第43期王位戦準決勝レポート 清原 継光
2017年12月11日
勝ち残った15名にはタイトルホルダーの顔がずらりと並んだ。
鈴木たろう(第15期最強位、第9,11,12,13期雀王、他)。
石井一馬(第21期マスターズ、第41期王位、他)。西島一彦(第23期マスターズ、他)。
山井弘(第一回世界リーチ麻雀選手権、他)。滝沢和典(第32,33期王位、他)。
櫻井秀樹(第31期十段位)。森下剛任(第39期王位)。山田浩之(第19期チャンピオンズリーグ)。
安田麻理菜(第10期プロクイーン)。山下将浩(第31期新人王)。
タイトルホルダー以外も、北海道からは前年度ファイナリストの浦山祐輔。
石川県からはプロ暦11年目、北陸リーグ準優勝2回の経験もある木戸僚之。
京都から、競技麻雀暦が長く関西での実績もある段谷昭夫さん(一般)。
東京本部からは映像媒体での活躍もある太田優介、野方祐介。
先の山下は九州所属であり、まさに日本全国からの強豪15名の顔ぶれが揃った。
それをディフェンディングの樋口徹が迎えうつ。
☆1回戦
1卓 (浦山・樋口・櫻井・木戸)
浦山が高め三色のリーチで先制をとる。
リーチ
親番の木戸がドラのを暗刻にして追いかけリーチを打つも、をつかんで7,700の放銃。
櫻井がツモ、イーペーコー、ドラドラの2,000・3,900をアガリ、オーラスに樋口も原点浮きを確保。
木戸は1人沈みの苦しいスタートとなった。
浦山+14.9P 櫻井+4.0P 樋口+1.9P 木戸▲20.8P
2卓 (安田・段谷・石井・鈴木)
起家の安田がいきなりの先制パンチ。
リーチ ドラ
これでリーチを打つとすぐにをツモ。リーチ、ツモ、ホンイツで4,000オール。
石井も東場の親番で大きく叩く。
リーチ ロン ドラ
リーチ、タンヤオ、ドラの7,700を鈴木からアガると、次局にリーチツモドラの4,000オールと高打点のアガリを連発。
石井、安田の2人が突き抜ける。
南場では鈴木が石井に一矢報いるアガリ
リーチ ロン ドラ
リーチ、ピンフ、三色、ドラの8,000点をアガリ返す。
南場は平たくなったが、実力者、石井が好発進のスタート。
石井+14.9P 安田+4.2P 段谷▲6.9P 鈴木▲12.2P
3卓 (滝沢・山下・西島・森下)
3卓は、1人が先制リーチを打つと、追撃の追いかけリーチが2人入るバチバチの打撃戦の卓となった。
東場は大物手のアガリが出なかったが、南場で森下が
リーチ ロン ドラ
西島からリーチ、三色、ドラの8,000点をアガると、オーラスに森下の一際大きい声が響く。
リーチ ツモ ドラ
気合の6,000オールで森下が大きいトップをとる。
森下+26.0P 滝沢+9.7P 山下▲11.8P 西島▲23.9P
4卓 (野方・山井・太田・山田)
太田がドラ単騎の七対子をツモ。4,000オール。
さらに次局、
ポン ツモ ドラ
この追撃の4,000オール。
東場の親で太田が大きく叩く。野方が局面を打開しようと積極的に仕掛けるが、山田、山井の両名にがっちりガードされ、ジリジリとした展開。そのまま終局を迎えた。
太田+41.6P 山井▲5.5P 山田▲13.8P 野方▲22.3P
☆2回戦
1卓 (太田・段谷・樋口・西島)
西島がピンフ一通ドラの先制リーチを打つも、一般の段谷さんが追いかけリーチ。
リーチ ツモ ドラ
一発でドラのをツモる勝負強さを見せ、そのまま段谷さんがトップをとる。
段谷+15.2P 太田+4.0P 西島▲4.9P 樋口▲14.3P
2卓 (山井・山下・櫻井・鈴木)
東場は平たかったが、南場の親番で山井がダブルリーチ。見事ペンをツモりあげる。
ダブルリーチ、ツモ、ドラの3,900オールで山井が一歩抜け出す。
次局、事件は起きた。鈴木が
