第17期プロクイーン決定戦初日観戦記 藤井 すみれ
2019年11月22日
7月21日の一次予選から早3ヶ月。今年もついに決勝の舞台が整った。
世間ではドラクエウォークというアプリが大流行しており、私もすっかり夢中なのだが、予選を勝ち上がってきた4名にとっても、ついにボス戦まで辿り着いた!そんな気持ちなのだろうか。
しかも麻雀は自分以外みんな敵で、味方は基本的に自分だけ。
そんな中で最後まで生き残ってきた4名、そして迎え撃つは前年度優勝の日向藍子。
今年のプロクイーン最終章がいま始まる。
1回戦(起家から、瑠美・りんの・日向・西城)抜け番・童瞳
東1局
誰のどんなアガリで始まるのか。タイトル戦の開局はそこが楽しみでもある。
先制テンパイは西城だ。
西城凛
日本プロ麻雀連盟所属。
以前は日本プロ麻雀協会に所属。プロ7年目。
「メンゼン派、全ツッパ」と自身は語るが、高打点をしっかりと決めて決勝への切符を手にして来た。
ツモ ドラ
ドラを切っての、役なしヤミテンを選択。
一方、同巡に追いついたのはりんの。こちらはリーチだ。
リーチ
りんのなお
日本プロ麻雀協会所属。
プロ3年目。
入会当初より強いとの噂が瞬く間に伝わる。
仕掛けや積極的なリーチを駆使してここまで来た。
プロクイーン決勝は初めての2人。2人とも一次予選から長い道のりだっただろう。
そこにすぐさま追いかけたのは現プロクイーン・日向。
リーチ
更にそこへ親の瑠美もテンパイを入れ、こちらは役ありのヤミテン。
リーチ2人。ヤミテン2人。いきなりの4人テンパイ!しかしここから更に白熱していく。
西城
ここに瑠美の当たり牌を引くと、カンに待ち変え。ヤミテンのまま危険牌を勝負していく。
瑠美
こちらも危険牌を勝負していたが、ツモでシャンポンに待ち変えでヤミテン続行。
りんのも日向もツモれないでいると、西城の元へ来たのは日向の当たり牌。待ちの両面変化でついにリーチ。
それを受けて瑠美もツモ切り追いかけリーチ。
まさか、東1局から4人リーチが見られるとは!
熱いめくり合いを制したのは、日向。
りんのから日向への3,900で熱い3日間が始まった。
細かいアガリを経て、東4局。7巡目、瑠美のリーチ。
リーチ ドラ
待ったをかけたのは親の西城。のトイツ落としでキッチリ仕上げ、11巡目リーチ。
リーチ
そして聞こえる「ツモ」の声。それは、どちらの声でもなかった。
りんの
ツモ
2人のリーチを掻い潜った800・1,600。
実況の日吉が言う。「価値しかない」と。
南1局1本場
前局に2,600オールをツモった瑠美の親番中。これ以上やらせたくない。誰もがそう思うだろう。
しかし34,500点で瑠美と同点の日向。
ドラ
ここから打とする。
なんてゆったりとして素敵な一打なのだろう。好形を狙っていく。
一方りんのはダブをポンしていき、テンパイ。
ポン
1シャンテンになっていた日向も、何枚かポンテンをスルーして打点を見ていたが、2枚目のをポンして折り合いをつける。
ポン
その2人が最も恐れていた瑠美のリーチがついに。
リーチ
綺麗な高目三色。瑠美の代名詞だ。
二階堂瑠美
日本プロ麻雀連盟所属。
プロ20年目。
第11期プロクイーン獲得。
第13期決勝では涙を飲んだ彼女だが、4年ぶりに戴冠を狙う。
今にもツモりそうな瑠美のリーチを受けてりんのは撤退。
日向は戦っていく。瑠美の現物が西城から打たれ、ここは日向のアガリとなった。
南4局
縦長の展開で迎えたオーラス。
西城17,300
瑠美34,800
りんの25,000
日向42,900
各選手、満貫圏内で着順アップの可能性がある。
ここまで苦しい西城。
この親こそは、という気合いが感じられる。
ドラを重ねて6巡目にリーチ。
ドラ
山に2枚のがりんのからツモ切られ裏ドラも乗る!
18,000の加点に成功。
このままトップまで、と思われたが1本場は瑠美が西城から6,400をアガリ2着確保。 日向がトップとなった。
1回戦成績
日向+27.9P 瑠美+16.5P 西城▲6.4P りんの▲38.0P
2回戦(起家から、りんの・日向・童瞳・瑠美)抜け番・西城
バッチバチの1回戦を終え、ここから童瞳が登場。
東1局
1回戦目に痛恨のラスをひいたりんの、親で即リーチと行く。
リーチ ドラ
これを一発でツモ!裏ドラはないが、気持ちの良い2,000オール。
しかし実はこの時、童瞳が一発でド無筋のを勝負していた。
それはこの後の熱い戦いを予期させるものだった。
東3局
日向に難しい選択が。
ドラ ツモ
は場に1枚切れ。前巡にを切っているのでマンズの下の変化は厳しい。
日向は、ほとんどノータイムで切りリーチを選択!
