王位戦 レポート

第45期王位戦A級決勝レポート 

11月17日(日)有楽町「錦江荘」にて行われたA級決勝。今年からシード改定により九段を除く歴代王位のシード権は10年となった。(連覇は5割増しの15年)それに加え、前年度決勝進出者、鳳凰位・十段位といったシード者16名に本戦を勝ち上がった60名、計76名で戦い、勝ち上がった15名が翌週の準決勝に駒を進める。
システムは下記の通り。
・4回戦終了時、下位24名敗退(52名勝ち上がり)
・5回戦終了時、下位12名敗退(40名勝ち上がり)
・6回戦終了時、下位12名敗退(28名勝ち上がり)
・7回戦終了時、28名中上位15名準決勝進出

 

100

森山茂和

100

灘麻太郎

 

100

伊藤優孝

100

荒正義

 

100

前原雄大

100

ともたけ雅晴

 

100

滝沢和典

100

吉田直

 

100

石井一馬プロ

100

二見大輔プロ

 

100

HIRO柴田

100

森下剛任

 

100

樋口徹

100

井出一寛

 

100

石川遼

100

清原継光

 

100

野方祐介

100

真光祐尚

 

100

菊田正俊

100

浜野太陽

2回戦で国士無双をアガった山田浩之が、3回戦を終えた時点で早くも100Pオーバー。山田の実力を考えればほぼ当確か。

 

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山田浩之

 

対局前に気合の現れをツイートしていた小車祥。筆者も仲が良いだけに注目していたのだが、4回戦で無念の敗退となってしまった。

 

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小車祥

 

九州本部の椎奈健は、弱冠27歳の若さで福岡の雀荘の店長を務める。プロ予選終了後の打ち上げで軽く話をさせていただいたが、中々の好青年でイケメンだ。個人的に応援していたのだが、残念ながら4回戦で敗退となってしまった。

 

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椎奈健

 

その他、チームがらくた(前原・寿人)、内川、藤原、協会の渋川、RMUの阿部等、24名が4回戦で敗退となった。

 

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阿部孝則プロ

100

渋川難波プロ

 

100

内川幸太郎

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藤原隆弘

 

4回戦終了時、40位のボーダーは▲3.5Pだったのだが、5回戦終了時には▲14.9Pまで下がる珍事件発生。途中から運営に回った藤原も30年の運営人生で初めての出来事と言っていた。そんな中、歴代王位・森山、樋口、井出、新人王・松本等下位12名が5回戦で敗退となった。

 

100

松本幸大

 

最初の2回戦でポイントを伸ばしていた藤島だったが、後半に失速。特に6回戦は沢崎・近藤・滝沢と辛い面子に囲まれ残念ながらここで敗退となった。

 

100

藤島健二郎

 

その他、鳳凰位・吉田、A2・近藤、最高位戦の村上、日向、RMUからは唯一ここまで勝ち残っていた市川等、下位12名が6回戦で敗退となった。

 

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村上淳プロ

100

日向藍子プロ

 

100

市川健太郎プロ

100

近藤久春

 

いよいよ泣いても笑っても最終7回戦が始まる。ポイントの少ない者でも上位陣との直接対決なので、十分に通過のチャンスはある。そこには壮絶なドラマが待ち受けていた。

(起家から鈴木誠・二見大輔・沢崎誠・柴田秀昭)の卓。
ポイントの欲しい沢崎、鈴木を尻目に二見・柴田がワンツーフィニッシュ。鈴木は今年の最強戦全日本プロ代表の決勝にも残ったのが記憶に新しい。まだ23歳で見た目通りの好青年。チャンスはこの先いくらでもあると思うのでこの経験を糧にして欲しい。
二見、柴田がベスト16へ進出。柴田さんは一般からは唯一の通過。

(三戸亮佑・吾妻さおり・菊田政俊・石橋和也)の卓。
24位だった菊田だったが5万点弱のトップを取り、15位ギリギリの滑り込み。浮きの2着を確保した石橋、元々ポイントに余裕のあった吾妻の3名が通過。

 

100

吾妻さおり

 

煽りを食らった三戸が敗退となった。SEの三戸は、前日の本戦時に機械トラブルがあった際、快く助けてくれた。「前日に徳を積んだのに残念でした」と声を掛けた所、「徳を積んだからここまで残れたんだよ」と謙虚なコメント。どこまでいい人なんだ、せめて写真くらいは載せておこうと思ったのだが他の卓に気を取られ、写真を撮り忘れるという大失態。三戸さんごめんなさい。

三戸亮佑ロン2プロフィール

(堀慎吾・高橋信夫・水巻渉・石井一馬)の卓。
オーラス、水巻がツモればほぼ通過、出アガリだと結果待ちとなる以下の手をリーチ。

七万九万四索五索六索七索八索九索三筒三筒七筒八筒九筒  リーチ

しかし無情にも流局となり、堀とともに敗退となった。

 

