桜蕾戦 レポート

第4期桜蕾戦ベスト16C卓レポート

【桜蕾戦ベスト16C卓、岡田紗佳、松田彩花の勝ち上がり】

この日の対局者は、桜蕾戦のベスト16以上の常連と言える 4選手。
早速紹介しよう。

 

松田彩花(予選1位通過)

 

過去の桜蕾戦は第2期にベスト16。
今期はプロクイーンもベスト16に残り、女流桜花ではC1リーグからBリーグに昇級と好成績をあげている。
しかし、直近のプロリーグ(D2リーグ)が2節連続で大敗と不安な心境もあるか。

 

藤田愛(予選8位通過)

 

過去の桜蕾戦は第2期に3位。
プロリーグはE1、女流桜花はC2リーグ。
同じ公式ルールで行われた第2期に決勝に残っており、そのときよりも強くなっているとのこと。
(半強制的に、実況の大和に誘導されて言わされていましたが)

 

川上玲(予選9位通過)

 

過去の桜蕾戦は第2期ベスト16、第3期ベスト8
プロリーグはD3所属、女流桜花はC2からC1に昇級した。
元々はスピード重視の雀風だが、公式ルールに合わせて手役をみたりと調整中とのこと。

 

岡田紗佳(推薦枠)

 

過去の桜蕾戦は、第2期ベスト8、第3期ベスト16
プロリーグはC3、女流桜花はC1リーグ。
「(今までの桜蕾戦を振り返って)優勝候補と言われることも多くて、ちょっと気を張りすぎたことが多かった。どのタイトル戦も勝ちたいし、しっかり麻雀に向き合いたいと思います。」
このコメントに凝縮されているように思う。
なお、前日のMリーグで今期初トップだったので、疲れはあるだろうが気分は上々だろう。

前半はダイジェストでお伝えする。

 

◇1回戦◇
東1局に川上の高打点の先制リーチに親の松田が押し返し、12,000のアガリ。

 

 

 

この後、岡田が2回の三色同順をアガリ、トップとなる。

 

 

 

◇2回戦◇
親の藤田はドラ2の好配牌だったが、先に松田のリーチを受け、手痛い7,700の放銃となってしまう。

 

 

僅差のオーラスのスピード勝負は、松田が制してトップ。
藤田は痛い1人沈みだった。
川上は、トップは取れなかったものの、岡田と松田がリードしていた中、なんとか食らいついて浮きをキープできた。

 

 

2回戦終了時
岡田+29.3P、松田+22.7P、川上▲23.7P、藤田▲28.3P

瑠美「この中で経験豊富な松田、岡田がリードしているのは、川上、藤田にとって苦しい。」
松田も、『この半荘を浮けばほぼ勝ち、岡田より上の着順ならより良い』との考えだったそうだ。
川上、藤田の立場からの視点だと、 岡田か松田を沈めて、自分が浮いてないと、最終戦が厳しいというトータルスコアだ。

 

3回戦東1局
先制リーチは 親の川上。
松田の手の内で一番安全なのは、場に1枚切れの中だった。
リーチ、中、ドラ2の12,000。
待望の反撃である。

 

 

松田「1巡前に(親の現物の)四万を残すべきだった。あーやっちゃったなー、とずっと思っていました。」とインタビューで反省していたが、守備寄りなら白を先に切ってそうなので、 勘よく中を離さないと避けられなかっただろう。
気にやむミスではない。(もちろん激痛だが。)

 

 

川上、 同1本場もダブ東、ホンイツの4,000オール。
なんと東1局で逆転してしまう。

 

 

次は藤田の反撃。

 

 

東1局2本場、 親の川上のリーチの現物待ちで、岡田から白、ホンイツ、ドラの7,700。
3回戦の暫定の順位点を加えるとこの差、2人の見事な追い上げで大混戦になっている。
岡田+13.0P、川上+7.3P、松田▲1.3P、藤田▲19.0P

勝負の分かれ目は、次の東2局だった。
親の岡田が先制リーチ、そこに藤田、松田が追いかける。
オリてくれれば出やすい九筒だが、めくり合いになると自信は持てない。
岡田は内心『リーチはやり過ぎだったか?』と思ったかもしれない。

 

 

 

 

ここを藤田が勝つようなら、全然違った展開だったが、結果は岡田のアガリ。(放銃は藤田)
リーチ棒をいれて6,800点と前局の失点をほぼ取り返せたことは、岡田は嬉しく、藤田は非常に悔しい放銃だっただろう。

3回戦は川上が大トップ、岡田が川上と並び、松田と藤田が2人を追いかける構図になって最終戦を迎えた。

 

