こうなると取り残された安村、東谷は苦しい。
結局、前原がを掴み、2,000の放銃。
古川、今日これまでとは打って変わって、好調である。
東場を終わって点数状況は以下のとおり。
古川50,400
安村23,500
東谷24,400
前原21,500
南1局、ラス目の前原は選択を迫られる。
北家 前原 6巡目
ドラ
前原、長考。を切れば待ちのテンパイ。但しその場合、アガリ点は相当低くなってしまう。(もちろん、ヤミテンに構えてからの三暗刻変化も存在するが。)
ここで前原が選んだのはの暗カン。
1回テンパイを崩す形にはなるが、三暗刻やイーペーコー、役牌、最高形で四暗刻まで見える選択だ。筆者もおそらく同じ選択をしたと思う。
11巡目、狙ったように引きテンパイ。
暗カン ドラ
四暗刻変化もある上、出アガリでも7,700(3ハン60符)あるので、当然のヤミテン。
役満はともかく、前原のアガリは堅い、とこの瞬間は思っていた。が、すぐさま対面の安村から「リーチ」の発声が。
南家 安村 16巡目
リーチ ツモ ドラ
安村、渾身の3,000・6,000。
前原、黄色信号。
南2局、親の安村、厳しい配牌だったが、役牌の中を鳴くと手がサクサク進み、6巡目には以下のテンパイ。
ポン ドラ
同巡、前原が「前局のお返しですよ」とばかりに本手リーチ。
リーチ ドラ
だが、即座に安村がをツモり700オール。
同1本場、安村が面白い手順を見せる。
東家 安村 5巡目
ツモ ドラ
効率上、一番ロスが少ないのは切り。
ドラがであることを考慮してもを切るかなぁと思っていたら、安村の選択はなんと切り。
ドラと、567・678を意識した手順である。
次巡をツモってリーチ。を引いて1,300は1,400オール。
リーチ ツモ ドラ
を切っても、ほぼアガリ形に違いは無いと思う。が、その過程には骨太さを感じた。
このアガリで古川を微差で交わしてトップ。約3万点差をひっくり返した。
南2局2本場は安村以外の3人の攻防。
南家 東谷
ポン ドラ
西家 前原
リーチ ドラ
北家 古川
ポン ポン
ここは古川がをツモって1,300・2,600は1,500・2,800のアガリ。古川の再逆転。
南3局、古川があっという間に3フーロテンパイ。
西家 古川
ポン ポン ポン ドラ
テンパイは早かったものの、終盤までもつれ、前原、東谷が追いつく。
前局と似たような形になった。
南家 前原
チー ドラ
東家 東谷
リーチ ドラ
だが、この局も勝者は古川。前原がを掴み、古川1,000のアガリ。
南4局、親・前原
ツモ ドラ
入り目としてはあまりうれしくない引きテンパイ。
あまり感触はよくなかったとは思うが、前原は切りリーチと出る。
数巡後、安村のリーチ宣言牌のを捕らえ、5,800のアガリ。
800点差ではあるが、微差でラス抜け。
東家 前原
リーチ ロン ドラ
同1本場、16,800持ちの北家・東谷が中盤にリーチ。
リーチ ドラ
現在ラス目ではあるが、1つ上の着順の前原とは800点差、さらに、リーチしてもあまり大きな点数上昇が見込めないため(出アガリが5,200→8,000になるだけで、他はほとんど変わらない。)流石にダマテンを選択がセオリーだと思う。
後が無いため、少しでも素点を稼ぎに行ったことは理解できるが、点数を稼ぐ場所はここではない。
この2,800点の為に隙を作り、親にさらに加点される方が痛手と感じる。
結果は親・前原の手が伸びず、東谷の1人テンパイで流局。
東谷は3着へ復帰、そして、前原は再度ラス落ち。
4回戦成績
1卓 清原+22.4P・矢島+9.3P・近藤▲12.5P・森下▲20.2P
2卓 荒+26.5P・五十嵐▲1.9P 浜上▲8.4P・福島▲16.2P
3卓 海老沢+40.6P・灘▲6.6P・石井▲12.1P・手塚▲21.9P
4卓 古川+28.3P・安村+7.2P・東谷▲15.2P・前原▲21.3P