ここからをチーして切り。場に安いを出アガリできるよう、隙の無さを見せるが、その後にツモ切ったに山下からロンの声がかかる。
ロン
鈴木、痛恨の国士無双放銃で大きいラスとなった。
山下+37.5P 山井+12.3P 櫻井▲5.2P 鈴木▲44.6P
3卓 (山田・安田・木戸・森下)
安田が仕掛けて、タンヤオ三色ドラドラ、2,000・3,900をツモると次局、
ポン ツモ
仕掛けからの大物手を連続で成就させた安田がトップをとる。
2番手には、親でトイトイを森下からアガった木戸が2着をとった。
安田+23.6P 木戸+8.4P 森下▲7.6P 山田▲24.4P
4卓 (滝沢・野方・浦山・石井)
東場の親番で、野方が「らしい」仕掛けから連荘し2本積むと、役なしノミ手をヤミテンでツモ、ピンフのみをヤミとしてアガるなど、さらに親を持続。
七対子ドラドラの絶好の単騎を、ソウズのチンイツ1シャンテンの浦山からヤミで打ちとると、次局、
ドラ
7巡目に入ったこの手を三色を見てヤミテン、12巡目に空切りリーチを放ち、ツモ七、メンタンピンツモ。2,600オールは3,200オール。
詭道から入って王道に至る素晴らしい麻雀で、野方が特大のトップをとる。
野方+49.8P 浦山▲7.1P 滝沢▲15.3P 石井▲28.2P
☆3回戦
1卓 (石井・山田・山下・樋口)
東場は山下が小刻みに加点してリード。南入して、山田の仕掛けに樋口が不要ターツを払うとそれが御用。
ポン ロン ドラ
中ドラ3、8,000点の放銃。
山下、山田の2人浮き。樋口は山田への放銃から大き目のラスを引く。
前年度王者に試練の時。
山下+14.7P 山田+9.0P 石井▲4.8P 樋口▲18.9P
2卓 (鈴木・木戸・太田・滝沢)
今半荘も苦しい鈴木だったが、ラス前に
リーチ ロン ドラ
木戸からリーチ三色の5,200をアガると、オーラスには役牌のダブを仕掛けて満貫ツモの逆転トップ。
一方、滝沢はオーラスの親かぶりで原点割れになってしまう、という苦しい展開。
鈴木+13.9P 太田7.9P 滝沢▲5.3P 木戸▲16.1P
3卓 (浦山・山井・森下・段谷)
東場で段谷が1,300・2,600。1,300オールとアガると、次の1本場。
リーチ ツモ ドラ
リーチツモドラドラ。3,900オールの1本場は4,000オール。
段谷が怒涛の3連続アガリで、1人浮きの大きいトップをとった。
段谷+28.2P 森下▲2.0P 山井▲7.3P 浦山▲18.9P
4卓 (安田・野方・櫻井・西島)
親の野方の仕掛けに対応していた上家の安田。中盤、を切ると西島からロンの声がかかる。
ポン ロン ドラ
隠れドラ3のドラ3で7,700の放銃。
下家の野方の仕掛けに苦しめられ、安田は大きい1人沈みのラス。
トップ争いは激戦だったが、親で細かく連荘しRドラドラの2,000オールをアガった櫻井がトップをとった。
櫻井+23.3P 西島+13.0P 野方+2.3P 安田▲38.6P
☆4回戦
1卓 (樋口・滝沢・安田・山井)
親番の山井、アガリ牌をツモらずのフリテンリーチを決行。
リーチ ツモ ドラ
これを見事ツモる。リーチツモピンフ三色の4,000オール。
その後もリーチタンヤオツモの2,000オール、ツモ七対子ドラドラの2,000,4,000と追撃を決め、パーフェクトゲームで大トップをとる。
前年度王者の樋口は苦しいラス。
山井+40.9P 安田▲6.2P 滝沢▲8.8P 樋口▲25.9P
2卓 (西島・浦山・山田・鈴木)
山田が鈴木からリーチ三色5,200をアガると、さらに親番で西島から7,700をアガリ、山田が主導権をとる。
リーチ ロン ドラ
山田がこのままトップをとるかと思われたが、オーラス、浦山のリーチに、親番で後がない鈴木が飛び込む。メンタンピンイーペーコーの7,700で浦山が逆転でトップをとる。