このカンが山に3枚で、ナイスな選択だったのだが、無情にも一発目のツモは。
ツモ切られる。までツモってきて、こうしていればアガっていたというルートが日向に襲いかかって来る。
更にひたひたと忍び寄る影……親の童瞳。
無筋を躊躇なく切り飛ばし、ついに追いついた。
ヤミテンの親満!しかもこのも山に2枚もいる。
どちらかのアガリを確信したが、何と2人のアガリ牌は全て王牌に吸収され、流局となった。
東3局1本場
西家りんのが6巡目リーチ。
リーチ ドラ
親の童瞳
この恐ろしい手を11巡目に仕上げてリーチ。
瑠美も追いかけるが、りんのの元には・・・童瞳に12,000は12,300。
更に次局
リーチ 一発ツモ ドラ 裏
6,000は6,200オール!
解説陣が言う。
「東1局のあのから始まっていたんだ……」
1回戦抜け番を終えて、自身の1局目。親リーチに1シャンテンから無筋を勝負できるのは、きちんと心を作ってきた証拠だった。
童瞳
日本プロ麻雀連盟所属。
プロ10年目。
第13期プロクイーン獲得。
あれから月日は流れ、更に麻雀に磨きをかけてきたのが分かる。2度目の優勝なるか。
この半荘、りんのと日向は何度もリーチや仕掛けを試みるも、なかなかアガリに結びつかず。
童瞳の大きなトップで終局となった。
2回戦成績
童瞳+51.4P 瑠美+3.6P 日向▲18.0P りんの▲37.0P
2回戦終了時
童瞳+51.4P 瑠美+20.1P 日向+9.9P 西城▲6.4P りんの▲75.0P
3回戦(起家から、日向・童瞳・西城・瑠美)抜け番・りんの
東2局1本場
瑠美が魅せる。カンをチーしてこの形。
チー ドラ
ここから上家西城から続けて2枚打たれるを悠然とスルー。
をポンしてテンパイ。あくまで8,000のルートは絶たない。うーん、かっこいい。
テンパイを入れた親の童瞳からをとらえて3,900は4,200。
東4局の親番でも、日向から5,800を召し取り、瑠美のペースか。
同1本場もリーチで連続攻撃。
ドラ
このままだと持っていかれそうな匂いしかしない。
その気持ちは誰しもが感じている中で、西城が連荘阻止に名乗りをあげた。
暗カン ドラ
熱い息使いが聞こえてくるようなめくり合い。
間もなくして、西城が力強くをツモり上げ、3,000・6,000を決めた。
南2局
瑠美と西城がトップ争いをする中、今半荘もなかなかアガリにめぐまれないのは日向。18,600点持ちラス目だ。
これが自身の初日最後の半荘でもあり、なんとかして、加点を目論む。
手があまり良くなくても、ドラがなくても、手役やアガリへの道筋を懸命に追っていく。
そんな彼女の姿にみんな心を奪われるのだと思う。
日向藍子
最高位戦日本プロ麻雀協会所属
プロ9年目。
現プロクイーンで、皆さんご存知の通りMリーガーとして渋谷ABEMASに所属し、活躍めざましい選手。連覇を狙う。
二度放った勝負のリーチも、日の目をみる事は無かったが、何度でもリーチをかける彼女の姿はきっとこのままでは終わらない、と我々に感じさせるものだった。
3回戦成績
瑠美+23.2P 西城+12.0P 童瞳▲8.1P 日向▲27.1P
3回戦終了時
瑠美+43.3P 童瞳+43.3P 西城+5.6P 日向▲17.2P りんの▲75.0P
4回戦(起家から、瑠美・西城・童瞳・りんの)抜け番・日向
これが本日の最終戦。
東1局2本場
西城がリーチ。
ドラ
その間、何度もテンパイをはずして高打点を狙う選手がいた。
りんのだ。
りんのはここまで2回のラスを引き、迎えた最終戦。
まだ初日とはいえ、これ以上のマイナスを背負うのは御免だろう。
1回戦、2回戦は持ち味でもある軽めの仕掛けやリーチを多用してきたが、この3回戦、重めの手作りにシフトしたように見える。
解説の白鳥が言うように、少しでもポイントが回復できれば、また元のように自由に打てるようになるかもしれない。
じっくりと手を育て、テンパイにたどり着く。
ドラ
りんのの手に力が入るが、なかなかツモれない。
更に親の瑠美の追いかけリーチも入り、ツモられる。それを見て唇をかみしめていた。
この半荘も瑠美が好調で、トップ目で南場を迎える。
南2局
逆につらいのは西城。
22,500点持ちのラス目で迎えた親番。三段目に入ってもテンパイが入らずに苦渋のオリを選択したその刹那。
3着目・りんのから14巡目のリーチが入る。それを受けて3人は対応。
ドラドラだった瑠美も、チーテンの牌が出たが、危険牌を打つのを嫌ってとらず。
2巡後、「ツモ」とりんのが開いた手は
リーチ ツモ ドラ
美しい四暗刻だった。
苦しい苦しい1日の最後に、神様はりんのに微笑んだ。
4回戦成績
りんの+39.8P 瑠美+15.4P 童瞳▲19.2P 西城▲38.0P
4回戦終了時
瑠美+58.7P 童瞳+24.1P 日向▲17.2P 西城▲32.4P りんの▲35.2P
プロクイーン初日に彼女達が見せてくれたのは、燃えたぎる闘志と、あきらめない心だった。
まだまだ勝負は、わからない。
次回プロクイーン決定戦2日目。ご期待下さい!
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