4回を終え、隊列も大分縦に伸びてきた、が、まだまだ決勝進出ラインの4位付近は混戦である。
また、何度も繰り返すが、この回が終わり下位4名に入ってしまうと、途中敗退が決定してしまう。
ギリギリ生き残っても決勝進出は厳しい、と思うかもしれないが、麻雀は何が起こるかわからない。
プロ連盟は今期から純粋な複合形であれば、ダブル役満・トリプル役満有りのルールに変更した。
今、苦境に立たされている選手たちも、諦めず、上を目指していただきたい。
5回戦卓組(数字はトータルポイント)
1卓 森下▲21.9P・荒+47.6P・灘▲4.0P・前原▲23.0P
2卓 石井+19.1P・五十嵐+56.2P・矢島+43.0P・安村▲28.1P
3卓 浜上▲71.3P・手塚▲10.8P・近藤+29.9P・東谷▲65.6P
4卓 古川▲13.5P・福島▲15.5P・清原+24.1P・海老沢+25.8P
1卓の連盟レジェンド3名VS森下王位の戦いも気になるが、上位争いをしている五十嵐、矢島、石井と、下位ボーダー付近の安村の卓を観戦。
五十嵐、矢島がここで大きくポイントを伸ばすと決勝進出へ大きく前進することとなる。
また、逆に安村がここで上位組を食うことがあれば、奇跡の大逆転があるかもしれない。
5回戦2卓(起家から、石井・安村・五十嵐・矢島)
東1局、今日何度も見た矢島の先制仕掛け。
北家 矢島
チー ポン チー ドラ
そこに安村がを暗カンして応戦。
南家 安村
暗カン ドラ
矢島にマンズを勝負している五十嵐も役なしだがテンパイ。
西家 五十嵐
ドラ
だが、ここはしっかりとヤミテンを入れていた石井の勝ち。開局を制する。
東家 石井
ツモ ドラ
700オールと打点は低いが、価値の有るアガリ。
同1本場、石井がしっかりと手役を追う手順を見せる。
東家 石井 6巡目
ドラ
が2枚切れであるが、石井は打。234の三色とイーペーコーを狙う手組みだ。
親番なので、手広くを切る人も多いと思う。
次巡、狙い通りをツモってリーチ。
が無いのでドラののみの待ちだが、ツモれば6,000オールだ。
東家 石井 7巡目
リーチ ドラ
決着は終盤。安村が腹を括って追っかけリーチ。
南家 安村
リーチ ドラ
そこに以下のテンパイを入れていた五十嵐がを掴み、放銃。
西家 五十嵐
チー チー ドラ
安村の5,200は5,500のアガリ。トータルトップ目からの直撃に成功。
東2局、前局放銃の五十嵐がピンフのみを石井からアガリ、安村の親をカット。
東3局、ここでも矢島が先手を取り、1フーロの一通のみで捌く。
東4局、北家・五十嵐が以下のアガリ。
リーチ ツモ ドラ
1,000・2,000のアガリ。原点近くまで復帰。
東1局とはうって変わって、淡々と局は進む。
南入した時点で点数は以下のとおり。
石井 28,800
安村 34,500
五十嵐28,300
矢島 28,400
現状、安村の1人浮きではあるが、大きく沈んでいる安村はさらに大きな加点が必要。
石井もこの半荘で、最低+10ポイントほどは上積みしたい。
南1局、北家矢島が先制リーチ。
打 ドラ
宣言牌のを石井がやや迷いつつもチーテンにとる。
東家 石井
チー ドラ
石井がを即食い取り、ツモ切りで放銃。
矢島の2,600のアガリ。
南2局、矢島の先制リーチ。
西家 矢島
リーチ ドラ
Aルールでは子方のタンヤオのみはかわし手として使われることが多いと思うが、矢島はリーチを選択。積極策だ。
今日は幾度と無く積極策で道を切り開いてきた矢島、しかし、今回はこれが裏目となる。
リーチによって、ヤミテンならすぐに打ち出されそうだった五十嵐のが止まり、局が長引く。
そして、親の安村が終盤に追いついた。
ポン ドラ
結果は安村・矢島の2人テンパイ。
矢島が親落とし優先のヤミテンをしたなら存在しなかった親連荘、果たしてどうなるのか?