鈴木はトータルポイントのマイナスがさらにマイナスを招く苦しい状況。
浦山+22.2P 山田+16.5P 西島▲16.9P 鈴木▲21.6P
3卓 (森下・櫻井・太田・石井)
開局に森下が先制リーチ一発ツモ。リーチツモドラドラの3,900オール。
リーチ ツモ ドラ
いきなり森下が抜け出し、半荘の主導権を握る。
森下のゲームメイクが光り、さらに沈みを受け入れる覚悟の太田のマークにあい、櫻井はまるであがらせてもらえず、厳しいラスとなった。
森下+27.8P 石井▲3.1P 太田▲6.5P 櫻井▲18.2P
4卓 (木戸・山下・野方・段谷)
段谷がリーチツモドラドラの3,900オール。
木戸がドラの南を仕掛けて
ポン ロン ドラ
先切りのが効いて、1シャンテンの山下からドラ3の満貫のアガリ。
南場に入り、山下が親のリーチドラドラ7,700を段谷からアガリ一矢報いるも、仕掛けを駆使した段谷が原点浮きを確保のままフィニッシュ。段谷はこれで決勝がだいぶ見えたか。
木戸+14.2P 段谷+5.9P 野方▲6.2P 山下▲13.9P
☆5回戦
1卓 (鈴木・野方・樋口・森下)
南場の親番、鈴木が超弩級のテンパイ。
ドラ
出アガリ24,000、ツモると16,000オール。アガリ牌は山に2枚いたが、鈴木の願いも叶わず流局。
その後はトータルポイントプラス組とマイナス組の差が出る展開。マイナス組に大物手を決める暇を与えず、野方、森下が浮きにまわる。
数々の実績を持つ鈴木、前年度王者の樋口が、ここで敗退となった。
野方+17.2P 森下+4.6P 鈴木▲4.2P 樋口▲17.6P
2卓 (櫻井・段谷・山田・滝沢)
東場の親で段谷
ポン ポン ポン ツモ ドラ
ヤクヤクトイトイの4,000オールをアガると、それを機に親番で大きく加点する。
追撃すべく櫻井がリーチを打つも、山田の3フーロチンイツに放銃。
段谷が大きいトップ。櫻井が大きいラス。滝沢はまたもオーラスに原点を割る厳しい展開となった。
段谷+27.7P 山田+11.3P 滝沢▲5.8P 櫻井▲33.2P
3卓 (西島・木戸・山井・石井)
トータルポイント的に後のない石井が先制リーチを打つ。
リーチ ドラ
同巡、親の西島にもテンパイが入る。
1巡まわした後、意を決して西島が単騎で追いかけリーチを打つと、直後の石井のツモは。リーチタンヤオ七対子9,600の2本場は11,200のアガリ。
石井はその後も木戸にメンタンピンドラ7,700を打ち上げ、運に恵まれず大きめのラス。
トータルポイント的に苦しい西島は、その後、山井にリーチ三色の5,200、石井にダブドラドラの8,000を放銃。
二冠の西島、三冠の石井がここで敗退となった。
木戸+17.6P 山井+12.1P 西島▲8.6P 石井▲21.1P
4卓 (安田・太田・山下・浦山)
4卓は、誰の大物手も成就しないまま小場の展開で局が進む。テンパイ料をしっかりとっていた山下が一歩リードか。
オーラス、原点浮きを狙って太田が素早く3フーロすると、親の浦山がツモ。
ツモ ドラ
ツモ三暗刻ドラの4,000オール。
小場の展開の中、たった一度の大物手を決めた浦山がトップをとった。
浦山+17.6P 山下+7.2P 太田▲9.8P 安田▲16.8P
☆6回戦
6回戦A卓 森下(+48.8P)・山田(▲1.4P)・野方(+40.6P)・滝沢(▲25.5P)
東4局、野方が仕掛けて先制テンパイ、親の滝沢がその仕掛けにリーチをかぶせ、さらに森下が3面待ちで追いかけリーチを打ち、さらにさらに山田がメンピンイーペーコー高め三色のリーチを打つ面白い局面。
結果は森下がつかんだに滝沢からロンの声。
ロン ドラ
リーチドラドラの7,700。決勝を狙う森下にとっては手痛い放銃になる。
攻めるしかなくなった森下はさらに滝沢にメンタンピンドラの7,700を放銃。