100

水巻渉プロ

100

堀慎吾プロ

 

トップを取った石井、ポイントに余裕のあった高橋が通過。

(高宮まり・山田浩之・浜野太陽・滝沢和典)の卓。
浜野、オーラス渾身の1,300・2,600ツモるも1.2P足らずの16位フィニッシュ。高宮とともに敗退となった。

 

100

高宮まり

 

山田、滝沢が準決勝への切符を手にした。

(真光祐尚・森下剛任・林ひろたか・西島一彦)の卓。
時間打ち切りのため、最後の1局となったオーラス。森下39,100点、西島38,900点の状況で、中盤親の西島が⑤をポン、真光は役満条件のため途中からオリを選択、林は西島の上家で字牌を連打し鳴かれないよう絞っている。ドラが3枚見えで役牌も全部見えていることから、西島の仕掛けは振っても安い可能性が高いと読んで(実際は1シャンテン)、森下はテンパイなのでそこそこ強い牌を押す。森下の最後の手番、少考して手を崩した(タンヤオ・トイトイの7,700に放銃するのが嫌だったそうだ)。ずっと1シャンテンだった西島も最後のツモでテンパイ。何とか1人テンパイを捥ぎ取りトップを取った。結果から言うと、森下がテンパイしてたら順位は変わらないので西島が敗退していた。西島が凄いのはこれだけではない。冒頭で紹介した山田の国士は西島が放銃したのだ。そして6回戦でも役満を親被りしている。2局で48,000点失ってもこの短期戦で勝ち上がる生命力の高さ。御年73歳とは到底思えない。西島、森下、林の3名が通過。

 

100

西島一彦

 

(矢野拓郎・小林正和・黒沢咲・木戸遼之)の卓。
オーラスを迎えて大接戦。(6回戦終了時のポイント)
矢野(+25.3P)31,900 小林(+66.4P)29,100 黒沢(+32.4P)29,700 木戸(+50.5P)29,300
6回戦終了時の15位ボーダーが+38.7Pで、ボーダーが上がることが予想されるため、+40P後半は欲しい所か。12巡目、黒沢が以下の手でリーチ。

二万二万四万五万六万七索八索四筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ七万

本来ならドラの七万三筒六筒の振り替わりを待ちたいところだが、巡目も深いし四の五の言ってられない。ツモればトップ、あとは結果を天に委ねた。ここで非常に難しい選択を迫られたのが親の木戸だ。一つ仕掛けてタンヤオのテンパイを入れていた木戸。最初の何枚かは押したが、残りツモ4巡の所で手が止まる。小林はポイントに余裕あるので無理して来ないだろうから、オリても3着は死守できるだろう。最悪矢野がテンパイでも+44.3Pで終了し後は他の卓の結果待ちとすることが出来る。振ってしまったら敗退濃厚。木戸はオリを選択し流局、気になる結果だが、無情にもボーダーは跳ね上がり+48.9P。黒沢、矢野とともに敗退となってしまった。小林は通過。

 

100

小林正和

 

(小笠原奈央・松本吉弘・吉田光太・黒田良)の卓。
こちらもオーラス3本場を迎えて大接戦。(6回戦終了時のポイント)
小笠原34,300(+33.5P)松本29,100(+76.3P)吉田31,000(+48.0P)黒田25,600(+22.8P)
小笠原が以下の手をテンパイ。

二万三万四万四万四万一索二索三索三索四索五索四筒五筒  ドラ七万

一手変わりタンヤオと三色の変化はあるが、すぐ出ればアガるだろう。と思っていたのだが松本から出た六筒を何と見逃し。さらに次巡、黒田から出た六筒も見逃し。アガれば1,900点プラスされ順位点込みで+47.7Pでフィニッシュできる。開始前のボーダーが+38.7Pということを考えるとアガるのが自然だ。そして吉田から打たれる六筒にロンの声。開かれた手牌をみて吉田は暫く固まっていた。吉田は痛恨の原点割れ、小笠原は1人浮きトップを捥ぎ取った。前述したとおりボーダーは+48.9Pなので見逃さないと小笠原は敗退となっていた。吉田は原点割れが響いて17位フィニッシュ。敗退となってしまった。

 

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吉田光太プロ

 

状況は違えど、木戸とは正反対の選択をした小笠原とポイントに余裕のあった松本が見事準決勝への切符を手にした。

 

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松本吉弘プロ

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小笠原奈央

 

準決勝では更なるドラマが待ち受けている事だろう。ディフェンディングの魚谷を加えた16名での熱き闘い、目が離せない。