南2局1本場
東家 安村 10巡目
暗カン ドラ
を切ってのドラ単騎に受けるか、また、を切ってペンに受けるか。
は1枚切れである。安村は単騎でリーチ。
ペンを選択するかと思って見ていたので、意外な選択であった。
他家の足止めを主として選択したのかもしれないが、この手をただの足止めリーチにするのはもったいなさ過ぎる。見た目の枚数も、・2枚、・4枚と差があり、どちらを選んでも、ツモったときの点数はほとんど違いが無い。
(単騎ツモ=4000オール・ペンツモ=3,900オール)
卓内ラス目のリーチには、上位陣は中々勝負してこないと思うが、出アガリをベースで考えたとしても、2枚切れのドラと、(ドラそばではあるが)では、アガリ率も大分変わってくると思う。
出アガリに関しては単騎が12,000、ペンが6,800と、点数においては差があるが、この状況、アガリ辛い12,000よりも、幾分アガリが期待できる6,800を選択するほうが良いと思う。
結果、は引けず、しかもハイテイでをツモってしまう、が、これは結果論ではなく、選択できるものであったと思う。
矢島・石井も粘ってテンパイ。3人テンパイで流局。
南2局2本場、石井が高目三色のリーチを打つ。
北家 石井 11巡目
リーチ ドラ
でもイーペーコーにはなるが、ドラが無いので、是が非でもでアガりたいところ。
終盤に安村が仕掛けて以下のテンパイ
東家 安村
ポン ドラ
ドラ単騎テンパイで、良くて流局かな、と思っていたら、石井が即を掴み、安村の5,800は6,400のアガリ。これは大きい。
点数状況は以下のように変わっている。
石井 18,300
安村 45,100
五十嵐23,800
矢島 32,500
石井は現状のトータルポイントがマイナスに突入、安村は大きいトップではあるが、まだ5ポイントほどマイナスなので、さらに大きく加点したい。
南2局3本場、安村の親が続く。
北家、石井が先手を取り、以下の手牌になる。
ポン ツモ ドラ
石井はここからテンパイとらずの打。ドラを使ってのの8,000を目指した選択だ。
点数状況的に致し方ないと思うが、安村の親が長引いているので、打としてテンパイを取る選択が自然かと思った。
また、テンパイを外すならばソーズの1メンツを落としてアガれば浮きにまわれる12,000を狙うのも面白い。
あくまでも、自分の都合のいいように考えるなら、だが。
結果だけ言えば、次々巡安村にを切られ、アガリ逃し(1,000のアガリ逃しなので、痛いと考えるかは打ち手次第だが)
そして、あべこべに安村のロン牌を石井が掴む。
東家 安村
ロン ドラ
1,500は2,400と打点は安いが、親連荘。
南2局4本場、55分時間打ち切りの規定により、この局が最終局になる。
もっと親を利用して加点したい安村からしてみれば、痛い強制終了だが、ルールなのでこれは致し方ない。
各家、積極的に攻め合ったが、ここ数局我慢をしていた五十嵐が安村から1,300をアガって終了。
リーチ ロン ドラ
5回成績
1卓 灘+15.7P・荒+4.2P・前原▲6.6P・森下▲13.3P
2卓 安村+24.3P・矢島+5.5P・五十嵐▲7.7P・石井▲22.1P
3卓 手塚+15.0P・浜上+5.6P・東谷▲6.9P・近藤▲13.7P
4卓 清原+17.0P・福島+4.6P・海老沢▲7.2P・古川▲14.4P
残念ながら、ここで下位4名は敗退となってしまった。
前原、スタートダッシュを決めたはずの現王位・森下、まさかの即敗退。
13位 前原雄大「負けるべくして負けました。」
14位 森下剛任「1回戦はトップだったんですが、乗り切れなかったです。残念です。」