野方もオーラスの滝沢の親リーチにリーチの3,900放銃。さらに滝沢のリーチツモドラドラ3,900オールと、滝沢が親番で爆発する。決勝を狙う森下と野方にとっては辛く厳しい展開となった。
最後は野方が安目ながらメンタンピンツモの1,300・2,600をアガって終局を迎えたが、
リーチ ツモ ドラ
できるだけポイントの上積みをして終えたかった野方と森下だったが、最終戦にポイントを減らして終えるという結果に。
控え室に戻った2人の表情は暗く険しく、森下は自身への怒りに満ち、野方は飲み物をとる手が震えていた。
滝沢+41.4P 野方▲1.2P 森下▲16.9P 山田▲23.3P
6回戦B卓 山井(+52.5P)・木戸(+3.3P)・櫻井(▲29.3P)・太田(+36.8P)
東2局、櫻井の先制リーチに太田が勝負のドラ単騎追いかけリーチを決行。
リーチ ドラ
ドラの中は親の木戸の手の中に2枚あったが、櫻井が最後の中をつかむ。リーチドラドラ5,200。太田が勝負の局をものにする。
太田は続く親番でタンピン三色をヤミテンにするとリーチを打った木戸に、ツモ切り追いかけリーチ。木戸からメンタンピンの5,800をアガると、さらに南場で
ツモ ドラ
ツモピンフホンイツ一通イーペーコーの倍満ツモ、勝ち上がりを決定づけた。
山井も隙の無い麻雀できっちり加点し、太田、山井の両名がほぼ決勝を掌中に収めた。
太田+32.8P 山井+11.2P 木戸▲13.2P 櫻井▲30.8P
6回戦C卓 段谷(+70.1P)・山下(+33.7P)・浦山(+30.3P)・安田(▲33.8P)
C卓は、決勝の最後のイスをめぐって山下と浦山の争い。
まずは山下が機先を制す。
ポン ポン ポン ツモ ドラ
ヤクハイトイトイの1,300・2,600のツモアガリ。
追う浦山は三色リーチを打つも段谷にタンヤオドラ3の11,600を放銃。両者の明暗は分かれる。
しかし、ラス前に親番で浦山が意地を見せる。
まずはチャンタ三色のリーチ、これはアガれずに流局となるも、次局に、
リーチ ツモ ドラ
リーチタンヤオツモ三色の4,000オールで山下とほぼ横一線。
オーラスは、山下と浦山で1,000点アガった方が決勝に残るという超激戦だったが、このオーラスをアガったのは山下でも浦山でもなく段谷。
なんと、控え室で祈る気持ちで見ていた野方が決勝へのイスに滑り込む結末となった。
段谷+14.1P 浦山+5.0P 山下+1.0P 安田▲20.2P
・ベスト8コメント(勝ち残った4名には決勝の抱負も)
木戸「6回戦で山井さんに8で放銃した局面が甘かったかなぁ。準決勝の前半でポイントを失うマイナス発進が痛かったです。」
森下「6回戦の戦い方を間違えた。やらかした。」
山下「力不足でした。」
浦山「2回戦に野方プロに七対子ドラドラの9,600を放銃した局が悠長だったなぁ。6回戦で山下プロが1,300・2,600をアガった局。山下プロの仕掛けにドラの南を切れなかった局面、勝負ポイントだったかなぁ。切っていれば・・。」
段谷「配信が苦手なので落ち着いてやれてよかったです。明日も落ち着いてやれたらいいなぁ」
太田「ミスが多かったけど、今日はメリハリが良い方向に出ました。道場で働かせてもらったおかげで、今回残れたと思ってます。中央のタイトル戦決勝は2回目なので、前よりは緊張してません。結果を残したいです。」
山井「前半苦しかったけど、放送対局に爆発できました。前半、我慢したのが効いてよかったです。王位戦は10年ぶりの決勝なので、明日はしっかりと頭取りの麻雀を打って優勝を狙っていきたいです。」
野方「奇跡が起きました。残れると思ってなかったから気楽にやれるので、明日は普段どおりの麻雀を打ちたいです。」
決勝は、段谷、太田、山井、野方の4名。いよいよ第43期王位が決まる。
カテゴリ:王位戦 レポート