 

最終戦東1局
岡田がリーチ、ピンフ、タンヤオ、イーペーコーの7,700を藤田からアガる。
これで岡田の通過は濃厚。余裕をもって最終戦を進められるようになった。

 

 

岡田「今日はずっと内容悪いなーと思って。反省ですね。言い訳みたいになって嫌なんですけど、ずっとボーっとしててホントダメでした。今日勝てたのは、ツイていただけです。こんなツイていることもなかなかないので、次回はしっかり戦えるように(コンディションを)整えてきたいと思います。」

 

 

ここからは、川上と松田の二番手争い。
東3局、川上がタンヤオに振り替わるのを待ってからのリーチ。
以前の川上は、振り替わる前にリーチしていたかもしれない。
「手役見るように」とのコメントの通り、学んできている成果だろう。

 

 

リーチの判断には賛否があった。
局面を見ると、ライバルの松田が自風の北を仕掛けていて、ピンズのホンイツに移行したところだったが、川上の視点ではホンイツ移行を読み取るのは困難。
北の1鳴きに、ドラが数枚あるかも?と考えるくらいではないか。

 

 

結果は松田にとってかなり価値のある満貫のアガリになった。
川上がヤミテンにしていたらどうだったか、とは思ってしまうものだが、それこそ結果論だと思う。
ヤミテンを選ぶこともアリだし、決めにいくリーチもよかったと思われる。

最後の勝負処は南3局、松田が12.3ポイントリードして迎えていた。
川上に一撃逆転の手、南白ホンイツ、ドラ3の跳満のテンパイだ。
(浮きに回って順位点が9ポイント以上増えるのでアガると一旦逆転する)

 

 

藤田がドラの南を切ってリーチ。
それを川上は大明カンをして、倍満に打点を上げる。
倍満だと岡田を抜いてトータル1位になるので、オーラスの通過率が大違いだ。
どちらにせよ、松田と岡田からの出アガリは期待できない。
大明カンの一手だ。

 

 

川上のほしい五筒八筒は山に2枚。
藤田のアガリ牌の二索五索も山に2枚。

 

 

 

しかし、残酷にも嶺上牌に眠っていたのは、二索
これは川上に運がなかった。

オーラスは松田がアガって通過を決めたが、1、2回戦が終わった時点では、岡田と松田が圧勝してもおかしくなかった。
藤田「33期、つえー(強い)っす」がインタビューの第一声だったが、先輩相手に川上と藤田はよく健闘し、最後まで白熱した試合になった。
(岡田と松田が33期、川上が37期前期、藤田が37期後期)
きっと、善戦できたという思いと、それでもまだ実力差があるという悔しさの両方を持ち帰っただろう。

川上「もっとちゃんと出来るところがあったんではないかと…早く(放送を)見返したいです。」
出てくるたびに成長してくるし、成長のスピードも早い。来期もきっとさらに強くなった姿が見られるだろう。

普段より長いレポートになってしまうのだが、最後にこれを取り上げたい。
最終戦南2局の親番の松田は、仕掛けて一気通貫の500オールをアガった。
500オールにもかかわらず、僕はこのアガリに目頭が熱くなった。

 

 

 

松田は前回第3期の桜蕾戦ベスト16、セーフティリードと思われた南4局に関口智恵に逆転を許した。
おそらく、このリードからの敗戦は相当引きずっただろう。

 

 

レポートは(こちら

南4局は関口のテンパイが早く、どうしようもなかったのだが、その前の南3局の自身の親番をあっさり落としたことが反省点だったそうだ。
戻って本日の局面、ここで1,500点でもアガリにいった意図を推察すると、
・岡田が意図して逆転を狙ってはこないが、局を消化するアガリでも逆転されてしまう差。
この半荘の順位点の4ポイントも重要なトータルスコア。
・連荘して、ここで川上を突き放しておきたい。
見た目以上に、ここでの500オールの価値は大きいことがわかっている。

瑠美は道中にこう語った。
「悔しい思いをどれだけしているかで上達度が違うと思うんですよ。出る機会がそこそこあった2人(岡田・松田)は、悔しい思いを多く経験していると思うんですよね。」
事前のインタビューで「トーナメントの練習をしてきた」と語った松田。
このアガリに――たった500オールのアガリに――前回の反省を消化し、意味のある練習をしてきた、そんな松田の姿が映ったからである。

松田「ベスト8に向けて、またいっぱい練習して臨みたいと思います。」

 

 

 

ベスト16D卓
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ベスト8A卓 10/28 16時~
ベスト8B卓 11/18 16時~

(文:福光聖雄)