15位 浜上文吾「スタートから3ラスで、入りが悪かった。2回戦目に連荘して、さあこれからと思ったところで(矢島プロの)役満を親かぶりしてしまった。また来年頑張ります。」
16位 東谷達矢「完敗でした。勉強しなおして、また来年頑張ります。」
そして、残った12人で最終6回戦を行う。
6回戦目は各卓順番にニコ生で配信される。
卓の組み合わせは現在のポイント順により決定される。
A卓 3位×6位×9位×12位
B卓 2位×5位×8位×11位
C卓 1位×4位×7位×10位
この表に当てはめると、各卓の組み合わせは
A卓 矢島×近藤×石井×古川
B卓 五十嵐×海老沢×手塚×福島
C卓 荒×清原×灘×安村
以上のようになる。
先に打つ卓の方が、他の卓に点数状況を知った上で打たれてしまうので、若干不利にはなる。
それでは、最終戦A卓、開始である。
6回戦A卓
3位・矢島+48.5 × 6位・近藤+16.2 × 9位・石井▲3.0 × 12位・古川▲27.9
(起家から古川・石井・近藤・矢島)
現在のボーダーは+40ちょい。だが、50ポイント弱持っている3位の矢島も油断できない。
ここで少しでもマイナスしてしまうと、後発のB卓、C卓の選手にターゲットにされてしまうからだ。
また、6位の近藤もここで大きなトップを取らないと、ほぼ敗退が確定してしまう。
トータルポイントで矢島を交わした上で、最低でも25ポイントくらいは加点したいところ。
東1局、苦しい配牌だった近藤
北家 近藤 配牌
ツモ ドラ
なんと、8巡目にノーミスで七対子をツモアガリ。
ツモ ドラ
ドラ2で2,000・4,000。
手順も河も秀逸で、同卓していたとしても七対子とは分からない、素晴らしいアガリだった。
観戦はしていなかったが、近藤はどうやら4回戦、5回戦下り坂でこの6回戦を迎えていたと聞いた。果たしてこの一発で流れを断ち切れるか?
東2局、西家・矢島が放送卓になっても先手を奪う。
チー ポン ツモ ドラ
打点も伴い、2,000・4,000。
卓内ポイントリーダーの矢島が点棒を持ってしまい、同卓者はやや厳しくなったか。
東3局は近藤がのみの500オールをツモ、連荘に成功。
同1本場、東家・近藤が12巡目に先制リーチ。
リーチ ドラ
ドラ無しでドラ表と1枚切れののシャンポン待ち。良くない待ちではあるが、(他家の手牌進行的に)時間的猶予がないと判断したのだろう。
もしかしたら、卓内でしか知り得ない情報もあるのかもしれない。
だが、この局を制したのは矢島。
南家 矢島
チー ツモ ドラ
矢島にしては珍しく、道中で手順ミスがあったが、うまくリカバリーが利いて1,000・2,000。
この卓ではやや抜け出したか。
東4局、近藤がよどみのない手順で先制リーチ。
北家 近藤
リーチ ドラ
そこに全員が参戦。勝負してこないと思われた矢島も2人のロン牌を止めてテンパイを組む。
東家 矢島
チー ドラ
南家 古川
ポン ドラ
西家 石井
チー ドラ
激しい争いだったが、近藤がをツモって1,300・2,600。
南1局は石井の渾身のフリテンリーチが成就。
ツモ ドラ
リーチ前にすでにを切ってあったが、しっかり高目をツモって2,000・4,000。
現状の点数は以下の通り
石井29,100
近藤37,600
矢島36,200
古川17,100
この点数をトータルポイントに加えると、
石井▲ 7.9P
近藤+31.8P
矢島+58.7P
古川▲48.8P
古川は親がもうないので苦しいか。石井も親にかけるしかない。近藤はおそらく素点であと10,000は加点したいところ。矢島は沈まなければほぼオーケー。
南2局は石井が6巡目にピンフツモ。700オールで連荘。
同1本場、親の石井が9巡目に先制リーチ。
リーチ ドラ
次々巡、北家・古川も追っかけリーチ。
リーチ ドラ
同巡、近藤、メンチンの1シャンテンになり、を勝負、古川に捕まる。
ツモ 打
古川へ3,900の放銃。石井も親番がなくなり厳しくなった。
南3局、5巡目に矢島が迷いなくリーチ。
リーチ ドラ
これがアガれれば決勝はほぼ確定と見る。
石井・古川はトータルポイント的に向かってこないだろう。
近藤との1対1だ。
決着は14巡目。
東家 近藤
ツモ ドラ
近藤の、長い逡巡の後、が河に置かれ、勝負が付いた。
南4局は、通過へ一縷の望みをかけ、近藤が跳満リーチをかけるも、不発。
矢島のトップで終了。矢島はトータルを+70ポイントとし、ほぼ決勝進出を決めた。
A卓最終結果
※()内はトータルポイント
矢島+21.5P(+70.0P)
古川+7.6P(▲20.3P)
石井+1.2P(▲1.8P)
近藤▲30.3P(▲14.1P)
6回戦B卓
2位・五十嵐+48.5P × 5位・海老沢+18.6P × 8位・手塚+4.2P × 11位・福島▲10.9P
(起家から五十嵐・海老沢・手塚・福島)
A卓が終了したが、矢島がポイントを大きく伸ばしただけで、ボーダーに特に影響はなし。
五十嵐は浮けばほぼオーケー。海老沢は30ポイントは加点したい。
手塚・福島は五十嵐を沈めた上で大きなトップを取るしかない。
東1局1本場、10巡目、前巡に一通のみをテンパイしていた手塚がツモ切りリーチ。
西家 手塚
リーチ ドラ
ダブを鳴いていた五十嵐、1シャンテンだったが、当たり牌のを即持ってきて小考。
ポン ツモ ドラ
だが、このは止まらず、五十嵐が手塚に5,200は5,500の放銃。
東2局、親番を有効に使いたい海老沢は以下の手でリーチ。
東家 海老沢 9巡目
ドラ
ドラはないが、ツモれば3,200オールと、満貫に匹敵する破壊力がある。
だが、変化待ちの仮テンを早々に入れていた手塚が高目をツモ。
南家 手塚 10巡目
ツモ ドラ
2,000・3,900のツモアガリ。
去年、決勝で途中敗退の5位と、非常に悔しい思いをした手塚。
この王位戦にかける気持ちも人一倍であろう。
東3局、親は手塚。西家・五十嵐が奇襲に出る。
五十嵐が以下の手牌でヤミテンしているところから、
ドラ
をリャンメンチー、そして打。タンヤオへ変化させる。
Aルールでは、ダイレクトのスジの食いかえが認められている。
ただし、普段連盟員同士の対局で、食いかえを見る事はあまりない。
使えるものを使うのはもちろん良いことなのだが、連盟員から見てみれば、セオリーとは言いがたい。リーチ棒を出したくなかったか、よっぽど親の手塚を警戒していたということだろうか。
この奇襲が成功、をツモり、300・500。手塚の親を安全に落とす。
東4局、北家・手塚が積極策で北をポン。そして親の福島にテンパイが入る。
ドラ
福島はヤミテンを選択。三色変化を待ってのヤミテンだろう。
12巡目、海老沢も追いつく。
西家 海老沢
リーチ ドラ
難しい手牌であったが、選択を失敗せず、ドラ単騎でリーチ。
この巡目でまだ2枚山に残っている。
そして(一発はないが)を一発ツモ。2,000・3,900のツモアガリ。
福島がリーチをしていると、もしかしたらこうはならなかったのかもしれない。
福島の懐の深さが裏目に出てしまった。
東場を終わって点数状況は以下のとおり
五十嵐23,100
海老沢33,200
手塚 41,400
福島 22,300
これを今の点数状況に加えると、
五十嵐+37.6P
海老沢+25.8P
手塚 +23.6P
福島 ▲26.6P
大接戦の様相だ。五十嵐はこれ以上失点できない。
逆に、海老沢、手塚は五十嵐を捕らえると決勝進出の目が見えてくる。
南1局は東家・五十嵐、西家・手塚の2人テンパイ。
同1本場は連荘に成功した五十嵐が
ポン ツモ ドラ
1,300は1,400オールで点棒を回復。
だが、同2本場では手塚の
リーチ ドラ
このリーチに五十嵐がで放銃。2,600は3,200のアガリ。
南2局、親の海老沢がのみでサクっと連荘。
福島から1,500のアガリ。海老沢は親権を絶対に落としたくない。
同1本場、この卓最初の山場はここ。
北家 五十嵐 6巡目
ツモ ドラ
前巡、を切ってあり、ペン待ちに取ればスジ待ちとなる。
ただし、平常時とは違い親が全部勝負してきそうなので、ドラがトイツとはいい、愚形リーチにはリスクが伴う。
五十嵐の選択は切りリーチ。
数巡後、親・海老沢が中のポンテンで反撃。
ポン ドラ
打点は安いが、は2枚目であり、仕方が無いテンパイ取りと思う。
そして海老沢のテンパイ打牌、を手塚がチーテン。
チー 暗カン ドラ
を暗カンしているので打点は7,700。もしこれを五十嵐からアガれば大きく順位変動。
そして五十嵐が即を掴み、手塚が決勝へ大きく前進、五十嵐と入れ替わりの形に。
現状のトータルポイントは以下のとおり
五十嵐+28.1P
海老沢+24.4P
手塚 +34.9P
福島 ▲27.0P
南3局、手塚の親は福島が高目三色をリーチ。
南家 福島 8巡目
ドラ
五十嵐が安目ながらで放銃。2,000のアガリ。
南4局、オーラス。福島最後の親番。
福島は今回ベスト16に残った唯一の一般参加だが、7年前の第33期王位戦の決勝卓に残った経験がある。(結果は4位)
筆者は同期の小川尚哉の応援をしに現場に行っていたが、福島の粘り強く、高い技術の麻雀には驚かされたことを未だに記憶している。
だが、今回の王位戦準決勝では、福島は牌勢に恵まれなかった。
結果は残念だが、また来年以降、きっとこの舞台に戻ってきてくれると思う。
さて、話を麻雀の方に戻そう。最後の山場はここ、オーラスにあった。
北家 手塚 9巡目
ポン チー ドラ
同巡、五十嵐もラス抜け条件を満たす手を作り、リーチ。
南家 五十嵐 9巡目
リーチ ドラ
五十嵐は海老沢からアガると、手塚が1人浮きにまわるため、トータルで手塚より下が確定してしまい、通過黄色信号になる。
他家からのアガリはもちろんオーケーだ。
だが、決着はあっさりやってきた。
手塚がを掴み、8,000。五十嵐、トータル逆転。
手塚はトータルが暫定5位となり、決勝進出できるかはC卓の結果待ちになった。
B卓最終結果
※()内はトータルポイント
五十嵐▲10.4P(+38.1P)
海老沢+5.8P(+24.4P)
手塚 +22.7P(+26.9P)
福島 ▲18.1P(▲29.0P)
6回戦C卓
1位・荒+51.8P × 4位・清原+41.1P × 7位・灘+11.7P × 10位・安村▲3.8P
(起家から荒・清原・灘・安村)
泣いても笑っても、これが最後の半荘。
暫定5位の手塚を含め、全員の運命が、この半荘で決まる。
過去に王位を4連覇している灘、3度目の優勝を目指す荒、そしてさまざまな対局のベスト16常連となっている安村、プロ6年目ながら大舞台まで後一歩というところまで駒を進めてきた清原の戦い。
東1局、親の荒、タンピンツモの1,300オールのアガリ。
ツモ ドラ
前巡、三色の消えるをツモってテンパイ、そのためか荒はヤミテンを選択。
堅実に卓回しすることを考えてのヤミだろうか。
東1局1本場も荒のアガリ
ロン ドラ
安村から1,500は1,800。
同2本場、親・荒が以下の手牌で早々にテンパイを入れていたが
ドラ
ここは灘が安村から1,000は1,600をアガリ、カット。
ロン ドラ
東2局は東家・安村と西家・灘の2人テンパイ。
同1本場、荒がタンヤオのみのアガリ。1,300は1,600。
ロン ドラ
荒が淡々とゲームを作る。
東3局、親・清原
ポン ツモ ドラ
安いがなんとかひとアガリ。500オール。
こういう極限状況では、とりあえず1つアガリが出るとホッとすると思う。
点数的にも少しでも原点に近づくことが出来た。
東3局1本場は鳴き合戦。
清原が先手を取り、早々に1シャンテン。
ポン ドラ
それに呼応するように、灘もスピードをあわせてテンパイを入れる。
チー ロン ドラ
ピンフの1シャンテンだった荒から3,900は4,200のアガリ。
ホンイツテンパイかどうか判断できる河でなかったので、荒、これは不運だったか。
灘が微差でトップ目に立った。
東4局、東家・灘、3巡目
ツモ ドラ
ストレートに受けるなら打、打点を見るなら打orで2シャンテン戻し。
灘の選択は打。
次巡、ツモでリーチ、16巡目、ツモで1,300オール。
リーチ ツモ ドラ
同1本場は灘・安村・清原の3人テンパイ。荒の点棒がじわりじわりと削られていく。
東4局2本場、灘が急所のを引き入れ、一通確定のピンフテンパイ。
ロン ドラ
なんとこれをヤミテン。ピンズの場況は良いので、ほとんどの人間がリーチを打ちそうな手牌である。
荒が次巡を掴み、5,800は6,400のアガリ。
後から確認したところ、どうやら、荒と清原から直撃した場合、直撃した相手をトータルポイントでまくる状態だったようだ。
この状況で冷静にヤミテンに出来る精神力もだが、瞬時に判断できる戦術眼も超一流だ。
東4局3本場
これ以上、灘さんにはやらせませんよ、と、荒がリーチ。
ドラ
安村も瞬間テンパイをしていたが、対応してオリ。
荒の1人テンパイで流局。
東場を終わって、点数状況は以下のとおり
荒 23,400
安村24,000
清原27,400
灘 44,200
これを今の点数状況に加えると、
荒 +37.2P
安村▲12.8P
清原+37.5P
灘 +37.9P
A卓トップの矢島は通過確定として、B卓の五十嵐を含めた4人が1ポイント差以内に密集!
これはもうどうなるか予測がつかない・・・。
南1局4本場
西家・安村がポンポンとファン牌を2つポン。
ポン ポン ドラ
トータルポイントの少ない安村が安い鳴きをすることは考え辛く、結局全員に対応され、安村の1人テンパイ。
南2局5本場、荒が7巡目テンパイ。
西家 荒
リーチ ドラ
高目安目無しのリーチ。とりあえずどこから出てもラス抜け確定。
同巡、灘が当たり牌のを使い切り、テンパイ。
北家 灘
リーチ ドラ
この半荘、最初は荒のペースになると思ったのだが、それを崩したのは灘であった。
この局も当然のようにを吸収し、灘が勝つのかと思ったが・・・。
だが、荒は一発でを手繰り寄せた。
値千金の1,000・2,000は1,500・2,500。
南3局、荒は抜け出し、清原と灘の競り合いになった。
何とか連荘したい清原だが、ここは灘が清原の親を流す。
清原は自分の時間を作らせてもらえない。
南家 灘
ポン ロン
荒から1,000のアガリ。
最終局を迎えて、トータルのポイントは以下のとおり
荒 +49.7P
安村▲17.3P
清原+33.0P
灘 +35.4P
清原は灘から1,300、荒からの2,000、安村からの2,600、または、500・1,000のツモアガリが条件となる。
灘は荒に原点復帰されて半荘を終了されると敗退。清原とノーテン罰符で変わってしまうため、次局手を伏せてもいいリードになるアガリ、またはテンパイを組みに行かないといけない状況。
清原が5巡目にドラのをポンし、プレッシャーを与える。
北家 清原
ポン ドラ
ドラを切ったのは、荒。荒も自分で決めに行く構えだ。
灘も清原の切ったを泣いて仕掛け返し、1シャンテン。
東家 灘
ポン ドラ
ただし、この手をアガリ切っても、あと1局か2局は勝負しなければいけないので、これは苦肉の策だろう。
清原のプレッシャー策が功を奏している。
だが、ファーストテンパイは荒。
南家 荒
ドラ
役無しだが、清原に打つと敗退なので、さすがにヤミテンを選択。
もし荒がヤミテンでをツモった場合、荒が原点に復帰するため、灘と清原のポイント差が3縮まり、清原の逆転通過となる。
だが、荒がをツモることはなく、
北家 清原
ポン ロン ドラ
清原が灘から7,700を自力でアガリ、初決勝を自分の手で決めた。
C卓最終結果
※()内はトータルポイント
荒 ▲ 5.1P(+46.7P)
安村▲13.5P(▲17.3P)
清原+ 6.6P(+47.7P)
灘 +12.0P(+23.7P)
この結果により、第40期王位戦決勝戦は、
矢島亨 (日本プロ麻雀協会)
清原継光(日本プロ麻雀連盟)
荒正義 (日本プロ麻雀連盟)
五十嵐毅(日本プロ麻雀協会)
この4名で行われることとなった。
では、惜しくも敗れた選手からひとことや感想をいただいた。
12位 福島直次郎「皆さん強かったです。楽しませていただきました。」
11位 古川孝次 「もっと踏み込めなかったのが残念。また来年挑戦します。」
10位 安村浩司 「情けないです・・・。」
9位 近藤久春 「出だしは良かったんだけど、4回戦にアガリ逃しをしてしまってから崩れてしまった。5回戦でトップ目からラスまで落ちてしまって、それが痛かった。最終戦も掴んじゃって終わっちゃったね。今日はミスが多かった。」
8位 石井一馬 「1・2回戦大きいプラスだったけど、3・4回戦目で負けてしまって・・・。経験の少なさが出てしまったのかなぁ、と思います。また勉強しなおします。」
7位 灘麻太郎 「一言?なにもないよ。弱いから負けたんだ。」
6位 海老沢稔 「手は入っていたと思うのですが、肝心なところでアガれなかったり・・・でも、麻雀ってそういうものですよね。悔しい思いをさせていただいたので、来年以降の糧にしたいと思います。ありがとうございました。」
5位 手塚紗掬 「残りたかったです・・・。」
そして、最後に勝ち残った選手たちからの意気込みをお伝えしてお別れしよう。
1位通過 矢島亨「あまり打ちなれていないルールなんですが、今年は(似たルールの)オータムチャレンジカップも決勝に残れました。そっちは負けてしまったので、今回は勝ちたいです。頑張ります。」
2位通過 清原継光「内容は酷かったけど、最後は麻雀の神様が微笑んでくれた。明日はまっすぐ行きます!」
3位通過 荒正義「明日は3回目の優勝を目指します。この王位は僕にとってはツキタイトル。頭勝負でがんばります!」
4位通過 五十嵐毅「最初3連勝したけど、その後はグダグダだった。(最終戦、オーラスのアガれてよかった。生きた心地がしなかったよ・・・。」
決勝は明日、日本プロ麻雀連盟チャンネルにて、終日、放送される。
荒3回目の戴冠なるか?
はたまた五十嵐久しぶりのタイトル奪取か?
それとも、矢島・清原の初タイトルか?
筆者もいち視聴者として非常に楽しみである。
長文失礼致しました。
カテゴリ:王位戦 レポート